Case
受付から会計まで最短15分|CLINICSで叶えた一気通貫の診療とは
東京・新宿のオフィス街、新宿通り沿いのビル3階に2022年4月に開業したイーヘルスクリニック新宿院。院長の天野方一先生は、腎臓内科医として大学附属病院などで研鑽を積んだのち、帝京大学大学院で公衆衛生学を学び、ハーバード大学公衆衛生大学院への留学経験も持つ、予防医療に軸足を置くドクターです。複数企業の嘱託産業医も務める「働く人の健康」のスペシャリストとして、内科・腎臓内科・アレルギー科などの保険診療から自費診療まで幅広く手がけながら、「受付からお会計まで最短15分」を掲げ、平日夜や土日祝の診療も行っています。
「忙しくて通院が続かず、結果的に重症化してしまう働き盛りの患者さんを、勤務医時代にたくさん見てきた」。その原体験から、天野先生は電子カルテ・予約・問診・オンライン診療を“やる前提”でクリニックを設計し、開業時からCLINICSを一気通貫で活用してきました。一方で開業1年目には、予約システムだけ他社製を併用したことで「DXっぽいのに、実は人力」という壁にもぶつかったといいます。CLINICSへの統一で何が変わったのか、そして「最短15分」のオペレーションはどう成り立っているのか。天野先生にお話を伺いました。

「病院に行くハードルを下げたい」
働き盛りのためのクリニックを開業するまで
Q.まず、先生とクリニックのご紹介をお願いします。
イーヘルスクリニック新宿院を2022年4月に開院しました。内科・腎臓内科・アレルギー・性感染症などの保険診療と健診に加えて、医療ダイエットから再生医療まで、自費診療も幅広く手がけています。コンセプトは「働き盛りの人たちを応援する」こと。勤務医時代、忙しくて病院に行けない人をたくさん見てきました。一般的なクリニックでは1時間、2時間待ちも珍しくない。そうすると半休を取らないと受診できず、結果的に足が遠のいて治療が継続できなくなり、重症化してしまう。「病院に行くハードルを下げる医療機関にしたい」と、最初から考えていました。ご高齢の方を丁寧に診るクリニックは、地域にすでにたくさんあります。一方で、忙しい働き盛りの人が無理なく通える病院は、ほとんど見当たりませんでした。だったらうちは、そこに特化しよう——予約やデジタル前提の診療体験を、開業時からつくることにしたんです。
「最初からやる前提」で3社を比較
決め手は営業対応とUI/UX
Q.CLINICS導入のきっかけと、当時の課題感を教えてください。
正直に言うと、いわゆる「導入前の課題」はないんです。電子カルテもオンライン診療も予約も、やる前提でクリニックを開いているので。コンセプトをカバーできるシステムを選ぶ、という順番でした。
Q.比較検討はされましたか?
3社ほど比較しました。最終的にCLINICSを選んだ決め手は、率直に言えば営業担当の対応が良かったこと、そしてプロダクトのUI/UXが良かったこと。この2つです。
Q.運用を始めてから、現場で混乱はありましたか?
ドクター側では正直そんなにありません。ただ、立ち上げ初期は病名の自動入力や入力漏れのアラートがまだ弱くて、加算の入力漏れなどレセプト面で医療事務が苦労した記憶はあります。そこはセット登録を作り込んで、漏れのリスクを減らしました。運営して3〜4年経った今は、セットがいい形に仕上がっているので、新しく入ったスタッフでも使いやすくなっていますし、社内マニュアルも整備しています。
「DXっぽいけど、実は人力」
予約もCLINICSカルテに統一して、転記の専任スタッフが不要に
Q.導入初期のエピソードで、特に印象的だったことは?
実は開業からの数ヶ月だけ、予約システムだけは別の会社のものを使っていたんです。これが失敗で、予約システムとカルテが連携していないと、その間がぜんぶ人間の作業になるんですよ。見た目はDXっぽいのに、実は人力。それはおかしいよねと。
Q.具体的には、どのくらいの作業量だったのでしょうか。
予約システムからカルテへの転記のために、人を雇っていたくらいです。1日60〜70件の予約が入ると、3〜4時間では終わらないくらいの作業でした。1年目の後半に予約もすべてCLINICSに統一して、この作業が丸ごとなくなりました。時間だけでなく人件費も、そして転記ミスの心配もなくなった。本当にスッキリしましたね。
CLINICS予約×CLINICS問診で
「患者さんが来る前から、アウトプットが決まっている」
最短15分の中身とは
Q.ホームページに「受付からお会計まで最短15分」とあります。CLINICSの機能はどこに寄与していますか?
基本的に全部です。そのうえで一番効いているのは、予約枠の時間を診察内容に応じて自分で設計できること。この方は5分、この方は30分、と枠を最適化できるんです。加えて、うちはWEB問診を必須にしています。すると患者さんを診る前から、何をしたいのかが分かる。極論を言えば、患者さんが来る前から、もうアウトプットが決まっている。イメージを持って診察に入れるので、こちらの負担も減るし、患者さんの時間も最適化できる。この組み合わせが「最短15分」の正体だと思います。
CLINICSオンライン診療は「通院10回のうち6〜7回」
慢性疾患の継続を支える使い分け
Q.オンライン診療はどのように活用されていますか?
最初は、オンライン診療がどこにハマるのか、僕にも分からなかったんです。だから、いろいろなパターンを試しました。行き着いた結論は、慢性疾患の「継続」のためのオンライン診療がいちばん良い、ということです。たとえば年に10回通院するとしたら、検査が必要な2〜3回は対面で、お薬の処方だけの6〜7回はオンラインで完結できる。忙しい人は、オンラインだけでも対面だけでも解決しません。両方をうまく使い分けることが大事で、継続のためにオンライン診療は本当に役に立っていると思います。
Q.狙い通り、ビジネスパーソンの患者さんが多いのでしょうか。
多いですね。本当にイメージ通りで、平均年齢は40〜50歳くらい。大手企業の方、コンサルや金融の方、新宿エリアの中小企業の社長さんも来てくれます。丸の内に本社がある金融の方が、対面とオンラインを交互に使いながら通ってくれている、というケースもあります。予約制で待ち時間が少ない、会計までスムーズ――「通いやすいからこちらに移った」という声は、ちょいちょい聞きますね。

melmo(患者アプリ)は
「気づいたら患者さんが登録している」
Q.患者さんへのアプリのご案内で、苦労した点はありましたか?
それが、こちらからお願いする場面は正直少ないんです。Web予約の動線の中で、自分から登録している患者さんが多い。予約を変更したい、書類をアップロードしたい、リマインドが欲しい――そういう要望が出たときに「アプリに登録すると便利ですよ」と伝えると、すんなり登録してくれます。登録した患者さんからは「使いやすい」という声が多いですね。診察中に次回の予約を取ると、その場で患者さんのアプリに反映されるじゃないですか。あれは「すごい」と言われます。会計も、カードを登録している方には登録カードで済ませる運用にしています。理想は、全員アプリのカード会計です(笑)。
Q.印象に残っている機能アップデートはありますか?
2つあります。1つは予約日時の変更機能。以前は一度キャンセルして取り直す形だったので、患者さんに心理的な負担がありました。もう1つは、自費メニューを自分で登録できるようになったこと。以前はチャットで依頼して、週末を挟むと2〜3日かかることもあった。うちは自費メニューが多く、価格改定や新メニューの追加も頻繁なので、その場で自分で直せるのはシンプルに助かっています。立ち上げの2022〜23年頃は、正直「物足りない」と感じる部分もありました。でもこの3〜4年で、「ここを変えたほうがいい」と思っていたところがどんどん変わってきている。アップデートし続けてくれるのがいいですね。どんどん良いものを作ってほしいです。
「思ったより、高齢者も使いこなせる」
デジタル活用を志す先生方へ
Q.同じように「デジタルを活用した効率的なクリニック運営」を目指す先生方へ、アドバイスをお願いします。
新宿という土地柄もあるかもしれませんが、思ったより高齢者も使いこなせます。67歳くらいの方でも、自分で予約してバリバリ来院される方が全然いらっしゃる。「高齢の患者さんが多いから新しいシステムは無理」と思っている先生は意外と多いんですが、そんなことはない、というのが実感です。実例もあります。うちの非常勤の先生のお父様が、70歳くらいでご実家のクリニックをされているんですが、娘さんがうちでCLINICSを使って「すごく良かった」と。それでお父様も一度うちに見学に来て、実際に触ってみて、「これなら」と導入されました。年齢に関係なく、意外に使えるものなんです。とにかく、便利だから使ったほうがいい。最近は「どうやってるの?」と、一般的な運用のクリニックの先生から相談を受けることも増えました。2代目・3代目の40歳前後のドクターが、ご実家のDX化に悩んで相談に来られる。オンライン診療をどう運用しているか、どういう動線にしているか――普通に話すだけで「すごい」と言われるんですが、特別なことはしていません。仕組みを入れて、ちゃんと使う。それだけです。
取材日: 2026年5月12日/所属・体制は取材時点のものです