
電子カルテとは?紙カルテの違いや導入メリット・デメリットを解説
医療機関で導入されている電子カルテ。紙カルテと比較すると、紙カルテのデメリットを解消するような保管場所や情報検索の観点からのメリットがあります。今回は、電子カルテと紙カルテの違いを比較して、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
- 紙カルテと電子カルテ比較
- 電子カルテのメリット
- 電子カルテのデメリット
- 紙カルテのメリット・デメリット
目次[非表示]
- 1.電子カルテとは?
- 2.電子カルテの普及率
- 3.紙カルテと電子カルテ比較
- 4.電子カルテのメリット
- 4.1.リアルタイムでの情報の編集や確認ができる
- 4.2.読みやすいフォントでスムーズに視認できる
- 4.3.保管場所は不要
- 4.4.文書作成や会計業務を効率化
- 5.電子カルテのデメリット
- 5.1.慣れるまでスムーズに業務が進まない可能性がある
- 5.2.停電時に利用できない
- 5.3.セキュリティ対策が必要
- 6.電子カルテにおける3つの種類
- 6.1.1.オンプレミス型電子カルテ
- 6.2.2.クラウド型電子カルテ
- 6.3.3.ハイブリッド型電子カルテ
- 7.電子カルテシステムの比較
- 8.電子カルテに関してよくある質問
- 8.1.1.紙カルテから電子カルテへ移行するステップとは?
- 8.2.2.電子カルテへ移行する際の注意点とは?
- 8.3.3.電子保存の3原則とは?
- 8.4.4.電子カルテの導入に補助金や助成金は使用可能?
- 8.5.5.電子カルテの利用は場所を選ばない?
- 9.まとめ
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電子カルテとは?
電子カルテとは カルテに記載する患者情報や、治療内容をタブレットやパソコンなどの端末で管理できるシステムです。
医療業界では紙のカルテが普及していましたが、カルテの保管場所や業務効率の悪さから電子カルテが注目されました。電子カルテの導入により、医療スタッフの業務効率化を実現できたうえに、負担も軽減することができたのです。
電子カルテの種類によって機能は異なりますが、患者情報をスムーズに共有できるため質の高い診察や治療を提供することができます。
しかし、今もなお紙カルテを使用している病院も少なくありません。
医療スタッフの業務効率化を目指すのであれば、電子カルテの導入が効果的です。
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電子カルテの普及率
厚生労働省の「電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、電子カルテの普及率は令和2年で以下のようになっています。
- 一般病院:57.2%
- 一般診療所:49.9%
病床規模別における電子カルテの普及率は、以下の通りです。
- 400床以上:91.2%
- 200〜399床:74.8%
- 200床未満:48.8%
病院と診療所、病床規模によって普及率は異なりますが、約50%以上の医療機関で電子カルテは導入されているようです。
電子カルテの認知度はどんどん広がっているため、今後も導入する医療機関は増えていくでしょう。
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紙カルテと電子カルテ比較
紙カルテ |
電子カルテ |
|
メリット |
コストが安い 災害や緊急時に強い ファイリングしておけば過去の患者のデータをページをめくるだけで参照できる |
誰もが読みやすいので、意思疎通がスムーズ 保管場所は不要 検査結果の取り込みが容易 医師の業務負担を軽減 |
デメリット |
他の人が見ているときは見られない 保管場所が必要 保管場所からの無断持ち出しによる情報漏えい 水害によって紙カルテの汚損や閲覧ができなくなる |
停電時に利用できない ウイルスによる攻撃に気を付けなければならない 内部不正に注意 |
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電子カルテのメリット
電子カルテとは、紙カルテと同様に医師が記入した診療録を、電子データとして保存したもののことです。電子カルテと紙カルテの大きな違いは、カルテ以外にも写真やその他医療記録などの情報を一元化できるということです。
まずは、電子カルテのメリットを見ていきましょう。
リアルタイムでの情報の編集や確認ができる
紙カルテの場合、リアルタイムで情報を編集するのは難しいと言わざるを得ません。探すのにも、修正テープや再印刷をするなど、編集にも時間がかかります。電子カルテであれば、入力や編集がすぐに反映されます。データ検索ももちろんすぐに検索できるので、手間をかけずに編集できます。
読みやすいフォントでスムーズに視認できる
「医者の悪筆」とはよく言ったもので、紙カルテに書かれた文字は実際に文字が読みにくいのです。その原因は、患者の話を聞きながらささっと紙カルテに記入することにあります。急いで記入するので走り書きになってしまい、それが原因で読みにくくなるのです。
電子カルテの場合は統一したフォントで表示されます。そのため、視認性がよく、看護師や事務員への指示が正しく行き届いて作業効率が向上するでしょう。他の医師とデータを共有するときも「文字が読みやすい」ことは、必要なデータが確認できる点で重要です。
保管場所は不要
紙カルテはどうしても場所をとります。電子カルテであれば、非常にたくさんのカルテ情報を保存できる「サーバー」と呼ばれる装置に蓄積されるため、保管場所は不要です。
カルテの所在が分からなくなる心配はありません。ちなみに、サーバーの容量を増やせば、何人分でも何年分でも保管することが可能です。
紙カルテを原本として電子化し保存するサービスもあります。完全に電子化するのではなく、必要な紙カルテだけ残して保管スペースを減らすこともできますので、少しずつ電子カルテに移行していくこともできるのです。
文書作成や会計業務を効率化
電子カルテは、紙カルテと異なる多くの補助機能がほぼどのメーカーでも搭載されています。これにより、ドクターの業務負担を軽減させられたり会計業務も簡単になったりして、業務全体の速度が上がるメリットがあります。さらに、レセプトソフトと連携した電子カルテを使えば、算定漏れのミスが減ります。
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電子カルテのデメリット
多くのメリットの多い電子カルテですが、デメリットもあります。ここからは、紙カルテと比較したときに感じる電子カルテのデメリットについてみていきましょう。
慣れるまでスムーズに業務が進まない可能性がある
これまで紙をベースに行ってきたカルテ運用を、電子カルテシステムを導入してすぐに看護師や事務員たちが使えるようになるとは限りません。電子カルテは有益な機能を多く搭載していますから、もちろん慣れれば便利なのですが、操作方法をマスターするまでに時間を要するケースがあります。
間違えて操作してしまうと、きちんと記録を残せないこともあります。そのようなミスを防ぐため、事務員や看護婦、もちろんドクターも電子カルテの研修が必要です。新しいスタッフが入職した際にその都度研修を行うのが大変な場合は、操作性をサポートしてくれる電子カルテメーカーを選ぶといいでしょう。
停電時に利用できない
電子カルテは電子機器ですから、停電時、災害が発生した時などは利用できません。実際、東日本大震災のときには電子カルテが使用できなくなり、一時的に紙カルテ運用に切り替えるクリニックが多かったようです。
そのときの経験を踏まえ、一時的に紙カルテを使うための訓練をしている病院もあります。電子カルテメーカーも電子カルテのデータそのものが失われることがないよう、バックアップ体制をしっかり整えています。このポイントも、電子カルテメーカー選びで重要視してもいいでしょう。
セキュリティ対策が必要
紙カルテの時と同様ですが、電子カルテもセキュリティ対策が必要になります。ウイルスによる攻撃や、カルテをデータ化してUSBメモリなどを使い、大量のデータを外に持ち出すような内部不正にも注意しましょう。
特に内部不正はオンプレミス型の場合、大量のデータが病院内に蓄積されていますので、ログの管理やアクセスの制限などのセキュリティを厳重にしなければなりません。クラウド型の電子カルテの場合はデータを外部に保管するため、セキュリティレベルが高くなります。
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電子カルテにおける3つの種類
電子カルテは大きく次の3種類に分かれます。それぞれの特徴やメリット、デメリットについて確認してみましょう。
1.オンプレミス型電子カルテ
オンプレミス型電子カルテとはサーバーを院内に設置することで、データを管理するシステムです。
オンプレミス型の電子カルテの特徴として、すでに活用している医療機器や専門機器と連携しやすい点が挙げられます。また、自院でシステムを管理できるため、自由度が高い点もメリットの1つです。
一方、デメリットとしてコストの高さが挙げられます。すべてのシステムを院内で完結させるには大きな初期費用がかかるのはもちろんのこと、システムのアップデートや保守費用といったランニングコストも要します。
さらに、サーバーに故障や不具合が生じると重要なデータを消失する可能性もあり、緊急時のためのバックアップが不可欠です。
2.クラウド型電子カルテ
インターネットを通じてサービス提供者が運用するサーバーにデータを保管するのがクラウド型電子カルテです。
クラウド型の電子カルテはインターネット環境があれば端末を選ぶことなく利用できる点が大きなメリットといえます。また、オンプレミス型の電子カルテに比べて導入費用を抑えることができ、ランニングコストが安くなる傾向にあります。
ただし、サービス提供者のサーバーにデータを保管するため、細かなカスタマイズができないケースも少なくありません。また既存の医療機器や専門機器と連携できない場合もあることから、導入の際は事前に確認が必要です。
3.ハイブリッド型電子カルテ
ハイブリッド型電子カルテとは、クラウド型とオンプレミス型が融合した電子カルテです。
ハイブリッド型電子カルテは、クラウド型、オンプレミス型両方のシステムとリアルタイムで接続しているため、サーバーの状態に合わせて利用することができます。例えばオンプレミス型で利用している際に、トラブルが生じて正常に利用できなくなった場合は、クラウド型電子カルテへの切り替えが可能です。
クラウド型電子カルテに切り替えると院内サーバーの影響を受けないため、緊急時でも電子カルテを利用することができます。
ちなみに、ハイブリッド型電子カルテは、クラウド型とオンプレミス型を組み合わせるため費用が高くなる点がデメリットです。機能が充実しているのはハイブリッド型電子カルテですが、費用が高いため本当に自社に必要かを検討した上で導入しましょう。
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電子カルテシステムの比較
電子カルテシステムの比較は以下の通りです。
ハイブリッド型 |
オンプレミス型 |
クラウド型 |
|
サーバー |
院内と企業の併用 |
院内 |
企業サーバー |
端末 |
スペックを満たしていると自由 |
選べる場合もある |
スペックを満たしていると自由 |
利用場所 |
外部への持ち出しは別費用 |
院内 |
インターネットを利用できる場所ならどこでも利用できる |
セキュリティ面 |
インターネットへ接続するならアンチウイルスなどの対策が必要 |
インターネット接続がなければ対策不要 |
インターネットへ接続するならアンチウイルスなどの対策が必要 |
トラブル |
切り替えて対応 |
影響なし |
影響あり |
設置・操作指導 |
パッケージに含まれる |
パッケージに含まれる |
別料金 |
値段 |
月額定額 |
パッケージ価格 |
月額定額 |
連携 |
連携できるシステムは多い |
連携できるシステムは多い |
連携できるシステムは少ない |
リプレイス |
ハードだけ買い替えが必要 |
バージョンアップに合わせて買い替えが必要 |
ハードのみ定期的に買い替え |
速度 |
サーバーに依存 |
サーバーに依存 |
回線速度依存 |
クライアント数 |
クライアントによりアプリが必要 |
クライアントごとにソフトが必要 |
同時アクセスする端末数で設定 |
カスタマイズ |
自由はある |
自由度が高い |
ほとんどできない |
サポート |
訪問 電話 リポート FAX |
訪問 電話 リポート FAX |
オンライン |
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電子カルテに関してよくある質問
電子カルテに関してよくある質問は以下の通りです。
- 紙カルテから電子カルテへ移行するステップとは?
- 電子カルテへ移行する際の注意点とは?
- 電子保存の3原則とは?
電子カルテに対する疑問を解消できるように、それぞれ詳しく回答していきます。
1.紙カルテから電子カルテへ移行するステップとは?
紙カルテから電子カルテへ移行するステップは以下の通りです。
- 電子カルテシステムを選ぶ
- 電子カルテの操作方法を習得する
- 紙カルテと電子カルテを併用する
2.電子カルテへ移行する際の注意点とは?
電子カルテへ移行する際は、データの期限を区切るようにしましょう。
クリニックには膨大な量のカルテが存在します。すべてのカルテをいきなり移行すると、膨大な時間がかかるでしょう。
スムーズにカルテを移行できなければ、患者の診察にも影響を与えかねません。期限を区切ってデータを移行すると、患者の診察に影響が出にくいでしょう。
また、クリニック内で電子カルテの利用ルールを決めることも重要です。クリニックには、電子カルテの利用に慣れていないスタッフもいるはず。電源を入れるスタッフは誰か、どのような形式で申し送りをするかなどを決めておくとスタッフも安心して利用できます。
電子カルテを快適に利用できるように、事前にルールを決めましょう。
3.電子保存の3原則とは?
電子保存の3原則は以下の通りです。
- 保存性
- 見読性
- 真正性
患者の情報など、記録した情報を定められた期間確認できる状態にあることを保存性といいます。
スタッフなど正当な人が記録しており第三者がみても記録の責任所在がわかっていることが真正性です。また、記録の改ざんなども防がれている状態も意味します。
電子カルテなど、電子媒体に保存されたデータが必要に応じて閲覧できる状態が見読性です。
4.電子カルテの導入に補助金や助成金は使用可能?
電子カルテの導入には、補助金や助成金が使用できます。
電子カルテを利用するには導入費や運用費など、多くのコストが必要です。コストを考えて、なかなか導入に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。
現在厚生労働省は、電子カルテの導入をサポートしているため補助金や助成金が利用できます。電子カルテの導入を検討している方は、補助金や助成金を使用して負担を少なくしたうえで導入しましょう。
5.電子カルテの利用は場所を選ばない?
電子カルテは、場所を選ばずに利用できます。
ただし、すべての電子カルテが場所を問わず利用できるわけではありません。クリニック外でも電子カルテを利用したい場合は、クラウド型電子カルテを利用する必要があります。
クリニック外でも利用できるように設定された電子カルテであれば、訪問看護などでも利用可能です。クリニック内だけではなく、訪問看護などで利用したい方はクリニック外でも利用できるように設定しましょう。
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まとめ
紙カルテと電子カルテの違い、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介しました。電子カルテはコスト面などで課題があり、なかなか導入が進んできませんでしたが、クラウド型の進出や診療報酬の改定などにより、いまでは導入しやすくなってきました。
電子カルテには多くのメリットがあり、うまく活用することで業務を大きく効率化することができるでしょう。導入時には比較検討していくことが重要になります。電子カルテの導入でさらなる業務効率化を図っていきましょう。