【事例付き】SOAPとは? SOAPに沿ったカルテの書き方からSOAPを利用するメリットを解説!
現在、日本の多くの医療機関では看護記録の記入形式として「SOAP」が採用されています。
soapとは患者さんの問題にフォーカスした看護師の記録のことです。
本記事では、電子カルテにおいてSOAPを作成するメリットや作成するうえでのポイントについて解説していきます。また、soap記入も簡単に行うことができるCLINICSカルテの概要資料を以下に掲載しております。ぜひ、ダウンロードください。
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SOAPとは?SOAPの書き方とは?
SOAPとは、患者さんの問題にフォーカスした看護師の記録のことです。
それぞれ詳しく解説していきます。
主観的情報の「S」は主に患者さんが話したこと
S(subjective)は、患者さん本人が訴えていることにあたり、患者さん本人が訴えている内容から得た「主観的情報」です。「少し息が苦しい」「わき腹が痛む」「熱っぽい感じがする」など、患者さんの訴えや自覚症状がSにあたります。
看護の対象は患者の家族も含まれるので、患者さんの家族が話したこともSとして記録します。
例:「少し息苦しい感じ。痰を出そうとしても出ない」
客観的情報の「O」は看護師として看たそのままの情報
O(objective)は検査・診察・観察などから得られる情報で、「患者さんの訴えたS以外の客観的情報」です。
記録すべき情報は多岐にわたりますが、全ての情報を記載するのではなく、考えられる問題に関連する情報を取捨選択する必要があります。看護問題をある程度頭に描けた状態で書くとスムーズな記録ができるでしょう。
例:「バイタルサイン(血圧:122/64・脈拍:110 回/分・SpO2:94%、体温37.0℃)、チアノーゼなし。聴診にて右肺下葉に雑音あり。吸引で粘度が高い痰が多量に引けた」
アセスメントの「A」は思考過程をまとめ
A(assessment)は、SとOの内容から分析・考察した「経緯と評価」にあたります。S、Oから得られた情報に基づいて今後の看護についての方向性を考えるため、このアセスメントが看護師として最も大事になります。
A(assessment)は、日々の業務でも考えて仕事をすることが必要と言われている部分です。Aは基本的に主観が入ってはいけないため、問題点やテーマを明確にした上で適切な評価を行っていきます。
例:「痰の貯留によってSpO2低下し、息苦しさを生じているが、痰の粘度が高く自己排痰は困難。スムーズな排痰を促す必要あり」
計画の「P」は具体的な内容
P(plan)は、Aで決定した治療方針・看護計画の具体的な内容になります。看護師として自分が行うべき、具体的な内容を記載します。その内容は患者さんによってこまかく違ってきます。
S、Oに基づいたAをもとに、さらにPでAに基づくプランを立案することで、患者さんへの支援の根拠を明確にすることが可能となるのです。
例:「去痰薬の吸入、呼吸リハビリテーションの実施、体位ドレナージ」
SOAPの書き方・事例をご紹介
イメージが湧きやすいように事例を用意させていただきました。
SOAP形式による記入事例は以下になります。
▼肺炎患者さんのSOAP記入例
SOAP記録のメリット・デメリット
ここからは、SOAPのメリット、また医療現場で実践する際の注意点を見ていきましょう。
- SOAP記録のメリット:内容の整理が容易
- SOAP記録のデメリット:長期間のプランには適さない
それぞれ解説していきます。
SOAP記録のメリット:内容の整理が容易
慣れない看護師が情報を混同してしまうのは、カルテに書かれた根拠が曖昧であったり、情報が理解がしにくいからです。
SOAP記録の大きなメリットは、項目が4つにわけられているので情報を整理しやすいということにあります。記録の中に複数の問題点が混在すると、評価が曖昧になったり、プランの根拠が乏しくなったりしますが、SOAP記録の場合は問題点やテーマを明確にした上で適切な評価が行えるため、看護師それぞれが適切な対処ができるようになります。
SOAP記録のデメリット:長期間のプランには適さない
SOAP記録のデメリットは、基本的に生じたひとつの問題に対してのプランだからこそ、長期間のプランには適さないということです。加えて、急変時などの突発的なケースの場合もSOAP記録をとっている時間はなく、また問題点が多数あることが多いため、SOAP記録は使用できません。
上記の2点に共通するのが、治療の焦点を決めることが難しく、アセスメントが難しいという点です。つまり、短期的な問題解決であればSOAP記録は有効であり、また、長期の場合も看護実践の根拠が固まる場合はSOAP記録を使うのもそこまで難しくはないということです。
SOAPを作成するときのポイント3つ
ここからは、実際にSOAPを作成するときのポイント3つを紹介していきます。
- 対象者の基礎データの収集や分析をしっかりとおこなう
- 一貫性を持たせて書く
- 追加や修正は柔軟に
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 対象者の基礎データの収集や分析をしっかりとおこなう
SOAPでは、対象者である患者の経過を記録することが本来の目的です。そのため、SOAPを作るとき、対象者の基礎データは必要不可欠な情報になります。収集した基礎データをもとにどういった問題があるのかを分析し、さらにその問題を考察していくことで、より精度の高いSOAPとなるのです。
2. 一貫性を持たせて書く
SOAPはそれぞれ相互に関連している項目のため、独立させずに一貫性を持たせて作成しましょう。
- まずはS(主観的)およびO(客観的)の視点から情報を整理する
- その記録をもとにしてどのような問題点があるかを分析・評価(A)
- Aをもとに治療計画の立案(P)を実施
このとき、SとOに関係しないことは、AとOに書かないようにします。また、Aを行う上で判断材料が不足している場合は、更なるOを取得する為の検査をP(立案)し、そこから再度Aを行い、Pを決定していくプロセスをしていくことが基本です。
3. 追加や修正は柔軟に
容態の急変、治療計画とは異なる問題の発生など、医療現場ではさまざまなことが起こります。そのため、記述の追加や修正は柔軟におこないます。また、問題が解決した場合も、目標が達成されたものとして「問題点」を浮き彫りにし、それへの対応が的確に行われているか事後にチェックできるように残しましょう。
SOAP記録で問題に対する適切なアプローチを
SOAP記録は、医療の現場で発生する数多くの情報をわかりやすい4つの分類でカテゴライズすることで、問題に対する適切なアプローチが容易になる方法です。情報共有していくうえでも簡潔に問題点が書かれたSOAP記録は優れているといえるでしょう。
はじめはコツをつかんだり、書くべきこと・書くべきでないことを判断するのが難しいでしょう。しかし、SOAP記録は使い慣れればたくさんのメリットがあります。焦らずに基本的な書き方を身に着けることからはじめてみましょう。