Web問診導入時のクリニックのデメリットとは?導入時の注意点も徹底解説します!
近年、新型コロナウイルス感染症の影響によりWeb問診への関心が高まっています。Web問診を導入することで感染のリスクを減らすことが期待できるでしょう。また、医療機関の作業効率が上がり、患者の待ち時間を減らせるといったメリットがあります。
しかし、従来の紙問診からWeb問診に切り替えることでデメリットが生じることも事実です。当記事では、導入後に後悔しないために知っておくべきWeb問診のデメリットについて解説していきます。
目次[非表示]
- 1.Web問診とは?
- 2.Web問診を導入する4つのデメリット
- 2.1.1.導入・運用コストがかかる
- 2.2.2.操作方法の質問対応に追われる可能性がある
- 2.3.3.情報量が多くなりやすい
- 2.4.4.ホームページをはじめ各種対応が必要
- 3.Web問診を導入するメリット
- 4.Web問診を導入する際の4つの注意点
- 4.1.1.ストレスなく使用できるか
- 4.2.2.サポート体制の有無・充実性
- 4.3.3.設定が簡単・カスタマイズ性の高さ
- 4.4.4.オプション料金を含めた価格
- 5.まとめ
Web問診とは?
Web問診とは、来院する前に、患者がスマートフォンやパソコンで問診票に記入し、医療機関に送信するシステムです。来院してから紙の問診票に書いてもらう方法に比べ、データを入力する必要がなくなるため、受付業務の簡素化を図ることができます。
事前にWeb問診が記入されていなくても、来院時に医療機関所有のタブレットで入力してもらうことも可能です。
紙問診との違い
紙問診とWeb問診の違いは、受付における諸々の手続きにかかる所要時間の差です。紙問診の場合、患者が問診票を受け取ってから書き終わるまでに約5分かかります。
さらに受付のスタッフが問診票の内容を確認したり必要に応じて質問したりすると5〜10分時間を要します。その後、問診票の内容を電子カルテに入力する作業に10分程度必要となった場合、受付完了までに約30分かかるでしょう。
一方、Web問診であれば患者が問診結果画面のQRコードを自動受付機のバーコードリーダーにかざすことで、自動的に電子カルテに問診内容が反映されるため、約5秒程度で受付は完了します。また、来院してから問診に答える場合も、項目を選ぶだけであるため、紙に手書きするほどの時間は要しません。
Web問診の普及率
Web問診の普及率については、2020年12月〜2021年1月に日経メディカルOnlineがアンケートを実施しました。(回答:日経メディカルOnlineで会員登録している開業医286人)
Web問診を既に導入している、または導入しようと考えていると答えた人は5.2%、制度や補助金の状況をみて検討したいと答えた人は27.6%という結果でした。この結果から、Web問診の導入に前向きな意見は全体の32.8%となっています。
また、回答者の年代・開業年数別に見ると、若い年代や開業年数が浅い医師のほうが、Web問診の導入に前向きな傾向です。
それに対し、導入する予定は無いと答えた人は67.1%でした。導入に否定的な理由として、スタッフも患者も紙の問診票に慣れていることや、高齢患者の多くがWeb問診を使いこなせないだろうということが挙げられます。
このようにWeb問診の普及率はさほど高くありません。新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、感染症対策の一環としてWeb問診を導入する医療機関が徐々に増えていると推察されます。
反面、Web問診を導入すること自体が収益に繋がるわけではないことが、普及率の向上を妨げていると考えられるでしょう。
Web問診を導入する4つのデメリット
Web問診を導入するデメリットとして、次の4つが挙げられます。
- 導入・運用コストがかかる
- 操作方法の質問対応に追われる可能性がある
- 情報量が多くなりやすい
- ホームページをはじめ各種対応が必要
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.導入・運用コストがかかる
Web問診システムに必要な費用は、導入コストと運用コストです。電子カルテや予約システムと連動させたり不具合が発生したりすれば、別途費用が発生します。
Web問診システム自体が直接的な収益に繋がるわけではないため、導入や運用にかかったコストをカバーすることはできません。業務効率を向上させるとともに、医療をより充実させることに繋がると考えれば、Web問診を導入する価値があるといえるでしょう。
2.操作方法の質問対応に追われる可能性がある
紙問診からWeb問診に切り替えると、スマートフォンやパソコン操作に慣れていない患者や操作方法がわからない患者から質問されることが予想されるため、スタッフが応対に追われる可能性があります。
また、スマートフォンやパソコンを持っていない患者に医療機関所有のタブレットで入力してもらう場合も、付きっきりで説明しないといけなかったり、何度も質問されたりすることもあるでしょう。
紙の問診票に書くほうがいい患者や、スマートフォンやパソコンを持っていない患者がいることを想定すると、Web問診と紙の問診票の併用が必要になります。
患者がWeb問診に慣れるまでは、今までかからなかった手間が発生することを考慮しなければなりません。
3.情報量が多くなりやすい
Web問診の内容は医療機関ごとにカスタマイズできる分、情報量が多くなりやすいでしょう。というのも、選択した回答から、質問を枝分かれさせることができるため、患者の状態をより深く把握するメリットがあります。
しかし、カスタマイズできるとついあれもこれもと贅沢に盛り込みたくなってしまいがちです。情報量が多くなってしまうと、患者は読んで入力する労力が、医療機関は入力内容を確認する労力が発生してしまいます。
問診票で知りたい範囲と、診察時に口頭で聞く範囲をどのように分けるか検討しましょう。
4.ホームページをはじめ各種対応が必要
Web問診を始める際には、ホームページに手を加える手間が発生します。
例えば、Web問診とする旨の案内を掲載したり、ホームページからWeb問診画面に移行するようリンクを設定したりするといった作業をしなくてはなりません。
Web問診を導入するメリット
Web問診を導入して得られる医療機関側のメリットは以下5つです。
- 手書きの問診票から端末にデータ入力する必要がなくなる
- 診察時の聞き取りや記録の手間が減る
- 患者の待ち時間が短縮できる
- バインダーやペンに触れないため感染症対策がしやすい
- 用紙や筆記用具の節約になる
Web問診を導入して得られる患者側のメリットは以下3つです。
- 医療機関での滞在時間が短縮される
- 自宅で入力できるため、落ち着いて入力できる
- 患者の状態を把握できていない人が付き添って来院しても、スムーズに受診できる
Web問診を導入する際の4つの注意点
Web問診を導入する注意点として次の4つが挙げられます。
- ストレスなく使用できるか
- サポート体制の有無・充実性
- 設定が簡単・カスタマイズ性の高さ
- オプション料金を含めた価格
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.ストレスなく使用できるか
画面が見やすく、操作しやすいものであるかは重要なポイントです。必要とする情報を素早く確認できないと、次々と来院する患者の診察が滞ります。
Web問診はデジタル化だけではなく、診察をスムーズにするためのものでなくてはなりません。実際に操作して、最も使いやすく見やすいものを選ぶようにしましょう。
2.サポート体制の有無・充実性
Web問診導入後のサポート体制が充実しているか確認しておきましょう。システムに不具合があった際に迅速に対応してくれる体制があるのか、電話やチャットでレクチャーしてもらえるのか、カスタマイズに関する相談のしやすさはいずれも大切なポイントです。
システムがよいことに加えて、その後のサポート体制が充実していることが望ましいでしょう。
3.設定が簡単・カスタマイズ性の高さ
フォーマットがあり設定しやすいWeb問診システムを選ぶとスムーズに導入できます。設定に時間を要するのは非常にもったいないことです。
Web問診を導入し使用していく中で、項目を追加したり削除したりといった問題が出てくるでしょう。柔軟にカスタマイズできるシステムを選ぶことが大切です。
4.オプション料金を含めた価格
基本料金だけではなくオプション料金も含めた全体の費用感を検討しましょう。基本料金とオプション料金が分かれている場合がほとんどです。
基本料金は安くてもオプション料金が高く設定されているケースもあれば、基本料金が高くてオプション料金が安いケースもあります。欲しい機能やサービスをあらかじめイメージした上で、実現可能な費用を見極めることが必要です。
まとめ
業務の手間や患者の待ち時間を減らし、感染症対策の一手として注目されているWeb問診システムですが「導入・運用コストがかかる」「操作方法の質問対応に追われる可能性がある」といったデメリットもあります。
ただ、業務の効率化につながるシステムであるため、自院にあったWeb問診システムを導入し、上手く活用すれば、デメリットを抑えながら、メリットを享受できるでしょう。操作性やカスタマイズ性、全体的な価格を見極め、導入後のサービスがよいシステムを選ぶことが大切です。