電子カルテ義務化はいつから?導入のメリット・デメリットを解説
2024年現在、医療分野では電子処方箋やマイナンバーカードを健康保険証として活用するオンライン資格確認の導入といった医療DXが推し進められています。医療DXとは医療や介護における情報をデータ化し、良質な医療を受けられるような社会環境にすることです。
厚生労働省が進める医療DXの重要な施策として、電子カルテの導入が挙げられます。紙カルテのデジタル化は情報管理の効率を高め、診療のスピードや正確性を向上させるだけでなく、診療データの共有による医療機関間の連携強化にも寄与します。
では、電子カルテはいつから義務化されるのでしょうか。
本記事では、「電子カルテはいつから義務化されるのか」と「導入するメリット・デメリット」を中心に解説します。いつまでに準備すればよいのか、導入までのフローを知りたいときにお役立てください。
目次[非表示]
- 1.電子カルテ義務化はいつから施行される?
- 2.電子カルテを導入するデメリット
- 2.1.導入や運用のコスト
- 2.2.研修やマニュアル整備の必要性
- 2.3.サイバー攻撃などのリスク
- 3.電子カルテを導入するステップ
- 4.まとめ
電子カルテ義務化はいつから施行される?
2024年10月時点では、電子カルテ導入の義務化について明言されていないため、いつから施行されるかは不明です。
しかし、政府は電子カルテの導入を促進する施策を進めているため、近い将来に義務化されることが予想されます。
電子カルテの現状
厚生労働省の「第1回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ資料」によると、一般病院の電子カルテ導入率は2020年時点で57.2%、一般診療所で49.9%です。200床未満の医療機関は48.4%で、400床以上の91.2%と比べると導入率が低いことが分かります。
出典:厚生労働省
電子カルテの導入や運用に費用がかかることが、導入率の低さの一因と考えられます。そのため、電子カルテ導入に利用できる補助金制度も用意されています。電子カルテ導入に利用できる主な補助金制度は、以下のとおりです(2024年時点)。
- 医療提供体制設備整備交付金
- 病院診療情報デジタル推進事業
- IT導入補助金
電子カルテの今後
厚生労働省が2024年9月30日に公表した資料「電子カルテ情報共有サービスについて」によると、2025年4月から電子カルテ情報共有サービスの運用開始が予定されています。
電子カルテ情報共有サービスが運用されると、医療機関や薬局で患者情報を共有できるようになるため、日常診療はもちろん、救急時にも安全で効率的な医療を提供できるようになると期待されています。
また、電子カルテの導入を推進する医療DX推進本部は、「遅くとも2030年には、ほぼすべての医療機関で電子カルテの導入を目指す」と発表しました。そのため、今後、すべての医療機関に電子カルテが導入されるよう、さまざまな施策が講じられると考えられます。
電子カルテを導入するメリット
電子カルテを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 業務の効率化が図れる
- ミスを防止できる
- 保管スペースを削減できる
業務の効率化
電子カルテを導入すると、従来の紙カルテと比べて業務を効率化できます。紙カルテの場合、必要な情報を探すのに時間がかかり、受付業務に人員や時間を割かなければなりません。一方、電子カルテであれば、検索機能を使って必要な情報をすぐに呼び出すことができます。
また、紹介状や診断書などの書類作成もテンプレートを使用することで、一から手書きする手間がなくなります。業務を効率化することで患者の待ち時間を削減でき、クレームなどのトラブルを未然に防げる可能性があるでしょう。
ミスの防止
医療ミスを防止できる点も、電子カルテ導入のメリットです。電子カルテは手書き文字の読み間違いや転記ミスなどを防止できるため、医療事故や請求漏れのリスクを減らすことができるでしょう。
また、アレルギーなどの重要な患者情報は電子カルテ上で強調表示されるため、見落としを防ぐことができます。
保管スペースの削減
紙カルテの場合、医師法で定められた5年間の保存期間中は、カルテを保管しておく必要があります。そのため、患者数に応じて保管スペースを確保しなければなりません。
電子カルテであれば、保管スペースは不要です。電子カルテは、データとしてサーバーに保管されるため、紙カルテのような保管スペースは不要です。
電子カルテを導入するデメリット
電子カルテを導入すると、業務の効率化やミスの防止など、さまざまなメリットがあります。一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。
- 導入や運用のコストがかかる
- 研修やマニュアル整備が必要になる
- サイバー攻撃などのリスクがある
導入や運用のコスト
電子カルテを導入するデメリットの一つとして、導入や運用にコストがかかることが挙げられます。紙カルテの場合は、カルテ用紙やファイルを揃えるだけで済みますが、電子カルテの場合は、システムの導入費用や維持費用などがかかります。
場合によってはシステムの初期費用や毎月の利用料、パソコンなどの機器、ネットワーク環境の整備など、導入・運用にかかるコストが、紙カルテよりも高額になる可能性があるでしょう。
研修やマニュアル整備の必要性
電子カルテを導入する場合、スタッフへの研修やマニュアル整備が必要になります。特に、紙カルテから電子カルテに移行する場合は、操作方法や運用方法の変更など、スタッフが新しいシステムに慣れるまで時間と労力を要する可能性があります。
スタッフ全員がパソコンなどの電子機器に精通しているとは限らないため、操作ミスによるトラブルを防止するためにも研修やマニュアル整備は重要です。
サイバー攻撃などのリスク
電子カルテに入力された情報はサーバーに保管されます。近年、サイバー攻撃が増加しており、システム障害や情報漏洩のリスクが高まっています。
また、システムダウンや停電によって使用できなくなる可能性もあるため、トラブルに備えて緊急時の対応についても検討しておく必要があるでしょう
電子カルテを導入するステップ
電子カルテを導入する場合、どのような流れで運用開始まで進めていけばよいのでしょうか。ここでは、電子カルテを導入する一般的なステップを解説します。
- 電子カルテシステムを選ぶ
- 発注して打ち合わせを行う
- 電子カルテをセッティングする
- スタッフに向けた説明会・研修会を実施する
- 試験運用する
- 運用開始する
まずは自院に合った電子カルテを選定します。電子カルテメーカーの種類はこちらで紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
電子カルテシステムが決まったら、メーカーの担当者と導入に関する打ち合わせを行いましょう。自院の要望や運用方法などを具体的に伝え、必要な設定やカスタマイズについて相談します。導入が決定したら、電子カルテと周辺機器の設置、ネットワークの設定などを行います。メーカーによって導入サポートの内容が異なるため、事前に確認しておきましょう。
導入作業後、、スタッフ向けの説明会や研修会を実施します。その後、1~2週間程度の試験運用期間を設け、操作方法の習熟やシステムの動作確認を行いましょう。試験運用で発生した問題点を解決し、最終的な調整を行った後、電子カルテの本格運用を開始します。
まとめ
2024年10月現在、電子カルテの導入は義務化されていません。しかし、政府は2030年を目標に、すべての医療機関への電子カルテ導入を目指すと発表しています。そのため、将来的に義務化される可能性も考えられます。
電子カルテを導入するデメリットとしては、導入・運用コストがかかること、スタッフへの研修が必要になることなどが挙げられます。一方、メリットとしては、カルテの保管場所が不要になる、業務を効率化できる、医療ミスを防止できるといった点が挙げられます。
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