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クリニック開業のスケジュールを徹底解説!タイミングごとに必要な内容を詳しくお伝えします

「クリニック開業までの全体的なスケジュールを把握したい」
「タイミングごとにどんな準備が必要なのか知りたい」

新規開業する医師のなかには、こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。クリニックの新規開業の準備には1年半~2年程度かかります。多岐にわたる準備をスムーズに進めるためには、全体像を把握した綿密なスケジュールの構築が重要です。
本記事では、まず開業までに必要な準備を整理したうえで、各時期ごとに取り組むべき工程をわかりやすく解説します。特に重要である物件選びについては、診療圏調査の進め方や立地・物件タイプの特徴まで詳しく紹介します。
クリニック開業の準備に、ぜひお役立てください。

目次[非表示]

  1. 1.クリニック開業に必要な準備とは?全体像を把握しよう
    1. 1.1.①物件の確保
    2. 1.2.②資金調達
    3. 1.3.③医療機器・システム・備品の導入
    4. 1.4.④スタッフの確保
    5. 1.5.⑤集患
    6. 1.6.⑥必要書類と手続き
  2. 2.クリニック開業に向けたスケジュール
    1. 2.1.①18〜12ヶ月前
      1. 2.1.1.クリニックのコンセプトの決定
      2. 2.1.2.開業時期の決定
      3. 2.1.3.事業計画の策定
    2. 2.2.②12〜7ヶ月前
      1. 2.2.1.開業場所の決定
      2. 2.2.2.物件の選定
      3. 2.2.3.資金の調達
    3. 2.3.③6〜4ヶ月前
      1. 2.3.1.保健所へ事前相談
      2. 2.3.2.医師会への相談(任意)
      3. 2.3.3.内装工事の施工
      4. 2.3.4.医療機器の選定
      5. 2.3.5.電子カルテの選定
      6. 2.3.6.その他医療システムの選定
    4. 2.4.④3〜1ヶ月前
      1. 2.4.1.行政機関への申請・届出
      2. 2.4.2.スタッフの採用
      3. 2.4.3.広告戦略の施策
    5. 2.5.⑤1ヶ月前
      1. 2.5.1.保険医療機関の申請
      2. 2.5.2.スタッフの研修
  3. 3.クリニック開業に重要な診療圏調査の方法
  4. 4.クリニック開業の立地・物件別メリット・デメリット
    1. 4.1.クリニックの立地
      1. 4.1.1.都心部のメリット・デメリット
      2. 4.1.2.郊外のメリット・デメリット
    2. 4.2.クリニックの物件
      1. 4.2.1.戸建てのメリット・デメリット
      2. 4.2.2.テナントのメリット・デメリット
      3. 4.2.3.医療モールのメリット・デメリット
  5. 5.開業をスケジュールどおり進めるためのポイント
    1. 5.1.①退職の意向は半年前に伝える
    2. 5.2.②開業に関する資料は自宅に送付する
    3. 5.3.③予算をオーバーする見積もりに気をつける
  6. 6.まとめ

クリニック開業に必要な準備とは?
全体像を把握しよう

ここでは、開業にはどのような準備が必要になるのか、その概要を解説します。具体的には、以下のような多岐にわたる項目への対応が求められます。

①物件の確保
②資金調達
③医療機器・システム・備品の導入
④スタッフの採用と教育
⑤集患対策
⑥必要書類と手続き

それぞれの内容について確認していきましょう。

①物件の確保

クリニックの経営を成功させるためには、診療方針に合致する物件の確保が肝心です。診療圏調査で得た情報をふまえ、立地や物件タイプを比較しながら、自院のスタイルにマッチする物件を見極めましょう。物件が決まれば続く工程(内装設計や医療機器の配置など)が見渡せるようになるため、早めに物件を選定することが理想です。
なお、診療圏調査の詳細や立地・物件ごとの特徴については後ほど詳しく解説します。

②資金調達

クリニックの開業には1,500~8,000万円程度の資金が必要になります。
開業に必要な初期費用だけではなく、経営が安定するまでの運転資金も開業前に準備しておくことが大切です。自己資金を多く準備できるのが理想ですが、銀行からの融資を受けるのが一般的です。しかし、融資を受ける際は事業計画書を提出のうえ、審査に通らなければなりません。早めに資金計画に着手するようにしましょう。融資以外にも、補助金や助成金を活用する方法もあります。

③医療機器・システム・備品の導入

医療機器や電子カルテ、待合室の家具に至るまで、クリニックの開業に必要な備品は多岐にわたります。リースやインターネット通販など、準備方法にもさまざまな選択肢があることを知っておきましょう。これらの備品は基本的に内装工事の完了後に搬入しますが、レントゲンなどの大型医療機器は注意が必要です。内装時に特別な配慮が求められるため、導入の可否は内装の設計段階で検討しておくと安心です。

④スタッフの確保

良い医療を届けるためには、信頼できるスタッフの採用が欠かせません。
特に看護師は人手不足が続いており、募集方法や採用条件をよく検討する必要があるでしょう。雇用契約や勤務条件の整備については、社会保険労務士に相談しておくと安心です。また、クリニックの開院前には、スムーズに診療を提供できるようにスタッフの教育を行います。カルテや医療機器の操作確認に加えて、診療の流れを想定したシミュレーションも有効です。

⑤集患

クリニックの開業準備において、集患対策も非常に重要です。
特に新規開業の場合、経営を軌道に乗せるには地域住民に存在を知ってもらい、信頼を得るための努力が必要です。具体的には、Webを活用した情報発信地域の医療機関との連携などが挙げられます。開業するエリアによって効果的な集患施策は異なるため、自院が位置する診療圏の特徴を踏まえたうえで適切な対策を講じるようにしましょう。

⑥必要書類と手続き

開業の際は、保健所に開設届を提出して認可を受ける必要があるほか、保険診療を行うには厚生局への保険医療機関指定申請も必須です。そのほかにも、税務署への開業届消防署への防火管理手続きなど、必要な手続きは多岐にわたります。不備があると開業日を延期しなくてはならない可能性も生じるため、注意が必要です。診療内容によって必要な手続きや書類は異なるため、行政機関と相談しながら進めていきましょう。

より詳しい内容の記事はこちら↓

クリニック開業に向けたスケジュール

前途したように、クリニックを新規開業する場合、一般的には1年半~2年程の準備期間が必要です。開業準備は、事業のコンセプト決めや事業計画の作成からスタートします。なぜなら、開業場所や物件の選定など、必要な準備を整理するためです。CLINICSでは、事業計画書テンプレートを無料配布しています。こちらからダウンロードできるので、事業計画書の作成にお役立てください。

より詳しい内容の記事はこちら↓

クリニック開業までの時期によって、やるべき準備が異なります。以下の提示期間にやるべき準備を進めることで、スムーズに開業することができます。

①18〜12ヶ月前
②12〜7ヶ月前
③6〜4ヶ月前
④3〜1ヶ月前
⑤1ヶ月前

一つずつ内容をみていきましょう。

①18〜12ヶ月前

クリニック開業の18〜12ヶ月前にやるべき準備は、以下の3つです。

  • クリニックのコンセプトの決定
  • 開業時期の決定
  • 事業計画の策定

クリニックのコンセプトの決定

始めに、クリニックのコンセプトを決定します。言い換えると、「なぜクリニックを開業するのか?」を言語化することと言えます。このステップは非常に重要であり、まず最初に考えるべきです。この点がブレてしまうと、スタッフの採用時に院長の考えと合わない方を採用してしまったり、余計な医療機器を購入してしまったりする可能性が高まります。そのため、開業後に非常に苦労することになります。例えば、「待ち時間の短いクリニックを作り、地域の患者の健康に貢献したいから」や「自身の専門である診療を追求し、特定の疾患に困っている患者を治療したいから」などが挙げられます。

開業時期の決定

次に、クリニックの開業時期を決定します。ゴールの決定により、このあとの開業場所や物件の選定がスムーズになります。開業時期は「勤務先の病院の退職時期」や「家庭内のライフサイクル」などを考慮して、適切なタイミングを判断しましょう。なお、テナントで開業する場合には、テナントのオーナーの意向によってスケジュールが大きく変動する可能性も。早めに開業時期を決めて余裕のあるスケジュールを組みましょう。

事業計画の策定

続いて、最初に描いたクリニックのコンセプトを「どのように実現していくか」を形にする事業計画を策定します。具体的には、ヒト・モノ・カネの計画を策定しましょう。クリニック運営に必要な看護師、看護助手、医療事務などの人数と賃金を決定するのはもちろん、医療機器の選定やスタッフの採用、行政への届出など多くの作業が発生します。すべてを1人で担う場合、院長の負担が大きくなります。計画段階で信頼できるパートナーを見つけ、共に準備を進めると「開業までの時間が短縮できる」「失敗する要素を減らせる」などのメリットがあります。導入する医療機器も併せて検討し、開業時の設備投資額や開業後の収支の算出に役立てます。
事業計画の策定により「開業後の安定的な経営」や「資金ショートの回避」につながります。事業計画を反映させる事業計画書を構成するのは、大きく分けて「経営基本計画」「資金計画」「収支計画」の3つです。事業計画書テンプレートに基づいて進めると、必要事項を抜け漏れなく記載できます。事業計画書の書き方を詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

②12〜7ヶ月前

クリニック開業の12〜7ヶ月前にやるべき準備は、以下の3つです。

  • 開業場所の決定
  • 物件の選定
  • 資金の調達

開業場所の決定

策定した事業計画をもとに、開業場所を決定します。開業場所を決める際は診療圏調査を活用し、「地域の特性の把握」や「患者の特徴や来院数の予測」を行います。診療圏調査とは、仮にその場所で開業した場合の「1日あたりの来院患者数」を把握するための調査です。開業地を仮定して診療圏を設定し、競合クリニック数や人口を調べ、予想される来院患者数を算出します。なお、競合クリニックのなかには「近隣住民からの評判が高い」「最新の医療機器をそろえている」「閉院間近」などさまざまな状態のクリニックが存在するため、競合クリニックの集患力も調査する必要があります。競合クリニックの集患力の調査には、実際に現地に訪れる方法が最も有効です。加えてインターネットを活用し、競合クリニックの医師の専門資格やホームページの品質、口コミなどを把握すると「開業するクリニックの競合になり得るか」が判断できます。
診療圏調査と競合クリニックの集患力の調査を実施したうえで、クリニック開業の成功確率が高い開業場所を選びましょう。

物件の選定

開業場所が決まったら、開業前3ヶ月間ほどの家賃を見込んで物件を選定します。物件の選択肢としては、戸建てや賃貸、医療モールなどがあります。加えて、フリーレントの依頼可否についても確認しましょう。フリーレントとは、入居契約の締結後の一定期間、家賃の支払いが免除される制度です。クリニックを開業する場合、テナントを借りたとしても内装工事や医療機器の選定、資金調達など、開業までに多くの準備が必要です。フリーレントが依頼できるテナントとの契約により、収益がない期間の家賃支払いが免除されます。3ヶ月間の家賃の有無は収支に大きな影響を与えるため、フリーレントの依頼可否を確認しておきましょう。

資金の調達

クリニックの開業では、自己資金に加えて金融機関からの融資を利用する方法が一般的です。具体的な資金調達の流れは以下のとおりです。

事業計画書の作成

資金計画の立案

融資を受けたい金融機関との交渉

銀行借入契約の締結

開業初期は初期投資や患者数の少なさなどにより、ひと月単位で見ると赤字になるケースがあります。そのため、融資額は開業初期の状況も考慮して「手持ちの資金をいくら用意するか」「どのくらい融資を受ければ、想定される赤字を吸収して黒字化まで耐えられるか」を考慮して計算します。例えば、事業計画において「赤字の期間が長期間続く」と想定されるにもかかわらず自己資金が少ない場合、融資を受けにくくなる可能性があります。事業計画を丁寧に設計し、金融機関に黒字化できる予測を伝えましょう。

融資を受ける選択肢は、おもに「都市銀行」「地方銀行」「信用金庫」の3つ。
都市銀行は、日本全国の医療機関の融資に関する知識が豊富にあるのがメリットです。一方、金利の相談がしにくかったり審査が厳しかったりするケースもあります。
地方銀行信用金庫は、
地元の事情に精通しており、地域で開業するクリニックを多く担当している傾向がある一方で、都市銀行よりも医療機関の融資に関する知識が乏しいケースも。
融資を相談する際はどちらの銀行にも相談し、銀行の反応や事業計画・資金計画の評価を確認したうえで、資金を調達するひと工夫が大切です。

③6〜4ヶ月前

クリニック開業6〜4ヶ月前にするべき準備は、以下の6つです。

  • 保健所へ事前相談
  • 医師会への相談(任意)
  • 内装工事の施工
  • 医療機器の選定
  • 電子カルテの選定
  • その他医療システムの選定

保健所へ事前相談

開業予定の6~4ヶ月前には、管轄の保健所へ事前相談に行きましょう。保健所との相談は、内装図面が固まる前に行うのがおすすめです。事前に要件を確認しておくことで、基準に合わない設計のやり直しを防げます。特にレントゲンなどの放射線機器を導入する場合は、設置場所や遮蔽基準について詳しく確認することが重要です。日頃から保健所の担当者と情報共有をしておくことで、後の書類審査もスムーズに進みます。

医師会への相談(任意)

医師会への入会は義務ではありませんが、近隣の医師とのつながりができ、地域の医療体制になじみやすくなるので、開業医としての土台づくりに役立ちます。
研修会の案内や診療連携に関する最新情報など、有益な情報も得やすくなるでしょう。
また、地域によっては休日診療当番や救急医療体制への参加も可能になります。地域医療への関わりや、他の医師とのつながりを重視したいと考えている方は、早めに医師会に相談してみると良いでしょう。

内装工事の施工

内装工事をクリニック内装業者へ依頼し、施工に進みます。クリニックは「バリアフリー法」や「建築基準法」などを把握したうえで、内装を考える必要があるので、内装業者を選ぶ際はクリニック内装工事の経験がある業者を選びましょう。また、内装工事はクリニックを開業するうえで最も費用がかかる部分ですから、複数社を比較・検討したうえで依頼しましょう。なお、内装工事は計画通り進まないケースもあります。内装工事が終わったタイミングでの開設届の申請が一般的のため、工事が遅れると「開業日を遅らせる」対応が必要になるかもしれません。内装工事のスケジュールは余裕をもって設定し、開業日に影響が出ないように準備を進めましょう。

医療機器の選定

クリニックで使用するレントゲンや超音波画像診断装置、心電計などの医療機器を選びます。内装設計の段階で医療機器メーカーと相談すれば、機器配置を考慮したクリニックの設計が可能です。なお、医療機器の購入にかかる費用は、交渉次第で資金が節約できる可能性があります。また、レントゲンを導入する際は、開設届のほかに「レントゲン設置届」や「レントゲン漏洩検査報告書」を保健所へ提出する必要があります。申請漏れや遅れがないように、同時並行で準備を進めるとよいでしょう。

電子カルテの選定

近年、多くのクリニック・病院で電子カルテの普及が進んでいます。電子カルテは、従来紙で管理していた患者の診療内容や結果、経過、基本情報などを、パソコンを用いて作成し、電子データ化して管理できるシステムです。これまで紙で管理していたカルテの情報をパソコンで管理できるため、膨大な患者情報の中から特定の情報にアクセスしやすくなります。紙カルテの保管場所が不要になるため、クリニックのスペースを有効活用できるのもメリットです。また、電子カルテの活用によってスタッフ間の情報共有がスムーズになり、患者の待ち時間短縮にもつながります。業務効率改善だけでなく、患者の満足度や集患力の向上も期待できます。具体的な電子カルテのメーカーについては、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

その他医療システムの選定

電子カルテだけでなく、必要に応じて以下のような医療システムも導入しましょう。

オンライン診療システム
スマホやタブレットなどを用いて、診察予約→診察→決済をオンラインで実施できるシステムです。患者さんは自宅にいながら診察を受けられるため、通院負担の軽減に。
WEB予約
ネットやアプリから、クリニックの診察予約ができるシステムです。患者の待ち時間を短縮できるだけでなく、予約管理業務の効率化にもつながります。
WEB問診
従来の問診票ではなく、患者が自身のスマホなどを活用して問診に回答するシステムです。カルテへの転記業務などが削減できるため受付業務が効率化できます。また、患者さんの症状を事前に把握することで、発熱者のトリアージなどの対応も可能に。
自動精算機またはセミセルフレジ
コンビニやスーパーを中心として近年普及している、患者さんが自身で会計を行うことができるシステムです。導入により、スタッフの業務の効率化や会計の待ち時間短縮、釣り銭の計算ミスの防止などのメリットがあります。
医用画像保存通信システム(PACS)
医療画像撮影装置が撮影した画像を受信し、保管・管理できるシステムです。


上記の医療システムは、電子カルテと連携可能な製品があります

例えば、電子カルテとWEB予約・WEB問診を連携した場合、「WEB予約完了と同時に問診が電子カルテとひも付く」といったシステムもあるため、業務効率が格段に向上します。電子カルテと併せて、そのほかの医療システムも選定しましょう。

④3〜1ヶ月前

クリニック開業の3〜1ヶ月前にやるべき準備は、以下の3つです。

  • 行政機関への申請・届出
  • スタッフの採用
  • 広告戦略の施策

行政機関への申請・届出

クリニック開業に必要な申請・届出には、主に以下の手続きが必要です。ただ、これら以外にも多くの手続きが必要ですので、必ず事前に確認するようにしましょう。

  • 保健所・消防署への事前相談
  • 保健所への「開設届」の届出
  • 厚生局への「保険医療機関指定申請」の提出

スタッフの採用

クリニックの運営に必要なスタッフを採用します。採用方法はおもに以下の2つです。

  • 知人からの紹介などの縁故採用
  • ハローワークなどの媒体を通じた公募

いずれの方法で採用する場合でも、給与額や勤務時間などの雇用条件を明確にしたうえで募集しましょう。なお、設定する給与額によって、応募者の質が左右されます。例えば給与額を低く設定した場合「応募者が少ない」「希望通りの人材に出会えない」などのケースがあります。そのため近隣の医療機関の給与額を調査し、大幅に下回らない金額を設定しましょう。以下の記事も併せてお役立てください。

広告戦略の施策

患者の来院を促進させるために、クリニックの認知を高める施策を実施しましょう。特に新規開業の場合は力を入れる必要があります。
具体的な広告戦略の施策は、以下のとおりです。

  • ホームページ制作
  • チラシの配布
  • 看板作成
  • SNS運用

近年、患者さんがクリニックを選ぶ手段としてWeb上で情報収集する傾向にあります。Web上の施策に該当するのは、ホームページ制作やSNS運用です。例えばクリニック名で検索した場合、ヒットしなければ来院機会の損失につながるかもしれません。ホームページを制作して診察時間や電話番号などを明示できれば、受診先の選択肢となる可能性が高まります。なお、Web上の施策のほかにも、チラシの配布や看板作成など、効果が見込める方法は1つに限定されません。クリニックの診察圏の患者層に応じて、集患につながる施策を実行しましょう。

⑤1ヶ月前

クリニック開業の1ヶ月前にやるべき準備は、以下の2つです。

  • 保険医療機関の申請
  • スタッフの研修

保険医療機関の申請

クリニックで保険診療に対応するには、管轄の厚生局へ「保険医療機関指定申請」を提出する必要があります。保険医療機関指定申請は、保健所へ提出する「開設届」が受理されたあとに提出する必要があります。申請できるのは月1回のみで、申請してから受理されるまでの期間は1ヶ月です。申請が開業日に間に合わなければ、保険診療が開始できないため、「自由診療で患者に対応する」「開業日を遅らせる」といった対応が必要になってしまいます。前もって必要書類の準備を進めておきましょう。

スタッフの研修

開業日には問題なく診療が始められるように、研修を通じてスタッフを教育しましょう。診療方針や理念を院長から共有し、クリニックで働くうえで認識してほしい内容に関して理解を深めてもらいます。加えて、使用する医療機器や電子カルテ、消耗品の発注方法などを習得してもらい、業務が円滑に進むように準備します。
実際の診療業務を想定した診療シミュレーションの実施も有効です。医師や看護師、看護助手、医療事務などのスタッフ全員と実際の流れを体験し、予測できるトラブルの防止策を講じましょう。診療シミュレーションをもとにルール決めやマニュアルを作成し、開業日初日から滞りなくクリニックが運営できるように準備しましょう。

クリニック開業に重要な診療圏調査の方法

エリアの人口構成や競合状況を分析し、クリニックの開業に適切な立地かどうかを見極めるための調査「診療圏調査」は、開業地の選定時に不可欠です。国勢調査や地図サービス、医療機関検索サイトなどを活用すれば、自分でも簡易な調査が可能です。
より精度の高い分析を求める場合は、専門のコンサルタントに依頼するのも一つの方法です。候補地ごとに診療圏調査を行い、想定患者数や地域ニーズを踏まえたうえで、診療方針に合致する開業地を見つけていきましょう。

クリニック開業の立地・物件別メリット・デメリット

開業後の経営に大きく影響するのが、立地や物件の選び方です。ここでは立地や物件のタイプごとの特徴を解説します。開業地や物件選びのヒントとしてお役立てください。

クリニックの立地

クリニックの立地は、「都心部」と「郊外」の2つに大別できます。
それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。

都心部のメリット・デメリット

都心部で開業するメリットは、高い人口密度と潜在患者数の多さです。駅前や繁華街では人の流れが多く、認知されやすいのが特徴です。交通アクセスが良く、広範囲から患者を集められるうえ、オフィス街では会社帰りの患者需要も見込めます。一方デメリットとしては、高額な家賃や保証金、競合の多さ、駐車場確保の難しさなどが挙げられます。都心の一等地では月額家賃が数百万円に達することもあり、収益が安定しなければ経営が苦しくなる可能があります。

郊外のメリット・デメリット

郊外での開業は、経営コストが比較的低く、競合も少ない点が大きなメリットです。
駐車場を確保しやすいエリアも多く、住宅地に近ければ「地域のかかりつけ医」として定着しやすいでしょう。一方で、人口密度の低さや公共交通機関の不便さはデメリットと言えます。例えば、専門性の高い診療科では需要が分散しやすく、十分な患者数を確保しにくいことも。地域ニーズを見極めたうえで判断するようにしましょう。

クリニックの物件

物件タイプには「戸建て」「テナント」「医療モール」などがあります。

戸建てのメリット・デメリット

戸建てのメリットは、設計の自由度が高い点です。将来的な増改築にも柔軟に対応でき、十分な駐車スペースも確保しやすいでしょう。また、住居併設なら通勤の手間が省け、夜間の緊急対応にも便利です。一方、初期費用は高額になりやすく、建物の維持管理コストがかかる点には注意が必要です。また、閉院や移転の際に、物件の処分が難しいという一面もあります。

テナントのメリット・デメリット

テナント物件は、初期投資を抑えられるのが大きな魅力です。共用設備を活用することで設備投資を軽減できるため、都心部などの好立地でも開業しやすくなります。
ただし、契約更新料や家賃の値上げリスクがあるほか、改装や設備導入に制限がある場合もあります。共用部分の管理権限がなく、他のテナントによる騒音など、周囲の影響を受けやすい点にも注意が必要です。

医療モールのメリット・デメリット

医療モールは、複数のクリニックが集まる施設で、他院との連携や患者さん紹介がスムーズに行えます。経営管理や集患の支援をモール側が担うケースもあり、院長の負担軽減も可能です。一方、診療科目や方針に制限があることや、モール全体の評判が自院に影響するリスクがあります。運営会社の方針次第で継続が左右される可能性もあるため、契約内容をよく確認することが大切です。

開業をスケジュールどおり進めるためのポイント

クリニック開業をスケジュールどおり進めるポイントは次の3つです。

①退職の意向は半年前に伝える
②開業に関する資料は自宅に送付する
③予算をオーバーする見積もりに気をつける

①退職の意向は半年前に伝える

クリニック開業の遅くとも半年前には、現在の勤め先に退職の意向を伝えましょう。労働基準法では、雇用期間の定めがない場合は申し出から2週間での退職が認められています。しかし「業務の引き継ぎが十分に行えない」「上司・同僚との関係性が悪くなる」などのリスクがあります。業務の引き継ぎを確実に行って円満に退職するには、クリニック開業の半年前に退職の意向を伝えましょう。

②開業に関する資料は自宅に送付する

開業の準備期間には、コンサルタントや医療機器メーカーからさまざまな資料が届きます。職場に資料が送付されて上司や同僚が発見した場合、関係性が悪化する懸念があります。退職まで周囲と良好な関係を保つために、開業に関する資料は自宅に送付してもらいましょう。

③予算をオーバーする見積もりに気をつける

内装や医療機器の選定時は、費用が予算からオーバーしないように注意しましょう。例えば、内装で設置する機材はメーカーによって費用に差があります。機能や材質が同じ場合、予算の範囲内で選んで費用を抑えましょう。また診療方針や医師の診療科目の得意分野によって、必要な医療機器は異なります。想定している患者層や地域の医療ニーズに応じて、クリニックで活用できる医療機器を導入しましょう。

まとめ

クリニックの開業には、事業計画の策定や行政への申請・届出など多くの準備が必要です。あらかじめスケジュールを整理して計画通りに進めると、予定通りクリニックが開業できます。 本記事で紹介した開業までのスケジュールを参考に、クリニックの開業準備を進めましょう。

執筆監修者:村田 卓也
執筆監修者:村田 卓也
株式会社メドレー 医科診療所事業部 事業戦略室/10年以上の医療ドメインにおけるキャリアを経て、株式会社メドレーに入社。同社ではフィールドセールスマネージャーとしてチーム育成や営業戦略の立案・実行を牽引し、『CLINICS』の年間数百件に及ぶ新規導入を実現。現在は事業戦略室にて、販売戦略からプロモーションまでを幅広く担う。医療機関の課題の本質を捉える深い洞察力と、現場に寄り添う真摯な姿勢は「単なるシステム導入に留まらない」と社内外ともに信頼が厚い。豊富な知見と人望を武器に、医療現場と市場を繋ぐ架け橋として日々邁進している。
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