Case
寄り添い、進化し続けるCLINICS。「100歳まで働く」ために開業した医師との歩み
東京・目黒駅から白金へ向かった高台の落ち着いた一角に、目黒みらい内科クリニックはあります。院長の太田啓介先生は、産業医として、働く人々の日常に触れてきた経験から「患者さんの仕事や暮らしまで含めて診ること」を大切にしてきました。その診療を腰を据えて長く続けたい、できれば100歳まで現役でいたいと考えたとき、たどり着いたのが開業でした。2019年にクリニックを構え、ともに歩む相棒に選んだのがCLINICSです。オンライン診療と電子カルテをひとつのシステムで使える、当時は唯一の存在でした。あれから7年。太田院長が歩みを進める隣で、CLINICSも少しずつ、できることを増やしてきました。長く診療を続ける医師に、システムはどう応えられるのか。開業からの歩みを、太田院長に伺いました。

「100歳まで働く」と決めた医師が、
目黒に「みらい」を開くまで
Q. 開業を決めた理由を教えてください。
「医師として何歳まで働けるかを考えたことが始まりです。勤務医のままであれば、定年は65歳、長くても70歳まででしょう。私は生きているかぎり現役でいたいと考えており、100歳まで働くつもりです。そうなると、開業する以外にないという結論でした。クリニックに『みらい』と名づけたのにも理由があります。患者さんと長くお付き合いしていきたいという思いに加えて、ちょうどその頃、当時はまだ珍しかった水素で走るトヨタのMIRAIを、1日に4台見かけたことがありました。患者さんの『みらい』を思う気持ちと重なり、これだと思いました」
院内には、「皆さまはこれから先、どんな『みらい』を迎えたいでしょうか」という言葉が掲げられています。この問いにどう応えるか。同院の診療は、すべてここから組み立てられています。
Q. 数ある街のなかで目黒を選んだ理由は。
「開業する場所を探して、目黒、恵比寿、五反田、武蔵小山と歩き回りました。なかでも惹かれたのが、目黒の坂を上がった一帯です。少し高台になっており、落ち着いた雰囲気が気に入っていました。ちょうどその場所で、目黒駅の東口から徒歩3分の物件が空いたのです」
一人ひとりに時間をかけて、
それでも待たせない診療のかたち
Q. 一人の診察に時間をかけているそうですね。
「この先も通い続けていただくためには、一度診て終わり、という診察では不十分だと考えています。お仕事の内容や日々の暮らしぶりまで伺って、はじめて『では、これからどうしましょうか』と一緒に相談していくことができます。当然、時間はかかります。軽い風邪の方は別として、生活習慣病を抱えていらっしゃる方や、長くお付き合いのある患者さんについては、その生活背景まで含めて診ていきたいと考えています」
内科の診察は3分ほどといわれるなか、太田院長は、一人ひとりに合わせて丁寧に時間をとる診察を貫いています。その向き合い方の原点には、企業の本社で2年間、産業医を務めた経験があります。
Q. 診察前に看護師の予診も必ず入れているとか。
「WEB問診で事前に情報をいただいたうえで、診察の前には必ず、看護師による予診を入れています。軽い風邪の方でも、看護師が改めて聞き取りをしてから診察に入る流れです。狙いは2つあります。1つは予診の精度を高めること、もう1つは患者さんとの接点を増やすことです。お待たせしている間にも接点があれば、待ち時間を短く感じていただけますし、長くお付き合いする関係であれば、何かあったときに相談していただけます。そうした存在でありたいと考えています」
Q. 予約枠もゆったりとる工夫があるそうですね。
「WEB予約では15分刻みの枠も設定できますが、当院はあえて30分で5人としています。それでも30分を超えてしまった場合は、スタッフも私も、一言お詫びしてから診察に入ります。経営だけを考えれば、診察時間は短いほうがよいことは理解しています。しかし、患者さんの満足度と、通い続けていただけるかどうかは、何より大切です。時間を短くすれば、そのぶん満足度は下がってしまうでしょう。そこで無理をするつもりはありません」
Q. 診察は丁寧でも診察後はスムーズと伺いました。
「一人ひとりに時間をかけても、患者さんが院内で過ごす時間は20分ほどです。理由は、診察以外の時間を徹底して削っているためです。WEB問診で来院前に情報が届いているので、院内で問診票を書いていただく必要がありません。加えて私は、診察前の『予習』を欠かしません。定期受診の方であれば、前回のカルテをもとに、算定や必要な検査をあらかじめ入力し、カルテを完成に近い状態にしておきます。手間はかかりますが、そのぶん当日の診察は速く進みます」
Q. Googleのクチコミが自然に集まっているそうですね。
「クチコミをお願いしたことは一度もありません。それでも、おかげさまで多くの声をいただいてきました。丁寧に診ることを続けてきた積み重ねを、患者さんが言葉にしてくださったのだと思うと、ありがたい限りです」
同院では、そのクチコミが集まるGoogleの検索・マップから、そのまま予約に進める「Google で予約」(Reserve with Google)をWEB予約で活用しています。2026年3月の導入により、クリニックを見つけた患者さんは、クチコミを読んだその画面から、予約枠までまっすぐたどり着けるようになりました。メドレーの計測では、予約ボタンを押した患者さんが実際に予約を終える割合は、CLINICSをご利用の医療機関の平均を大きく上回っています。

オンライン診療も会計も、
ひとつのシステムで完結する
Q. 開業時にCLINICSを選んだ決め手は。
「開業を準備していた当時、オンライン診療と電子カルテをひとつのシステムで提供していたのは、CLINICSだけでした。別々のシステムを並行して動かすと、患者情報の転記や連携の手間がどうしても増えてしまいます。その手間をなくしたい、という発想で選びました。コロナ禍の時期は需要が一気に高まり、オンライン診療の出番も多くありました。現在は、生活習慣病の定期フォローや花粉症の舌下免疫療法、風邪の患者さんなどで、1日に1人いるかいないかという頻度です。それでも、必要な方が必要なときに選べるように続けています。通い続けていただくための備えという意味では、診察に時間をかけるのと同じ考え方です」
Q. 使い続けて、現場で実感している良さは。
「機能は次々と増えましたし、予約までひとつのシステムで完結するのは非常に効率的です。操作に迷いがなく、まとめて契約しているので費用の見通しも立てやすい。私だけでなく、スタッフも同じ画面で動けます。この身軽さは、全員が感じているはずです。なかでも受付の評判がよいのは、会計まわりの改善です。最も効果が大きかったのは、会計の処理そのものが速くなったことでした。それまでかかっていた操作時間が大幅に短くなり、受付は『だいぶ良くなった』と喜んでいました。先日、操作手順の数が減った際も『やっぱりいい』と話していました。スタッフにとっても、患者さんをお待たせしないことは大切です。時間は短いに越したことはありません」
スタッフの負担を軽く、
患者さんとのつながりは深く
Q. アプリのmelmoは、ほぼ全員に案内しているとか。
「ほぼ全員にご案内しています。きっかけは電話でした。予約のキャンセルや変更、『次はいつだったか』という確認で、受付の電話が鳴りやまない状態になっていたのです。アプリのご案内を全員に広げてからは、その電話が大きく減りました。ご案内そのものは受付に任せていますが、任せきりにはしません。私からも一言添えて、スタッフが嫌な思いをしないようにしています」
Q. 一方で、気にかけていることは。
「よい数字だけを鵜呑みにはしません。以前は受付で必ず次回の予約をお取りしており、それで来てくださる方がほとんどでした。ところがアプリでは『あとで取ってください』というご案内になります。すると、取り忘れたまま足が遠のいてしまう方が出てきます。継続受診をどれだけ取りこぼしているか。そこを注視しています。土曜は枠が早く埋まるため以前から早めの予約をご案内していましたが、平日の声かけが手薄だったことに気づき、現在、伝え方を見直しているところです。アプリでスタッフの負担は減りますが、患者さんの足が遠のいてしまっては本末転倒です。離れないための声かけをどうするか。そこが目下の課題です」
Q. 現場の声はどうやって拾っていますか。
「受付スタッフとは、午前・午後の診療の前後で、1日に4回は必ず話をします。看護師とは、また別に時間を取ります。新しい機能が出れば『使ってみてどうだったか』と尋ね、感想や要望を集めています。2〜3か月に1度は、診療報酬の改定やクレーム対応、今後の見通しを話す院内研修も開いています。受付スタッフは、自分から声を上げにくい立場です。だからこそ、こちらから聞きにいくようにしています」
Q. スタッフの習熟やサポート面はいかがですか。
「スタッフは30代前半が中心で、入れ替わりがあっても、電子カルテに触れてきた人が多く、習熟は早いと感じています。CLINICSは操作マニュアルが充実しているので、困ったときはまずマニュアルを参照してもらいます。マニュアルと、先輩が教えること。この2本立てで十分です。困ったときのサポートにも不満はありません。チャットは文面が丁寧で、回答も分かりやすい。電話は私自身が使う機会こそ少ないのですが、受付スタッフからは、丁寧に対応していただいていると聞いています」

期待した機能は次々と実現し、
めざす「みらい」はまだ先へ
Q. 6年前の取材では新技術や連携の広がりに期待を寄せていました。
「あのとき期待したことは、着実に実現しています。電子処方箋も、検査機器との連携もそうです。開発のスピードは、むしろ当初より上がっていると感じます。新しい機能の案内が頻繁に届き、非常に速いペースで進化しています。過去のカルテを検索できる機能にも、日々助けられています」
Q. 最後にこれからの展望を教えてください。
「今後、クリニックもほかの医療機関も増えていくでしょう。それでも『目黒なら』『糖尿病なら』『咳や呼吸器なら』と思い浮かべたときに、『目黒みらい内科クリニックがいい』と言っていただける体験を届け続けたいと考えています。法人としては、分院という形で、必要としてくださる地域にも、より良い医療体験を届けていきたい。私自身、100歳まで働くと決めた身であり、まだ道半ばです。これからも『みらい』へ向けて、CLINICSとともに答え合わせを続けていくつもりです」
※所属・体制は取材時点(2026年7月)のものです。