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電子カルテの義務化はいつから?法改正で見えた「いま」と備え
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「電子カルテの義務化は、いつから始まるんだろう」。診療の合間に、そんな考えが頭をよぎることはないでしょうか。マイナ保険証や医療DXの話題が飛び交うなかで、「結局いつ何をすればいいのか」と、疑問や不安を抱える方は少なくないはずです。現時点で、強制的な義務化は行われていません。しかし、2025年の改正法で「2030年の普及率約100%が国の目標」と法律に明記されたことで、流れが少しだけ変わってきています。つまり、これからは「義務化を待つ」ではなく、「すでに動き出した流れにどう乗るか」が焦点となります。本記事では、「電子カルテの義務化」をわかりやすく解説します。今後のクリニック経営の指針として、お役立ていただければ幸いです。

1.電子カルテ義務化の「いま」を正しく知る
2025年12月、医療法等の一部を改正する法律が成立し、「2030年までに電子カルテの普及率を約100%にする」という目標が初めて法律に明記されました。これまでの努力目標が、法的な裏づけを持つ国の方針へと変わったのです。現在の普及率は診療所で55.0%、一般病院で65.6%(2023年の医療施設調査)です。半数強が導入したものの、2030年の100%まではまだ距離があるので、焦る段階ではないでしょう。ただ、この流れ自体は続いていくため、時間のある今のうちに考えておくことをおすすめします。
2030年までの流れ
- 2025年12月:医療法等の一部を改正する法律が成立。2030年の普及率約100%が政府目標として法律に明記
- 2026年6月:令和8年度診療報酬改定で、加算が「電子的診療情報連携体制整備加算」へ再編
- 2026年度冬:電子カルテ情報共有サービスの本格運用開始(予定)
- 2026年度中:国のクラウド型「標準型電子カルテ」完成目標
- 2030年12月末:電子カルテ普及率約100%(法定の政府目標)
診療報酬・情報連携・システム整備が年を追って重なり合い、電子カルテを前提とした仕組みへ医療全体が少しずつ移っていきます。義務化という言葉の裏で進んでいるのは、この環境整備です。
2.強制ではない義務化のリアル
強制ではないことがわかったところで安心して止まってはいけません。実は、電子カルテの導入を後押しする流れはすでに始まっているからです。その実質的な理由を3つにわけて解説します。
電子カルテを後押しする3つの理由
①診療報酬が電子化に連動する 令和8年診療報酬改定で、医療DX関連の加算が「電子的診療情報連携体制整備加算」へ再編されました。電子カルテや情報共有サービスを使っているかどうかが算定できる点数に直結し、初診・再診のたびにこの差が積み重なります。年間を通して考えれば、電子化の有無がクリニックの収益を左右する可能性もあります。
②全国規模の情報連携が始まる 2026年度冬には「電子カルテ情報共有サービス」の本格運用が予定されています。紹介状や検査結果などを他の医療機関とやり取りできるようになりますが、標準規格に対応した電子カルテの導入が必須となります。
③費用のハードルが下がっている 導入や改修には中小企業庁の「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)を活用できる場合があります。さらに、国が開発を進める「標準型電子カルテ」はクラウド型で低コストの導入を想定しており、2026年度中の完成が目標です。
3.電子カルテ義務化のよくある疑問
電子カルテの義務化をめぐって、よく寄せられる疑問にお答えします。
Q1.導入費用に補助金は使えますか?
使える場合があります。中小企業庁の「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)が代表的で、ソフトウェアの導入費用などが補助の対象です。ただし、対象や補助額、申請の要件は年度ごとに見直されます。検討を始めた段階で、最新の公募要領を確認しておくと安心です。
Q2.何から準備を始めればよいですか?
まずは、自院のシステムを次にいつ更新するか、その時期を確かめるところからです。買い替えや更新のタイミングは、電子カルテを考える自然な区切りになります。そのうえで、気になるメーカーをいくつか選んでデモを試し、操作性やサポート体制を見比べてみてください。時間に余裕のある今のうちに、ひとつずつ進めておくと安心です。
Q3.選ぶときは、どこを基準にすればよいですか?
これからの制度を見据えるなら、標準規格に対応し、診療報酬改定や制度変更に合わせてアップデートされるかどうかが一つ目の基準です。もう一つは使い勝手で、日々の操作のしやすさや、予約・問診・会計といった院内の仕組みと無理なくつながるかを確かめます。この二つがそろっていれば、長く使い続けられるシステムに出合えます。
Q4.紙カルテのまま続けても問題ありませんか?
紙カルテのままでも診療は続けられます。ただ、電子カルテの利用を前提とした加算や情報連携が広がるにつれ、できることに差が出てきます。日本医師会の2025年調査でも紙カルテ診療所の54.2%が「導入はできない」と回答しており、現場ごとの事情があるのも事実です。進め方は自院の状況に合わせて決めていくものです。焦らず見極めていきましょう。
4.まとめ
電子カルテをめぐる動きは、いつか突然始まるものではなく、すでに少しずつ進んでいます。とはいえ、個々のクリニックがすぐに何かを迫られるわけではありません。大切なのは、制度に追われて選ぶのではなく、日々の診療がスムーズになるシステムを自院のペースで選ぶことです。カルテを探す手間が消え、転記ミスが減り、災害時にもデータが守られます。こうした実利のために選んだものは、結果として長く使い続けられます。クラウド型診療支援システムのCLINICS(クリニクス)は、標準規格に対応し、診療報酬改定や制度変更へのアップデートが自動で行われます。予約・問診・カルテ・レセコン・決済までを一本につなぎ、これからの情報連携を前提とした体制づくりを支えます。電子カルテ選びに迷われたときは、選択肢のひとつとしてお気軽にご相談ください。
【参考資料】
医療法等の一部を改正する法律の成立について(報告)/厚生労働省
電子カルテの普及について(第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会)/厚生労働省
デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました/中小企業庁
紙カルテ利用の診療所の電子化対応可能性に関する調査/日本医師会
※本記事の内容は2026年7月時点の情報に基づいています。制度・スケジュール・補助金の要件は変更される場合があります。最新情報は厚生労働省など各機関の公式サイトで必ずご確認ください。
執筆監修者
CLINICS事務局
株式会社メドレー
医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。