診療報酬改定2024のポイントを整理!スケジュールや準備事項も解説します
2024年に診療報酬改定が行われます。今回は、医師の働き方改革や医療DXの推進、医療計画など各項目での議論が進んでおり、注目ポイントが目白押しです。
本記事では、2024年の診療報酬改定に関するポイントやスケジュール、準備事項について解説していきます。診療報酬改定について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、医療DX推進にともない注目されているクラウド型カルテですが、弊社でもクラウド型カルテのサービスを展開しております。以下よりクラウド型カルテCLINICSカルテの概要資料をダウンロード可能ですので、ぜひご活用ください。
目次[非表示]
- 1.診療報酬改定とは
- 2.過去の診療報酬改定での変更点
- 3.診療報酬改定の確認方法
- 4.2024年の診療報酬改定のスケジュール
- 4.1.薬価は従来通り2024年4月施行
- 4.2.薬価以外は2024年6月施行
- 5.2024年の診療報酬改定のポイント
- 6.2024年の診療報酬改定を見据えた準備
- 6.1.オンライン診療への対応
- 6.2.働き方改革への対応
- 7.まとめ
診療報酬改定とは
診療報酬改定とは、医療行為に対する点数の見直しを指します。具体的には、医師の代表や健康保険組合の代表、そして公益委員と呼ばれる学者を交えた中央社会保険医療協議会(中医協)で、次の改定に対する意見を取りまとめます。
取りまとめた意見は厚生労働大臣に答申し、内閣で改定率が決定され、次の診療報酬の内容が確定するまでが一連の流れです。
通常、2年ごとに改定され、次回は2024年に予定されています。診療報酬改定は、医療提供者が適切な医療を提供するために必要な環境を整える重要な取り組みであり、医療制度全体の質の向上に寄与します。
出典:厚生労働省「診療報酬改定について」
過去の診療報酬改定での変更点
前回の2022年度の診療報酬改定では、オンライン診療に関する内容が大きなトピックといえます。
- 基本診療料の変更
- 情報通信機器を用いた場合の初診・再診料の算定要件の変更
- 医学管理等の評価の見直し
現行のオンライン診療料を廃止し、情報通信機器を用いた初診および再診に係る評価が新設されました。また、情報通信機器を用いて行った医学管理料については、対面診療の約87%での算定が可能となり、点数が上がっています。
これらの変更点は、医療提供の効率性を向上させるとともに、オンライン診療の導入を促進するための措置として行われました。
過去の診療報酬改定においてポイントになっているDXについて、以下の記事で詳しく解説しています。中長期的な影響をもたらす内容のため、ぜひご覧ください。
診療報酬改定の確認方法
診療報酬改定の確認方法は、中央社会保険医療協議会(中医協)のホームページを活用するのがもっとも正確です。
改定に関する重要な情報や決定事項は、中央社会保険医療協議会の公式ホームページに随時更新され、公開されます。従来の傾向として年末から年始にかけて大きな動きが出るため、定期的にチェックすると、概要の把握がスムーズにできるでしょう。
出典:厚生労働省「中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)」
2024年の診療報酬改定のスケジュール
2024年の診療報酬改定は、薬価と薬価以外で診療報酬改定のスケジュールが異なっているため注意してください。
- 薬価は従来通り2024年4月施行
- 薬価以外は2024年6月施行
薬価は従来通り2024年4月施行
2024年の診療報酬改定におけるスケジュールについて、薬価は従来通り2024年4月に施行される見通しです。薬価以外と同じスケジュールにならなかった理由は複数あります。
まず、医療現場において、薬価は改定後半年程度の価格交渉期間が必要です。また、毎年薬価調査を実施し、翌年度の薬価改定に備えるサイクルが前提とされており、4月に施行しなければ薬価制度の根幹を揺るがす恐れがあります。
さらに、薬価収載のタイミングが数か月に1回あり、4月改定を動かしてしまうと全体のバランスが崩れてしまい、調整に負担が生じると懸念されたためです。
最後に、薬価のシステム改修自体は4月施行でも十分に対応可能な点から、薬価の改定は2024年4月に施行される見通しです。
薬価以外は2024年6月施行
2024年の診療報酬改定は、診療報酬改定DXの推進に向けた取り組みの一環として行われます。医療機関や薬局、システムベンダーなどの業務負荷の分散を目的に、薬価以外は2024年6月に施行予定です。
以下の画像は、6月に施行した場合に想定されているスケジュールのため、おおよその動きの参考としてご覧ください。
引用:厚生労働省「医療DXについて(P.13)」
2024年の診療報酬改定のポイント
ここからは、現在、中央社会保険医療協議会(中医協)で議論されている診療報酬改定の内容から、主なポイントを下記の項目に分けて詳しく解説します。
- 医師の働き方改革への対応
- 医療DXの推進
- 医療計画
- 外来
- 入院
- 在宅
- 感染症
- 歯科
- 調剤
医師の働き方改革への対応
2024年の診療報酬改定では、医師の働き方改革への対応がポイントです。従来から課題となっている医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置の整備が含まれます。
医療法の改定が令和6年4月1日に向け段階的に施行される見込みであり、医師の働き方が改善され、より健康的な労働環境が期待されます。新たな制度の導入により、医療機関や医師個人が効率的に運営できるようになれば、医療サービスの質の向上にも寄与するでしょう。
医療DXの推進
改定のスケジュールが先送りになった根幹の部分です。具体的にみてみると、今後ますます重要性を増す電子処方箋の普及が、2024年度中の目標とされています。医療の効率性向上や、患者への迅速な対応が可能となるでしょう。並行して、電子カルテ情報共有サービスの構築と共有する情報範囲の拡大も計画されています。電子カルテは医療機関の基幹システムのため、動向については注視しておく必要があります。
また、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療などに係るマイナンバーカードを活用した情報連携も実現予定です。新型コロナウイルスをきっかけに、次なる感染症危機にも迅速かつ的確に対応するための基盤が整備される見込みです。
医療DXについては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
医療計画
医療計画では、従来通り以下の内容の見直しが予定されています。
- 救急
- 災害
- へき地
- 周産期
- 小児
特に救急医療については、想定と実態に乖離がみられるため、焦点があたるでしょう。災害時やへき地での医療においても、より効率的な対応を踏まえた改定が盛り込まれる可能性があります。
また、周産期や小児医療については、最新の知見や技術を反映させ、適切な報酬体系を構築していく方針となっています。
外来
外来では、以下の内容が改定の軸として議論が進んでいます。
- かかりつけ医機能・医療機関連携
- 生活習慣病対策
- 外来機能の分化の推進
- オンライン診療
特筆すべきは、オンライン診療の評価です。新型コロナウイルスの対策として特例措置や診療報酬の点数アップなどが盛り込まれてきましたが、適切な評価をするフェーズに入ってきました。オンライン診療の適切な普及が期待されており、どのような改定がされるのか引き続き注目する必要があります。
入院
入院医療についても従来の枠組みどおり、急性期、慢性期、回復期の3つの観点で議論が進められている段階です。特に急性期においては、新型コロナウイルスの影響により病床数が過剰になっている懸念があります。具体的な対応方法についてどのように整理するのか検討が続いています。
また、高齢者の救急搬送については、たらい回しのニュースもあり、施設間の連携や効率的な対応が協議されています。
在宅
在宅医療に関しては、訪問診療や往診の適切な評価が焦点となっています。また、ICTの活用やデータ連携によって、在宅医療の質と効率を向上させる取り組みが模索されている段階です。
加えて、薬剤師、栄養士、リハビリなどの専門職が在宅での医療に参画した場合の報酬体系が議論されています。
感染症
感染症については、以下3点を軸に議論が進んでいます。
- 新興感染症発生・まん延時における医療
- 新興感染症以外の感染症に対する医療
- 薬剤耐性対策
新興感染症の発生やまん延した際の医療体制や、報酬のあり方が議論されています。また、従来からの感染症対策として、医療機関同士の連携強化も議論が進んでいます。
具体的には、以下のような論点で検討されている状況です。
- 医療機関による感染対策の下支え
- 治療薬の備蓄
- 薬局の体制評価
- オンライン診療の活用
- サーベイランスの強化
歯科
歯科に関する論点では、かかりつけ歯科医の機能が注目されています。患者の口腔健康を総合的に管理し、予防や治療の計画を立てる歯科医の役割が重視されています。
また、院内感染防止対策、口腔機能管理の推進、オンライン診療の評価、歯科固有技術の評価などが重要な論点です。
調剤
調剤については、薬局・薬剤師の業務シフトに関する診療報酬の在り方が注目されています。薬局における業務の効率的な運用やスタッフの配置について、報酬の設定が検討される予定です。
また、かかりつけ薬剤師・薬局の促進も焦点となっています。薬局同士の連携や体制に関する評価によって、地域全体での医療連携が円滑になるよう、評価が検討される見通しです。
2024年の診療報酬改定を見据えた準備
最後に、診療報酬改定を見据えた準備について下記項目に沿って解説していきます。
- オンライン診療への対応
- 働き方改革への対応
オンライン診療への対応
2024年の診療報酬改定を見据えた準備の重要なポイントの一つが「オンライン診療への対応」です。
近年、新型コロナウイルスを契機にオンライン診療は急速に普及し、医療の新たな形態として定着しつつあります。
この動向を踏まえ、医療機関はオンライン診療を円滑に導入・提供できる体制整備が必要です。具体的な対応策としては、適切な情報通信機器の導入や患者とのコミュニケーション手段の確保、安全な電子カルテの活用などが挙げられます。
また、診療報酬の加算やオンライン診療に関する資格の確認など、関連する手続きや基準にも目を配らなければなりません。患者の利便性を考慮するとともに、医療機関の運営効率と質を担保した医療提供が可能な体制整備が求められます。
働き方改革への対応
2024年の診療報酬改定の肝といえる、医師の働き方改革に備えるためには、厚生労働省が発行しているガイドに基づいて準備を進めましょう。
本ガイドには、診療報酬改定に向けて医療機関が取るべき具体的な対応が示されています。たとえば、働き方の見直しに関する情報や効率的な業務運用、ICTの活用などが含まれています。
適切な対応を進めれば、改定に対しても柔軟かつ効果的に準備ができるでしょう。まずはガイドを参考に、現在どの程度対応ができているのか、確認してみてはいかがでしょうか。
出典:厚生労働省「医師の働き方改革 手続きガイド」
まとめ
2024年の改定に向けて、医師の働き方改革や医療DXの推進、医療計画など各項目での議論が進んでいます。特に、医師の働き方改革では、医療法の改定による労働時間の短縮や健康確保が重視されています。
そのほか、医療DXの推進については、電子処方箋の普及や情報共有の拡大が議論の中心です。ほかにも救急や災害時の医療計画の見直し、外来での健康管理強化、オンライン診療の重要性などが取り上げられています。
今後、詳しい情報が出てくると見込まれるため、中央社会保険医療協議会(中医協)のページを定期的にチェックして、スムーズに改定に対応できるよう準備を進めましょう。