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電子カルテのAI機能でできること、できないこと|CLINICSの「AIアシスト」機能を解説
1)電子カルテ×AIとは
電子カルテとAI、それぞれの役割と可能性を整理しておきましょう。
電子カルテとは
電子カルテは、これまで紙で運用されてきた診療記録をデジタル化し、受付から診察、会計までのデータを一元管理するシステムです。院内の情報をスムーズに循環させ、医療の質を支える基盤となります。厚生労働省の令和5年医療施設調査によると、普及率は診療所で55.0%、一般病院で65.6%(いずれも令和5年10月時点)。2030年の普及率100%という政府目標に向け、補助金制度の活用やシステムの刷新を検討する医療機関が増えています。
生成AIとの融合
こうした電子カルテに、近年「生成AI」の技術が組み合わさることで、機能は新たな段階に入りました。生成AIとは、人間の言葉を解析・整理し、文章を生成する技術です。診察室での会話から医師が記録すべき重要な要素だけをAIが自動抽出し、SOAP形式などの整った記録案として提示する。そうした入力補助が、クリニックの現場でも実用化されています。
メリット | 注意点 | |
|---|---|---|
電子カルテ | 過去の処方・検査結果を即座に参照できる。診察と会計準備を並行でき、待ち時間を短縮。禁忌チェックや警告機能により人為的ミスを防ぐ | 画面入力が診察のテンポを損なう場合がある。停電・通信障害時のリスク。維持費や端末更新など継続的なコストが発生する |
AI機能 | 診察の会話から必要な情報を抽出し、記録を自動で整える。紹介状などの反復する事務作業を効率化する | AIは案を作る存在。最終確認と責任は常に医師にある。機密情報を扱うため、厳格なセキュリティ管理が不可欠 |
AIはあくまで「案」を提示するパートナーです。内容に誤りがないかを確認し、最終的な診断責任を負うのは常に医師自身であることを忘れてはなりません。機密性の高い患者さん情報を守るための、強固なセキュリティ環境下での運用も大前提となります。
2)AIが医療現場に与える影響
AIの実装は、単なる時短を超えて、診察室の景色そのものを変えつつあります。記録の省力化から文書作成の負担軽減など、影響はさまざまです。ここでは、AIが医療現場にもたらすメリットを3つの観点から解説します。
カルテ記録の省力化と診察の質の向上
もっとも顕著な変化は、記録作業の省力化です。従来、医師はPCの画面に向き合いながらカルテを入力するか、診察後に記憶を頼りに書き起こすかという方法しかありませんでした。AIによる音声要約機能が普及した今、診察中の会話からカルテの「下書き」を自動生成する仕組みが整いつつあります。PCの画面に向き合う時間が物理的に減ることで、患者さんの表情や仕草に目を向けながら診察できる環境が生まれています。
文書作成の負担軽減
AIは、紹介状や診断書の作成負担も大幅に軽減します。過去の経過や検査結果をAIが整理して下書きを用意するため、ゼロから書類を作成する時間的・心理的な負荷が減り、書類仕事に追われる時間を診察に充てられるようになります。
地域医療の底上げ
地域医療の質の底上げにも、AIは貢献しています。専門医が限られる地域でも、AIが標準的な診断フローや最新の知見を補助的に提示することで、診療の質を維持しやすくなります。医師ひとりで複数の診療科をカバーしなければならない現場ほど、その恩恵は大きいといえるでしょう。
3)CLINICSの「AIアシスト」機能とは
こうした最新の技術を、日々の診療に馴染む形に落とし込んだのがCLINICSの「AIアシスト」機能です。AIが勝手に記録を確定させるのではなく、あくまで「医師の判断を支えるための下書き」を用意することに特化しています。
会話からの自動要約(SOAP形式)
診察中の医師と患者さんの会話をAIがリアルタイムで書き起こし、臨床で一般的に使われる「SOAP形式」で要約案を自動生成します。生成された内容はワンクリックでカルテに反映できるため、タイピング作業を最小限に抑えられます。医師はゼロから入力することなく、提示された下書きを確認・修正するだけで記録を完了できます。要約テンプレートはカスタマイズも可能で、診療科や診療方針に合わせた出力形式に調整できる仕様です。
音声データのプライバシー管理
録音データのプライバシー管理は、CLINICSでは厳格に設計されています。カルテの閲覧権限を持つスタッフのみがアクセス可能で、データは診察日から3ヶ月経過後にシステムから自動削除される仕組みです。不要な個人情報が残り続けることはなく、安心して運用できます。
一気通貫システムによる連動
二重入力の手間がないのも、CLINICSならではの強みです。予約、問診、カルテ、会計がひとつに繋がっているため、患者さんが事前に伝えた主訴と診察時の会話をAIが統合的に処理します。現場の感覚に近い、精度の高いアシストが実現できる理由はここにあります。
今後の機能拡張 |
|---|
現在開発中の機能としてリリースが待たれるのが「AI文書作成アシスト」です。待望のこの機能は、患者さん情報や検査結果・過去のカルテをもとに、紹介状や診断書の下書きをAIが自動生成するもので、書類作成にかかる時間と心理的な負担を大幅に軽減できます。診察に、患者さんとの対話に、もっと時間を使える環境が、着実に近づいています。CLINICSのAIアシスト機能の止まらない進化に、引き続きご期待ください。 |
4)電子カルテのAI機能導入に関するFAQ
電子カルテのAI機能に関して、改めて「よくある質問」をまとめました。導入を検討する際にお役立てください。
Q1. 電子カルテのAI機能でできることは何ですか?
診察中の会話をSOAP形式に自動要約する「音声要約」、過去の処方候補を優先表示する「入力補助」、禁忌・アレルギー情報の自動警告などが、現在実用化されている主な機能です。紹介状や診断書の下書き自動生成は、一部製品で実装済み、または開発中の段階にあります。
Q2. AI機能の最終的な責任は誰にありますか?
AIはあくまで下書きを提示する補助ツールです。生成された内容に誤りが含まれる可能性があるため、必ず医師が内容を確認・修正した上で保存・確定する仕様となっています。最終的な診断責任は常に医師にあります。
Q3. 導入前に確認しておくべきことは?
患者さんの個人データという機密を扱うため、セキュリティ体制の確認が最優先です。「医療・ヘルスケア分野における生成AI利用ガイドライン」では、AIはあくまで利用者の負担軽減を支援するツールであることを念頭に置いた運用が求められています。また、AIが依存する外部サービスの仕様変更リスクや、サポート体制の充実度も、製品選定の重要な判断軸となります。
Q4. SOAP形式とは何ですか?
SOAP形式とは、診療記録を「S(Subjective=患者さんの訴え)」「O(Objective=医師の所見・検査結果)」「A(Assessment=診断・評価)」「P(Plan=治療方針)」の4項目で構造化する記録方式です。情報が整理されることで、他のスタッフとの引き継ぎや経過観察がスムーズになります。
5)まとめ
2026年、AI機能を備えた電子カルテは、医療現場の事務負担を分かち合うインフラのひとつとなりました。AIに記録の「下書き」を委ねることで、現場はより安全で、本来の診療業務に専念できる環境を整えることができます。CLINICSのAIアシストは、診察中の会話をSOAP形式で自動要約し、ワンクリックでカルテに反映するという実用的な入口から、文書作成支援をはじめとした機能の拡張へと着実に進化しています。最新の技術を自院の力に変える一助として、ぜひご検討いただけたら幸いです。

【参考資料】
令和5年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況/厚生労働省
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)/厚生労働省
医療・ヘルスケア分野における生成AI利用ガイドライン(第2版)/非営利法人医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)
※本記事に掲載されている情報は2026年5月時点のものです。医療DXに関連する施策や電子カルテの普及率、および各ガイドラインの内容は随時更新される可能性があるため、常に最新の公的情報をご確認ください。
執筆監修者
CLINICS事務局
株式会社メドレー
医療現場のDXパートナーとして「医療ヘルスケアの未来をつくる」を理念に、開業を目指す先生や開業医の方々に寄り添う情報を発信しています。お届けするのは、オンライン診療や電子カルテ関連、開業準備を成功へ導くノウハウ、最新の医療制度・法令などさまざま。ITの力で人と医療の現場をつなぎながら、日々の診療やクリニック経営に役立つ知見を丁寧かつ分かりやすくまとめています。ぜひ、理想とするクリニックづくりのヒントとしてご活用ください。
