
医院・クリニック継承(承継)とは?メリットやデメリット、費用相場について徹底解説
将来的に開業を目指している方で、医院・クリニック継承(承継)が気になる方もいるのではないでしょうか。
医院・クリニック継承だと土地の選定など、一から始める必要はありません。しかし「医院やクリニック継承するメリットはあるの?」など、詳細を知らない方もいるでしょう。
当記事では、医院・クリニック継承(承継)の概要や継承するメリット・デメリットなどを紹介します。
目次[非表示]
- 1.医院・クリニック継承(承継)とは?
- 1.1.継承と承継の違い
- 1.2.継承ニーズが高まっている背景
- 2.医院・クリニック継承の種類
- 3.医院・クリニックの分院展開は3パターン
- 4.医院・クリニックを継承するメリット
- 5.医院・クリニックを継承するデメリット
- 6.医院・クリニック継承にかかる費用相場
- 7.医院・クリニック継承の流れ
- 8.医院・クリニック継承の失敗・トラブル事例
- 8.1.患者・スタッフが離れる
- 8.2.各種手続きが難しい
- 8.3.継承した物件の修繕費が高額
- 9.医院・クリニック継承のよくある質問
- 9.1.1.第三者間で継承する際のポイントとは?
- 9.2.2.親子間で継承する際のポイントとは?
- 9.3.3.継承元と条件が合わない場合の対策とは?
- 9.4.4.医院(クリニック)継承で起こりうるトラブルとは?
- 10.まとめ
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医院・クリニック継承(承継)とは?
親などが経営しているクリニックを引き継ぐことを、クリニック継承(承継)と言います。クリニック継承だと、一から開業準備しなくてよいため物件を探す必要もありません。
継承と承継の違い
継承はクリニックの業務や金銭を引き継ぐことです。また、承継は事業の信念や哲学を引き継ぐことをいいます。
つまり継承は物質、承継は思いを引き継ぐと考えると覚えやすいでしょう。
継承ニーズが高まっている背景
継承ニーズが高まっている背景には、以下の3つが理由あります。
- 医師の高齢化
- 医療費の増加
- 医師の増加
それぞれ詳しく紹介します。
医師の高齢化
継承ニーズが高まっている背景には、医師の高齢化があげられます。
厚生労働省「年齢階級、施設の種別にみた医療施設に従事する医師数及び施設の種別医師の平均年齢によると、医師の平均年齢は59.6歳です。
開業医には具体的な定年はありませんが、年齢を重ねると後継者を探す医師も少なくありません。クリニックを継続するためにも、親族や第三者に継承するケースが増えています。
参考:厚生労働省「年齢階級、施設の種別にみた医療施設に従事する医師数及び施設の種別医師の平均年齢
医療費の増加
継承ニーズが高まっている理由として、医療費の増加があげられます。
日本は現在、高齢者が全人口の21%以上を占めている超高齢社会です。高齢化も関係しており、日本の医療費は毎年増加しています。病院やクリニックを利用するのは高齢者が多いため、今後も医療費は増加していくでしょう。
医師の増加
医師の増加によって、継承ニーズは高まっています。医師は年々増加していますが病院の数は年々減少傾向です。そのため、勤務医として働き口を探すのは簡単ではありません。
また、一からクリニックを開業しても「競合が多い」「地域に受け入れられにくい」などの理由で、経営が軌道にのらないケースもあります。すでに地域から認知されているクリニックを継承する方が、一から開業するよりも成功する可能性が高まるでしょう。
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医院・クリニック継承の種類
クリニック継承の種類は、以下の通りです。
- 第三者承継
- 親族間承継
それぞれ詳しく紹介します。
第三者承継
親族ではない第三者がクリニックを引き継ぐのが、第三者承継です。第三者承継は親族とのつながりがないため、今までの方針や思いを必要以上に引き継がなくてもいいのです。
親族間承継よりも自由度が高いのが魅力です。
親族間承継
現在の医師の親族間で引き継ぐのが、親族間承継です。親族間承継は、今までの方針や思いを引き継ぐのが一般的です。
仲介手数料や対価の支払いが不要なケースもあります。相続税などに関することは、事前に顧問弁護士に相談しましょう。
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医院・クリニックの分院展開は3パターン
クリニックの分院展開は、以下の3パターンです。
- 水平展開型
- 多店舗展開型
- 垂直展開型
それぞれ詳しく紹介します。
水平展開型
元のクリニックと紐づく診療科を展開するパターンが、水平展開型です。
例えば、元のクリニックが産婦人科であれば小児科を開業するケースが挙げられます。水平展開型の場合、患者を紹介しやすくなるなどのメリットがあるでしょう。
多店舗展開型
多店舗展開型は、元のクリニックと同じ診療科でクリニックを展開するパターンです。多店舗展開型は元のクリニックと同じコンセプトやサービス内容、診療科でクリニックを展開します。
同等のサービスを別の地域で展開するイメージです。ニーズにマッチした地域でクリニックを展開すると、集患しやすいでしょう。
垂直展開型
元のクリニックと比較して、小規模のクリニックなどを展開するパターンが垂直展開型です。
垂直展開型だと患者が通いやすい立地の良い場所に、規模の小さいクリニックを展開できます。元のクリニックに通うのが難しい患者を集める際に、効果的な分院展開といえるでしょう。
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医院・クリニックを継承するメリット
医院・クリニックを継承するメリットは、以下の通りです。
- 地域住民からの認知度が高い
- 最初から一定数の見込患者が確保されている
- 今までの実績をもとに事業計画がたてられる
- 当初から収入が見込めるためランニングコストを抑えられる
- 医療機器の導入費用や内装設備費などのイニシャルコストを抑えられる
- 有資格者や専門職(看護師等)の職員を雇っている状態で業務を始められる
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医院・クリニックを継承するデメリット
医院・クリニックを継承するデメリットは、以下の通りです。
- 支出が多くなる可能性がある
- 前院長とクリニックの方針や考えが合わない可能性がある
- 内装の変更が難しい場合がある
- 継承に適した物件が少ない
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医院・クリニック継承にかかる費用相場
医院・クリニック継承にかかる費用相場は、約2,000〜4,000万円になります。クリニックを承継する場合は、承継元に生活資金を支払わなければなりません。
費用はクリニックの売り上げや承継元の希望によって異なります。また、仲介業者にクリニック承継を頼んでいる場合は、約300〜400万円の費用を支払う必要があるでしょう。
また、新規開業では約1億円が必要です。
というのも、医院・クリニックの物件や内装、医療機器の導入などが不可欠だからです。新規開業する際は、自身の医院・クリニックに適した物件などを選びましょう。
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医院・クリニック継承の流れ
医院・クリニック継承の流れは、以下の通りです。
- 開業希望地・時期や診療コンセプト等を検討
- 医院・クリニック承継について専門家へ相談
- 秘密保持契約書及び仲介契約書(業務委託契約書)を締結
- 承継医院・クリニック候補先を選定
- 承継医院・クリニックの内見・院長先生との面談
- 承継医院・クリニックを決定
- 承継元と条件調整し、基本合意書を締結
- 買収監査を実施
- 最終条件を調整し、最終譲渡契約書を締結
- 承継を実行し対価の支払い
- 行政手続き開始
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医院・クリニック継承の失敗・トラブル事例
クリニック継承の失敗・トラブル事例は以下の通りです。
- 患者・スタッフが離れる
- 各種手続きが難しい
- 継承した物件の修繕費が高額
それぞれ詳しく紹介します。
患者・スタッフが離れる
クリニックの継承失敗・トラブル事例として、患者・スタッフ離れが考えられます。
医師の交代により、クリニックの方針が変わることは少なくありません。前医師の方針や思いに賛同していたスタッフも、方針の変更でやめてしまうこともあります。
また診療方針が変わることで患者も離れてしまう場合があるでしょう。さらに患者の中には前医師を信頼して来院していた方もいるため、医師の交代で離れてしまう可能性もあります。
患者・スタッフ離れを防ぐためにも、前医師のいいところは継続し、改善できるところは手を加えましょう。
各種手続きが難しい
クリニック継承に関する手続きは難しく、トラブルが起きる場合があります。クリニックを継承するにあたって、労務や税務の手続きが必要です。
通常業務に加えて各種手続きも必要になるため、苦労するケースも少なくありません。リソースを割けない場合は、専門家に依頼してみましょう。
継承した物件の修繕費が高額
継承した物件によっては、老朽化がひどく高額な修繕費を支払わなければならない場合も。クリニックによっては、何年も修繕していないケースもあるでしょう。
物件の状態によっては、一から開業する場合と費用が変わらない場合もあります。クリニックを継承する際は、事前に物件の状態を確認し高額の修繕費を払うことがないように注意しましょう。
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医院・クリニック継承のよくある質問
クリニック継承に関するよくある質問は、以下の通りです。
- 第三者間で継承する際のポイントとは?
- 親子間で継承する際のポイントとは?
- 継承元と条件が合わない場合の対策とは?
疑問を解消できるように、それぞれ詳しく回答します。
1.第三者間で継承する際のポイントとは?
第三者間で継承する際は資産や負債、物件の状態を確認する必要があります。
親子間での継承とは違い、第三者間継承では負債など、不透明なケースが多い傾向です。継承後に多額の負債を抱えないためにも、資金や負債を把握しましょう。
また、物件によっては老朽化が進んでいるというケースも考えられます。老朽化が進んでいる物件を継承すると、多額の修繕費を支払うケースもあるため物件の状態は事前に確認しましょう。
2.親子間で継承する際のポイントとは?
親子間で継承する際は、子どもの得意な診療科目を把握するのが大切です。
親と子どもの専門分野が異なると、いくら継承したくてもできないかもしれません。専門分野が異なる際は、継承しないという判断も必要です。
また相続の問題も考えておく必要があります。財産など、子どもに引き継げるように、生前にクリニックを把握するか決めておきましょう。
3.継承元と条件が合わない場合の対策とは?
継承元と条件が合わない場合は、専門業者に仲介に入ってもらいましょう。専門業者に仲介に入ってもらうことにより継承元と継承者、どちらも納得にいく条件を提示してもらいやすくなります。
当人たちで継承が進まない場合は、専門業者に依頼しましょう。
4.医院(クリニック)継承で起こりうるトラブルとは?
医院(クリニック)継承で起こりうるトラブルは、以下の通りです。
- 親子間で診療方針に違いがある
- 医院・クリニック継承物件が老朽化している
- 手続き漏れがある
- クリニックスタッフ・患者が離れる可能性がある
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まとめ
ここまで、医院・クリニック継承(承継)の概要や継承するメリット・デメリットなどを紹介しました。医院・クリニックを継承(承継)すると開業費用を抑えられ、最初から患者を確保できるなどのメリットを得られます。
一方、方針を大きく変えると患者やスタッフ離れにもつながるため注意が必要です。また、継承元と継承者で条件が合わない場合は専門業者に依頼して仲介してもらいましょう。