Column

令和8年度 診療報酬改定 攻略ガイド|開業医が必ず押さえるべき7つのポイント

令和8年度 診療報酬改定 攻略ガイド|開業医が必ず押さえるべき7つのポイント

執筆監修者:CLINICS事務局

診療報酬改定

2026年2月13日、厚生労働省より令和8年度診療報酬改定の答申が行われました。施行は2026年6月1日からとなります。今回の改定率は、本体+3.09%。これは令和6年度(+0.88%)や令和4年度(+0.43%)を大きく上回る、大幅なプラス改定となりました。今回の改定では、物価高騰・賃上げへの対応を最優先に据えつつ、医療DXの推進、生活習慣病管理の質向上、かかりつけ医機能の強化など、クリニック経営に直結する多くの見直しが盛り込まれています。本記事では、具体的な経営戦略に役立つ攻略すべきポイントを、わかりやすくまとめました。安定したクリニック経営を継続するための指針として、ぜひご活用いただけますと幸いです。

各論に入る前に、今回の改定率の内訳を確認しておきましょう。本体改定率+3.09%という数字は、以下の3つの柱によって構成されています。

改定率の内訳(診療報酬本体 +3.09%)
賃上げ対応分:+1.70%
物価高騰への対応分:+0.76%
食費・光熱水費への対応分:+0.09%
ここから分かる通り、今回の改定は医療機関の「経営の維持とスタッフの処遇改善」に極めて重きを置いたものとなっています。それでは、具体的な7つのポイントを見ていきましょう。

1)賃上げ・物価高騰への評価を収益改善のチャンスに

賃上げ・物価高騰への評価を収益改善のチャンスに

今回の改定で最も手厚い財政支援が行われたのが、現場を支えるスタッフの処遇改善と、コスト増への直接補填です。令和6年度改定で導入された「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」が大幅に引き上げられ、初診時は17点、訪問診療時は79点へと増点されます。さらに、継続的に賃上げを実施している医療機関には初診時23点というより高い点数も用意されました。対象職種も事務職員を含む全職員に拡大されています。また、物価高騰への対応として「外来・在宅物価対応料」が新設され、初診・再診時に各2点、訪問診療時に3点を算定できます。
POINT:スタッフの給与アップや物価高による経費増を、国がダイレクトにサポートしてくれる内容です。これらは来年度(令和9年度)にはさらに「2倍」の点数になることが決まっています。まずはこれらの加算を確実に届け出し、経営の基盤を固めることが先決です。

2)医療DX加算の再編と活用実績への評価シフト

医療DX加算の再編と活用実績への評価シフト

従来の「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」が廃止され、より「活用実績」を重視する形へ統合・新設されました。施設基準に応じて初診時に最大15点(月1回の再診時は2点)が算定可能です。最上位の「加算1」を得るには、マイナ保険証の利用体制はもちろん、電子処方箋の発行体制や電子カルテ情報共有サービスの活用実績が必須条件となります。
POINT:「機械を導入した」という段階から、「実際に電子処方箋などを使いこなしているか」という実績が評価される時代になりました。これからのクリニック経営において、デジタル化は避けて通れない「必須科目」といえます。

3)生活習慣病管理の事務負担軽減とデータ評価への移行

生活習慣病管理の事務負担軽減とデータ評価への移行

高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理ルールは、現場の負担軽減と診療の「質」の可視化がセットで進められています。最大の改善点は、療養計画書への患者署名が不要になったことです。一方で、管理料(Ⅰ)では必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上行うことが要件化されたほか、糖尿病患者向けに「眼科・歯科医療機関連携強化加算(各60点、年1回)」が新設されました。また、従来のデータ提出加算(50点)は廃止され、診療実績に基づく「充実管理加算」へと再編されました。
POINT:書類へのサインをもらう手間がなくなるのは大きな前進です。ただし、今後は「適切な診療をデータで証明できるか」が収益を左右します。質の高い医療を提供しているクリニックが、正当に評価される仕組みへと変わっています。

4)かかりつけ医機能の強化と求められる「有事の備え」

かかりつけ医機能の強化と求められる「有事の備え」

2025年4月より施行された「かかりつけ医機能報告制度」と連動し、地域での役割を評価する見直しが行われました。「認知症地域包括診療料・加算」が統合され、患者さんの状態に応じた2区分に整理されました。院内処方時の連携要件が緩和されるなど算定ハードルが下がる一方、「外来データ提出加算(月1回10点)」が新設されています。また、機能強化加算(80点)の施設基準には、有事の診療継続に向けたBCP(業務継続計画)の策定が必須要件として追加されました(一部経過措置あり)。
POINT:算定のハードルが下がり、使いやすくなった項目が増えました。その代わり、災害時などの「有事の備え」が求められるようになっています。地域に根ざした「かかりつけ医」としての信頼を、目に見える形で整えていきましょう。

5)時間外対応の充実と連携を評価する新設加算

時間外対応の充実と連携を評価する新設加算

かかりつけ医としてのフォロー体制や、医療機関同士の連携がより手厚く評価されています。「時間外対応加算」は「時間外対応体制加算」へと名称を変え、2~7点へ増点されました。また、大病院からの紹介患者を受け入れた際の「特定機能病院等紹介患者受入加算(60点)」や、オンライン診療での電子処方箋活用を評価する「遠隔電子処方箋活用加算(10点)」が新設されています。
POINT:他の病院とのスムーズな連携や、オンライン診療・電子処方箋の活用など、地域の中で「外とつながる」クリニックがより評価されるようになっています。ネットワークを広げることが、患者さんの利便性と収益の両立につながります。

6)医薬品処方のルール変更と患者さんへの適切な説明

時間外対応の充実と連携を評価する新設加算

薬の出し方についても、患者さんへの適切な情報提供と選択肢の提示が要件化されました。特定疾患療養管理料については、消化性潰瘍患者への禁忌薬(NSAIDs)投与時の算定が除外されます。 また、長期処方・リフィル処方箋が可能であることを院内に掲示し、患者さんの求めに応じて適切に対応することが要件に追加されました。
POINT:患者さんにとっての「選択肢」をしっかり提示することがルール化されました。長期処方やリフィル処方など、患者さんの状態に合わせた柔軟な提案を日常の診療フローに組み込んでいく必要があります。

7)医師の多い地域での「新規開業」が規制対象に

時間外対応の充実と連携を評価する新設加算

今後の分院展開や新規開業を検討されている先生にとって、最も注意すべきなのが「医師偏在対策」に伴う規制強化です。2026年4月1日以降、外来医師過多区域で無床クリニックを新規開設する場合は、6ヶ月前までの事前届出が義務化されます。都道府県の要請に従わない場合、保険指定期間が2~3年に短縮されるほか、地域包括診療料・加算や機能強化加算などが算定できなくなるリスクがあります。
POINT:これから開業や分院を考える際、「場所選び」のミスが取り返しのつかない経営リスクになり得ます。これまでの常識が通用しなくなるエリアも出てくるため、今まで以上に慎重な事前調査が必要です。

まとめ

令和8年度改定で求められる「能動的な対応」

令和8年度診療報酬改定は、物価高・賃上げへの手厚い財政支援(本体+3.09%)が行われる一方で、「診療の質をデータで証明できる医療機関を高く評価する」という方向性が明確に打ち出されました。算定においては、「チャレンジすればプラス、何もしないとマイナス」という設計になっています。ベースアップ評価料・物価対応料・電子的診療情報連携体制整備加算など、施設基準等の変更点に確実に対応すること、充実管理加算や外来データ提出加算への対応体制を作ることが求められます。このように複雑化する算定要件への対応をすべて人の手で管理するのは限界があります。医療DXへの対応を含めて、最新の制度に対応した電子カルテを活用し、業務効率化を進めることをおすすめします。加えて、AI/ICTの活用により業務工数を大幅に削減することが人件費抑制にも重要です。本記事が開業医の先生方の改定対応の一助となれば幸いです。


※詳細な算定要件や施設基準については、厚生労働省の告示・通知等の原文を必ずご確認ください。
【参考資料】
「令和8年度診療報酬改定について」(中医協 総会 第647回 議事次第)/厚生労働省
「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」(令和8年3月10日版)/厚生労働省
「令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】」(令和8年3月6日版)/厚生労働省

診療報酬改定でもCLINICSがあれば安心

今回の改定を「最小限の手間で、最大限に活用したい」とお考えの先生へ。ベースアップ評価料の自動計算や、複雑な「電子的診療情報連携体制整備加算」に必要なインフラ整備を、標準機能として強力にバックアップするのがクラウド診療支援システム「CLINICS(クリニクス)」です。制度の変化を「負担」ではなく、経営を強くする「武器」に変えるために。CLINICSが伴走者として、先生方の歩みをサポートいたします。

診療報酬改定攻略ガイド

執筆監修者

CLINICS事務局

株式会社メドレー

医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。

導入について、
お気軽にお問い合わせください
お電話でも、お問い合わせいただけます
受付:平日 10:00 〜 19:00