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クラウド型電子カルテとは?移行を迷う方への判断ガイド
「クラウドに変えたいけれど、面倒で」「今すぐじゃなくても、そのうちに」。
そんなふうに、ずっと先送りにしている方も少なくないのではないでしょうか。ただ、クラウド型への移行は「システム入れ替え」というだけではなく、クリニック経営にも深くかかわる大切なことです。2025年の医療法改正で「電子カルテの普及率100%達成が政府の目標」と定められた今、「いつ・どう動くか」の判断は、今後の経営に少なからず影響します。とはいえ、長年使い慣れたシステムを変えるのは、決して小さな決断ではありません。本記事では、移行が推奨される意図や背景をはじめ、判断する際に知っておきたいさまざまな情報をわかりやすく解説します。クラウド型への移行を迷っている方の判断材料としてお役立てください。

⒈ そもそも「クラウド型」とは?
クラウド型電子カルテとは、院内にサーバーを置かず、インターネット経由でメーカーのシステムをSaaS形式で利用する電子カルテのこと。患者さんの診療記録などのデータは、メーカーが管理する堅牢なデータセンターに保管されます。PCやタブレットさえあれば場所を選ばず、訪問診療中や外出先からでもカルテにアクセスが可能です。さらに、制度改正や機能更新への対応もメーカー側が自動で行うため、クリニックは「改定のたびに追加費用をかけてシステムを更新する」という手間から解放され、常に最新の環境で電子カルテが使えます。便利で賢い、それがクラウド型の特長といえそうです。
「SaaSとは?」 |
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SaaSとは「Software as a Service」の略で、ソフトウェアを「購入して所有する」のではなく、「必要な分だけサービスとして利用する」という提供形態のことです。GoogleやMicrosoftのシステムのように、インターネット経由でどこからでも使えるサービスがSaaSの代表例です。システムはメーカーのサーバー上で動いているため、クリニック側でソフトをインストールしたり、バージョンを管理したりする必要がありません。クラウド型電子カルテの多くがこの形態をとっており、「導入したら終わり」ではなく「使い続けながら進化していく」システムとして設計されています。 |
電子カルテそのものについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:【今、読むべき】「電子カルテとは?」を徹底解剖した完全攻略ガイド
⒉ なぜ「今」移行が求められているのか
クラウド型への移行が話題に上るのは、単なる流行ではありません。セキュリティ環境と国の制度という2つの大きな流れが、ちょうど今、重なっています。
セキュリティの「常識」が逆転した
かつては「大切な患者さんのデータは、手元の院内サーバーで管理するのが一番安全」という考え方が主流でした。しかし、医療機関を標的にしたサイバー攻撃が相次ぐ今、この常識は逆転しています。2024年には鹿児島県の病院がランサムウェア攻撃を受け複数のシステムに障害が発生し、救急・外来の受け入れを制限する事態になりました。院内サーバーには、OS更新の漏れ、機器の老朽化、災害による物理的な損傷など、ひとつのクリニックだけでは管理しきれないリスクがつきまといます。専門技術者が24時間体制で監視するデータセンターを利用するクラウド型は、「自院で守る」より「専門家に預ける」ほうが安全という評価が定着しつつあります。
国の「制度」が動き出した
2025年12月の医療法改正により、「2030年末までに電子カルテの普及率を約100%とすること」が法律に明記されました。厚生労働省の医療施設調査では、一般病院で65.6%、一般診療所で55.0%(令和5年10月時点)にとどまります。国はこの状況を踏まえ、2027年度を「標準規格対応システム」への切り替え推奨の節目としています。その具体的な取り組みのひとつが、デジタル庁が開発を進める「標準型電子カルテ」です。小規模な医療機関でも導入しやすいよう、SaaS形式での提供や電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスへの対応が要件として定められています。民間メーカー向けの標準仕様策定も進んでおり、次のシステム選びでは標準仕様への対応状況が重要な選定基準になります。
⒊ 移行を迷う方の「よくある疑問」にお答えします
移行に踏み切れない理由は、人それぞれです。費用のこと、スタッフへの負担のこと、今のデータはどうなるのか。そうした疑問に、わかりやすく丁寧にお答えします。
Q1. クラウド型で費用はどう変わりますか?
数百万円規模の初期投資が不要になり、月額利用料として経費を平準化できるため、経営の見通しが立てやすくなります。サーバーの買い替えや保守費用からも解放され、診療報酬改定への対応もメーカーが一括して行ってくれるので、改定のたびに発生していた追加費用や手間もなくなります。月額費用はメーカーによって異なりますが、クリニック向けでは1万〜5万円程度が目安です。所有コストから利用コストへの転換が、クラウド型の大きなメリットです。
Q2. 導入までどれくらい期間がかかりますか?
クラウド型はオンプレミス型と比べて機器設置や環境構築が不要なため、導入のハードルは低めです。ただし、メーカー選定から稼働までは3〜6ヶ月程度が目安です。メーカーへの相談・デモ・契約・データ移行・スタッフ研修と段階を踏むため、開業日や繁忙期から逆算して早めに動き出すことをおすすめします。
Q3. ITが苦手なスタッフでも使えますか?
クラウド型はWebブラウザで操作するため、普段スマートフォンやパソコンを使い慣れている方なら、スムーズに操作できます。多くのメーカーが、導入時の操作研修や導入後のサポート体制を備えています。サポートが充実しているかどうかは、メーカー選びの重要な判断基準のひとつです。
Q4. 今の紙カルテやデータはどうなりますか?
紙カルテからクラウド型へ移行する場合、すべてのデータを一度に移す必要はありません。多くのクリニックでは、直近の主要データを新システムに移行し、古いカルテは参照用として手元に保管しています。移行の範囲・方法・費用はメーカーによって異なるため、複数社に確認して比較することをおすすめします。既存のパソコンやプリンターが引き続き使えるかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。
Q5. ネット接続が切れたらどうなりますか?
接続が切れると一時的にカルテの操作ができなくなります。ただ、院内Wi-Fiを医療用途専用に整えてバックアップ回線を用意しておくなど、備えることで影響を最小限に抑えられます。製品によっては、回線が切断されても入力を続けられ、復旧後に一括送信できるオフライン同期機能を備えたものもあります。契約前のデモ操作で、実際の動作を確認しておくと安心です。
Q6. セキュリティは大丈夫ですか?
クラウド型は、院内サーバーよりセキュリティ水準が高いと考えられています。なぜなら、データはメーカーが管理する専用のデータセンターで厳重に保護されており、個別のクリニックで管理するより安全な環境が整っているからです。ただしメーカーによって水準は異なるため、導入前にセキュリティへの取り組みを確認してみてください。メーカーの最新シェア動向や比較は、以下の記事で詳しくまとめています。
関連記事:【2026年最新】電子カルテの普及率とシェア動向を解説!クラウド2強時代の選び方とは
関連記事:【2026年最新】電子カルテおすすめメーカー12選!「2027年」に備えるための最善策
⒋ まとめ
電子カルテのクラウド化は、「決断」というより「準備」から始まるものだと思います。何を知った上で選ぶか。その積み重ねが、数年後のクリニック経営に確かな差をもたらします。制度の目標は2030年、推奨の節目は2027年。その逆算から考えると、情報収集を始める時期はすでに「今」です。本記事が、その判断の一助となれば幸いです。

CLINICSは、クラウド型・レセコン一体型の電子カルテを中心に、Web予約から問診・オンライン診療・経営分析までを一気通貫でつなぐオールインワンシステムです。標準仕様への対応はもちろん、AIによる入力支援や制度改正への自動対応を備え、導入後の運用まで専任スタッフが伴走します。移行に関するご不安やご質問は、お問い合わせよりお気軽にどうぞ。
【参考資料】
電子カルテシステム等の普及状況の推移/厚生労働省
「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム/厚生労働省
電子カルテの普及について(第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会)/厚生労働省
電子処方箋・電子カルテの目標設定等について(第196回社会保障審議会医療保険部会)/厚生労働省
令和8年度 標準型電子カルテ導入版の設計・開発業務 調達仕様書/デジタル庁
※本記事の内容は2026年6月時点の情報に基づいています。制度・開発スケジュール・各システムの仕様は変更となる場合があります。最新情報は必ず公的機関および各メーカーにご確認ください。

執筆監修者
CLINICS事務局
株式会社メドレー
医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。