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電子カルテのシェアと普及率|最新データで読み解くクラウド2強時代

電子カルテのシェアと普及率|最新データで読み解くクラウド2強時代

執筆監修者:CLINICS事務局

電子カルテ・レセコン

電子カルテの導入を検討するとき、「今、どのメーカーが選ばれているのか」「普及率は実際どこまで進んでいるのか」という市場の全体像は、判断のポイントになるものです。とりわけ近年は、新規開業のクリニックを中心にクラウド型が急速に広がり、「クラウド2強時代」と呼ばれる構図が鮮明になってきました。本記事では、最新の普及率データとシェア動向をわかりやすくまとめ、2030年の普及率100%目標に向けて加速する市場の今を解説します。自院にとって「本当に必要なシステム」を見極めるためのガイドとしてご活用ください。

⒈ 電子カルテの普及率の現在地

クリニックの電子カルテ普及率は、現在55.0%と半数をわずかに上回った段階です。ただ、この55.0%という数字、施設の規模や開業時期で切り分けると、まったく違う景色が見えてきます。

規模と開業時期で見る普及率

3年ごとに実施される厚生労働省の「医療施設調査」(直近は令和5年)によると、電子カルテの普及率は以下の通りです。

施設区分

普及率

大病院(400床以上)

93.7%

一般病院(全体)

65.6%

中規模病院(200~399床)

79.2%

小規模病院(200床未満)

59.0%

一般診療所(クリニック)

55.0%

大規模病院では9割を超える一方、クリニックでは約半数。2011年時点のクリニック普及率が21.2%だったことを思えば着実に伸びていますが、規模の小さい施設ほど導入のハードルが高いという実情が見えてきます。 ちなみに、開業時期で切り分けると差はさらに開きます。日経メディカルの2024年調査(医師774人対象)では、開業5年以下のクリニックの導入率が93.8%に達するのに対し、開業21年以上では47.1%にとどまりました。新規開業の現場では、電子カルテはすでに「入れるかどうか」ではなく「どれを選ぶか」に関心が移っているようです。

2030年に向けて加速する国の取り組み

「医療DX令和ビジョン2030」は、電子カルテの普及率100%を2030年末までの目標に掲げています。2023年に国の医療DX推進本部がまとめた工程表で示されたもので、すべての医療機関が患者さんの医療情報を共有できる体制づくりを目指しています。そのために国が進めているのが、クラウド型電子カルテの導入はもちろん、「電子カルテ情報共有サービス(※1)」や電子処方箋への対応など、医療機関の状況に応じた2つの取り組みです。
こうした制度面の動きだけでなく、電子カルテの使い勝手のよさも、普及を支えています。たとえば、複数の端末から同時にカルテを開けるようになれば、診察室と受付でスタッフが同じ情報をすぐ共有でき、転記や確認のやりとりが減ります。また、データを電子で持つことは、紙カルテの弱点だった紛失や災害時の消失への備えにもなります。さらにレセコンや検査機器とつなげば、会計や入力の手間まで省けます。こうした現場の実感も、普及を支える一因といえそうです。
※1 電子カルテ情報共有サービス:異なる医療機関間で患者さんの診療情報を、共通の標準規格(HL7 FHIRなど)を用いてやり取りするための仕組み。

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⒉ 電子カルテのシェア動向と読み解き方

普及率が過半数を超えた今、次に気になるのが「どのメーカーが選ばれているか」というシェアの話です。累計と直近、2つの軸からシェアの動向を読み解きます。

累計と直近で見る電子カルテシェア

比較項目

累計シェア(全医療機関)

直近シェア(新規開業中心)

主な特徴

長年の実績と全国的な保守網

医療DX対応・クラウド・コスト重視

上位メーカー

Medicom、富士通、ユヤマ等

CLINICSをはじめとするクラウド型メーカー

システム形態

オンプレミス・ハイブリッド中心

クラウド型が大多数

市場トレンド

リプレイス(買い替え)期に突入

「クラウド2強」が鮮明に

※日経メディカル「電子カルテ・ICT導入に関するアンケート」の調査結果を参考に作成

この表で注目したいのは、累計と直近で上位のメーカーが入れ替わる点です。 累計では、Medicom(ウィーメックス)をはじめとする老舗メーカーが上位を占めます。クラウド型が広まる前からオンプレミス型で導入されてきた蓄積に加え、全国に広がる保守網と長年の導入実績に支えられた層の厚さが、その強さの理由です。 ところが直近の新規開業に絞ると顔ぶれは一変し、CLINICSやエムスリーデジカルといったクラウド型が上位に並びます。これが「クラウド2強」と呼ばれる構図です。新規開業がクラウド型を選ぶ理由は、初期費用と制度対応の2つ。院内にサーバーを置くオンプレミス型は初期投資が数百万円規模になる場合もありますが、クラウド型は月額制で開業時の負担を抑えられます。さらに、診療報酬改定やオンライン資格確認、電子処方箋といった複雑な制度変更にもシステム側が自動で対応するため、現場の手間がかかりません。この身軽さが、開業時に選ばれる決め手になっているようです。 ただし、シェアの高さがそのまま「自院にとっての正解」になるとは限りません。電子カルテは日々の診療を長く支えるシステムですから、自院の診療スタイルや運用体制との相性が何より大切です。

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⒊ データから見えるこれからの選び方

市場の全体像をつかんだところで、実際に電子カルテを選ぶ際に押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。製品選びの基準は、これまでの「とにかくデジタル化する」から、「これからの制度に対応し続けられるか」へと移りつつあります。

クラウド型を前提にする

標準仕様に対応したクラウド型が推奨される流れを踏まえると、新規導入か買い替えかを問わず、これを前提に比較するのが現実的です。導入時には、インターネット障害に備えた副回線の準備など、ネットワーク環境もあわせて確認しておきましょう。

「連携性」を軸に考える

電子カルテは単体で完結するものではありません。予約システム、WEB問診、電子処方箋、自動精算機など、周辺システムとスムーズにつながるかどうかが、導入後の業務効率を大きく左右します。なかでも、先に触れた「電子カルテ情報共有サービス」への対応は国が進める医療DXの根幹にあたるため、メーカーの対応状況や今後の方針を確かめておくと安心です。

サポート体制を確認する

電子カルテは導入して終わりではなく、使いこなして初めて価値が出ます。操作方法の問い合わせ、診療報酬改定時のアップデート支援、トラブル時の復旧対応など、サポートの手厚さは、ITに不慣れなスタッフが多い環境ほど重要になります。デモの段階で、操作性だけでなく、サポート窓口の対応時間や手段(電話・リモートなど)も確認しておきましょう。

自院に合ったレセコン連携の形を選ぶ

レセコン(レセプトコンピュータ)との連携形態も大切なチェックポイントです。事務負担を最小限にしたいなら「レセコン一体型」、既存のレセコンを活かしたい場合やカスタマイズの自由度を求めるなら「ORCA連動型」など、自院のスタイルに合った形を選びましょう。

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⒋ 電子カルテのシェアと普及率でよくある疑問

ここまで見てきたシェアと普及率について、特に多く寄せられる疑問にお答えします。

Q1. シェアの高いメーカーを選べば間違いないですか?

シェアの高さは「多くの医療機関に選ばれている」という安心材料ではありますが、自院にとっての最適解になるとは限りません。診療科によって必要な機能は異なりますし、スタッフのITへの慣れや、既存のレセコン・周辺機器との連携状況によっても、使いやすい製品は変わってきます。シェアはあくまで候補をしぼり込む入り口と考え、最後は無料トライアルやデモで使い心地を確かめてみるとよいかもしれません。

Q2. 普及率の調査データはいつ更新されますか?

本記事の55.0%という数値は、厚生労働省の「医療施設調査(令和5年)」によるものです。この調査は3年ごとに実施される全数調査(静態調査)のため、次回は令和8年(2026年)調査での更新となる見込みです。市場の動きをもっとこまめに追いたい場合は、日経メディカルなど民間調査機関が毎年実施しているアンケート調査もあわせて見ると、全体像がつかみやすくなります。

Q3. 2030年までに普及率100%は本当に達成できますか?

現時点の55.0%から100%まで、残された期間は約4年半。決して容易な数字ではありません。ただし国は、この目標に向けて複数の施策を同時に進めています。なかでも期待されているのが、医科診療所向けの標準仕様の策定と、未導入の施設でも導入しやすいクラウド型の「標準型電子カルテ」の普及です。2026年度以降の全国展開が目指されています。未導入の診療所は約4万7千施設にのぼります。この低価格な標準型電子カルテがどこまで広がるかが、目標達成の鍵になると見られています。

まとめ

クリニックの電子カルテ普及率は55.0%と過半数を超え、新規開業に限れば9割以上が導入する時代になりました。シェアに目を向けると、累計では老舗のオンプレミス型が市場を支える一方、直近の新規開業ではクラウド型が主役となり、「クラウド2強」と呼ばれる構図が鮮明になっています。2030年の普及率100%という目標に向けて、市場はこれからも動き続けます。今回ご紹介したシェアや普及率の数字は、その大きな流れをつかむためのものです。こうしたデータを参考にしながら、自院にとって納得のいく選択につなげていただければと思います。

【参考資料】
電子カルテシステム等の普及状況の推移/厚生労働省
第24回 電子カルテ導入シェアランキング2024速報/日経メディカル開業サポート
医療DX推進本部/内閣官房
電子カルテの普及について(第26回 医療等情報利活用WG資料)/厚生労働省
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。診療報酬や制度の詳細については、厚生労働省の公式発表や各メーカーの最新情報を必ずご確認ください。 ※記事内で紹介しているシェアデータは日経メディカルの調査結果を参考に構成したものであり、市場全体の正確なシェア率を保証するものではありません。

執筆監修者

CLINICS事務局

株式会社メドレー

医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。

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