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美容皮膚科の開業資金を解説|5つの開業準備と8つの成功ポイントも紹介

美容皮膚科を開業するためには、開業資金(融資および準備すべき自己資金の額)準備の流れなどさまざまな情報を調べなければなりません。開業地の選定や採用戦略、マーケティング戦略など専門的な知見が必要な分野も多く、どこから手をつけるべきか迷う人もいることでしょう。

そこで本記事では、美容皮膚科を開業するために必要な情報をわかりやすく解説します。開業資金のうち自己資金として用意すべき額や、開業前の5つの準備、開業を成功させる8つのポイントを紹介するので、参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.美容クリニックに必要な開業資金の目安
    1. 1.1.開業資金の内訳
    2. 1.2.準備すべき自己資金の額
  2. 2.美容クリニック開業医の平均年収
  3. 3.開業前の5つの準備
    1. 3.1.診療圏の調査・競合調査
    2. 3.2. 資金調達・融資
    3. 3.3.内装工事・医療機器の導入
    4. 3.4.採用
    5. 3.5.各種届出・手続き
  4. 4.美容クリニックの開業を成功させる8つのポイント
    1. 4.1.コンセプトを決める
    2. 4.2.清潔感があり、患者に安心感を与えるのあるデザイン・レイアウトにする
    3. 4.3.アクセスの良い場所に開業する
    4. 4.4.実績のあるスタッフを雇う
    5. 4.5.Web広告に力を入れる
    6. 4.6.余裕のある資金計画を立てる
    7. 4.7.専門家に相談する
    8. 4.8.クリニックの開業コンサルタント
    9. 4.9.税理士・社会保険労務士
  5. 5.まとめ

美容クリニックに必要な開業資金の目安


はじめに、美容皮膚科を開業する際に必要な資金について解説します。開業資金の総額と、融資を前提とした場合に必要な自己資金の2点について、詳しく見ていきましょう。

開業資金の内訳

美容皮膚科の開業資金は5,000万円〜1億円とされています。開業資金に幅があるのは、各種のレーザー機器や皮膚診断システム、イオン導入器、美肌治療器をはじめとする医療機器をどこまで揃えるかによって必要な資金が変わるためです。

開業資金の大まかな内訳は次の通りです。

  • 物件関連費用:1,000万円〜2,000万円
  • 設備内装工事費用:2,500万円〜3,000万円
  • 医療機器関連費用:2,000万円〜3,000万円
  • マーケティング費用:500万円前後
  • その他(電子カルテや内装家具の費用):500万円前後

このような開業のための資金を準備したうえで、実際に経営を始める際には3カ月〜6カ月分の運転資金を用意しておくと良いでしょ2う。

準備すべき自己資金の額

美容皮膚科の開業に必要な資金は5,000万円〜1億円ですが、その全額を自己資金として用意するのは現実的ではありません。実際に多くの開業医が開業資金の大半を融資により用意しています。

一方、全額を融資で用意することは難しく、融資を受ける際は開業資金の1割〜2割を自己資金として用意するケースが一般的です。前述の通り、医療機器をどこまで揃えるかにより開業資金に幅があるため、融資を受ける際は具体的な開業資金のめどをつけたうえで必要な自己資金の額を算出しましょう。

美容クリニック開業医の平均年収


美容皮膚科の開業医の平均年収に関する公的な統計情報はありません。しかし、年収1,500万円〜2,500万円で勤務医を募集する求人があることから、開業医になることでそれらの金額を上回る年収を稼げる可能性があります。

美容皮膚科は自由診療として提供できるサービスの幅が広いため、年収5,000万円以上を実現できる場合もあるでしょう。他の診療科と比較して美容皮膚科の開業医は高い年収が期待できます。

高い年収を実現するためには、サービスを提供する患者に合わせた立地で開業し、自院の差別化を図ることが重要です。平均年収はあくまでも目安であるため、準備を徹底し早期に収益を安定させられる経営を目指しましょう。

開業前の5つの準備


ここからは開業前に行うべき5つの準備について解説します。開業までの大まかな流れでもあるため、事前に把握しておくことが大切です。

診療圏の調査・競合調査

開業前の準備として、はじめに美容皮膚科を開業する立地を決めるために診療圏および競合の調査を行います。美容皮膚科の主な患者は「美容に関心のある女性」です。そのため、このようなターゲット層が通いやすい場所を見つける必要があります。

例えば、20代から40代の女性が多く働いている街や、ショッピングに利用する商業施設がある場所に開業できると、患者は仕事や買い物の予定と合わせて施術のスケジュールを組みやすくなります。

一方、エイジングケアに特化して経営する場合は、40代以上の富裕層が住む街に開業するという選択肢もあります。このように開業の際には、自院のターゲットを明確にしてから具体的な開業地を検討しましょう。

そのうえで候補エリアを訪れる、または候補エリアに居住している潜在患者が何万人いるのかという診療圏調査を実施し、さらに同一エリア内に美容皮膚科が何軒あるのかという競合調査を行います。あわせて「美容皮膚科 ●●市」「美容皮膚科 ●●駅」などでヒットするWeb広告やWebの記事を参考にしながら、エリア内で勝算があるかどうかも調査できると理想です。

 資金調達・融資

開業地を選定した後は、資金調達に着手します。美容皮膚科を開業する際に一般的に利用される融資には次のものがあります。

  • 日本政策金融公庫の貸付
  • 医師会・自治体が行う開業支援ローン
  • 銀行や民間金融機関が行う開業支援ローン

それぞれ審査期間や担保の要否などが異なるため、自院に合った融資を検討しましょう。融資は次の流れで進みます。

  • 融資条件を確認
  • 必要書類を揃えて提出
  • 融資担当者との面談
  • 審査
  • 融資の決定

融資までに1カ月以上かかるケースもあるため余裕のあるスケジュールが大切です。融資条件にもよりますが、多くの場合、設備関連資金の返済期間は20年以内、運転資金の返済期間は7年以内に設定されています。

以下の記事では、開業資金調達で活用できる融資4選を紹介し、借り入れのステップやローンの注意点も解説しています。

内装工事・医療機器の導入

融資を受けられることが決定したら、内装工事および医療機器の導入を開始しましょう。内装のデザインは、患者の過ごしやすさや効率的な動線、他院との差別化、法令順守の観点から決めていきます。

患者の過ごしやすさという観点では、パウダールームの設置、清潔感や安心感のあるデザイン、プライバシーを確保できる構造に焦点を当てると良いでしょう。このような患者の過ごしやすさは、リピートで訪れてくれる患者の数にも影響を与えます。

医療機器の導入時には次の3つの観点を重視します。

  • 施術時間:短時間で施術できると回転数が向上
  • 施術効果:施術効果が高いとリピートにつながりやすい
  • 承認機かどうか:ホームページでアピールできるのは厚生労働省の承認機のみ

自院のターゲット層にあわせて医療機器を導入していきましょう。

採用

内装工事や医療機器導入のめどがついたところで、スタッフの採用を開始します。スタッフのスキルは患者の満足度に直結することも多いため、時間をかけてサービススキルの高いスタッフを確保しましょう。

採用の際は次のような媒体を活用します。

  • 求人媒体への広告出稿
  • 派遣会社の利用
  • 自院のホームページによる募集

同エリア内の美容皮膚科が出している募集広告から、給与や各種条件を確認し募集条件を定めます。また活用する媒体や派遣会社により広告掲載費および紹介料が異なるため、採用に関連して発生する費用も事前に丁寧に把握しておくと安心です。

各種届出・手続き

開業地が決まり、資金調達のめどが立ち、内装や医療機器の準備やスタッフの採用活動が進むと、経営のイメージが具体的になってくるはずです。後は開業日までに各種届出や手続きを進めていきます。

開業に必要な届出および手続きには次のものがあります。

  • 保健所に「開設届」を提出
  • 厚生局に「保健医療機関指定申請書」を提出
  • 税務署に「個人事業開発等届出書」などの書類を提出
  • (クリニック内の患者とスタッフの合計人数が30名以上になる場合は)防火管理者の資格を取得
  • スタッフの労働保険および社会保険の手続き
  • (希望する場合は)医師会への入会手続き

各種の届出および手続きは、必要な期間が異なるため計画的に進めていきましょう。

美容クリニックの開業を成功させる8つのポイント


美容皮膚科には皮膚疾患の治療のみならず、肌を美しくすることを求める人も多く訪れます。そのような患者から選ばれ、長期的に安定収益を確保し、美容皮膚科の開業を成功に導く8つのポイントを解説します。

コンセプトを決める

美容皮膚科の開業にあたってはコンセプトの策定が重要です。特に同一エリア内に美容皮膚科がほかにもある場合、コンセプトに基づいた差別化により集患する必要があります。

患者は次のようにさまざまなニーズを持っています。

  • 低価格のサービスを求める
  • 高価格でも構わないから高い効果を求める
  • 予約のしやすさを求める
  • 医師による丁寧なカウンセリングを求める
  • 駅からの近さ、通いやすいを求める

コンセプトを定め、どのようなニーズを持つ患者にサービスを提供していくかを明確にし、他院との差別化に活かしましょう。

清潔感があり、患者に安心感を与えるのあるデザイン・レイアウトにする

美容皮膚科の内装には清潔感、安心感が求められます。肌に悩みを持つ患者に安心感を提供するためには、プライバシーに配慮した設計も重要でしょう。

特に自由診療として提供するサービスを強みとする場合は、患者が他院と比較したうえで自院を選んでくれるように内装やデザイン・レイアウトの面からも魅力を伝える必要があります。

また、内装やデザイン・レイアウトはホームページやSNSを通じて多くの人の目に触れるものです。インターネット上の画像を見た患者が安心して予約および通院できる空間づくりを心がけましょう。

アクセスの良い場所に開業する

美容皮膚科にとって、開業地は収益を大きく左右します。そのため、ターゲット層が多く居住しているエリア、またはターゲット層がよく訪れるエリアを中心に開業地を選定しましょう。

例えば、20代から40代の女性をターゲットとする場合は、それらの層が頻繁に利用する商業施設のテナントや、最寄り駅の駅ビルなどが選択肢に入ります。同一エリア内の美容皮膚科の数や周辺施設との連携も視野に入れて、最適な開業地を見つけましょう。

実績のあるスタッフを雇う

美容皮膚科ではスタッフの対応の質が患者の満足度に大きく関係し、リピートを増やすかどうかにも影響を与えます。スタッフの対応により不愉快な思いをした患者が、別の美容皮膚科に通う可能性は十分考えられるでしょう。

そのため、美容皮膚科として提供するサービスの質を担保するには、実績と経験のあるスタッフを雇う必要があります。美容皮膚科は、一般的な保険診療のクリニックに比べてサービスの側面が強いと言われています。患者はスタッフに対して、高いレベルの接遇や美容医療に関する専門的な知識と経験を求めるのです。

このような患者のニーズに応えてくれるスタッフを雇うために、採用の際は候補者の資格や経験年数、過去の実績を丁寧に確認しましょう。

以下の記事では、看護師の採用基準について解説しています。

Web広告に力を入れる

開業後、安定的に集客するにはWeb広告が重要です。Web広告の活用により、インターネット上でターゲット層に自院をアピールできるためです。

主なWeb広告には次のものがあります。

  • リスティング広告:検索エンジンで特定のキーワードを検索したユーザーに表示される広告
  • ディスプレイ広告:Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告
  • SNS広告:SNS上に表示される広告
  • 動画広告:動画サイトに表示される広告

Web広告を活用して、看板やポスティングでアプローチできないターゲット層に自院を認知してもらい、初回診療につなげていきましょう。また、アナログな広告と比較してWeb広告は効果を数字で把握しやすく、PDCAを回しやすいという特徴もあります。

余裕のある資金計画を立てる

美容皮膚科を開業する際は余裕をもった資金計画に沿って準備および経営を進める必要があります。開業後、事前に想定していた数の患者が訪れるとは限らず、売上や利益が月ごとにばらつく可能性が十分にあるためです。

一般的に経営の安定には数年単位の時間がかかるともいわれています。売上や利益が想定を下回っても、経営を維持できる資金計画を立てておきましょう。

実際に資金計画を立てる際は、想定どおりの集患ができたパターンのみならず、集患数が想定を下回った場合、上回った場合の3パターンを用意しておくと安心です。

専門家に相談する

美容皮膚科の開業に悩んだときは、次のような専門家に相談すると新たな解決法が見つかることがあります。

  • クリニックの開業コンサルタント
  • 税理士・社労士

それぞれの専門家の特徴を確認していきましょう。

クリニックの開業コンサルタント

クリニックの開業コンサルタントは事業計画の作成や資金調達、診療内容、集患の方法などの幅広い分野でサポートを提供しています。特に美容皮膚科の支援実績が豊富なコンサルタントであれば、医療機器および美容機器の選定やマーケティング戦略について具体的なアドバイスをしてくれるでしょう。

税理士・社会保険労務士

税理士と社会保険労務士はそれぞれ税務と労務の専門家ですが、美容皮膚科の開業支援を行っている場合があります。これらの専門家に相談することで、税務や労務といった専門領域に関するアドバイスとあわせて開業支援を受けられます。相談する際は、美容皮膚科の支援に実績を持つ専門家を選びましょう。

以下の 記事では、美容クリニックが失敗する原因と対策を解説しています。あわせて確認してみてください。

クリニックの開業支援を行っているコンサルを探す場合、以下の記事を参考にしてください。

まとめ


美容皮膚科の開業には5,000万〜1億円の資金が必要であり、そのうちの8割〜9割を融資で調達するケースが一般的です。開業準備は、診療圏および競合調査、資金調達、内装工事および医療機器の購入、採用、各種届出・手続きという順で進めていきます。

開業した美容皮膚科を成功させるためには、明確なコンセプトの策定、清潔感と安心感のある内装およびデザイン・レイアウト、アスセスの良い立地の選定、実績のあるスタッフの雇用、Web広告の活用、余裕のある資金計画の策定を行いましょう。単独で解決できない悩みは開業コンサルタント、税理士および社会保険労務士に相談するのもおすすめです。

自院のターゲットを明確に定め、それらのターゲットが定期的に通ってくれる美容皮膚科を丁寧にイメージしながら開業のプロセスを進めていきましょう。

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はじめに、美容皮膚科を開業する際に必要な資金について解説します。開業資金の総額と、融資を前提とした場合に必要な自己資金の2点について、詳しく見ていきましょう。

執筆監修者:村田 卓也
執筆監修者:村田 卓也
(株式会社メドレー 医科診療所事業部 事業戦略室) メドレーでは、フィールドセールスマネージャーを務めチーム育成や営業戦略立案・実行に従事。診療所向けSaaS(診療システムCLINICS)の拡販を牽引し年間数百件の新規導入に関わる。現在は、「戦略推進室」にて、事業部の販売戦略とプロモーションを担うミッション担う。今後も現場と市場をつなぐ推進役として価値提供に努めてまいります。
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