オンライン資格確認端末の役割とは?おすすめの端末についても解説
各都道府県の医療機関や薬局でマイナンバーカード保険証の利用が増えてきています。オンライン資格確認は患者側、医療機関側双方にとって多くのメリットがあります。
今後さらにオンライン資格確認が導入され、本格的に運用されていくことは間違いありません。当記事では、オンライン資格確認を導入するにあたって必要な機器や導入時の注意点、主なオンライン資格確認端末について解説していきます。
オンライン資格確認とは?
「オンライン資格確認」とは、患者の保険情報をオンライン上で確認することです。医療機関や薬局において、患者から保険証を受け取り、保険情報を確認することを資格確認といいます。
これまでの保険証提示では、窓口の担当者が保険証の内容を目視で確認し、必要な情報をパソコンに入力する手間がかかっていました。
しかし、オンライン資格確認を導入することにより、オンライン上ですべての情報を管理・確認できるため、窓口での待ち時間も短縮でき、担当者の負担も軽減されます。また、情報の間違いが軽減されるため、レセプトの返戻も少なくなります。
オンライン資格確認の仕組み
患者が受付でマイナンバーカードをカードリーダーに通し、顔認証により本人確認を行います。
本人確認の情報は読み取ったデータを、ネットワークを介して「支払基金・国保中央会」の「オンライン資格等システム」のサーバーに接続・照合し、その結果をレセプトや電子カルテに反映させるという仕組みです。
そのため、オンライン資格を確認するには次の4つが必要になります。
- 顔認証付きカードリーダー
- 資格確認端末(パソコン)
- ネットワーク機器
- 医事会計システム(レセコン)
オンライン資格確認に欠かせない3つの機器
オンライン資格確認に欠かせない機器として次の3つが挙げられます。
- 顔認証付きカードリーダー
- オンライン資格確認連携ソフト
- オンライン資格確認端末
1つずつ詳しくみていきましょう。
1.顔認証付きカードリーダー
「顔認証付きカードリーダー」とは、顔認証のシステムを完備したカードリーダーのことです。医療機関や薬局で利用され、本人確認や薬剤情報や特定健診結果の情報をすぐに閲覧できるようになっています。
従来の保険証提示は患者と窓口担当者が接触する機会が多かったのですが、顔認証付きカードリーダーを利用することで、非接触で受付を行えます。現在のようなコロナ禍における感染症対策面においても有用です。
2.オンライン資格確認連携ソフト
オンライン資格確認連携ソフトにより、患者の個人情報や保険情報が一元化され、システムに反映されます。オンライン資格確認によって確認できる情報は次のとおりです。
- カナ氏名
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 保険者番号
- 記号
- 番号
- 枝番
- 本人/家族
- 所得区分
- 高額認定
- 認定区分
- 食事区分(入院のみ)
- 郵便番号
- 住所1
- 住所2
- 保険負担
- 保険給付率
- 保険確認日
上記のような患者情報を手入力で行うには時間がかかります。オンライン資格確認を利用すれば、自動で情報入力が可能です。
3.オンライン資格確認端末
「オンライン資格確認端末」は、医療機関や薬局の担当者が使用する端末です。顔認証付きカードリーダーにより読み取ったマイナンバーカードの情報を患者情報の確認に使用します。
窓口での受付対応はもちろん、患者の来院前に保険情報や限度額認定証を確認する際にも使用できるため、予約している患者が保険証の資格を失効していないかも確認できます。
また、限度額認定証の提示がない場合でも適用となっている患者には自動的に情報が反映されます。そのため、限度額の提示がなくても、オンライン資格確認によりあらかじめ確認できるため、患者が窓口で負担額を多く支払うことはありません。
オンライン資格確認端末導入における注意点
オンライン資格確認端末導入における注意点として、厚生労働省の提示する要件を満たしていなければならない点が挙げられます。例えば、デスクトップパソコンの場合、次のスペックが求められています。
- OS:Windows10 IoT Enterprise 2019 LTSC 64bit版もしくは、Windows10 Enterprise 2019 LTSC 64bit版
- CPU: Intel Core i3-8100以上もしくは、同等かそれ以上の性能を有する互換プロセッサー
- メモリー:8GB以上
- ストレージ:HDDやSSDといった指定はなしで、256GB以上
参考:厚生労働省-オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)
また、顔認証付きカードリーダーやレセコン、資格確認端末も設置するとなるとある程度のスペースが必要となります。受付は患者が多く集まる場所でもあるため、設置の仕方にも注意しなければなりません。
おすすめのオンライン資格確認端末5選
おすすめのオンライン資格確認端末として次の5つが挙げられます。
- APX-MEDICAL/QC
- てまさく
- Shuttle
- LB-JB18シリーズ
- Endeavorシリーズ
1つずつ詳しくみていきましょう。
1.APX-MEDICAL/QC
「APX-MEDICAL/QC」は、厚生労働省の提示する要件を満たしており、日本医師会ORCA管理機構が唯一推奨するオンライン資格確認端末です。
5年間の保証期間があり、受付業務を止めないためにRAIDによる冗長化も搭載されています。また、導入・設置に伴う手順短縮化のために、あらかじめアプリケーションがインストールされています。
参考:医療機関・薬局向け オンライン資格確認端末 APX-MEDICAL/QC
2.てまさく
「てまさく」は、社会保険診療報酬支払基金が提示する要件を満たした端末です。
コンパクトで軽量なノート型モデルとなっているため、場所を取らずに済みます。多彩なオプション機能がついており、次のような機能があります。
- 公費負担証書読取機能
- 問診票入力機能
- 文書交換機能
- 署名・タイムスタンプ付与機能
自動アップデート機能も搭載されているため、担当の保守要員がいなくてもアップデートが可能です。
3.Shuttle
「Shuttle」は、厚生労働省の提示する要件を満たしている端末です。上記で紹介した「てまさく」と同様に5年間の保証がついており、多くのメーカーのカードリーダーに対応しています。
参考:病院・診療所・薬局向け オンライン資格確認端末(マイナ保険証・マイナ受付) | パソコン工房【公式通販】
4.LB-JB18シリーズ
「LB-JB18シリーズ」は、小型端末のため省スペースの設置に適しており、5年間の保証がついています。
用途により選べる2つのモデルがあり、1つは読み書き速度が速く、故障の少ないモデルです。もう1つは、比較的に安価なモデルとなっています。
5.Endeavorシリーズ
「Endeavorシリーズ」は、厚生労働省の提示する要件を満たしている端末で、すでに4つのメーカーの顔認証付きカードリーダーに対応しています。
持ち運びしやすい軽量化タイプや操作のしやすいタイプといったさまざまな種類が用意されているため、自院に最適なものを選ぶとよいでしょう。
参考:病院・クリニック向けパソコン | エプソンダイレクトショップ
オンライン資格確認の導入支援サービスを利用するのも1つの手段
NTT東日本では、オンライン資格確認導入を支援するために「オンライン資格確認スタートパック」というサービスを提供しています。このサービスはオンライン資格確認ガイドブックや回線・機器・設置設定をワンステップで行っています。
サポート体制も充実しているため、オンライン資格確認端末についてよく分からないという方は、このような支援サービスを利用してオンライン資格確認を導入してみるのも1つの方法です。
まとめ
オンライン資格確認を導入するにあたって必要な機器や導入時の注意点、主なオンライン資格確認端末について解説してきました。
オンライン資格確認を導入するためには、費用も掛かりますが、機器の設置や設定が必要です。オンライン資格確認の基本的な構成を理解し、導入する医療機関や薬局に対応している機器の選択が必要です。
オンライン資格確認の概要やどのような機器があるのかについて理解したうえで、支援サービスなども活用しながら、導入に向けて動きましょう。