Case
救急の最前線から駅前の町医者へ。 CLINICSと始めた予防医療
つくばエクスプレスの開通以来、子育て世代を中心に人口が増え続ける千葉県流山市・おおたかの森。その駅前に、おおたかの森駅前クリニックはあります。院長の東田哲博先生は、市内の総合病院で長く脳卒中医療の最前線に立ってきた脳神経外科医です。深夜の呼び出しに駆けつけ、緊急手術で命を救う日々を送るなか、「命は助かっても後遺症が残る。それなら、なる前に防ぐ医療のほうが大事なんじゃないか」という思いを抱き、若い世代が多いこの街で予防医療に踏み出しました。開業時のパートナーに選んだのは、カルテ・予約・オンライン診療が一体になったCLINICS。開業から約2年半を迎えた東田院長に、お話を伺いました。

脳卒中の最前線から、予防医療の道へ
Q. 勤務医時代はどんな診療を。
「私は流山市内の病院で、脳神経外科医として脳卒中医療に従事していました。非常にやりがいがありましたし、多くの命を救ってきたという自負もあります。ただ、手術は多い週で5〜6件、そのほとんどが、来た患者さんをその場で手術しないと助からない緊急なものでした。脳卒中は待ったなしですから、真夜中に呼ばれて病院に駆けつけるのも日常だったんですよね。若いうちは無我夢中でやってこられましたが、40代後半になったとき、この働き方をこの先も続けられるだろうかと考えるようになりました」
Q. 予防医療を志したきっかけは。
「脳卒中になってしまうと、完全に回復される方はごくわずかなんです。命が助かっても後遺症が残って、ご本人が長年苦しむことになったり、ご家族に大きな負担がかかってしまったりすることも。それなら、脳卒中を防ぐ医療のほうが大事なんじゃないかと思ったんです。そしてなにより、地域の患者さんを長く診ていくためには、自分の健康にも目を向ける必要があると思いました」
Q. なぜ、おおたかの森だったのですか。
「若い世代が多い街なんです。脳卒中とはまだ無縁の世代ですが、だからこそ、若いうちから高血圧や糖尿病をしっかりケアしていく診療をこの街でやりたいと思いました。自宅も流山にあり、以前勤めた病院もすぐ近くで、何かのときに連携しやすい。いろいろな要素が重なって、おおたかの森での開業がベストだと考えました」
やりたい医療から逆算して選んだCLINICS
Q. 電子カルテはどう選びましたか。
「開業コンサルタントに勧められたのは、オンプレ型の大手メーカーのカルテでした。ただ、値段が結構高くて。自分で調べるうちに、クラウド型のほうが将来性があるんじゃないかと思うようになりました。実際にいくつも触って比べてみて、目に留まったひとつがCLINICSだったんです」
Q. そこからCLINICSに決めた理由は。
「私がやりたかったのはオンライン診療だったんです。忙しい若い世代は、病院に来る時間も取れない。ただ、うちは土日を休みにしているので、時間の取れない若い世代の方々をフォローするためにも、オンライン診療をやろうと。別々のメーカーを組み合わせるより、同じメーカーでまとまっていれば困ることもなさそうだし、値段も安くなりそうで、手続きも一度で済みます。オンライン診療もできて、クラウド型の電子カルテで、お値段もそこそこ。それで決めました。開業から約2年半経ちましたが、動き自体はスムーズで、特に困っていることはないですね」
Q. オンライン診療の運用に関する工夫は。
「外来の前後に30分ずつ、オンライン診療の枠を設定しています。CLINICSは、カルテとオンライン診療がひとつのシステムになっているので、予約の確認からビデオ診察、カルテ記載まで私1人で完結できるんです。うちは受付も看護師もそれぞれ2名の少人数体制ですから、スタッフに負担をかけずにできるのはありがたいですね。外来の合間にも対応していますよ」
Q. WEB予約やWEB問診の活用法は。
「予約はWEBやアプリが中心ですが、お年を召した方は電話も多いですね。事前問診も、来院前に何で来られるのかがわかるので活用できています。ただ、カルテの予習は直前にすることが多いです。風邪の患者さんだと『良くなったからやめた』というキャンセルも結構ありますから、前の日から見ても無駄になることがあるんですよね」
Q. CLINICSのサポートはいかがですか。
「チャットは私も時々使っています。混み合って返信に時間がかかることもありますが、気になるほどではないですし、非常に役立っていますね。事務スタッフも電話で問い合わせて、きちんと対応してもらっているようです」

クリニックの経営者として、
そして、この街の血管を守る医師として
Q. 開業して変わったことは。
「基本的には、経営者になるということです。スタッフを雇用する立場になりますから、スタッフの生活を支えていかなくてはいけないし、クリニックが地域から認められて発展していかないといけない。なので、CLINICSの経営分析で月の売上や診療単価、新患率、患者数についても確認するようになりました。あとは、違った種類のストレスがかかってくるので、そこは覚悟が必要ですね。一方で、自分の意思で決められて、実現できることも増えるのはいい変化かと」
Q. これから開業する方にメッセージを。
「残りの医師人生を、同じ道でキャリアアップを目指すのか、まったく違うことをやってみるのか。そこをしっかり考えてから開業するのがいいと思います。開業前にやっておけばよかったことを挙げるなら、社会の仕組みを知っておくことですね。医師は病院の中で仕事が完結してしまって、外の人とやり取りしながら物事を進める経験がほとんどないんです。もう少し世の中を知っておけばよかったと思いますね」
Q. カルテ選びについてアドバイスを。
「今後は厚労省の方針も含めて、クラウド型がメインになってくるでしょうから、そのなかから、自分のやりたいことが実現できそうなカルテを選べばいいと思います。CLINICSは、予約もオンライン診療もカルテも、最初からひとつのシステムに入っています。別々のシステムをつなぎ合わせる必要がないので、つまずきようがない。価格的にもリーズナブルですし、ひとつのいい選択肢になるんじゃないかなと思っています」
Q. 最後に、今後の展望を教えてください。
おおたかの森駅前クリニックの待合室には、脳卒中と生活習慣病のつながりを伝える冊子が置かれています。
「いま来院される患者さんは20〜40代が約8割で、風邪や急性疾患がメインです。ただ、10年後にはこの方たちも、健診でいろいろ指摘されて健康を気にし始めると思うんです。このクリニックも、どこかで法人化したいと思っていますし、地域に頼られる、生活習慣病の管理をメインにしたクリニックにもなりたいです。『重大な病気を予防するためのクリニック』として認知されていたら、それが一番ですね」
※所属・体制は取材時点(2026年7月)のものです。