電話番号
受付:平日 10:00 〜 19:00

Case

「患者さんの顔を見て話せる」糖尿病クリニックのAI要約による対話

カルテ・レセコン

AIアシスト

他社カルテからの移行

内科

岡山県津山市の医療法人蘭和会 布上内科医院は、糖尿病専門医である布上朋和院長のもと、一般内科、糖尿病・代謝内科、消化器内科の診療を行うクリニックです。開業から10年、地域の糖尿病診療の受け皿として多くの患者さんが通う同院は、2025年9月、長年使用してきたオンプレミス型電子カルテのサポート終了を機にCLINICSカルテへ移行しました。移行の決め手となった「オールインワン」と「クラウド型の進化スピード」への期待は、導入直後に現実のものになります。リリースされたばかりのAI要約アシストのプロンプトを院長自らが作り込み、いまでは現場の看護師が「なくてはならない」と語るまでに定着しているのです。布上院長と現場スタッフのみなさんに、AI時代のカルテ活用についてお話を伺いました。

「なぜこの治療が必要か、納得しながら治療できる診療を」
県北の糖尿病診療の受け皿として10年

Q.まず、医院の特色と目指す診療について教えてください。

開業して10年になります。私はもともと内視鏡など消化器系の診療が好きで、その道に進もうと考えていたのですが、岡山県北部には糖尿病の専門医が少なく、勤務医時代に困っている患者さんをたくさん診ました。1型糖尿病の方など専門的な治療が必要な方が、外来通院のためにわざわざ県南まで行かなければならない状況も目にしていました。そういう方の受け皿になれたらと考え、大学で糖尿病を専門的に学んで戻ってきた経緯があります。糖尿病の患者さんとは長いお付き合いになります。大事にしているのは、患者さんが「ドクターに言われるから治療する」のではなく、なぜ自分にこの治療が必要なのかを理解し、納得しながら治療できる診療です。そのためには、患者さんの話をきちんと聴く時間が欠かせません。

オンプレ型カルテのサポート終了を機に。
CLINICSカルテを選んだ決め手は
「オールインワン」と進化のスピード

Q.数ある電子カルテの中から、CLINICSカルテを選ばれた理由を教えてください。

きっかけは、もともと使っていたオンプレミス型の電子カルテのサポート終了が決まったことです。気に入って使っていたので「これは困ったな」と。そこから情報を集め始めました。めまぐるしくいろいろなことが変わっていく時代に、オンプレミス型とクラウド型を比べたとき、クラウド型はアップデートのスピード感で優れていると感じましたし、コスト面のメリットもあります。今後はクラウド型が主流になると感じて、クラウド型に絞って検討を始めました。その中でCLINICSカルテを選んだのは、当院でも今後オンライン診療を考えたほうがいいという構想もあり、予約システムなども含めてオールインワンでやっていこうという流れのあるカルテだと感じたからです。今後の発展に期待しながら選ばせていただきました。

「ついに来たか」 カルテのポップアップで出会ったAI要約

Q.導入直後にリリースされたAI要約アシストを、いち早く使い始めていただきました。きっかけは何でしたか。

最初に知ったのは、カルテ画面のポップアップでした。それを見て「AIのアシストが、ついに来たか」と。日頃からそういうAIのアシストがあればいいなと思っていたので、わりと早い段階でリリースに向けて動いているというのは魅力的でしたね。

Q.導入前は、どんな課題があったのでしょうか。

開業して10年、ありがたいことに多くの患者さんに来ていただけるようになった一方で、数が増えると、どうしても患者さん1人にかける時間が少しずつ短くなってしまいます。WEB問診などいろいろ工夫しながら患者さんの声を拾い上げる取り組みをしてきましたが、WEB問診だけではカバーできない部分は、スタッフが事前に話を聞きに行く。すると聞き取りにも時間が取られ、聞いた後にスタッフがそれをまとめる時間も取られる。その結果、診察までの時間が延びてしまうのが課題でした。診察の会話からAIが要点をまとめてくれるというのは、非常に魅力でした。

Q.AI要約を使う前から、生成AIはお使いでしたか。

ChatGPTなどの生成AIが出始めた頃から、患者さんの個人情報を完全に排除したうえで「これを投げたらどう要約されるか」を試したことはあります。ただ、汎用のAIツールだと作業工程が多く手間がかかるので、これを普段からずっとやり続けるのは難しいと思いながら使っていました。

プロンプトは院長の自作。
「自分のカルテの雛形」をAIに渡して逆生成

Q.布上先生はプロンプトの作成もご自身でされたそうですね。

プロンプトは非常に触りやすくて、「こんなに簡単に変えられるんだ」と早い段階で気づいたので、これなら自分でできそうだなと。ただ、私もAIの知識が豊富なわけではありません。そこで、普段自分が書いているカルテの雛形を作って、「この欄にはこういうことを書きたい」と一通り書き出し、それをAIに投げて「現病歴や既往歴にこの項目を抽出させるには、どんなプロンプトを書けばいいか」をAI自身に作ってもらいました。それを貼り付けて、自分が模擬患者になったつもりで会話を再現し、ちゃんと動くか確認しながら作り込んでいった。トライ&エラーですね。AI要約アシストを使い始めてからの2か月間は、しっかりプロンプトを作り込んでいく時期と位置づけて、新患・再診を問わず幅広く使いました。最初の頃はくどいくらい情報量が多い要約が出てきましたが、チューニングを重ねて、最近はちょうどいい塩梅に落ち着いています。

Q.スタッフのみなさんへの展開はどうされましたか。

再診の外来用、一般内科の初診用、糖尿病患者さんの初診用と、診察シーンごとにプロンプトを分けて作っています。そのうえで、それぞれのプロンプトを使うときのコツ、たとえば「こういう順番で会話を投げかけていきましょう」といった内容をまとめた、いわば「AI問診の手引き」を作ってスタッフに共有しました。たとえば介護の話を聞かないといけない場面では、ADL・IADLの話を不自然にならない順番で、「お風呂はどうされていますか」「お金の管理はどうしていますか」と聞いていく。そうするとスッと聞き取れて、後から主治医意見書を作るときに必要な情報が全部揃っているんです。

活用シーンは「聞き取りの多い診察」に集中。
糖尿病初診・退院後紹介・主治医意見書

Q.現在は、どのような場面でAI要約を使われていますか。

WEB問診で足りている急性疾患の方には使っていません。スタッフがまずWEB問診の内容を見て、「これはもう少し話を聞いたほうがいいな」という患者さんに別室で聞き取りをするときに使っています。退院後の紹介患者さんや、糖尿病の初診の方には、いまはほぼ全例で使っていると思います。糖尿病専門医として診ている初診時や病院からの紹介時は、聞くことが多いので、非常に役立っています。それから、介護保険の主治医意見書を作るときの聞き取りですね。ご家族がたくさんいろいろな話をされるのを全部拾い上げてまとめるのは大変な作業でしたが、聞き取った情報から、意見書の一番最後にある「その方の特徴をまとめて書く欄」にちょうど収まる文章が出てくるようにプロンプトを作ってあるので、それを貼り付ければ意見書の作成がだいぶ早くできます。これは便利だなと思っています。

Q.再診の外来ではいかがですか。

再診の外来で最初から録音することは、正直あまりないですね。私は診察の最後に「他に何か困ったことはありますか」と聞くのですが、「いやあ、ちょっとね」と話が始まって、「これは少し込み入った話になりそうだな」と思った瞬間にポチッとボタンを押して録音を始める、という使い方です。以前なら「複雑な話が始まったぞ、全部覚えてまとめないと」と思いながら聞いていたのが、いまは「じっくり話していただいたらいいですよ」と構えられる。後から見返すこともできますし、そういうストレスが減りました。録音にあたっては、院内に掲示をしたうえで「今から録音しますね」と患者さんにお声がけしてから始める運用です。これまでのところ、録音を嫌がられたことはないです。

Q.使いこなしのコツがあれば教えてください。

AIに必ず聞き取ってほしい内容については、患者さんの話を「〜ということなんですね」とこちらから復唱してまとめ直すようにしています。少し強調してあげるとAIも拾いやすくなりますし、患者さんにとっても「そういうことなんです」と会話として自然に成り立つので、違和感はないと思います。

看護師・栄養相談の現場でも。
「メモを取る人」から「患者さんの顔を見て話を聴く人」へ

AI要約は診察室の外でも活躍しています。診察前の聞き取りを担う看護師は、こう話します。

「以前は患者さんの訴えを聞き漏らさないよう一生懸命メモしたり、パソコンに打ち込んだりして、なかなか患者さんと向き合って話ができていませんでした。AI要約を使い始めてからは、患者さんの顔を見ていろいろお話が聞けます。ポイントを押さえた文章にまとめてくれるので時間の節約にもなりますし、何より患者さんと向き合って話せることで、患者さんも安心されるし、話しやすい雰囲気づくりができていると感じます」(看護師)

「栄養相談で患者さんからじっくり話を聞いた後、それをまとめて先生に伝えるまでの時間が以前は大きなロスでした。いまはAIがまとめてくれるので、ニュアンスを少し追加するだけ。患者さんを早くご案内できるようになりました」(栄養相談担当スタッフ)

導入時の反応について、布上院長は笑いながらこう振り返ります。

「私が新しいもの好きなので、スタッフは『また新しいの持ってきた』という反応から始まりました(笑)。でも模擬患者役を立てて模擬診療をしてみせたら、すぐに『これは良いですね』と盛り上がって使い始めてくれました。抵抗感はなかったですね」(布上院長)

スタッフの変化は、カルテの質にも表れています。

「AI要約のプロンプトに『こういうことを聞く』という設計が組み込まれているので、スタッフの『聞く力』が上がったんです。患者さんの生活環境まで、最初の段階からわりと詳しく聞き取れている。できあがってくるカルテがだいぶ良いものになって、私が診察で情報を把握するまでの時間も少し短くなったかなと感じます」(布上院長)

なお、利用コストについては「費用を理由に使用を絞ることはしていません。必要なときはどんどん使うようにスタッフに伝えています」とのこと。使用する場面が定まってきたのは、運用が確立された結果だといいます。

精度との付き合い方 「最終的には人の目で」

Q.AI要約の精度については、どう感じていらっしゃいますか。

全体的な話の流れは、おおむね問題なくまとめてくれます。ただ、話の時間軸が前後するような会話では混乱しているなと感じることがあるので、そこは手直しをします。辞書機能などはどんどん充実してきていますが、薬剤名はまだうまく聞き取れなかったり、誤認したりすることがあるので、最終的には人の目できちんとチェックする運用にしています。
※薬剤名の認識精度・辞書機能は継続的にアップデートを行っています。

オンライン診療は「小さく始めて、確かめながら広げる」

Q.CLINICSカルテと同じ基盤で使えるオンライン診療は、どのように活用されていますか。

2025年9月にカルテを導入してから、オンライン診療はまだ数例で始めたところです。一気に広げると通常の外来とのバランスがどうなるか分からないので、いまは症状が安定している方や若い世代の方などに限定して、こちらからご案内する形で小さく始めています。今後は、安定した生活習慣病の方や慢性疾患の方に広げていければ、ニーズはあると感じています。

経営分析はスタッフ全員に開放。
「みんなで良い医院にしていく」文化

Q.経営分析の数値を、複数のスタッフのみなさんで日常的にご覧になっているそうですね。

そんなに見てくれているんだ、という感覚なんですけど(笑)。閲覧権限は制限していません。自分たちのやっていることがどういう結果になっているのか、むしろ見てほしいと思っています。月1回、全体ミーティングをするのですが、細かい経営の話をするわけではなくても、「だいたい何件くらいのレセプトがあって、いまどういう状況か」「業務として困っていることはないか」を拾い上げるようにしています。スタッフみんなで「この医院を良い方向に持っていこう」という空気が、いまはできあがっているのかなと思います。

今後への期待 順番予約、そして「文書を書くAI」へ

Q.今後CLINICSに期待することを教えてください。

ひとつは予約です。当院のようなクリニックは、体調不良で飛び込みの患者さんが来られます。その方を診てあげないといけないとなると、時間帯予約では時間が守れなくなり、予約の患者さんに不満を持たれてしまう。だから当院は「いま自分が何番目か」がスマートフォンで分かる順番予約で運用しているのですが、現状は外部の予約システムを併用しています。CLINICS予約が順番予約に対応すれば、それこそ一本化できて、運用もまとまるしコスト的にも助かる。そこは今後に期待しています。

それから文書作成ですね。診療情報提供書を書くとなったとき、過去のカルテから既往歴・アレルギーの有無・生活歴・家族歴といった基本情報をバッと抽出して、「この患者さんはこういう経過の方です」とまとまって出てくると、すごく良いと思います。「これから紹介状を書くから、分かるものを全部抽出して」と言ったらパッと出てきて、あとは自分で手直しするだけなら早いですよね。AIがエージェントのように動いて、いろいろな処理をアシストしてくれる未来があれば、すごくいいなと。そういう期待感のあるカルテだと思っています。
※順番予約への対応は現在開発を進めています。

カルテの切替・導入を検討している先生方へ

Q.最後に、これからカルテを検討される先生方へアドバイスをお願いします。

導入は正直、もっと大変かなと思っていましたが、最初の担当の方から実際の導入に来てくださった方まで、非常に丁寧にサポートしていただき、わりとスムーズにいきました。クラウド型なのでオンラインでのやり取りは多くなりますが、WEBでしっかりサポートしてもらえるので、そこに抵抗がなければ大丈夫だと思います。画面はシンプルで見やすく、色合いも主張が少なくてパッと目に入ってきます。オンライン診療などを今後やっていこうと考えている先生にとっては、パソコンや機材をいちいち買い替えたりせず、オールインワンで進めていけるのは魅力だと思います。そして、AIのアシスト機能がどんどん進化していく。そういうところに魅力を感じられる先生には、ぜひおすすめしたいですね。

Q.AI要約は、どのような先生におすすめしたいですか。

クリニックや診療所のように、患者さんとの距離が近く、いろいろな話を聞きながら診療されるドクターには、みなさんの助けになるのではないかと思います。特に慢性疾患などお付き合いが長くなる患者さん、ご高齢でさまざまな併存症をお持ちの方、病気だけではちょっと説明がつかない生活環境まで考えないといけない方、そういう方の話を詳しく聞くときに、役に立つと思いますね。

※所属・体制は取材時点(2026年5月)のものです。

導入について、
お気軽にお問い合わせください
お電話でも、お問い合わせいただけます
電話番号
受付:平日 10:00 〜 19:00