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【2025年版】電子カルテ導入に利用できる補助金は?「IT導入補助金」の申請方法や難易度について解説

目次[非表示]

  1. 1.そもそも補助金とは何か
    1. 1.1.国または地方公共団体が事業者に対して行う返済不要な金銭の給付
    2. 1.2.必ずしも受給できるわけではない
  2. 2.クラウド電子カルテが対象となる補助金
    1. 2.1.IT導入補助金とは
      1. 2.1.1.制度概要
      2. 2.1.2.申請方法
  3. 3.2025年度申請スケジュール
    1. 3.1.採択率
    2. 3.2.採択後の流れ
    3. 3.3.1.厚生労働省標準規格に基づいたツールを選定する
    4. 3.4.2.加点対象を加味した事業計画を作成する
    5. 3.5.3.提出書類の期限に気を付ける
  4. 4.東京都病院診療情報デジタル推進事業とは
    1. 4.1.東京都病院診療情報デジタル推進事業の概要
    2. 4.2.東京都病院診療情報デジタル推進事業に該当する条件
    3. 4.3.東京都病院診療情報デジタル推進事業の申し込み条件
  5. 5.電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金とは
    1. 5.1.電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の概要
    2. 5.2.電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の条件
    3. 5.3.電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の補助額
    4. 5.4.電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の申請方法
    5. 5.5.電子カルテ補助金に関するよくある質問
    6. 5.6.質問1.他の補助金を受けていても、電子カルテ導入の補助金申請は可能ですか?
    7. 5.7.質問2.電子カルテ導入のための補助金は、IT導入補助金以外にありますか?

そもそも補助金とは何か

補助金とは、国や地方公共団体が事業者に対して返済不要の金銭を給付する制度で、特定の事業や活動の支援を目的としています。ただし、すべての申請者が必ずしも受給できるわけではなく、条件や審査を通過する必要があります。以下で解説していきます。

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国または地方公共団体が事業者に対して行う返済不要な金銭の給付

国が補助金を交付する目的は、国の政策目的にマッチする事業者(法人・個人など)の取組みを金銭的に支援することにより、政策目標を達成することです。

税金などの貴重な財源を使用するため、法令や予算での定めに従って、公正かつ効率的に給付するように運営されています。

補助金に関する法律には次のようなものがあります。

なお、政府が金銭を給付することを「交付する」といいます。

必ずしも受給できるわけではない

上記の背景から、補助金の手続きを必要とし、公益性や各補助金の支給目的などに基づき、一定の申請条件や審査があります。

審査によって補助金を交付する事業者を選ぶことを「採択」といい、採択された事業者のことを「交付決定事業者」といいます。

なお、補助金に類するものとして、給付金や助成金などがあり、審査の有無や財源の違い、支給率などで分類することはできるものの、法律上の明確な定義はなく、例外も存在するため、ここでは特に断りが不要な場合は補助金という言葉で統一します。


クラウド電子カルテが対象となる補助金

2025年1月現在、クラウド電子カルテが対象となる補助金は、経済産業省管轄の「IT導入補助金(正式名称:サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金)」があります。

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IT導入補助金とは

出典:IT導入補助金2025

2017年度から経済産業省と独立行政法人中小企業基盤整備機構の監督のもと、実施されている補助金です。

中小企業・小規模事業者(以下「事業者」)が「自社の置かれた強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただく」ために、経費の一部が補助されます。

申請においては、ITツールを取り扱うIT導入支援事業者が申請をサポートします。

制度概要

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援するため、業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するITツールの導入を補助する制度です。事前に事務局の審査を受けて登録された、ソフトウェアやサービスなどのITツールが補助対象です。
補助金は、企業のニーズや目的に応じて5つの申請枠が設けられています。それぞれの目的や補助内容は以下のとおりです。


申請枠名
概要
補助率
補助額
通常枠

業務効率化や売上向上を目指し、ソフトウェアやクラウドサービスの導入を支援。

1/2以内、2/3以内

5万円以上450万円以下

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス制度対応の会計・受発注・決済ソフトや関連ハードウェアの導入を支援。

ソフトウェア:補助額50万円以下は中小企業3/4以内、小規模事業者4/5以内。50万円超は2/3以内。


ハードウェア:1/2以内

ソフトウェア:350万円以下


ハードウェア:PC・タブレット等は10万円以下、レジ・券売機等は20万円以下

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス制度対応の受発注システムを商流単位で導入する事業者を支援。

中小企業・小規模事業者:2/3以内


その他事業者等:1/2以内

350万円以下

セキュリティ対策推進枠

サイバーセキュリティ対策のためのサービス導入を支援。

小規模事業者:2/3以内


中小企業:1/2以内

5万円以上150万円以下

複数社連携IT導入枠

複数の事業者が連携してITツールを導入し、生産性向上を図る取り組みを支援。

枠の特性上、補助率・補助額は個別に設定

個別に設定

参考:IT導入補助金2025

上記のうち、電子カルテで利用できるのは一般的に「通常枠」です。

2025年の制度では、通常枠の補助率が一部拡大され、最低賃金の事業者に対しては補助率が2/3に引き上げられました。また、セキュリティ対策推進枠では、補助額の上限が150万円に拡大され、小規模事業者に対する補助率も2/3に引き上げられています。さらに、IT活用の定着を促す導入後の「活用支援」も新たに補助対象に追加されました。

申請方法

申請方法は次のとおりです。

<STEP 1:事業の理解>
まず、「IT導入補助金2025」のサイトや公募要領を読み、補助事業の内容を十分に理解してください。

<STEP 2:必要なアカウントの取得>
交付申請には「GビズIDプライム」アカウントが必要です。取得には約2週間かかるため、早めの手続きをおすすめします。

また、交付申請の要件にはGビズIDプライム取得に加えて、「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が必要です。宣言済アカウントIDの発行には約2~3日かかります。

<STEP 3:IT導入支援事業者とITツールの選定>
自社の業種や事業規模、経営課題に応じて、適切なIT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。

<STEP 4:交付申請の作成と提出>
IT導入支援事業者と協力して、以下の手順で交付申請を行います。
IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名などの基本情報を入力する
交付申請に必要な情報の入力や書類の添付を行う
IT導入支援事業者が、導入するITツール情報や事業計画値を入力する
『申請マイページ』上で入力内容を最終確認し、宣誓を行った後、事務局へ提出する

<STEP 5:交付決定>
申請内容の審査が完了すると、交付決定通知が届きます。通知を受けた後、補助事業を開始できます。

参考:新規申請・手続きフロー詳細 | IT導入補助金2025


2025年度申請スケジュール

2025年度におけるIT導入補助金の申請スケジュールは、以下の通りです。

通常枠1次締切分
締切日
5月12日(月)※予定
交付決定日
6月18日(水)※予定
インボイス枠(インボイス対応類型)1次締切分

締切日

5月12日(月)※予定

交付決定日

6月18日(水)※予定

インボイス枠(電子取引類型)1次締切分
締切日

5月12日(月)※予定

交付決定日

6月18日(水)※予定

セキュリティ対策推進枠 1次締切分
締切日
5月12日(月)※予定
交付決定日
6月18日(水)※予定
複数社連携IT導入枠 1次締切分
締切日
6月16日(月)※予定
交付決定日
7月24日(木)※予定

参考:IT導入補助金2025|事業スケジュール

採択率

採択率は、50%程度と言われています。

業種問わず、申請内容や必要書類について明らかに不備がある(手引きの指示に従っていない)場合は問答無用で不採択になってしまうので、顧問税理士などの第三者やIT導入支援事業者と協力して申請することをお勧めします。

採択後の流れ

採択後は、所定の期間(事業実施期間と言います)内に申請時のITツールの契約・支払を示す書類を提出します。

その際もIT導入支援事業者が介在し、内容に不備がないことを確認します。この時点で、採択が取り下げになることはありません。

なお、不採択の場合でも、申請期間内であれば再度申請することができます。

IT導入補助金が交付されやすくなる3つのポイント

IT導入補助金が交付されやすくなるポイントは、以下の3つです。

  • 厚生労働省標準規格に基づいたツールを選定する
  • 加点対象を加味した事業計画を作成する
  • 提出書類の期限に気を付ける

それぞれ詳しく紹介します。

1.厚生労働省標準規格に基づいたツールを選定する

IT導入補助金が交付されやすくするには、厚生労働省標準規格に基づいたツールを選定しましょう。

厚生労働省標準規格に基づいたツールには、電子カルテなどの医療機器も対象になっています。

2.加点対象を加味した事業計画を作成する

加点対象に加味した事業計画を作成すると、IT導入補助金が交付されやすくなるのが特徴です。

IT導入補助金を申請する際に、IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。

加点対象の例は以下の通りです。

  • 「クラウドを利用する」
  • 「地域未来牽引企業で、目標を経済産業省に提出している」

加点対象を事業計画に加えることで、よりIT導入補助金が交付されやすくなります。事業計画を作成する際は、上記を意識しましょう。

3.提出書類の期限に気を付ける

IT導入補助金を交付されやすくするためにも、提出書類の期限には注意しましょう。個人事業主や法人などによって、提出が必要な書類は異なります。

個人事業主

  • 身分証明書
  • 住民票
  • 所得税納税証明書
  • 所得税確定申告書B

医療法人

  • 履歴事項全部証明書(申請日から3か月以内に発行されたもの)
  • 法人税の納税証明書(その1とその2の提出が必要)

注意が必要なのは、身分証明書と住民票です。

身分証明書として利用できるのは運転免許証や運転経歴証明書です。ただし、有効期限内でなければ、身分証明書として利用できないため注意しましょう。

また、住民票は発行してから3ヵ月以内のものでなければ利用できません。提出書類の期限は必ず守り、IT導入補助金を受け取れるようにしましょう。


東京都病院診療情報デジタル推進事業とは

ここでは、東京都病院診療情報デジタル推進事業について以下の項目ごとに紹介します。

  • 東京都病院診療情報デジタル推進事業の概要
  • 東京都病院診療情報デジタル推進事業に該当する条件
  • 東京都病院診療情報デジタル推進事業の申し込み条件

東京都病院診療情報デジタル推進事業の概要

東京都病院診療情報デジタル推進事業とは、東京都福祉保健局が実施している事業です。病院への電子カルテ導入のサポートが、事業内容です。

東京都病院診療情報デジタル推進事業に該当する条件

東京都病院診療情報デジタル推進事業に該当するには、200床未満の病院を開設しなくてはいけません。また、上記の条件に加えて以下に該当していることが必要です。

1.電子カルテシステムの導入又は更新後、1年以内に医療機関等における地域医療ネットワーク、又は公益社団法人東京都医師会の東京都全域を対象とした医療連携ネットワークである「東京総合医療ネットワーク」に、閲覧施設として参加すること。
2.デジタル技術を活用した地域医療連携システムを導入すること。
3.「東京総合医療ネットワーク」へ「データ開示施設」としての参加に向けた取組を進めること。
4.事業の効果検証のため、補助金の交付年度から5年間、構築した電子カルテシステムの実績、効果、課題等にかかる調査を提出する等、都に協力すること。

引用:病院診療情報デジタル推進事業

東京都病院診療情報デジタル推進事業の申し込み条件

東京都病院診療情報デジタル推進事業に申し込む手順は、以下の通りです。

  1. 交付申請書等など必要書類を提出する
  2. 交付を受けられるか審査を受ける
  3. 交付が決まる
  4. 変更申請を提出する
  5. 実績報告書等を提出する
  6. 額が確定する
  7. 請求・支払いされる

電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金とは


2024年3月31日に「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」が厚生労働省より発表されました。

ここでは電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の概要や条件、補助額などを紹介します。

  オンライン資格確認で活用できる補助金は?種類から申請方法まで徹底解説! オンライン資格確認を導入するにあたり、補助金の申請が可能です。オンライン資格確認を導入する場合、費用も高くなります。補助金を申請して効率良く導入していきましょう。 また、申請から交付までには時間がかかります。後から慌てることのないように、申請方法や注意点を理解しておくことが大切です。当記事では、オンライン資格確認導入で活用できる補助金や申請方法について詳しく解説していきます。 CLINICS(クリニクス)


電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の概要

「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」は、医療機関が電子カルテ情報共有サービスを導入する際の費用を一部補助する制度です。対象となるのは、既にオンライン資格確認システムおよび電子処方箋管理サービスを導入している医療機関です。

特に電子処方箋管理サービスについては、導入の意思表示があれば申請可能とされています。

参考:電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金

電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の条件

補助金申請には以下の条件を満たす必要があります。

  • オンライン資格確認システムおよび電子処方箋管理サービスを導入済みであること。
  • 電子カルテ情報共有サービスを利用可能なシステム環境の整備が完了していること。
  • 申請期間は、令和6年(2024年)3月から開始され、令和13年(2031年)9月30日までに申請を行う必要があります。

電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の補助額


補助率は1/2で、病院の規模によって上限額が異なります。たとえば、病床数200床以上の大規模病院では、最大657.9万円が補助されます。

補助額は病院の規模や導入内容によって異なるため、詳細は公式ガイドラインを参照してください。

電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金の申請方法


補助金を申請する手順は以下の通りです。

  1. 電子カルテ情報共有サービスを利用可能なシステム環境を整備する。
  2. 費用を精算し、領収書および領収書内訳書を受領する。
  3. 医療機関等向け総合ポータルサイトを通じて補助金を申請する。
  4. 補助金申請後、電子カルテ情報共有サービスの利用申請を行う。
  5. 運用開始日が決定次第、速やかに入力する。

これらの条件や手順を満たさない場合、補助金の返還が求められることがあるため、最新の情報を確認しながら手続きを進めることが重要です。最新情報は厚生労働省や関連サイトで確認してください。


電子カルテ補助金に関するよくある質問

電子カルテ補助金に関するよくある質問は、以下の通りです。

  • 他の補助金を受けていても、電子カルテ導入の補助金申請は可能ですか?
  • 電子カルテ導入のための補助金は、IT導入補助金以外にありますか?

疑問を解消できるように、それぞれ詳しく回答します。

質問1.他の補助金を受けていても、電子カルテ導入の補助金申請は可能ですか?

他の補助金を受けている場合、電子カルテ導入の補助金申請はできないものもあります。

厚生労働省が管轄している補助金をすでに申請している場合、同事業においてIT導入補助金の申請はできません。

一方、助成金であれば補助金よりも審査に通りやすい可能性があります。どうしても電子カルテ導入のお金を申請したい方は、助成金も検討してみましょう。

質問2.電子カルテ導入のための補助金は、IT導入補助金以外にありますか?

電子カルテ導入のための補助金は、IT導入補助金以外にも存在します。2023年4月からオンライン資格確認の導入が義務化される影響で、補助金の交付を見直しているようです。

上記のように、IT導入補助金以外にも電子カルテ導入をサポートする補助金はあります。併用できそうなものはうまく活用して、クリニックに電子カルテを導入しましょう。

まとめ

ここまで、クラウド電子カルテが対象となる補助金やIT導入補助金が交付されやすくなる3つのポイントなどを紹介しました。

電子カルテを導入する際は、IT導入補助金を利用できます。しかし、誰でもIT導入補助金の審査に受かるわけではありません。

加点対象に加味した事業計画を作成する、提出書類の期限に注意するなどの対策が必要です。

電子カルテの導入を検討している方は、導入費用を抑えられるようにIT導入補助金をうまく活用しましょう。

 
執筆監修者:CLINICS編集部
執筆監修者:CLINICS編集部
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