クリニックの内装で注意すべきことは?注意点や傾向をご紹介
クリニックの開業において一番お金がかかるのは、建築や内装などの建物にかかる費用です。土地を購入してから建物を一から建てる場合は億を超えることもあります。
この記事では、クリニックにおける外観・内装のポイントについて記載します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
- クリニック内装の近年の設計事情
- 各診療科のデザインのポイント
- クリニックでの一般的な内装
- 内装で気をつけたいこと4選
ぜひ今後クリニック内装を検討する際の参考にしてください。
関連記事:失敗しないクリニック開業手順を徹底解説
目次[非表示]
- 1.クリニック内装の近年の設計事情
- 1.1.(1)医療機関らしさの違い
- 1.2.(2)バリアフリー化
- 1.3.(3)コロナウイルス対応
- 2.クリニックでの一般的な内装
- 3.クリニックの内装で気をつけたいこと
- 3.1.①カルテ棚は広く確保する
- 3.2.②診療室・待合室は広くゆとりをもって
- 4.まとめ
クリニック内装の近年の設計事情
開業を決意して外装や内装をしっかり整えたのに、実際に運営を始めたら不便だったり、デザイン性に穴があったり……。結局改装する羽目になってしまったら元も子もありません。そのため、クリニック開業時に気を付けたいポイントを把握しておく必要があります。まずは、クリニック内装の近年の設計事情について押さえておきましょう。
(1)医療機関らしさの違い
古いクリニックというのは、待合室のビニール張りの椅子や、リノリウムの床など、内装を見ればまさに「医療機関らしい」内装になっているところがほとんどです。それに対して新しいクリニックは、「医療機関らしくない」デザインを採用しているところが多くなっています。
古いクリニックが冷たいイメージ・シンプルなイメージなところが多いのに対して、新しいクリニックはカフェのようであったり高級感のあるホテルのようであったりと、温かみがあり、おしゃれなイメージで作られています。
これは、クリニックでの考え方が「患者を診察する」から、「患者をおもてなしする」という方向にシフトしていったからと考えられます。
(2)バリアフリー化
国が2006年ごろから進めているバリアフリー化の法制度は、不特定多数の人が出入りする医療機関も対象になっており、具体的な寸法や要件の記載や行政への確認方法が細かく決まっています。
そのため、2006年以降に開業したクリニックは、段差・廊下幅・トイレ・出入口などをバリアフリー化した内装がほとんどです。
参考:東京都都市整備局「建築物バリアフリー条例パンフレット」
(3)コロナウイルス対応
いまだに流行している新型コロナウイルスの影響は、クリニックの内装の考え方を変えました。特に人同士の接触や距離、換気についての考え方は大きく変化し、待合室にも手洗い場を設けたり手指消毒コーナーを設けたりする・窓のある場所に待合室を配置するなどの設計がより好まれる傾向が顕著です。
クリニックでの一般的な内装
もちろん、ここで紹介することだけが正しいとは言えません。診療科目やクリニックのコンセプト、テナントの条件や広さよって大きく変わります。そこでここからは、クリニックで一般的に採用されやすい内装について解説します。
受付
受付は出入り口の近くや正面などにレイアウトできると、患者が来院したことが分かりやすくなります。また、クリニックの規模感にもよりますが、受付スタッフは2~3人程度いることが多く、かつ備品が多く置かれますから、間口が2m以上あるのが望ましいとされています。
【受付に置かれることが多い備品】
- 電子カルテ
- レセコン
- プリンター
- スキャナー
- レジ
- 電話、ファクス など
診察室・待合室
診察室・待合室は後述もしますが、基本的に広く間口をとるのがおすすめです。診察ベッド、診察デスクを置き診察を行う場合、車椅子が通過する可能性がある場合はより大きな診察室が必要となります。待合室と診察室はプライバシー保護に配慮し、防音仕様にしましょう。
また、ドアは観音扉よりも引き戸のほうがスペースを有効活用できるとされています。診察室には給水設備が近くにあると便利です。
そのほか、X線室や処置室など、診療科目によって必要になる部屋が異なります。それぞれに広さや余裕を持ち、コンセプトに沿った内装にそろえましょう。
クリニックの内装で気をつけたいこと
おおむねのクリニック内装についての知識が分かったところで、ここからは、クリニックの内装を作るときに実際に気を付けたいことを紹介します。どの診療科目でも共通するところをメインに紹介します。
①カルテ棚は広く確保する
電子カルテが広く一般化されてきた現代、新規で開業するクリニックのほとんどが電子カルテの導入を決めています。それにともなって、カルテ棚を小さくするクリニックも多くなっています。しかし、電子カルテで患者さんの情報を残していくと決めていても、診察内容や病種によっては紙に印刷した上で保管する場合もあります。
カルテ棚は、基本的に受付の後ろや横の棚に配置されます。その場で過ごし続ける以上、ものはだんだんと増えていくことも念頭に置いた上で内装を決めるのがおすすめです。
メドレーが提供している「CLINICS電子カルテ」は、使いやすいデザインで、医師の方々から高い満足度を得ています。電子カルテを導入して、スムーズな医療シーンを作っていきましょう。
②診療室・待合室は広くゆとりをもって
診察室や待合室を広くすることで、患者のストレスを軽減できます。このとき、自由に歩行ができる人の目線だけで動線設計をすると、高齢者や車いすの方、妊婦などは思った以上に行動し辛くなるものです。できるだけ広々とした動線を確保するようにしましょう。
また、診療科目によってもクリニック内のゆとりの持たせ方は異なります。小児科の場合はかなりの確率で同伴者がいますし、ベビーカーを置くスペースや子どもが遊ぶスペースが必要になります。
高齢者が多く訪れる形成外科などでは、車いすや松葉づえの人が多いと見越して待合室はそれなりに広めに設計しましょう。美容整形外科や精神科の場合はプライバシーのために隔離した待合室を用意することもあります。
まとめ
自分が満足できる内装設計にするのはもちろん大切なことですが、それ以上にクリニックの内装を考えるときに最も大切なことは「クリニックは患者さんのための空間である」ということです。
建築会社に依頼をする際には、いままでクリニックの建築にかかわったことがあるか、バリアフリー条例に対する知見があるかなど、設計事務所や施工会社の実績をしっかり確認するようにしましょう。