
オンライン診療の実施に必要な研修を解説!e-ラーニング研修や注意点などわかりやすく解説します!

医療DXの進化により、オンライン診療の導入を検討する開業医が増えています。オンライン診療を導入する際には、厚生労働省が指定する研修を受講しなくてはなりません。この記事では、医師が受講すべき研修の種類や内容について紹介。また、受講に必要な準備や始めるための手順についても解説しますので、ぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.オンライン診療に研修が必要な理由とは
- 2.オンライン診療を行うために必要な研修5つ
- 2.1.①オンライン診療を行う医師向け(全員必須)
- 2.2. ②緊急避妊薬を処方する場合(該当者のみ)
- 2.3.③へき地で看護師等と実施する場合(該当者のみ)
- 2.4.④慢性頭痛のオンライン診療を行う場合(該当者のみ)
- 2.5.⑤歯科のオンライン診療を行う場合(歯科医師は必須)
- 3.研修を受ける際の注意点
- 4.オンライン診療を始めるための4ステップ
- 4.1.1.オンライン診療研修(eラーニング)を受ける
- 4.2.2.施設基準「情報通信機器を用いた診療 」を届出る
- 4.3.3.医療機能情報提供制度(医療情報ネット)に登録する
- 4.4.4.オンライン診療の実施にかかる診療計画書を作成する
- 5.まとめ
オンライン診療に研修が必要な理由とは
オンライン診療の実施にあたっては、厚生労働省によって定められた「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づく研修を受講し、修了証を取得しなければなりません。オンライン診療を安全かつ適切に実施するには、従来の対面診療とは異なり、技術面、運用面での留意が求められるためです。研修は、オンライン診療のリスクに対応するために、医師が十分な知識や技能を習得することを目的として実施されます。具体的な内容は、オンライン診療に用いる機器の使用方法、遠隔診療ならではの通信トラブルへの対応法、患者情報の管理などのセキュリティなどです。研修を受けることで、医療ミスの防止や患者の安心感向上、さらには法令遵守の徹底が図られ、質の高いオンライン診療の環境が整えられるでしょう。
オンライン診療を行うために必要な研修5つ
必要な研修は、すべての医師が受講する研修と、特定の診療行為を行う医師のみが対象となる5つの研修に分かれます。ここでは、それぞれの研修内容について解説します。
①オンライン診療を行う医師向け(全員必須)
オンライン診療を行う医師向けの研修は、eラーニングで実施されます。厚生労働省の指針に則り、オンライン診療特有の基本原則や守るルール、そして診療提供体制に求められる要件などを体系的に学ぶ内容です。研修の受講は全員必須で、オンライン診療を安全かつ適切に実施するための知識とリスク管理、技術面での対応策を習得できます。
研修で学ぶ内容は、以下の5つです。
- オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度
- オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項
- オンライン診療の提供体制
- オンライン診療とセキュリティ
- 実臨床におけるオンライン診療の事例
講義動画の視聴後に各科目10問の演習問題が出題され、
全問正解すれば修了証を取得できる仕組みです。
出典:オンライン診療研修実施概要/厚生労働省
②緊急避妊薬を処方する場合(該当者のみ)
2019年7月の指針改正により、初診であってもオンライン診療を通じて例外的に緊急避妊薬の処方が可能となりました。これに伴い、オンライン診療にて医師が緊急避妊薬を処方する場合、通常のオンライン診療研修に加え、緊急避妊薬に関する研修も受講が必要です。
研修で学ぶ内容は、以下の2つです。
- 経口避妊薬(OC)について理解すべき事項-各種避妊法とOC全般
- 緊急避妊(Emergency Contraception:EC)
緊急避妊薬の処方に関しては国による実態調査も行われており、最新の実務知識が求められます。講義動画を視聴後、10題の演習問題に正解すれば、修了証を取得できます。
出典:オンライン診療研修実施概要/厚生労働省
③へき地で看護師等と実施する場合(該当者のみ)
へき地や在宅でのオンライン診療において、遠方にいる医師の指示のもと、看護師によるケアを行う際は、「へき地で看護師等と実施する場合の研修」を受講する必要があります。医師がへき地で看護師や他の医療スタッフと連携し、迅速かつ正確な診療を遂行するために求められる知識と技能、情報通信機器の操作方法、標準化された診療手順、緊急時の対応策などを学びます。令和6年度の診療報酬改定に伴い、看護師等遠隔診療補助加算における施設基準が新設されました。算定するためには、情報通信機器を利用した診療に関する研修を修了した医師の配置が必要です。
出典:オンライン診療研修実施概要/厚生労働省
④慢性頭痛のオンライン診療を行う場合(該当者のみ)
慢性頭痛のオンライン診療を実施する際は、厚生労働省指定のe‑ラーニングの受講に加えて、さらに高度な専門性が求められます。具体的には「脳神経外科もしくは脳神経内科で5年以上の実務経験を有する医師」、あるいは「慢性頭痛のオンライン診療に係る適切な研修を受けた医師」が診察を担当しなければなりません。
日本頭痛学会が提供するオンライン研修(慢性頭痛オンライン診療 e-learning)は、厚生労働省が「適切な研修」に指定しています。研修内で学ぶ内容は、以下の10種類です。
- 慢性頭痛のオンライン診療概論
- 危険な二次性頭痛を見逃さないためのオンライン診療のポイント
- 頭痛分類、診断基準、慢性頭痛診療ガイドライン、頭痛ダイアリー
- 片頭痛の診断と治療
- 慢性片頭痛と薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)
- 緊張型頭痛の診断と治療
- 群発頭痛・三叉神経自律神経性頭痛の診断と治療
- 小児の慢性頭痛診療
- 女性の慢性頭痛診療
- 高齢者の慢性頭痛診療
出典:慢性頭痛オンライン診療 e-learning/一般社団法人日本頭痛学会
⑤歯科のオンライン診療を行う場合(歯科医師は必須)
歯科医師がオンラインで歯科診療を行う際は、厚生労働省が定める研修を受講し、オンライン診療を適切に実施するために必要な知識を習得する必要があります。歯科の研修には、公益社団法人日本歯科医師会によるe-ラーニング形式と、厚生労働省による集合形式の2種類があります。研修を受講する場合は、どちらかを選択可能です。ただし、厚生労働省が実施する研修は受講人数に制限があるため、日本歯科医師会の会員にはe-ラーニング形式の受講が勧められています。
この研修で学ぶ内容は、以下のとおりです。
- オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度
- オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項
- オンライン診療の提供体制
- オンライン診療とセキュリティ
動画の視聴後、講義内容に関する演習問題が10問出題され、
6問以上の正解で修了証が発行されます。
出典:歯科におけるオンライン診療/日本歯科医師学会
研修を受ける際の注意点

オンライン診療に関する研修の受講時、留意したい3つの注意点について解説します。
1)医師等資格確認検索システムに登録が必要
オンライン診療の研修に申し込む際は、厚生労働省の資格確認検索システムへの登録が必須です。資格確認検索システムは、医師の氏名や資格、所属の医療機関、専門とする分野の情報を確認する目的で運営されており、2年ごとに届出が必要です。システムへの登録が済んでいない場合は、「医師等資格確認検索システム掲載申請書」を記載し、次の住所に郵送しなければなりません。
〒100-8916 |
封筒に「医師等資格確認検索システム掲載申請書」在中と記載しましょう。
研修は、登録が済んだ後に申し込みます。
2)修了証はPDFで保存・医療機関サイトに掲載義務
オンライン診療に関する研修の修了証は、自院の公式Webサイトに掲載することが義務付けられています。修了証は研修終了後に、PDF形式の電子データとして発行されるため、画面表示のスクリーンショットではなく、電子データとして保存しておくことが重要です。紙面で修了証書が発行されることはないため、データの保存忘れに注意を。
3)安定したネット環境とセキュリティ対策の整備
オンライン診療の実施にともなう研修は、eラーニング形式で提供されるため、通信が安定したインターネット環境が不可欠です。また、医療情報は機密性が高いものが多いため、研修受講にあたっても、セキュリティ対策を整備する必要があります。後日、オンライン診療を実施する際も、患者とオンラインでコミュニケーションをとる必要があるため、研修受講の段階から高速かつセキュリティに優れたネット環境を構築しておくと安心です。
オンライン診療を始めるための4ステップ

オンライン診療を始めるための一般的な流れは次のとおりです。
1.オンライン診療研修(eラーニング)を受ける
まずオンライン診療研修をeラーニングで受講する必要があります。オンライン診療研修は厚生労働省オンライン診療研修実施概要から研修申請をした上で、事前研修を受講していきます。受講をする前に、日本医師会電子認証センターにて医師資格証IDを事前に取得しましょう。
2.施設基準「情報通信機器を用いた診療 」を届出る
オンライン診察研修の受講後に、「情報通信機器を用いた診療の施設基準届出」を地方厚生局に提出します。この手続きは、オンライン診療に関する診療報酬を請求するには必須であるため、早めに手続をするようにしましょう。
3.医療機能情報提供制度(医療情報ネット)に登録する
オンライン診察料の届け出が終わったら、医療機能情報提供制度(医療情報ネット)に登録しましょう。それぞれの都道府県が提供している医療情報を提供している医療情報ネットにオンライン診察実施登録をすることで、患者さんが検索できるようになります。
詳しくは厚生労働省のホームページある「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)について」をご確認ください。
4.オンライン診療の実施にかかる診療計画書を作成する
オンライン診療の実施を説明する診療計画を患者さんに提示して合意をもらう必要があります。合意をもらったあとは2年間診療計画書を保存するようにしましょう。
まとめ
オンライン診療研修は、医師がオンライン診療を安全に行うために求められる知識や技術を習得する目的で実施されています。この研修はeラーニングで提供され、オンライン診療の実施を考えているすべての医師は必ず受講しなければなりません。ほかにも、緊急避妊薬を処方する場合や、へき地で看護師等と連携し医療を提供する場合は、別途必要に応じて研修を追加で受講する必要があります。本記事でご紹介した研修内容を参考に、必要な研修を受講し、オンライン診療の導入をご検討ください。










