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「記録は任せて、話すことに集中できる」精神科クリニックのAI活用

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精神科・心療内科

香川県高松市の中心部、県内でも精神科・心療内科がひしめく激戦区で、開業10周年を迎えた古新町こころの診療所。朝日宏美院長は、医師・看護師・心理師・精神保健福祉士の多職種チームで「目に見えるメンタルヘルス医療」を実践してきました。そんな同院の長年の悩みが、精神科特有の「記録業務の重さ」でした。1日40〜60人の診察、1人30分〜1時間に及ぶ初診の予診。患者さんの語りを記録に残す作業が医師とスタッフの肩に重くのしかかり、初診の受け入れ数を意図的に抑えざるを得ない状況が続いていたといいます。CLINICSカルテのAI要約アシストは、この状況をどう変えたのか。朝日院長と、初診予診を担当する看護師のお二人に伺いました。

「目に見えるメンタルヘルス医療」を多職種チームで
古新町こころの診療所のあゆみ

Q.まず、クリニックのご紹介をお願いします。

朝日院長:医療法人社団つたの葉 古新町こころの診療所といいます。2016年4月に開業して、ちょうど今年が開院10周年です。場所は香川県高松市の中心部に近いエリアで、実はこのあたりは心療内科がたくさんあって、県内では激戦区と言われるところで頑張っています。体制は、医師は私一人。ほかに受付が2名、看護師が常勤1名とパート1名、心理師が常勤1名とパート1名、精神保健福祉士が1名の、総勢8名でやっています。看護師は初診の予診や再診の方の聞き取り、注射の対応。心理師はカウンセリングと心理検査。精神保健福祉士はカウンセリングに加えて復職支援などを担当しています。

Q.先生が目指しているクリニック像を教えてください。

朝日院長:心療内科・精神科は社会的ニーズがとても強くなっていて、初診の待機時間がどんどん延びている診療科だと思うんです。できるだけ早く対応してあげたい。でも、早く対応するために話を伺うことがおろそかになって、雑な診療になってしまっては意味がありません。だからこそスタッフに助けてもらいながら、多職種連携で患者さんのニーズをしっかり拾い上げる。そこを一番大事にしています。

「検査や治療は漫然とやるのではなく、何のためにするのか、治療方針はどうか、患者さんと相談して決めていく。心理検査も活用しながら、診断や治療効果をできるだけ目に見える形にしていきたいと考えています」(朝日院長)

オンライン診療が入口に。
前のカルテの「DX対応への不安」からCLINICSカルテへ

Q.数ある電子カルテの中で、CLINICSカルテに決めた理由を教えてください。

朝日院長:実は開業してすぐは別会社のカルテを使っていました。きっかけはオンライン診療です。患者さんのオンラインへのニーズが増え、精神科でもオンラインで算定できる精神療法が認められるようになってきたので、うちでも始めたいと。複数の事業者を見比べる中でCLINICSオンライン診療に出会い、説明や機能を聞いて「一番使いやすそうだ」と感じました。最初はオンライン診療だけCLINICSを使い、カルテは従来のものを続けるつもりでした。ただ、当時のカルテメーカーさんが規模縮小のような状況になってきて、電子処方箋への対応など、厚労省が求める水準が上がっていく中で、どこまで対応してもらえるのか、DXの整備が心もとなく見えてきたんです。それなら電子カルテもCLINICSに揃えれば、オンライン診療との機能の連結も使い勝手がいいだろうと。実際にデモを見て機能的にも使いやすそうでしたし、「次にカルテを替えるなら絶対クラウドにしよう」と決めていたので、クラウド型であることも大きな決め手でした。

Q.クラウド型のメリットはどんなところに感じていますか。

朝日院長:大学病院時代はオンプレ型を使っていて、10年前はクラウドに安全面・データ管理面の不安がありました。でも今は技術も進歩して、クラウド型の電子カルテ自体が増え、安心感が強まっています。実際、きちんと権限管理をすれば自宅のパソコンからも確認できるのは本当にありがたい。気になる患者さんのカルテを家で確認できることで、結果的に残業せずに済むようになったというメリットもあります。将来オンライン診療の患者さんが増えれば、週1回くらい在宅ワークの日を作れたら、という夢もあるんですよ。それから、四国は南海トラフ地震のリスクが言われ続けている地域です。万一診療所が被災してパソコンが使えなくなっても、クラウド型なら復旧が早いだろうと。災害対策という意味でもクラウドがいいと個人的に考えています。

「話を全部残すのは、とても無理だった」
精神科の記録業務という構造的な課題

Q.「AI要約アシスト」の導入前は、どのような業務に課題を感じていましたか。

朝日院長:精神科という科の特性上、患者さんがお話しくださったことを記録しなければならないのですが、とにかく話の量が多いんです。1日40〜60人を診る中で、お話しいただいたことを全部残すのは、とても無理でした。状況によってはカルテを書く時間を後回しにして会計を進め、診療がすべて終わってから書き直すこともしていたのですが、思い出せないんですよ。「この人、何を言っていたっけ」と。メモを見ながら記憶を一生懸命振り絞って記録を書く、ということをやっていました。これが私自身の課題でした。もう一つはスタッフの課題。初診の患者さんをきっちり診たい中で、平日は1日3〜4人の初診を受けているのですが、最初に看護師が30分〜1時間ほどお話を伺う予診をしています。看護師は診察前に私へ報告に来て、業務の合間にサマリをカルテに入れてくれるのですが、その姿を見ていると顔が疲れているんです。1時間聞いた話を、患者さんは時系列で整然と話してくださる方ばかりではないので、あちこちに飛ぶ話をまとめて要約する作業は、相当頭を使う、脳疲労を起こす作業だったんだなと。

「本当は初診を1日4人診たい。でも毎日4人診たら看護師がつぶれてしまう。だから3人、2人でやめておこうと、忙しさを見ながら初診の数を抑えて運用していました。オンライン診療が落ち着いたら、AIの音声文字起こしを入れないとこれ以上初診は診られない、とずっと感じていたんです」(朝日院長)

Q.AIに対する不安はありませんでしたか。

朝日院長:私自身、生成AIは日頃から使っていて「めちゃくちゃ便利だ」と肌で感じていましたし、音声文字起こしもプライベートや講演活動で使って性能の良さを実感していました。一番の懸念はやはり個人情報、情報管理が大丈夫かという点です。逆に言えば、個人情報保護の観点さえクリアして医療機関でうまく使えるようになるとありがたい、と常々感じていました。

診察・予診・心理面談 すべての診療場面で
CLINICSカルテのAI要約アシストを使ってみた

Q.実際には、どのような診療場面でAI要約アシストを利用されましたか。

朝日院長:デモンストレーション期間は、すべての診療場面で使いました。私の診察はもちろん、看護師の予診、心理師やワーカー(精神保健福祉士)の面談でも。スタッフが面談後に「患者さんはこういうお話でした」と報告に来てくれるのですが、その報告も録音して、患者さんとの対話と合わせて全部要約してくれる。カルテに残せる情報量が格段に増えて、これはめちゃくちゃいいなと感じました。心理師が毎日30分〜1時間のカウンセリングを録音・要約できたことで、カルテ記載の負担がすごく軽減されたという報告も受けています。

Q.診療の質や患者さんとのコミュニケーションに変化はありましたか。

朝日院長:以前は患者さんと向かい合って話しながら、「記録を残さなきゃ」とカルテを書く動作が挟まっていたのですが、メモを取る必要がほとんどなくなりました。それから、患者さんと込み入った話になったときも、かなり細かく記録が残るので、話の行き違いが減りました。「前回この話をしましたよね」と言われて、正直こちらが忘れていることはあるんです(笑)。でもカルテに残っているから確認できる。そこは本当にありがたいですね。

「記録は残してくれていると思うと、本当に話すことに集中できるようになった。これはすごく大きいと思います」(朝日院長)

Q.要約の精度や、修正の手間はいかがですか。

朝日院長:最初は修正が結構ありました。多言語対応のアップデートのタイミングだったのか、一瞬おかしな表記になる時期もあって。でもそれも修正されて、今は修正がまったく要らない場面も出てきたくらいです。患者さんはマスクをされているので聞き取りが弱くなる部分はあると思いますが、おかしいなと思ったらそこを削る程度で済む。修正の手間は本当に減ったと思います。

「とにかく、打ち直しがなくなりました」
という看護師の声

初診予診を担当する看護師にも、現場の変化を伺いました。

Q.導入前は、どのような業務に課題を感じていましたか。

看護師:初診の患者さんが来られたとき、診察の前に予診を取らせていただいています。短い方で20分、長い方だと1時間近くお話を伺います。チェックリストで聞くのではなく、患者さんが思っていることをすべて自然に話せた、ということを大事にしたいので、自由に話していただきながら問題点を見つけ、気になるところは深めていく。だから話はすごく広がります。それを要約して先生に報告し、さらにカルテのサマリに起こすのですが、時系列はバラバラですし、聞きながら深まっていく問題点もある。1時間話を聞くだけでも頭の中が混み合うのに、予診録に起こすとなるともう一段疲れる。まとめるのに時間がかかったり、頭が痛くなったり。日々の積み重ねで、すごく疲弊していました。

Q.「AI要約アシスト」を使ってみて、良かった点を教えてください。

看護師:とにかく、打ち直しがなくなりました。最初のうちは、自分のまとめ方と違うのが気になって直したり、時系列を直したり、「ここを書いてほしかった」という箇所を足したりしていたのですが、何度かブラッシュアップしていただくうちに、今は私に関してはほとんど手を加えずにいけるようになりました。

「予診で話を聞いたあとに『まとめる』という作業が、負担ではなくなりました。本当にありがたいです」(看護師)

初診の受け入れが週4〜5人増。
記録のボトルネックが外れて、診療も経営も変わった

Q.導入して良かったと思う、一番のポイントを教えてください。

朝日院長:結果的に、診られる初診の数が実際に増えたことです。看護師がサマリをまとめる時間が大きく短縮され、時間的にも心理的にも負担が軽くなったので、私の体感では、1週間に診られる初診の患者さんは4〜5人は増えていると思います。初診が増えれば当然そのフォロー診療も増えるので、結果として収益も上がる形になりますよね。

Q.残業時間など、コスト面の変化はありましたか。

朝日院長:うちはもともと「残業は絶対禁止」に近い方針で、スタッフはできるだけ残らないようにしています。その分、カルテ記載を後回しにして会計を早く進め、みんなを早く帰して私一人が残業する、ということをしていました。デモ期間で全員が録音OKだった頃は、心理師もワーカーも記録が早くなって、みんなさらに早く帰れていたんですよ。今は運用上、看護師の予診と私の診察に絞って使っているので、利用コストが下がってみんなが使えるようになれば、スタッフ全員の残業時間ももっと減るだろうと思います。

「インフォームドコンセントが重要な診療科にこそ」
これからAI要約アシストの導入を検討する医療機関へ

Q.「AI要約アシスト」は、どのような医療機関におすすめできますか。

朝日院長:まずは精神科・心療内科。会話量が多いことを考えると、使う価値は大きいと思います。カルテに残った会話の記録が、その後の診療にすごく影響する科ですから。あと、うちでは発達障害の検査をした際の結果説明に時間をかけているのですが、その場面で録音すると、専門用語まできちんと文字起こし・要約してくれるんです。検査をして、結果を報告して、患者さんにきちんと説明する。インフォームドコンセントが重要な場面が定期的にあるような医療機関には、きっちり録音してきっちりまとめてくれるというのはすごくいいんじゃないかと思います。

Q.今後のAI機能の開発に期待することはありますか。

朝日院長:使っていても定期的に機能が上がっていくので、本当に驚いています。こんなにサービスを開発してくださるなんて、と。今は会話の文字起こし・要約という形ですが、今後は過去のカルテからデータを引いて「これまでがこうだったから、この流れなんだ」と判断を支援してくれるようになったり、それから精神科で今とても負担が大きいのが診断書の作成です。紹介状も、10年診ている患者さんが転居で必要になったら、どこまで書くか目眩がするような作業になる。そういうところをAIがサポートしてくれると、私たちの日々の負担はすごく減るだろうと感じています。
※医療文書の作成を支援する「AI文書アシスト」は、生活習慣病の療養計画書・主治医意見書を対象に提供が始まっており、対応文書は順次拡大を予定しています。

Q.最後に、これから電子カルテの導入・リプレイスを検討される先生方へメッセージをお願いします。

朝日院長:CLINICSカルテにして本当に良かったと思うのは、まずサポートの良さです。チャットで問い合わせたときの返事がものすごく早い。診療報酬改定のタイミングなどはトラブルや分からないことが起きやすいので、返事の早さは本当にありがたいと思っています。それから、厚労省が求める基準を先回りしてクリアしていこうという姿勢。今後DX関連の加算を取っていく上で、基準を満たしてもらえるかどうかは点数にも影響します。AIも含めた開発の熱量は、カルテ選びでとても大事な点ではないでしょうか。

※所属・体制は取材時点(2026年5月)のものです。

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