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クリニック開業で失敗しない事業計画書の作り方|スムーズに進める秘訣とは?

クリニック開業で失敗しない事業計画書の作り方|スムーズに進める秘訣とは?

執筆監修者:CLINICS事務局

事業・資金計画

クリニック開業を検討するとき、多くの方が最初に直面するのが「事業計画書をどう作るか」という課題です。融資を受けるための必須書類という側面はもちろんですが、それ以上に、自身の理想とする医療をいかに現実的な数字に落とし込むかという、経営の土台を作る極めて重要な作業といえます。しかし、いざ作成に取りかかろうとしても「何から手をつければいいのか」「この数字で本当に大丈夫か」と手が止まってしまう方も少なくないでしょう。特に2026年現在は、令和8年度診療報酬改定による医療DX関連加算の再編や人件費の高騰など、計画に盛り込むべき項目も複雑さを増しています。本記事では、事業計画書の作成をスムーズに進め、開業後の経営を安定させるために欠かせない「3つのポイント」を中心に、具体的な作り方の手順などをわかりやすく解説します。

1. なぜクリニック開業に事業計画書が必要なのか

クリニック開業に事業計画書が必要な理由は、融資のためだけではありません。2026年現在の経営環境においては、計画書の有無やその精度が、開業後の安定性に直結するといっても過言ではないでしょう。主な理由を3つの視点から説明します。

1. 融資審査を通過するための「返済能力」の証明

物価高や金利動向の影響もあり、金融機関の審査はより慎重になっています。自身のクリニックがどの程度の収益を上げ、どのように返済していくのかを客観的な数字で示すことは、開業資金を確保する上で欠かせないプロセスです。

2. 2026年の医療情勢に即した「経営戦略」の言語化

令和8年度の診療報酬改定では、医療DXに関連する加算の評価体系が大きく再編されました。これらへの対応を単なるコストとしてではなく、経営戦略としてどう位置づけるかを言語化することで、目指すべきクリニックの姿が具体的になっていきます。

3. 開業後の実績を評価し、軌道修正を行うための「経営指標(KPI)」

作成した計画書は、開業後の実績と比較するための基準となります。想定した患者さんの数や診療単価と実績が乖離した際、速やかに原因を分析し、戦略を修正するための羅針盤として機能するのです。

2. クリニックの事業計画書に盛り込むべき項目

クリニックの事業計画書に決まったフォーマットはありませんが、金融機関や審査機関が特に注目するのは、次の4つの項目です。

1. 創業動機・コンセプト

なぜこの地で開業し、どのような医療を提供するのかを言語化します。2026年現在は、地域における「かかりつけ医機能」の担い手としての役割や、患者さんにとっての利便性をいかに高めるかという視点も、より重視される傾向にあります。

2. 診療内容・ターゲット層

最新の診療圏調査に基づき、周辺住民の疾患傾向や競合との差別化要因を明確にします。客観的なデータを根拠に持つことが、計画の信頼性につながります。

3. 設備・資金計画

電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応など、医療DX関連のシステム費用を漏れなく計上することが不可欠です。令和8年度の診療報酬改定で評価体系が再編されたこともあり、どの加算を取得しどの程度のシステム費用が発生するか、セットで試算しておくことをお勧めします。

4. 収支計画

1日あたりの想定患者数と診療単価から、無理のない返済シミュレーションを導き出します。これら4項目を網羅することで、計画の具体性と信頼性が高まります。

3. 事業計画書を作る際の「3つのポイント」

事業計画書は、項目を埋めれば完成するものではありません。ひとつひとつの数字に、根拠と裏付けがあってこそ、開業後の経営判断にも活きてきます。今の時代の経営環境を踏まえ、特に意識しておきたい3つのポイントをわかりやすく解説します。

ポイント1:医療DXと連動した現実的な収支予測

令和8年度の診療報酬改定では、医療DXに関連する加算の評価体系が大きく見直されました(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」)。評価の軸が「体制の整備」から「実際の活用実績」へとシフトしており、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの活用状況によって算定できる加算の区分が変わる仕組みになっています。単に患者さんの数を予測するだけでなく、どの加算を取得でき、それに見合うシステムの保守・運用コストがどの程度発生するのかをセットでシミュレーションすることが、実態に近い数字を導き出すことにつながります。開業を機にシステムを整備する場合は、初期費用だけでなく月次のランニングコストまで計上しておきましょう。

ポイント2:現在の労働市場を反映した人件費設定

働き方改革の浸透や人手不足の影響により、2026年現在はスタッフの採用・維持コストが上昇傾向にあります。看護師や医療事務スタッフの給与相場は地域によって差があるため、過去の平均的なデータだけに頼らず、開業予定地周辺の実際の求人情報も参考にしながら試算することが大切です。余裕を持った固定費の見積もりは、開業後の安定した経営を支える土台となります。採用がうまくいかなかった場合の人材紹介費用なども、あらかじめ想定に入れておくと安心です。

ポイント3:専門家の知見と客観的なデータの融合

独力ですべてを抱え込まず、クラウド診療支援システムが持つ統計データや、専門コンサルタントのノウハウを柔軟に活用することをお勧めします。客観的な裏付けのある数字を積み上げることは、自分自身の迷いを消すだけでなく、金融機関に対する説得力にもなります。ただし、事業計画書をコンサルタントに丸投げすることは避けましょう。融資の審査面談では、計画の内容について直接質問を受けることがあります。数字の根拠や考え方を自分自身の言葉で説明できてこそ、計画書は本来の力を発揮します。

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4. よくある質問:クリニック開業の事業計画書について

事業計画書を作成するにあたり、思わず確認したくなる疑問は多いもの。今回は、いくつかピックアップして詳しくお答えします。

Q. 事業計画書はコンサルタントに依頼してもよいですか?

専門家のサポートを受けること自体はまったく問題ありません。ただし、内容の把握や数字の根拠は、ご自身でも必ず理解しておく必要があります。金融機関との面談では「なぜこの患者数を想定したのか」「人件費の根拠は何か」といった質問が実際に出ます。計画書の内容を自分の言葉で説明できることが、融資審査の通過につながります。

Q. 収支計画の数字はどうやって積み上げればよいですか?

基本的な計算式は「平均診療単価×1日あたりの想定患者数×診療日数」です。ただし、収入は想定より下振れするリスクがある一方、支出は概ね見積もり通りになることが多いため、収入は保守的に、支出は余裕を持って見積もることが鉄則です。競合クリニックの状況や地域の人口動態をもとにした診療圏調査の結果も、数字の根拠として必ず盛り込みましょう。

Q. 事業計画書の作成には、どれくらい時間をかけるべきですか?

クリニックの開業準備期間は一般的に1年から1年半、物件探しが難航する場合はそれ以上かかることもあります。事業計画書はその初期段階で着手するものですが、「とにかく早く完成させる」より、「診療圏調査の結果が出た」「物件の目処がついた」といった節目ごとに更新・精度を上げていく姿勢が、現実に即した計画書につながります。コンサルタントや税理士に見せてフィードバックをもらいながら、数回にわたって磨いていくことをお勧めします。

5. まとめ

事業計画書の作成は、単なる開業準備の一環ではなく、理想のクリニックを現実へと変えるための最も重要なプロセスです。激動の時代だからこそ、「3つのポイント」を軸に、自身のビジョンと最新の情勢をきちんと数字に落とし込んでみてください。納得のいく計画書を書き上げることは、自信を持って開業の日を迎えるための、確かな一歩となるはずです。

【参考資料】
令和8年度診療報酬改定について/厚生労働省
※本記事の内容は2026年5月時点の情報に基づいています。実際の開業にあたっては、各自治体の保健所や厚生局、および税理士等の専門家へ最新情報をご確認ください。

執筆監修者

CLINICS事務局

株式会社メドレー

医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。

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