
PACSとは?PACSについての基礎知識からPACSを導入するメリットまで解説
日本の医療情報システムの中で、標準化と相互運用性の取り組みが最も進んでいるのが、放射線情報システム(RIS)や医用画像保存通信システム(PACS)です。今回は、特にPACSを起点とする新技術導入の動向について概説します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
- PACS(パックス)とは
- フィルムによる画像診断と医療画像システムの比較
- PACSを導入するメリット
目次[非表示]
- 1.PACS(パックス)とは
- 1.1.PACS普及の背景
- 1.1.1.医療画像の保存義務について
- 2.フィルムによる画像診断と医療画像システムの比較
- 3.PACSを導入するメリット
- 4.まとめ
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PACS(パックス)とは
PACSとは、「Picture Archiving and Communication System」の略で、「医療用画像管理システム」または「医療画像保管伝送システム」です。
【PACSの種類】
- 「院内PACS」各医療機関の中だけで閉じたネットワークを構成して運用
- 「地域連携PACS」公開用サーバーを用意して、周辺の医療機関とも情報を共有
従来は画像を物理的なフィルムで管理していましたが、PACSでは画像データとして医療画像撮影装置から受信します。撮影した画像データは、ネットワークを通じてデータベースに転送され、保管・管理されます。
PACSは、医療機関で発生するすべての検査画像をデジタルデータで保存し、その配信から診断までの一連のワークフローを総合的に管理するシステムです。
データセンターでは情報は厳重に管理されており、データの機密性は守られています。また、院内の装置は厳重に管理されたサーバ室に設置されていますので、画像やレポートなどの情報が外部に流出する心配もありません。
PACS普及の背景
PACSの重要度が増した最も大きな要因の1つが、医療現場における医用画像のデジタル化とネットワーク化でしょう。画像撮影装置の高度化に伴って、大量の画像が出力されるようになりましたが、物理的なフィルムでの管理が難しくなりました。また、必要な画像を瞬時に見たいという医療現場のニーズもあったためPACSが導入されるようになりました。
また、デジタル化された医用画像は、機能が向上するとともに高詳細・大容量化してきました。保管データの量が増大するにつれて、管理コストや運用負荷の増大なども懸念されてきましたが、PACS画像をクラウド上の外部データセンターに保存・保管する「外部保管型サービス」が台頭し、クラウド基盤は確実に浸透して市場を拡大しています。
【クラウドPACSの種類】
- 地域医療における「情報共有連携サービス」
- 緊急時に外部画像を参照するサービス
- 画像読影のサービス など
医療画像の保存義務について
医師法では、診療録であるカルテは5年、医療画像は、2年保存する義務があると規定されています。しかし、増え続けるフィルムすべてを院内で保管することは物理的に不可能といえます。
PACSを用いることで、フィルム倉庫を持つ必要がなく、画像をデータとして永久に保存できます。また、医療の効率化や質向上の面から、PACSは今後の医療の現場に一層必要不可欠なものになるといえるでしょう。
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フィルムによる画像診断と医療画像システムの比較
フィルムによる画像診断の問題点 |
医療画像システム導入による改善点 |
焼付けに時間と手間、費用がかかる |
焼付け作業が不要 |
複写に時間と手間、費用がかかる |
容易に複写でき、時間もかからない |
運搬やファイリングに時間と手間、費用、保管場所が必要 |
運搬が不要。パソコンによる管理でファイリングの手間も大幅に軽減。 保管場所を省スペース化できる。費用も低減。 |
過去画像の取り出しに手間と時間がかかり、活用しにくい |
過去画像の検索、閲覧も簡単かつ迅速におこなえる |
画像を立体的に合成することができない |
画像を立体的に合成することができる 医療画像システムよりも解像度の高い画像が得られる場合がある |
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PACSを導入するメリット
ここからは、PACSを実際に導入するメリットについて確認していきましょう。PACSでは、主に「業務の効率化」「人的ミスの回避」「地域医療の向上」というメリットを得られます。それぞれ詳しく解説していきますので、今後PACS導入を検討しているクリニックはぜひ確認してください。
業務の効率化
PACSにより検査画像の管理・運用が従来のフィルムより安全、スピーディーかつ高画質となります。画像データの転送が迅速になることで診断や診察待ち時間が短縮され、業務の効率化に大きなメリットとなるでしょう。
フィルム保管スペースを削減でき、画像媒体を搬送するための煩雑な業務を効率化できることもメリットの1つです。また、過去の画像との比較が容易になることで医師が画面上で様々な処理や表示条件変更ができ、これまでのフィルムよりもより多くの有用な画像情報を引き出すことができます。
人的ミスの回避
物理的なフィルムで画像を管理すると、フィルムの取り違えや紛失が発生するリスクがつきまといます。しかし、PACSでは画像をIDとひも付けてデータとして保管するため、人的なミスを回避することができます。
地域医療の向上
PACSの画像データはデジタル情報ですので、他病院へ画像データを送ることが可能です。また、CDにコピーして持ち運ぶこともできるので、在宅医療などで患者宅に行くとき、その場で閲覧できるようになっています。フィルム保管と比べて画質劣化がありませんから、画像データを患者と見ながら診察したり、診断画像をメディアに保存して患者に渡すことも可能になります。
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まとめ
今後は、新たなICTやAIの利活用など、次世代への準備を進めていくことが必要になるでしょう。これからPACSを導入するなら、「クラウド型かどうか」「クリニックでの運用に向いているか」などのポイントをチェックしつつ選択肢を絞る必要があります。さまざまな側面から機能性や操作性をチェックしながら、自院にとってベストなPACSシステムを選択してください。
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