医療DXとは?取り組むメリットやデメリット、「医療DX令和ビジョン2030」を解説
医療業界で働く医療従事者の方で、上記のような疑問を抱えている方もいます。医療DXの現状や医療DX令和ビジョン2030について、具体的に知らない方もいるでしょう。
当記事では医療DXの現状や医療DX令和ビジョン2030、医療業界の課題などを紹介します。当記事を読むことで、医療DXについて理解を深められ業務の課題解決につなげられるでしょう。
目次[非表示]
- 1.医療DXとは?
- 2.医療DXの現状
- 3.「医療DX令和ビジョン2030」とは?
- 3.1.1.全国医療情報プラットフォーム
- 3.2.2.電子カルテ情報の標準化
- 3.3.3.診療報酬改定DX
- 4.医療業界の課題
- 4.1.1.人材不足
- 4.2.2.労働時間が長い
- 4.3.3.経営難
- 4.4.4.IT化が遅れている
- 5.医療DXによる3つのメリット
- 5.1.1.医療スタッフの業務効率がアップする
- 5.2.2.患者に適切な医療を提供できる
- 5.3.3.BCPを強化できる
- 6.医療DXによる3つのデメリット
- 6.1.1.高齢者などうまく利用できない患者もいる
- 6.2.2.ITリテラシーを求められる
- 6.3.3.セキュリティ管理が求められる
- 7.医療DXの主な取り組み3選
- 7.1.1.電子カルテの導入
- 7.2.2.ペーパーレス化
- 7.3.3.オンライン診療・予約・問診の導入
- 8.まとめ
医療DXとは?
IT技術などの導入により業務プロセスなどを変革させるのが、医療DXです。業務の効率化や負担軽減のためにも、医療DXは必要不可欠でしょう。
医療DXの現状
「医療DX白書」によると「DXを導入している」と回答しているのは、約9%です。医療DXを必要と感じていながらも、導入はまだまだ進んでいないといえます。
「医療DX令和ビジョン2030」とは?
医療DX令和ビジョン2030では、以下の3つの施策を打ち出しています。
- 全国医療情報プラットフォーム
- 電子カルテ情報の標準化
- 診療報酬改定DX
1.全国医療情報プラットフォーム
全国医療情報プラットフォームとは、病院や自治体などが管理している医療情報をクラウドで連携する取り組みです。情報を一元化できるため、スムーズに情報を共有できるようになります。
2.電子カルテ情報の標準化
電子カルテ情報の標準化を進めています。国の標準規格化を行っており、全国医療情報プラットフォームで情報共有や交換が可能になる施策です。
3.診療報酬改定DX
診療報酬改定DXは、報酬計算などの業務負荷を軽減する施策です。
医療業界の課題
医療業界の課題は、以下の4つです。
- 人材不足
- 労働時間が長い
- 経営難
- IT化が遅れている
それぞれ詳しく紹介します。
1.人材不足
人材不足が、医療業界の課題です。
医療業界は、慢性的な人材不足に陥っています。医療業界は一人ひとりの業務負担が大きく、離職率も高いのが特徴です。
また日本は高齢化により、高齢者数の増加に対して医療従事者が足りていません。医療従事者が少なくても、業務を円滑に回せるような対策が求められています。
2.労働時間が長い
医療業界は、労働時間が長いのが課題です。
看護師などの医療職は、労働時間が長く日によっては長時間の残業を強いられることも。また、早番や遅番など出勤時間も異なるため生活リズムが乱れるケースもあるでしょう。
労働時間が長くなり、生活習慣も乱れることが退職につながる一因です。
3.経営難
医療業界は、経営難に陥りやすいのが課題です。
病院やクリニックが経営難に陥りやすい点として、人件費や掲載費があげられます。看護師をはじめとする医療職は、労働時間が長いわりに給与が安い傾向です。労働に見合った対価を得られないと感じた場合、退職する方も少なくありません。
退職者が出るたびに、求人サイトへの掲載費が必要になるため出費がかさんでしまいます。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で備品の購入費用がかさむケースもありました。
上記の理由により、医療業界は経営難になりやすいわけです。
4.IT化が遅れている
医療業界は、IT化が遅れているのが課題です。
近年、電子カルテなど電子機器の導入を進めている病院が増えています。しかし、今まで電子カルテに触れてこなかった医療スタッフも多いため、導入に否定的な方もいるでしょう。
IT化が進まなければ、カルテの入力作業などに時間を要してしまうため、結果的に業務時間も長くなります。IT化を進めることで、医療職の業務時間を短縮でき負担も軽減できるでしょう。
医療DXによる3つのメリット
医療DXによるメリットは、以下の3つです。
- 医療スタッフの業務効率がアップする
- 患者に適切な医療を提供できる
- BCPを強化できる
それぞれ詳しく紹介します。
1.医療スタッフの業務効率がアップする
医療スタッフの業務効率をアップできるのが、医療DXのメリットです。
医療業界は、慢性的な人材不足に陥っています。少ない人数で効率よく業務をこなすためには、医療DX化が必要不可欠です。電子カルテや予約システムの導入で、人件費を抑えながら効率よく業務を進められるでしょう。
2.患者に適切な医療を提供できる
医療DX化により、患者に適切な医療を提供できるようになります。電子カルテやWeb問診、予約システムなどを導入すると患者の過去の病歴や治療内容などを一元化できます。
さらに、患者情報を他の医療機関と素早く共有できるため、さまざまな視点から最適な治療方法を考えられるのです。患者に最適な医療を提供するためにも、医療DX化は重要でしょう。
3.BCPを強化できる
BCPを強化できるのが、医療DXのメリットです。
BCPとは、地震などの災害時でも重要な業務を続けるための事業継続計画のことです。地震や台風の多い日本では重要視されています。医療DX化が進むことでデータを復旧しやすくなるでしょう。
医療DXによる3つのデメリット
医療DXのデメリットは、以下の3つです。
- 高齢者などうまく利用できない患者もいる
- ITリテラシーを求められる
- セキュリティ管理が求められる
それぞれ詳しく紹介します。
1.高齢者などうまく利用できない患者もいる
高齢者などは、Web予約システムなどをうまく利用できない可能性があります。
患者だけでなく、医師の中にも上手に利用できないケースもあるでしょう。操作に慣れるためにも、医療職に対して研修などを行う必要があります。
また、患者に対しては操作方法のマニュアル作成や場合によっては直接指導も必要です。
2.ITリテラシーを求められる
ITリテラシーを求められる点が、医療DXのデメリットです。医療職の中には、ITに関する知識が不足している方が少なくありません。
ITリテラシーが不足していると、電子カルテなどを上手に使えない可能性があります。医療DXに伴い、医療職のITリテラシーを向上させる研修の導入が必要でしょう。
3.セキュリティ管理が求められる
医療DXに伴い、セキュリティ管理が求められます。電子カルテなどは、業務を円滑に進めるための便利なシステムです。
しかし、セキュリティ管理を徹底しなければデータが漏洩するリスクが高まります。患者や病院のデータが漏洩しないように、セキュリティ管理を徹底しましょう。
医療DXの主な取り組み3選
医療DXの主な取り組みは、以下の3つです。
- 電子カルテの導入
- ペーパーレス化
- オンライン診療・予約・問診の導入
それぞれ詳しく紹介します。
1.電子カルテの導入
医療DXの取り組みとして、電子カルテの導入が挙げられます。電子カルテを導入すると、患者情報などを管理しやすくなるうえ、スムーズに共有できるでしょう。
2.ペーパーレス化
医療DXとして、ペーパーレス化が挙げられます。
IT機器の導入により、紙カルテや文書などが不要となるペーパーレス化が進むでしょう。ペーパーレス化が進むと、紙カルテの保管場所もいりません。
3.オンライン診療・予約・問診の導入
オンライン診療・予約・問診の導入が、医療DXの取り組みです。
オンライン診療や予約、問診の導入により自宅にいながら診療を受けられたり、通院の予約が可能になったりします。患者の通院率や受診率の向上にもつながるでしょう。
まとめ
ここまで、医療DXの現状や医療DX令和ビジョン2030、医療業界の課題などを紹介しました。医療DX化が進むと、人材不足が課題になっている医療業界でも円滑に業務を回せるようになります。
今後DX化を進めようと検討している医療従事者の方は、当記事を参考に施策を進めてみてください。