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クリニックの1日の患者数の平均は?診療科別の傾向と損益分岐点を解説

クリニックの1日の患者数の平均は?診療科別の傾向と損益分岐点を解説

執筆監修者:CLINICS事務局

集患・PR

診療科別経営

「自院の患者数は、多いのか少ないのか」。

毎日の診療をこなしながら、ふとそんな疑問が頭をよぎることはないでしょうか。来院数は経営を測る上でわかりやすい指標ですが、診療科が違えば適正値は大きく異なりますし、患者さんの数だけが経営の安定を左右するわけでもありません。本記事では、厚生労働省の最新統計をもとに、「1日40人」という数字が意味するところから、損益分岐点の考え方、患者数が伸び悩む背景と対策まで解説します。自院を見つめ直す物差しとして、ご活用いただければ幸いです。

1.クリニックの1日の平均患者数はどれくらい?

1日の平均患者数を知りたいとき、まず参照したいのが厚生労働省の「医療施設調査」です。令和5年(2023年)の調査によると、全国の無床診療所における外来患者数は年間で約8,576万件、施設数は約9万9,000件となっています。月間の平均診療日数を21〜25日として算出すると、1日あたりの平均患者数は約34〜41人の範囲です。「1日40人」という数字は、経営の採算ラインとしても広く引用されています。ただしこれはあくまで全国平均であり、都市部と地方、開業年数、診療スタイルによっても実態は異なります。まずは自院の現状を客観的に見つめ直すための出発点として捉えてください。

2.【診療科別】患者数の傾向と適正値

「1日40人」という平均値は、診療科ごとに大きく異なります。単純に他院と比較するより、まず自院の診療科の特性を踏まえた上で数字を読み解くことが大切です。内科や精神科のように、1人あたりの診察時間を比較的長くとる科目は、必然的に1日あたりの来院数が平均に近いかそれ以下になる傾向があります。一方、整形外科のようにリハビリや処置を繰り返す再診患者さんが多い科目や、皮膚科・耳鼻咽喉科のように回転が速い科目は、全体平均を大きく上回るケースも珍しくありません。重要なのは、患者数の多寡だけで「良い・悪い」を判断しないことです。診察1件あたりの診療単価も診療科によって異なるため、少ない人数でも経営が安定しているクリニックもあれば、来院数が多くても収支が厳しい状況のクリニックもあります。患者数は経営を見る指標のひとつに過ぎません。

診療科別の傾向まとめ

  • 内科・精神科:診察時間が長めのため、来院数は平均前後になりやすい
  • 整形外科:リハビリや処置の再診が多く、平均を大きく上回るケースも
  • 皮膚科・耳鼻咽喉科:回転が速く、平均を上回る傾向がある
  • 小児科:季節変動が大きく、繁忙期と閑散期の差が出やすい

3.損益分岐点と売上の考え方

患者数という「点」だけでなく、売上という「面」の構造を把握することで、経営の全体像が見えてきます。基本となるのは次の計算式です。

売上 = 1日の患者数 × 1日あたりの診療単価 × 診療日数

5人増えると年間1,000万円超の差が生まれる

厚生労働省「令和6年社会医療診療行為別統計」によると、診療所における1日あたりの診療報酬点数は734.7点、診療単価に換算すると約7,347円です。この単価をもとにシミュレーションすると、1カ月23日診療の場合、1日の来院患者さんがわずか5人増えるだけで月間約84万円、年間では1,000万円を超える売上の差が生じます。「たった5人」の重みは、数字にして初めて実感できるものです。

損益分岐点は「1日何人」から考える

損益分岐点についても触れておきます。内科クリニックの場合、スタッフの人件費やテナント料、医療機器のリース代などの固定費を賄い収支をプラスにするには、一般的に「1日17人以上」が最低ラインと言われることがあります。ただし、近年の物価高騰や開業時の借入金返済の有無によっては、このラインは20人、25人と上がることも少なくありません。闇雲に患者数を増やすことを目指すより、まず自院の診療単価を正確に把握し、そこから逆算して「今、本当に必要な患者数は何人か」を見極めることが、経営判断の精度を高めます。
なお、近年の診療報酬改定の流れも、この「患者数」の捉え方に変化をもたらしています。マイナ保険証の利用実績に基づく評価の階層化など、医療DXへの取り組みが収益に直結する仕組みが強化されており、頻回な受診を促すより、地域の「かかりつけ医」として1人ひとりの患者さんと継続的な信頼関係を築けているかどうかが、より重視されるようになっています。患者数という量だけでなく、診療の質と効率を両立させる経営へのシフトが、これからのクリニックには求められています。

4.患者数が伸び悩む3つの本質的要因

どれほど丁寧な医療を提供していても、患者数が伸び悩むケースには必ず理由があります。よく見られる要因は以下の3つです。また、集患に関する詳しい関連記事もありますので、併せてお読みください。

1)地域への認知不足
「あそこにクリニックがある」と知られていても、診療内容や院内の雰囲気が伝わっていなければ受診の候補にはなりません。「何でも診ます」という発信だけでなく、自院の専門性や強みを具体的に伝える情報発信が集患の土台になります。

2)アクセスの障壁
物理的な距離だけでなく、予約が取りにくい、待ち時間が長いといった心理的なアクセスの悪さが、患者さんを遠ざける要因になります。「通いやすさ」は立地だけの話ではありません。

3)リピート率(定着率)の低さ
マーケティングには「1:5の法則」があり、新規患者さんの獲得コストは既存患者さんの維持コストの5倍かかるといわれています。一度来院された患者さんが再診につながらない状態は、経営効率を大きく下げます。新規集患と並行して、既存患者さんの定着率を高める取り組みが欠かせません。

▶︎ 関連記事:【2026年完全版】クリニック集患の戦略ガイド:選ばれるための10の具体策

5.クリニックの患者数に関するよくある質問

患者数が適正かどうか、損益分岐点は何人なのか。頭ではわかっていても、いざ自院の数字と向き合うと判断に迷うことがあるのではないでしょうか。クリニックの患者数に関するFAQに、ひとつずつ丁寧にお答えします。

Q. 1日何人いれば「患者数が多い」といえますか?

明確な基準があるわけではありませんが、全国平均(約34〜41人)を参照すると、1日60人以上であれば「多い」と判断できる目安になります。ただし診療科によって適正値は大きく異なるため、あくまで参考値として捉えてください。

Q. 内科クリニックで1日40人は少ないですか?

内科の全国平均に近い水準であり、「少ない」とは言い切れません。重要なのは患者数よりも、自院の固定費と診療単価から算出した損益分岐点と照らし合わせることです。40人でも十分に黒字経営しているクリニックは多くあります。

Q. 患者数が減少している場合、まず何を確認すればよいですか?

立地・認知・リピート率の3点を順番に確認することをお勧めします。特にリピート率の低下は見落とされがちですが、既存患者さんの離脱が静かに進んでいるケースは少なくありません。予約システムやカルテのデータから再診率の推移を確認してみてください。

Q. 患者さんが1人増えると、収益はどのくらい変わりますか?

診療科や診療単価によって異なりますが、内科クリニックの平均単価(約7,347円)で試算すると、月23日診療の場合、1人増えると年間で約200万円近く収益が変わる計算になります。「たった1人」の継続来院が、経営に与えるインパクトは決して小さくありません。

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6.まとめ

「1日40人」という数字は、あくまで経営を見つめ直すための出発点に過ぎません。大切なのは、自院の診療単価と固定費から損益分岐点を把握し、必要な患者数を逆算した上で、患者さんに選ばれ続ける仕組みを地道に整えていくことです。

患者さんの「通いづらさ」を取り除く

選ばれるクリニックであり続けるための近道は、患者さんが感じる「通いづらさ」をひとつずつ取り除いていくことにあります。Web予約やWeb問診の導入は、24時間いつでも思い立ったときに予約ができるという点で、現役世代にとって強力な来院動機になります。あわせて受付スタッフの電話対応の負担が大幅に軽減されるという、クリニック側のメリットも見逃せません。予約・問診・オンライン診療をシームレスにつなぐCLINICS(クリニクス)では、患者向けアプリのmelmo(メルモ)を通じて、来院前にスマートフォンから問診を完了することも可能です。待たせない工夫が患者さんの満足度を高め、再診率の向上やスタッフの負担軽減にも直結します。診療体制のデジタルシフトを検討されている場合は、ぜひご活用ください。

【参考資料】
令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況/厚生労働省
令和6年社会医療診療行為別統計の概況/厚生労働省
※本記事で触れた診療報酬の加算要件や施設基準については、令和6年度改定の内容を含め、常に最新の告示や通知を厚生労働省の公式案内等でご確認の上、自院の算定状況に照らしてご判断ください。

執筆監修者

CLINICS事務局

株式会社メドレー

医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。

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