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クリニック経営について徹底解説|失敗する原因や成功させるためのポイントについてご紹介

クリニック経営について徹底解説|失敗する原因や成功させるためのポイントについてご紹介

執筆監修者:CLINICS事務局

事業・資金計画

クリニックの経営には、診療だけでなく集患やスタッフ管理、設備投資など、多角的な視点が求められます。勤務医としての経験だけでは対応しきれない業務も多く、開業後に戸惑う場面も少なくありません。この記事では、クリニックの経営がうまくいかない原因や、黒字化に導くための具体的なポイントを紹介します。すでに開業している方にも役立つ実践的な内容ですので、ぜひご活用ください。

クリニック経営に必要な主な業務

クリニック経営に必要な主な業務は、一般的な経営と同様に、ヒト・モノ・カネの3種類で考えることができます。ヒトはスタッフの採用や教育、モノは医療機器やシステムの購入の管理、カネは銀行からの融資や売上に関わる集患などを指します。これらの業務を理解・把握した上で、後述するクリニック経営を失敗してしまう主な5つの原因を避けることで、安定したクリニック経営を実現することができるでしょう。

クリニック経営を失敗してしまう主な5つの原因

クリニック経営を失敗してしまう主な原因は以下の通りです。それぞれ詳しく解説します。

1.経営戦略が乏しい

クリニック経営がうまくいかない背景には、経営戦略の甘さや準備不足が大きく関係します。開業前に自院の理念や、競合との差別化ポイントを明確にしていないと、診療方針に一貫性がなくなり、地域から信頼を得るのが難しくなります。また、資金計画が甘いまま開業を迎えると、収益が安定するまでの期間を乗り切れず、経営に大きな支障をきたす可能性も否定できません。
院長は日々の診療と並行して経営判断を求められるため、多忙な立場にありますが、戦略の策定や見直しは、クリニックを安定して運営していくために重要です。

2.設備やシステムに過剰な投資をしている

患者数に見合わない高価な医療機器や多機能なシステムを導入すると、費用対効果が得られにくく、経営を圧迫する要因になります。特に、維持費や管理費といったランニングコストがかさむ場合は、収益が追いつかず、資金繰りの悪化を招く恐れがあります。また、設備への過剰な資金投入は、広報や業務改善といったクリニック運営に欠かせない他の分野への投資を圧迫し、経営の柔軟性を損なう要因にもなります。経営規模や地域ニーズをふまえたうえで、リースや中古設備の活用を含めた現実的な設備計画を立てることが重要です。

3.患者を上手く集患できない

当たり前のことですが、上手く集患できないと、クリニック経営は失敗してしまいやすくなります。患者数はクリニックの売上に直結します。売上を上げるには、クリニックの認知を広めて多くの患者に来院してもらわなければいけません。地域に競合のクリニックが多いと患者から選ばれることが比較的難しくなります。上手く集患するために、競合が少ない地域を選び効果的な宣伝を打ちましょう。

4.患者の再診率が高くない

経営が失敗するクリニックは、患者の再診率が高くない傾向にあります。患者の再診率を高めるには、ニーズに適した診療を提供しなくてはいけません。患者と誠実に向き合っているつもりでも、診察時間が短かったり待ち時間が長かったりすると満足度低下につながります。「滞在時間を短くしたい」など患者のニーズを把握した上で、質の高い診療を提供しましょう。

5.スタッフの離職率が高い

看護師や事務など、スタッフの離職率が高いと、クリニック経営はうまくいきません。スタッフがすぐにやめてしまうと、業務が回らなくなります。また、採用に必要なリソースを確保しなければいけません。離職率を下げるには、スタッフがクリニックを退職してしまう原因を把握することが重要です。スタッフがクリニックを退職してしまう原因を把握するためには、1on1と呼ばれるような、スタッフ1名1名と面談の時間を月に1回は作ることが有効です。話し合う時間を作ることで、「残業時間が長い」「スタッフ間の関係性が悪化している」など、クリニックによってさまざまな課題が見つかるでしょう。スタッフが退職してしまう原因を解決して、スタッフが快適に働ける環境を作ることが大切です。

クリニック経営を成功させるために重要な考え方や姿勢

具体的な経営改善に取り組む前に、まずはクリニック経営において大切な考え方や基本姿勢を整理しておきましょう。日々の判断や施策の土台となる視点を持つことが、安定した経営の基礎となります。

1.クリニックの経営理念を明確にする

クリニック経営を成功させるには、経営理念を具体的に策定しましょう。経営理念を策定する際は「どんな思いで開業したのか」「クリニックが目指す目標」など、さまざまな院長の思いを元に作成することがおすすめです。経営理念は院長がクリニックを運営する使命や目的、信念であり、院長が経営理念を確実に把握しスタッフにも共有する必要があります。経営理念はクリニックで働くスタッフの行動指針でもあります。経営理念を院長からスタッフまで共有できていると、業務で壁にぶつかった時も同じ意識で対応できるでしょう。患者の満足度を向上させ、理想のクリニックを目指すためにも経営理念は時間をかけて策定してください。

2.経営方針を定め、他院と差別化を図る

クリニックの経営理念を策定した上で、次は、患者に対して、自院の独自の方向性を明確にしましょう。患者を獲得するには、他のクリニックにはない魅力を作り差別化する必要があります。例えば、「特定の疾患に専門的な治療を提供するクリニック」「待ち時間が短いクリニック」「地域で最も接遇が良いクリニック」など、さまざまなポイントで差別化できるでしょう。独自の方向性を実現するために、Web予約システムやWeb問診システム、電子カルテを導入することも検討すると良いでしょう。患者のニーズに沿ったポイントで、独自の方向性を示せると競合に負けないクリニックになります。

3.患者ファーストを心がける

患者ファーストの行動が、クリニック経営を成功に導きます。クリニック経営は、患者がいなければ成り立ちません。丁寧な声かけやあいさつなど、患者を喜ばせる行動は何かを考える必要があります。常に相手の目線に立ち、患者ファーストで行動すると満足度向上につながり継続的に来院してもらえるでしょう。

クリニック経営を安定させる具体的な方法

ここからは、クリニック経営を安定させる以下の6つの方法を詳しく解説します。

  • 集患施策を充実させる
  • 積極的に情報を発信する
  • 院内業務の効率化を図る
  • コストと設備投資を健全に管理する
  • スタッフが働きやすい環境を作る
  • 地域連携を拡充させる

それぞれの内容を参考にしながら、自院に取り入れられる方法を探してみてください。

集患施策を充実させる

クリニック経営を安定させるには、新規患者を継続的に取り込むための集患施策が欠かせません。特に、開業直後や競合の多い地域では計画的な対策が重要です。例えば、Googleビジネスプロフィールの整備や口コミへの対応、看板の設置などが挙げられます。また、専門性や待ち時間の短さ、接遇の良さなど、自院の強みをわかりやすく伝える工夫も求められます。さらに、立地の特性に応じた動線設計や近隣住民との接点づくりも、集患に有効です。複数の方法を組み合わせながら、自院に合った施策で新規患者の獲得を目指しましょう。

積極的に情報を発信する

クリニックの認知度や信頼性を高めるためにも、定期的に情報を発信しましょう。
患者は、来院前にスマートフォンやパソコンでクリニックを検索し、診療内容や雰囲気を確認するのが一般的です。そのため、インターネットやSNSを活用し、定期的に自院の取り組みや診療方針を発信する必要があるのです。例えば、公式ホームページで診療時間や対応疾患、医師の紹介などを明記するほか、院内掲示板やお知らせを活用するのも有効です。
こまめな情報発信を心がけることで、地域におけるクリニックの信頼性が高まり、患者に選ばれやすくなるでしょう。

院内業務の効率化を図る

クリニックの経営を安定させるには、院内業務の効率化が欠かせません。システムを導入・連携させることで、医師やスタッフの業務負担が軽減されるだけでなく、患者の受診時のストレスも軽減でき、患者満足度の向上につながります。例えば、電子カルテやWeb予約、Web問診システム、自動精算機などのITの活用が効果的です。これにより、診療や会計を効率的に行えるようになり、院内業務全体の円滑化が期待できます。また、予約から診察、精算、処方までの導線や作業フローを見直すことで、業務の無駄を削減し、生産性の向上を図ることも可能です。これらの取り組みを進めれば、長期的な経営の安定化を実現できるでしょう。

コストと設備投資を健全に管理する

経営を黒字化するには、人件費や医療機器・システムの導入・維持費、広告費など、日々の支出を意識することが大切です。これらのコストが経営に見合う効果を発揮しているかどうかを、定期的に見直しましょう。特に、設備投資は高額になりやすいため、慎重な判断が求められます。開業初期は、医療機器やITシステムを一度に揃えるのではなく、必要な機能や規模に応じて段階的に導入することで、過剰投資を防げます。中古機器やリースの活用も選択肢の1つです。また、国や自治体の補助金・助成金制度を活用すれば、初期費用の負担を軽減できます。

スタッフが働きやすい環境を作る

看護師などスタッフが働きやすい環境づくりは、クリニック経営の安定に欠かせません。職場への満足度が高ければ業務効率が向上し、患者への対応の質も自然に向上します。さらに、離職率の低下にもつながり、経験豊富なスタッフを長期間に確保しやすくなります。具体的な取り組みとしては、休暇制度の整備や業務フローの見直しなどが挙げられます。定期的な面談を通じてスタッフとのコミュニケーションを充実させれば職場の一体感が生まれ、結果として患者満足度の向上にもつながっていくでしょう。

地域連携を拡充させる

クリニックの役割を果たしつつ、安定した経営を目指すには、地域の医療・介護機関との連携が重要です。入院対応が可能な病院や、患者が入所している介護施設、情報共有がしやすい薬局など、関係機関との連携体制を構築することで、患者にとって、より適切な治療を提供できるようになります。すべての診療やサポートを1つのクリニックで完結させるのは現実的ではありません。地域のなかで自院が担うべき役割を明確にし、地域の他機関と協力し合える関係性を築く姿勢が求められます。

クリニックの経営でよくある5つの質問

クリニックの経営でよくある質問は、以下の通りです。疑問を解消できるように、それぞれ詳しく紹介します。

質問①クリニックの経営の悩みは誰に相談する?

クリニック経営を成功させるためには、コンサルタントへの相談もおすすめです。
初めてクリニックを開業する場合、医療の知識はあっても経営に関する知識を持ち合わせている方は少ないでしょう。クリニックを経営するにあたって、何から手をつけていいかわからない方も多いはずです。経営に不安がある方は、コンサルタントへの相談がおすすめです。コンサルタントは物件の選定や問題が起きた時の対応など、クリニック経営に関するサポートを提供しています。経営に関するプロの意見を参考にしてクリニックを経営できるため、失敗のリスクを下げられるでしょう。初回無料相談を掲げているコンサルタント会社もあるため、不安を感じている方は一度相談してみましょう。

質問②クリニックの経営に「理念」が必要な理由とは?

院長とスタッフの認識を統一するために、クリニックの経営理念が必要です。クリニックに経営理念がないと、スタッフが患者にどのように対応すればいいのかわからなくなったり、様々な意思決定について院長とスタッフの間で齟齬が起きる可能性が高まります。経営理念が定まっていれば、トラブルに直面したとしてもスタッフが理念に沿って適切に対応できる可能性が高まるなどの効果があるはずです。院長とスタッフ間の認識を統一させるために、経営理念は時間をかけて定めましょう。

質問③医療法人化に踏み切るタイミングとは?

医療法人化に踏み切るタイミングは以下の5つが挙げられます。

1)年間の所得が1,800万円を超える

個人事業主としての年間所得が1,800万円を超えた場合、累進課税により税率が40%に上昇します。しかし、医療法人の法人税率は15%〜23.2%であるため、節税を目的とし、医療法人化を検討する一つのタイミングです。

2)社会保険診療報酬が5,000万円以上(または自由診療報酬も含めた報酬が7,000万円以上)

年間の社会保険診療報酬が5,000万円以上または、自由診療報酬を含めた報酬が7,000万円以上になった場合、医療法人化を考えるべきタイミングです。社会保険診療報酬が5,000万円以上になると概算経費が使えなくなり、税金額が大幅に増える可能性があるためです。

3)複数医院の事業拡大を検討している

複数医院の展開を考えている場合、医療法人化を検討する必要があります。なぜなら、 個人クリニックでは、開設者と管理者が基本的に同一人物である必要がありますが、管理者は同時に2つ以上の施設を管理することができないためです。

4)事業継承を検討している

事業の継承を考えている場合も、医療法人化が適している場合があります。医療法人化することで、相続税の問題を避けつつ、事業の継承を有利に進められます。

5)医療機器の償却期間が終わる開業7年目

医療機器の償却期間は開業から6年目までであり、7年目以降は減価償却費がなくなります。このタイミングで経費が減少し、利益が増加するため、医療法人化がおすすめです。

質問④クリニック開業のおおまかな流れとは?

クリニックを開業する際は、まず事業計画の策定が重要です。クリニックの経営理念などを詳しく決めたあと、クリニックの立地を選ばなければなりません。クリニックの立地は集患において必要不可欠な要素であるため、慎重に選ぶ必要があります。クリニックの立地が決まったあとは、金融機関からの資金調達です。資金を調達できた場合は、クリニックの内装や必要な医療機器を導入しましょう。クリニックの施設が整った段階で、スタッフの採用や集患に移ります。以上が、クリニック開業の大まかな流れです。なお、開業までの詳しいスケジュールについては、以下の記事をご参照ください。

質問⑤クリニック経営者の平均年収は?

2023年に厚生労働省が発表した「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」によると、クリニック経営者の平均年収(損益差額)は、約2,227.8万円とされています。これはあくまで平均値であり、診療科や規模、地域によって実際の金額は異なります。とはいえ、経営の工夫次第では、開業により勤務医以上の収入を目指すことが可能です。クリニック経営者の平均年収や勤務医との比較については、以下の記事をお読みください。

まとめ

ここまで、クリニック経営に失敗してしまう5つの原因やクリニック経営を成功させるためのポイントを紹介しました。クリニック経営を成功させるには、コンサルタントへの相談や地域とのつながりが必要不可欠です。自分のクリニックだけではうまくいかないことも多いため、周りの病院や介護施設、行政とも協力してクリニック運営を成功させましょう。

執筆監修者

CLINICS事務局

株式会社メドレー

医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。

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