クリニックの「待ち時間」はクレームの原因になる?減らすための方法を紹介します
クリニックへのクレームで多いのが待ち時間です。クレームが多いと、クレーム対応に時間を割かれてしまうため、業務効率が悪くなりかねません。
したがって、クレームが多い場合は原因を追究し、対策を講じなければなりません。
当記事では待ち時間のクレームを減らす方法について解説します。
クリニックへのクレームで多い原因
クリニックへのクレームで多い原因として、主に以下の4つが挙げられます。
- 医師の患者に対する対応が悪い
- 医師の説明が足りず、病気が治る感じがしない
- 看護師が患者に寄り添っていない
- 診察までの待ち時間が長い
クリニックへのクレーム原因として多いのは「待ち時間」ですが、待ち時間以外にもクレームの原因はさまざまです。クレーム数の削減を目指すためには、クレームの原因は何かしっかりと見極める必要があります。
クリニックの待ち時間はどれくらい?
厚生労働省が公開している「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」によると、診療等までの待ち時間は以下の通りです。
- 15分未満:約28%
- 15~30分未満:約26%
- 30分〜1時間未満:約21%
1時間未満の割合が約7割を占めています。この待ち時間を長いと感じるか否かは人それぞれでしょう。しかし、待ち時間の長さがクレームの原因になっていることを鑑みると、よりスピーディーな対応が必要になってくるといえます。
クリニックの待ち時間が長くなる4つの要因
クリニックの待ち時間が長くなる要因として次の4つが挙げられます。
- 丁寧に診察している
- 問い合わせ対応に時間を取られている
- 予約患者が多い
- 受付・会計が手動である
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.丁寧に診察している
丁寧な診察は、どうしても待ち時間が長くなってしまいます。特に高齢患者が多いクリニックでは、クリニックが高齢患者の憩いの場となっていることも多く、コミュニケーションが長くなりがちです。
1人あたりのコミュニケーション時間が長くなってしまった結果、診察までの待ち時間が長くなるということが考えられます。
2.問い合わせ対応に時間を取られている
予防接種や花粉症、風邪が流行する時期は、問い合わせの電話が増えたり、患者の来院数も多くなったりしがちです。
問い合わせや患者対応に時間を要してしまうため、業務が滞ってしまい、待ち時間が長くなると考えられます。
3.予約患者が多い
予約患者が多いと予約患者が優先となってしまうため、予約せずに来院した患者の待ち時間はどうしても長くなってしまいます。
予約システムを採用しているクリニックの場合、患者に予約を促す、予約していない場合は待ち時間が長くなることをあらかじめ伝えておくことが大切です。
4.受付・会計が手動である
患者が少ない場合、会計にそれほど時間はかかりません。しかし、患者が多い場合、受付・会計が手動だと待ち時間が長くなってしまいます。
受付や会計処理を早くしようと焦った結果、ミスが起きたりストレスになったりするリスクもあるため、注意が必要です。
待ち時間のクレームを減らす方法
待ち時間のクレームを減らす方法は以下の3つです。
- システムを導入して待ち時間を削減する
- 業務を分担・整理する
- 設備を充実させて待ち時間の負担を減らす
1つずつ見ていきましょう。
1.システムを導入して待ち時間を削減する
待ち時間の削減が可能なシステムとして次の3つが挙げられます。
- 予約システム
- 問診システム・電子カルテ
- 自動精算機
それぞれ詳しくみていきましょう。
予約システム
待ち時間の削減につなげられるのが「診療予約システム」です。診療予約システムを導入すれば、患者はスマホから診療予約できるため、医療機関は予約電話の対応数を削減できます。
また、時間帯ごとの予約数を可視化・確認できるシステムであれば、空いた時間に診療予約するように患者を誘導できるため、患者数を分散化して、待ち時間が長くならないよう調整できるでしょう。
問診システム・電子カルテ
問診システム・電子カルテの導入は、クリニックの業務を効率化できます。問診システムを導入すれば、来院前に必要事項を入力してもらうことが可能です。
来院後に問診内容を記載してもらう場合でも電子カルテシステムと連携していれば、入力したデータをすぐに反映させられるため、転記作業を削減できます。
また電子カルテであれば、紙カルテを探す時間を短縮できます。各システムと連携しておけば情報を共有できるため、検査までの時間や会計・精算業務といったあらゆる業務を効率化することが可能です。
業務を効率化できれば、スムーズに診察・検査できるため、患者の待ち時間を短縮できるでしょう。
自動精算機
総合病院だけではなく、クリニックでも自動精算機の導入がおすすめです。
自動精算機の導入により、会計時間を短縮できる他、患者は自分の好きなタイミングで会計できるため、待つストレスがありません。
2.業務を分担・整理する
業務の分担・整理も待ち時間短縮には有効な手段です。例えば、システムの導入によって業務を効率化しても、システム操作に時間がかかっていたり検査指示してもスタートまでに手間取っていたりしていると、時間は短縮できません。
また、会計処理に時間がかかってしまうと会計待ちで渋滞してしまい、待ち時間が長くなるリスクがあります。そのため、業務を分担・整理し、状況に応じてスタッフの育成や優秀なスタッフの採用、スタッフの増員を検討するとよいでしょう。
3.設備を充実させて待ち時間の負担を減らす
ミスが許されない医療現場では待ち時間の削減にも限界があります。待ち時間の削減が難しい場合は、クリニックの設備を充実させて待ち時間の負担を減らすとよいでしょう。
待ち時間の負担を減らす設備には、主に次の6つが挙げられます。
- テレビやウォーターサーバーの設置
- 書籍・雑誌の設置
- 座り心地のよいソファの設置
- Wi-Fi環境の整備
- キッズルームの整備
- 病院外にいても待ち時間や順番が分かるシステムの導入
クレームが発生してしまったら?
クレームが発生した場合の対応方法を以下の2項目に分けて解説していきます。
- 理想的なマインド
- クレーム対応時の姿勢
1つずつ見ていきましょう。
理想的なマインド
クレームといえば、怒られてしまう、面倒臭いというイメージがあるでしょう。しかし、クレームを入れる患者は改善してほしいから声に出して指摘していると考えます。
まずはクレーム内容に耳を傾けましょう。クリニックの至らないところを指摘された場合は、要望だと捉えて前向きに考えることが大切です。真剣に耳を傾ければ、患者との信頼関係を構築できますし、指摘された部分を改善すれば、顧客満足度を向上させられるでしょう。
クレーム対応時の姿勢
クレーム対応時の姿勢は次の3つです。
- 話を最後まで聞く
- 謝罪して解決策を提示する
- 感謝を述べる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.話を最後まで聞く
クレームが発生した場合は、患者の話を遮らないようにして最後まで聞く姿勢が大事です。話を遮ったり、クリニック側の都合ばかり伝えたりしていては、患者の怒りがさらに増してしまう恐れがあります。
まずは患者に寄り添い、聞く姿勢を崩さないことが大切です。
2.謝罪して解決策を提示する
話を聞き終えたら、不快な気持ちを与えてしまった患者に対して、まずは謝罪することが大切です。謝罪後、解決できる内容であれば、解決策を提示するとよいでしょう。
待ち時間が長いというクレームであれ「何曜日の何時であれば比較的空いている」「診療予約も可能ですが、予約されますか?」というように患者に伝えてみましょう。
3.感謝を述べる
患者はスタッフを不快にさせたくて、クレームを言っているわけではありません。
クリニック側に落ち度や改善点がある場合はクレームに対して感謝を述べることも大切です。
まとめ
今回は、クリニックの待ち時間が長いとクレームが発生してしまうことや待ち時間を減らす方法について紹介しました。
クリニックのクレーム原因で多いのは待ち時間です。待ち時間に対するクレームが多い場合は、予約システムや問診システム、自動精算機の導入を検討したり業務を分担・整理したりして、患者の待ち時間を減らしていく必要があります。
ただし、どれだけ努力してもクレームをゼロにすることはできません。クレームが発生した場合は、理想的なマインドとクレーム対応時の姿勢を意識し、病院側に不備があれば、誠実に対応していくことが大切です。