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クラウド型電子カルテを導入する上で、過去のデータやハードウェアはどうするの?

クリニック開業から数年。ようやく患者様も定着し、経営も軌道に乗り始めた矢先、電子カルテ/レセプトコンピュータ(以下、レセコン)の契約更新のお知らせが......。クリニック運営の主幹となるシステムでもあるため、悩んだ末に更新費用をお支払いすることに......。

皆様、このようなご経験をお持ちではないでしょうか?

従来のオンプレミス型(以下、オンプレ型)カルテ/レセコンの場合、おおよそ5年毎の定期的な買い替えや更新が必要となり、大幅な追加費用が発生するケースが大半です。
※ オンプレ型=院内サーバ型

一方、最近では初期費用/月額費用ともに安価なクラウド型電子カルテが普及し始めていますが、いざ実際に導入を検討するとなると何から手を付ければよいのか、悩まれてしまう方も多いかと思います。

今回は、クラウド型電子カルテを導入するにあたり、あらかじめ押さえておくべきポイントについて具体的な手順を交えてお話しします。現在ご利用中のシステム構成の確認から、契約解除後のハードウェアの取り扱い、また、新しい電子カルテ/レセコンへの移行可能なデータ範囲や、導入後の運用方法に至るまで──。

今後のクリニック運営の選択肢の一つとして、クラウド型電子カルテ導入までの流れを頭に入れておきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.そもそもクラウド型電子カルテとは
  2. 2.クラウド型電子カルテを導入する上で押さえるべきポイントとは?
    1. 2.1.現在の運用構成を確認する
    2. 2.2.現在の契約形態/契約期間を確認する
      1. 2.2.1.契約形態
        1. 2.2.1.1.サービスの利用契約
        2. 2.2.1.2.OSのサポート/保守契約
        3. 2.2.1.3.機材のサポート/保守契約
        4. 2.2.1.4.ネットワークのサポート/保守契約(オンライン請求含む)
      2. 2.2.2.契約期間
    3. 2.3.現在の保守範囲を確認する
    4. 2.4.現在利用中のパソコンやサーバの取り扱いを検討する
      1. 2.4.1.推奨端末/推奨環境
      2. 2.4.2.セキュリティ
    5. 2.5.現在利用中のパソコンやサーバの処分方法を検討する
      1. 2.5.1. リース会社へ返却/依頼する
      2. 2.5.2.外部委託会社へ依頼する
      3. 2.5.3.医療機関側で実施する
    6. 2.6.電子カルテ/レセコンのデータ移行可能範囲を確認する
    7. 2.7.カルテ載せ替え後の、過去カルテの保存/廃棄方法を検討する
    8. 2.8.今後の運用方法を検討する
  3. 3.まとめ

そもそもクラウド型電子カルテとは

クラウド型電子カルテとは、インターネット回線を通じて利用する電子カルテのことです。企業が管理するクラウドサーバにアクセスし、必要な患者情報やカルテ情報を参照、編集、保存、管理する機能を担っています。

クラウド型電子カルテが台頭するまでの医療業界においては、「紙カルテ」や、院内にサーバを設置し運用する「オンプレ型電子カルテ」が主流でした。

しかしながら、近年では「費用面」や「機能拡張性」「更新・メンテナンス」「バックアップ」等の観点から、クラウド型電子カルテを導入する医療機関が右肩上がりに増えています。

※ 関連記事:クラウド電子カルテとは?

クラウド型電子カルテを導入する上で押さえるべきポイントとは?

現在の運用構成を確認する

まずは、現在利用されているカルテについて、一度振り返ってみましょう。

一口に「カルテ」といっても、カルテ単体で稼働している訳ではなく、受付・会計業務を担う「医事会計システム(レセコン)」と連動していることがほとんどです。このカルテとレセコンは、切り分けて考えた方がわかりやすいでしょう。





レセコン
オンプレ型
クラウド型




オンプレ型
×
クラウド型
×

現在は、多くの医療機関にて、上記のように黄色く色付けされたシステム構成で電子カルテ/レセコンを導入しているケースが多いように見受けられます。

現在の契約形態/契約期間を確認する

前述のように、自院の運用構成を振り返った上で、ご利用中の電子カルテ/レセコンの契約形態や契約期間について、見てみましょう。

そもそも、なぜ契約の更新や買い替えが必要になるのでしょうか?オンプレ型電子カルテ/レセコンの場合、機材のリース契約と合わせて「通常5年前後の保守契約」を締結する事が多く、契約の更新や買い替え時期についても同様のタイミングになることが多くなります。

契約形態

主な契約形態としては、下記4つに分類されます。

カルテ/レセコン

サービスの利用契約

OSのサポート/保守契約

機材のサポート/保守契約

ネットワークのサポート/保守契約

(オンライン請求含む)

×
×
×
×

オンプレ型

クラウド型
×
×

電子カルテ/レセコンを利用する際、いずれの場合にも「サービスの利用契約」は締結されており、特に「オンプレ型」の場合には「OSのサポート/保守契約」「機材のサポート/保守契約」も含めた契約形態になるケースが一般的です。

サービスの利用契約

電子カルテ/レセコン等のサービスを利用するための契約で、主にソフトウェアやアプリケーション部分を利用するために生じるものです。「オンプレ型」の場合には、後述の「OSのサポート/保守契約」「機材のサポート/保守契約」と合わせた契約になるケースが多く、「クラウド型」においても、年単位や複数年単位での利用契約の更新が発生します。

OSのサポート/保守契約

電子カルテ/レセコンには、メーカー推奨のOS(バージョン含む)が指定されており、特定のOSの範囲内でのみ、アプリケーションの動作を保証する作りとなっています。

近年のWindowsOSのサポート終了を例に挙げると、Windows7/8/8.1ではマイクロソフト社側のサポートがすでに終了していたり、終了の予定が発表されていたりします。

そのため、オンプレ型電子カルテの推奨対象OSも順次引き上げざるを得ない状況で、次第にメーカー側のサポート対象から除外するような対策が取られています。これにより、新しいOSに対応した電子カルテ/レセコンへの買い替えが発生します。

もちろん、マイクロソフト社側のOSサポート終了後もパソコン自体は起動しますが、セキュリティ周りのアップデートプログラムが適応されないことが多々あります。脆弱性への対応がされていないパソコンを狙うマルウェアも多いため、いずれかのタイミングで新しいOSに対応した電子カルテ/レセコンへの買い替えが必然となります。

機材のサポート/保守契約

パソコンや複合機等のハードウェアに対して、不具合や故障が生じた時にサポートしてもらえる契約のことです。具体的にはメンテナンスや代替品の提供等の対応を行ってくれます。主に、「リース契約」と「購入契約」のいずれかとなっており、契約期間後の機材の返却有無の点で大きく異なってきます。

  • リース契約の場合:
    契約期間後は、対象の機材を返却する必要がある

  • 購入/買取契約の場合:
    契約期間後は、対象の機材を返却する必要がない
ネットワークのサポート/保守契約(オンライン請求含む)

院内ネットワークの敷設・設定・保守に関する作業や、各種連携におけるIPアドレス管理・振り出し等のネットワーク管理業務をサポート/保守してもらえる契約のことです。主には、下記3つのいずれかで実施されているケースが多くなります。

  1. 電子カルテメーカーが実施する場合
  2. ネットワーク管理業者へ委託されている場合
  3. 医療機関にて実施される場合

また、レセプト請求方法において「オンライン請求」を導入の医療機関の場合には、オンライン請求専用のネットワーク回線の保守/運用方法についても、あらかじめ検討しておく必要があります。

契約期間

「オンプレ型電子カルテ/レセコン」の場合、機材のリース契約と合わせ、基本的には5年前後での保守契約を締結されるケースが多く見受けられます。5年経過後については、利用契約と保守契約を更新する場合や、最新の機材やソフトを入れ替えた上で、再度リース契約を締結される場合があります。

「クラウド型電子カルテ」については、機材の準備自体を医療機関にて実施する必要があるため、サービスの利用契約のみを更新するケースが多くなっています。



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現在の保守範囲を確認する

なぜ現在利用している電子カルテ/レセコンの保守範囲を把握する必要があるのでしょうか?

「オンプレ型電子カルテ/レセコン」からの載せ替えの場合、同メーカーにて提供している「事務機器」「予約サービス」「レセプトオンライン請求用機材」等について、契約解除後に返却の義務が生じる可能性が 高くなります(特にリース契約の場合)。

  • 複合機/コピー機
  • スキャナー
  • 診察券発行機
  • 予約サービス
  • オンライン請求用機材
    ※ルーター/ハブ/外付けHDD/無停電装置(UPS)など

オンプレ型の場合、電子カルテ/レセコン以外にも上記のような機材提供/保守サポートが含まれていることが多く、解約するにあたり周辺機材を返却した後の具体的な運用方法についても、あらかじめ検討しておく必要があります。

また、購入契約の場合、新しく導入するクラウド型電子カルテで買い取り後の機材を再利用・再接続できない可能性が高いため、周辺機器の運用方法や院内ネットワークの環境整理についても、あらかじめ検討をしておく必要があります。

※オンプレ型電子カルテであっても、パソコン端末を医療機関にて準備し利用していた場合は、載せ替え先の電子カルテ/レセコンとして再利用できるケースもあります

現在利用中のパソコンやサーバの取り扱いを検討する

新しく導入するクラウド型電子カルテにて、元々利用していたパソコン端末は活用/再利用できるのでしょうか?結論から言うと、元のパソコンやサーバは活用/再利用できません

推奨端末/推奨環境

オンプレ型電子カルテで利用されているパソコン端末については、旧来のOS(バージョン含む)やスペックである可能性が高く、一般的な家電量販店等で販売されている製品に比べると、かなりスペックが落ちてしまうことが考えられます。

その際、クラウド型電子カルテについては、最新のブラウザ/OSに合わせたサービス提供を行っているメーカーが多いため、旧来のパソコン端末と各社の推奨環境との解離が出てしまい、そもそも利用ができたとしてもパフォーマンスが悪く、実際の運用に耐えられないことが想定されます。

セキュリティ

旧パソコンやサーバ内に、過去のカルテや患者情報などの要配慮個人情報が含まれている恐れがあり、インターネットに接続する場合にはセキュリティ対策を講じた上での利用を推奨します。

また、過去に使用していた電子カルテを真正性のある診療録として保持し続ける必要がある場合は、「電子保存の三原則」にそって旧パソコンやサーバを保管する必要があります。

現在利用中のパソコンやサーバの処分方法を検討する

前述の活用/再利用ができないパソコンやサーバについては、どのように取り扱えばよいのでしょうか?大別すると次の3つの方法があります。

 リース会社へ返却/依頼する

リース契約の場合、現行のリース会社へそのまま返却することになるため、データの抹消/破棄についても依頼しましょう。最も手離れがよく、安全性も高いため、最適の方法と言えます。

外部委託会社へ依頼する

購入契約の場合、医療機関にてデータの抹消や破棄を実施する必要があります。専門的な領域になるため、専業として事業運営されている会社に依頼するのが望ましい方法と言えます。

医療機関側で実施する

ケースとしては極めて少ないですが、医療機関様ご自身で、データの抹消や破棄を実施する方法もあります。主なデータ消去方法を列挙致しますが、要配慮個人情報が含まれるため、くれぐれも取り扱いにはご注意ください。

<主なデータ消去方法>

  • ソフトウェア消去:データ消去用のソフトウェアを利用し、消去する方法
  • 物理破壊:データの格納部分(ハードディスク)を取り出し、破壊する方法
  • 電磁消去:専用装置で強磁気をかけて、ハードディスクを物理破壊する方法
    など

電子カルテ/レセコンのデータ移行可能範囲を確認する

新しくクラウド型電子カルテを導入する場合には、旧電子カルテ/レセコンのデータは全て移行できるのでしょうか?主要箇所を分類してまとめました。

移行元

レセコンデータ

載せ替え先の電子カルテ/レセコン
CLINICS
クラウド型
オンプレ型
患者基本情報や傷病名データ
その他レセコン内のデータ
×
×
診療行為


移行元

電子カルテデータ

載せ替え先の電子カルテ/レセコン
CLINICS
クラウド型
オンプレ型
主訴/所見
×
文書テンプレート/定型文
×
×
×
セット登録
検査結果や画像ファイル/
添付ファイル
×
×
×
※△項目については、電子カルテ/レセコンやメーカーにより異なるため、専任のメーカーへ直接確認することをおすすめします

カルテ載せ替え後の、過去カルテの保存/廃棄方法を検討する

移行後の過去のカルテについては、いつ、どのように処分するのでしょうか?結論として、電子カルテ載せ替えに伴い、過去カルテをすぐに処分できるものではありません。

診療録(カルテ)の保存期間は、5年間と義務付けられています(保険医療機関及び保険医療担当規則第9条)。

また、この「5年間」についても注意が必要で、診療日から5年間ではなく、「完結の日」から5年間となります。「完結の日」の明確な定義はありませんが、一般的には、一連の診療が完了した日になると考えられています。

※ 関連記事:カルテ(診療録)の保存期間は?紙・電子(クラウド型・オンプレミス型)の保存方法、廃棄方法について解説

今後の運用方法を検討する

データの移行範囲について、理解が深まったところで、過去カルテを参照しながら診察を行う具体的な運用方法について見てみましょう。

主な運用方法としては、下記5つとなります。運用方法を検討するにあたり、要素として、「費用」「準備手間」「情報の分散」「doの可否」の軸で検討する必要があります。いずれにしても、電子カルテの載せ替えには、相応の準備期間や費用、体力が必要となりますので、まずは具体的な運用方法を検討して行きましょう。

運用案
メリット

デメリット

新電子カルテと旧電子カルテを並行運用する

・お金がかからない

・準備手間が発生しない

・新旧の電子カルテに情報が分散されてしまう

・doできない

・診察スペースが狭くなる

PDF化した2号用紙ファイルを、新しい電子カルテに取り込む(アップロードする)

・お金がかからない

・新しい電子カルテ内に情報集約できる

・準備手間が発生する

・doできない

PDF化した2号用紙ファイルを、外付けHDDに集約し、電子カルテと連携する

・比較的安価に進められる

・新しい電子カルテ内で集約できる

・準備手間が発生する

・doできない

PDF化した2号用紙ファイルを、専用ソフトウェアに集約し、電子カルテと連携する
・新しい電子カルテ内で集約できる

・相応の費用が発生する

・準備手間が発生する

・doできない

切り替え元がクラウド型電子カルテの場合、両方の電子カルテを開きながらコピー&ペースト

・お金がかからない

・新しい電子カルテ内に集約できる

・doできる

・準備手間が発生する

※PDFファイルのアップロード、主訴所見データ移行可否については、移行先の電子カルテメーカー様により異なるため、事前に確認することを推奨します。

まとめ

ご紹介したように、最近のトレンドしても人気の高いクラウド型電子カルテではありますが、現在ご利用中のカルテ/レセコンからの載せ替えとなると、いくつかのポイントについて事前に押さえておく必要があります。

クラウド型による大きなメリットがある反面、過去のデータやハードウェアの取り扱い、院内の運用面でいくつかの調整や変更が必要となります。クラウド型電子カルテを検討する際には、上記のような事前認識を持った上で、しっかりと専任のメーカーへ確認することが最善です。

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今後のクリニック運営の選択肢の一つとして、クラウド型電子カルテについても、今一度、検討してみませんか?


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