
成功する開業医の定義とは?「年収1億円」の経営戦略
「開業医と勤務医は何が違うの?」
「開業医のほうが収入が上がるの?」
勤務医から開業医を目指す方のなかには、上記のような疑問を抱えているケースもあるでしょう。開業医としてリスタートするからには、成功して所得水準の向上を目指すのは当然のこと。なにより、その成功こそが、質の高い医療提供を維持するために重要な経営戦略のひとつとなるのですから。事実、開業医は勤務医と比較して年収が高い傾向にあります。しかし、すべての開業医が成功するわけではありません。ポイントを理解して経営することで、「年収1億円」という高い目標に到達することは十分に可能です。当記事では、開業医の平均年収や勤務医との比較、開業医が向いている医師の特徴などをまとめています。開業医としての成功への糸口として参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.開業医の平均年収はどのくらい?
- 1.1.開業医の平均年収と比較
- 1.2.開業医の診療科別の平均年収
- 2.勤務医と開業医の違いとは
- 3.成功する開業医に必要な3つの資質
- 3.1.①継続的な学習と向上心
- 3.2.②多層的なコミュニケーション能力
- 3.3.③戦略的な経営計画の策定力
- 4.成功する開業医に近づく3つの施策
- 4.1.①患者数を増やす施策
- 4.2.②患者単価を上げる施策
- 4.3.③業務の効率化を図る施策
- 5.開業医に関するよくある質問
- 6.まとめ
開業医の平均年収はどのくらい?

そもそも開業医の平均年収はどのくらいなのでしょう。
開業医の平均年収と比較
厚生労働省の調査によると、2024年の勤務医の平均年収は、約1,107万円です。一方で、開業医の平均年収(クリニックの平均損益差額)は約2,227.8万円でした。
これは勤務医の平均年収を1,100万円ほど上回る金額です。ただし、この「損益差額」は勤務医の給与(額面年収)とは性質が異なります。開業医は損益差額から、社会保険料、所得税・住民税、さらに借入金の元本返済などを支払う必要があります。そのため、実際に自由に使える手取り額は、この数字より少なくなります。
参考:令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省
参考:第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告‐令和5年実施‐|中央社会保険医療協議会
開業医の診療科別の平均年収
一般診療所における診療科別の損益差額(医業・介護収益 − 必要経費)は以下の表をご覧ください。
精神科 | 1,416.7万円 |
内科 | 2,341.9万円 |
整形外科 | 1,363.2万円 |
外科 | 2,568.7万円 |
産婦人科 | 1,884.4万円 |
参考:第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告‐令和5年実施‐|中央社会保険医療協議会
勤務医と開業医の違いとは
勤務医から独立し、開業医として働くようになると、収入や働き方はどのように変わるのでしょうか。ここでは、勤務医と開業医の違いについて「収入」「働き方」「業務内容」の3つの観点から整理します。
①収入面の違い
勤務医は基本給や手当などが制度として整っており、毎月の収入がある程度決まっているのが一般的です。一方、開業医の収入はクリニックの収益や経費の額に応じて変動するため、安定性に欠ける傾向があります。一般的には、勤務医よりも開業医の方が年収が高くなる傾向が見られます。とはいえ、経営が思うようにいかず、継続が難しくなるケースも存在します。開業医になると、収入を大きく伸ばせる可能性がある反面、周到な準備や経営センスが求められることを知っておきましょう。
②働き方の違い
勤務医は勤務時間や休日があらかじめ定められており、公私の区別がつけやすい点が特徴です。被雇用者として労働基準法の保護を受けられるほか、2024年から本格的に施行された医師の働き方改革※により、時間外労働の上限が設定されるなど、過重労働の是正が進められています。一方、開業医は診療時間や休診日を自ら決められる反面、ワークライフバランスの確保が課題に。事業主として責任を負う立場になるため長時間労働になったり、まとまった休暇が取れなかったりするケースも少なくありません。
※医師の働き方改革/厚生労働省
③業務内容の違い
勤務医であれば、診療・手術・研究などの医師本来の業務に集中できます。人事・財務・広報などの病院経営に関する業務は、病院内の別の部署が担うのが一般的です。
一方、開業医は通常の診療業務に加え、クリニック全体の経営に主体的に関わります。事業主として、スタッフの採用や経費管理、集患施策など、多岐にわたる業務をこなす必要があるのです。特に小規模なクリニックでは、院長がすべての意思決定を行うことも多く、診療業務と経営管理の両立が求められます。医師としての専門性に加え、経営的な視点や判断力も求められるでしょう。
成功する開業医に必要な3つの資質
開業には臨床スキルだけでなく、経営者としてのスキルも求められます。ここでは、成功する開業医を目指すために必要な資質を3つ紹介します。
①継続的な学習と向上心
開業医として成功するには、継続的に学び、改善を積み重ねていく姿勢が大切です。
医療を取り巻く環境は、医療技術の進化だけではなく、制度の改正や患者ニーズの変化など、日々変動しています。開業医には臨床スキルの研鑽はもちろん、診療フローの見直しや新たなシステムの導入といった、多角的な取り組みが求められます。単に日々の診療をこなすだけでなく、より質の高い医療と効率的な運営体制を目指し、現状の課題を乗り越えていく姿勢、すなわち、継続的な向上心が不可欠となります。
②多層的なコミュニケーション能力
開業医として専門的な臨床スキルと同等、あるいはそれ以上に重要となるのが、多層的なコミュニケーション能力です。これは単にコミュニケーション能力が高くて「話が上手」ということにとどまりません。患者さんに安心感を与えるためには、わかりやすく丁寧な説明や、傾聴、共感といった基本的な対人スキルが欠かせません。さらに、開業医にはスタッフをまとめるリーダーシップや、医療機関・業者との連携を円滑に進める調整力・交渉力も求められます。患者さんやスタッフとの信頼関係を大切にし、広く深く多方面との関係性を築く力も、必要なスキルといえるでしょう。
③戦略的な経営計画の策定力
開業医として理想の医療を実現するには、戦略的なクリニック経営計画が不可欠です。例えば、開業時におこなう地域のニーズや競合状況を詳細に分析する綿密な市場調査。このデータに基づき、自院の専門性を活かした診療方針や、患者さんの満足度を高める医療提供体制を見極めます。また、開業後も単なる感覚論や感情論ではなく、経営データ(財務データ、患者動向など)を活用し、診療内容や運営体制を定期的に検証します。このような継続的な経営計画の調整こそが、成長を続けるクリニック経営の羅針盤となります。経営者としての戦略的視点も開業医の必須スキルといえます。
成功する開業医に近づく3つの施策

地域社会に求められる医療の専門性を高め、スタッフが働きがいを持てる環境を整備することは、開業医において最も重要な課題です。しかし、年収を上げたいがために自由診療ばかりをしたり、投資などの副業にのめり込んだりしてしまうと、医療の質が低下する可能性があります。結果的に、「患者さんのことを考えない経営だ」などと患者さんが離れてしまうことも。医療機関としての価値を最大化し、開業医としての成功を目指すには、以下3つのポイントを意識すると良いでしょう。
①患者数を増やす施策
患者数を増やすためには、地域における認知度向上やリピーターの獲得が重要です。ホームページやSNSを活用した発信活動や看板の設置、ポスティングなど、さまざまな集客方法を組み合わせて行う必要があります。また、オンライン診療や往診を取り入れることで、通院が困難な患者層へアプローチするのも効果的です。さらに、患者数を安定的に増やすには、新規の患者獲得だけでなく、継続して通院してもらえる仕組みづくりが重要です。たとえばWeb予約システムを導入すれば、待ち時間の短縮やスムーズな診療が可能となり、再診率の向上が見込めるでしょう。
②患者単価を上げる施策
一人当たりの患者単価を高めるためには、高度な専門医療や自由診療の導入が効果的です。専門的な検査や手術は、比較的診療報酬が高く設定されており、クリニックの収益増加が期待できます。また、美容医療や自由診療は医院独自の料金設定が可能であり、診療報酬が定められている保険診療に比べて患者単価を伸ばしやすい分野です。ただし、患者のニーズに合致していることが前提となります。実施する際は十分な説明と同意を得るよう注意が必要です。
③業務の効率化を図る施策
業務の効率化は収益向上に直結します。電子カルテや予約管理システム、自動精算機などのITツールを活用し、スタッフの業務負担や人的ミスを軽減していきましょう。また、経営データを定期的に分析し、診療フローや人員配置の見直しを行えば、コスト削減にもつながります。業務を効率化すれば、診療や処置などの患者対応に集中する時間が増え、患者ケアの質が向上します。その結果、患者満足度が高まり、クリニックの安定した収益につながるでしょう。
開業医に関するよくある質問

Q1.開業場所が首都圏と地方で年収に違いはありますか?
首都圏と地方では年収に違いはあります。首都圏よりも、地方のクリニックの方が年収が高いのが特徴です。首都圏は大学病院をはじめ、クリニックや診療所など、競合が多く集患が難しい傾向にあります。一方、地方で開業する場合、首都圏と比較して競合が少なく、地域によってはクリニックが不足しているケースもあるでしょう。ニーズとマッチしたクリニックを開業すれば集患しやすく、年収が高くなります。
Q2.開業医のメリットとデメリットはなんですか?
開業医として働くメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
・自分のペースで自由に仕事ができる
・人間関係の悩みが減る
・収入をあげやすい
・運営方針を自分で決められる
・理想のワークライフバランスの実現しやすい
デメリット
・複雑な手続きが多い
・業務量が多い
・責任が重い
・開業時の借金返済や運転資金調達が大変
・収入が安定しにくい
Q3.開業医になる方法は何がありますか?
クリニックの開業方法には、自分で1から立ち上げる「新規開業」と、既存のクリニックを引き継ぐ「継承開業」の2つがあります。新規開業は自由度が高く、理想通りの医療を実現しやすい反面、多額の初期費用がかかるほか、開業までに時間を要する場合が多いでしょう。一方、継承開業であれば初期費用や準備期間を抑えることが可能ですが、前医の評判や運営方針に影響されるため、慎重に検討する必要があります。
なお、開業の具体的な手順については以下の記事を参照ください。
まとめ

ここまで、開業医の平均年収や勤務医との比較、成功する開業医の特徴などを紹介しました。開業医として成功し高収入を目指すには、質の高い医療を提供しつつ、それを可能にするための持続的な経営戦略を実践し、実直に効率的な経営を心がけることが大切です。自身の強みや課題を理解し、慎重に準備を進めていきましょう。











