Case
0時開放の予約枠が即満枠でも、少人数で回る一体型カルテの実力とは
東京メトロ東西線・早稲田駅から徒歩1分。2018年4月に開業した早稲田メンタルクリニックの院長・益田裕介先生は、防衛医科大学校を卒業後、自衛隊や精神科病院勤務を経て開業された精神保健指定医です。YouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」の登録者は73.2万人を数え、「発信する精神科医」として広く知られています。その人気もあって、初診のWEB予約枠は深夜0時の開放後、短時間で埋まってしまいます。それでも院内の体制はあくまで少人数のまま。「クリニックは小さくても、みんなが幸せになる形がいい」と語る益田先生の診療を、開業時から7年にわたって支えてきたのがCLINICSカルテ・CLINICSオンライン診療、そして患者アプリmelmoです。選定の決め手から精神科ならではの運用、AI時代への期待まで、益田先生と受付スタッフにお話を伺いました。
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「これからオンライン診療が来る」
クラウドカルテがまだ珍しかった2018年の選択
Q 開業時にCLINICSを選ばれた経緯から教えてください。
益田先生:当時、オンライン診療のアプリとしてCLINICSがシェア1位だったんです。これからオンライン診療が来るだろうし、それならカルテも合わせたほうがいいかなと思って選びました。
Q 電子カルテ自体はどんな基準で選ばれたのでしょうか。
益田先生:見ていたのは3点です。本質的な機能がきちんと揃っているか、価格が見合っているか、そして法令面で引っかからないか。なかでも譲れなかったのが、院内にサーバーを置かないこと。自院でサーバーを持つと障害対応に縛られてしまうので、クラウドがいいと考えていました。当時はクラウド型の電子カルテ自体がまだ数えるほどしかなくて、院内にサーバーを置く製品が多かった時代です。その点でも、クラウドで完結するCLINICSは条件に合っていました。
Q 開業当初の集患はいかがでしたか。
益田先生:開業時は夕方から夜中心、16時から20時という特殊な診療時間で始めました。働く人が通いやすい時間帯ですね。集患はWeb広告を少しと、当時はSEO対策のブログです。診察時間が5分しかない中で病気の説明を紙に書いて渡していたんですが、「これ、紙もブログも読まれないな」と。それで「ブログの次は動画が来る」と思ってYouTubeを始めました。みんなやると思っていたら、意外と誰もやらなかったんですけどね。
益田先生がYouTubeを開始したのは2019年。現在は登録者73.2万人を数え、初診予約の大半がYouTube経由という。「新しいものに早く張る」という判断軸は、クラウドカルテがまだ珍しかった時期のCLINICS導入とまったく同じです。
初診はWEB予約のみ
CLINICSカルテ×melmoで「電話が鳴らない受付」へ
Q 現在、予約はどのように運用されていますか。
受付スタッフ:初診はWEB予約のみです。ホームページの予約ボタンがそのままmelmoにつながるようにしているので、患者さんは皆さんmelmoから予約します。もともとは電話でも受けていたんですが、先生がYouTubeで有名になってからは、予約枠が開く深夜0時のタイミングですぐ埋まってしまうんです。電話をいただいた時点ではもう空きがない。それなら最初からWEB予約に一本化しようと。
Q 電話対応の負担はどう変わりましたか。
受付スタッフ:電話対応はレジ業務(受付・会計)の手を奪ってしまうので、WEB予約に寄せられたのは大きいです。再診は約1か月周期の方が中心で、お会計のときに院内で次回予約を取るか、ご自身でWEBから取っていただく。キャンセルもアプリから患者さん自身でできるので、受付が間に入る場面は少ないですね。
Q melmoの決済機能も使われていると伺いました。
受付スタッフ:オンライン診療の方はmelmo決済が基本ですが、対面の患者さんでも、体感で半数近くの方がクレジットカード登録済みで、melmo決済を使われています。一度「登録のカードで引き落としていいですか」と確認した方は、以後ずっとmelmo決済。現金のやり取りが減るので、会計はかなりスムーズです。

「以前の職場では、できる人にしかできない仕事だった」
一体型カルテが受付業務を変えた
Q スタッフの立場から見たCLINICSカルテはいかがですか。
受付スタッフ:私は開業から7年ここで働いていますが、以前勤めていた医療機関では、受付はこのメーカー、カルテはこのメーカーとシステムがバラバラで、連携もできていませんでした。レセコンとも連動していないので、会計のたびに医療事務が打ち込み直す。つまり、その操作ができる人にしかできない、属人化した仕事だったんです。CLINICSに初めて触れたときは「すごく使いやすい」とびっくりしました。今はレセコンもCLINICSの中に入っているので、先生が診察を終えてカルテ内で会計まで確認すると、こちらはすぐお会計に進めます。「ここは会計が早いね」と患者さんに言われたこともあります。
Q 困ったときのサポートはいかがですか。
受付スタッフ:分からないことがあったらすぐチャットで質問しています。すぐ返事が来て対応してもらえるので、遠慮なくどんどん送っています(笑)。
番号札・自立支援医療・診断書
精神科ならではの運用をCLINICSカルテに集約
Q 精神科ならではの運用の工夫があれば教えてください。
受付スタッフ:個人情報保護のため、院内ではお名前ではなく番号でお呼びしています。受付時に番号札をお渡しして、カルテにも番号で紐づける運用です。それから、自立支援医療(精神通院医療)の患者さんが多いので、受給者証の有効期限や更新時期は、CLINICSカルテの患者メモに受付スタッフが記録して、更新忘れがないよう声かけに使っています。
益田先生:自立支援の適用外の薬が出るときも、カルテを分けるのではなく、お薬の欄にコメントを付けて管理しています。レセプトのためにカルテを分けたことは一度もないですね。
Q 診断書などの文書作成はどうされていますか。
益田先生:精神科は障害者手帳、自立支援、年金の診断書など、文書作成の機会が多い科です。うちでは、詳しい問診票を事前に患者さんに書いてきてもらい、それを参考にしながら、患者さんからヒアリングや補足修正をし、その日の夜に医師が診断書を書くようにしています。カルテから情報を探す手間をどう減らすかが、精神科の文書業務のポイントだと思います。問診も、予約時に患者さんが入力した内容が初診カルテに転記できるので、そこに上書きしながら書いています。

「小さくても、みんなが幸せになる形がいい」
規模を追わない経営とCLINICS
Q 開業から7年、経営はかなり安定して推移されている印象です。意識されていることはありますか。
益田先生:一度、非常勤の先生を増やして規模を広げようとした時期もあったんですが、今は「一人で診られる範囲」を意識しています。クリニック経営で大事なのは、売上を伸ばすことより、スタッフのメンタルケアだと思っているんです。人が辞めて入れ替わるときのストレスがいちばん大きい。だから無理に大きくしない。小さくても、働いている人と患者さんがみんな幸せになる形がいいと思っています。診療時間も、開業時は16時から20時中心だったのを、スタッフが働きやすいように昼間中心へ変えていきました。ストレスを溜めないことがいちばん大事です。私はあと30年この仕事を続けるつもりなので。
Q システムに対する評価も、その哲学とつながっていますか。
益田先生:毎日使っていて引っかかるところがなく、ストレスを感じないんです。これは長く使ううえでいちばん大事なところで、7年使ってきて、本当によく作り込まれているなと感じます。過去カルテや傷病名が画面の左側で見られるのも見やすいですし、書類のところで過去の自立支援や手帳の診断書をすぐ参照できるのも便利です。
これから AI時代の精神科医療と、メドレーへの期待
Q 今後への期待をお聞かせください。
益田先生:AIですね。学会準備や発表の調査や下書きなどに自分でも使い始めていて、明らかに楽になる領域です。CLINICSカルテにもAIの要約や文書作成支援が入ってくると聞いているので期待しています。特に精神科は、転院時の紹介状や手帳・年金の診断書など、カルテからエピソードを拾って定型文書に落とす作業が大変な科なので、そこをAIが下書きしてくれるようになると大きいと思います。
Q 最後に、これから開業される先生方へメッセージをお願いします。
益田先生:正直に言うと、開業のときは物件探しなどに忙殺されて、電子カルテをじっくり比較する余裕なんてないんですよ。だからこそ、何を大事にしている会社かで選ぶのがいいと思います。僕がメドレーを選んだのは、新しいチャレンジを大事にしている会社だったから。オンライン診療も早かったし、その後のAIへの取り組みも早い。「新しくて、早くて、チャレンジしている」会社に乗っかっておくと、自分のクリニックも時代に乗り遅れない。ビジョンがしっかりしている会社を選んだほうがいい、というのが7年使ってきた実感です。
※所属・体制は取材時点(2026年5月)のものです。