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オンライン診療の施設基準に係る届け出とは?概要やポイントを徹底解説

診療報酬の項目には、厚生局に届出をしなければ算定できないものがあり、その代表的なものが「施設基準」です。この施設基準では、厚生労働大臣が定めた医療機関における人や設備などに関する一定のルールが定められています。

目次[非表示]

  1. 1.「施設基準」とは
  2. 2.オンライン診療料の施設基準に係る届け出とは
  3. 3.オンライン診療料の対象患者
    1. 3.1.オンライン診療料の算定要件
    2. 3.2.診療計画記載事項
  4. 4.施設基準に係る届け出の手順
    1. 4.1.1.書類のダウンロード
    2. 4.2.2.書類の作成・提出
  5. 5.施設基準の届け出をする2つのメリット
    1. 5.1.1.厚生労働省の求めに応じることができる
    2. 5.2.2.売上アップを見込める
  6. 6.新型コロナウイルスの感染拡大を機に提言された要約とポイント
    1. 6.1.①“30分ルール”が施設基準から撤廃された
    2. 6.2.②通院が必要な慢性頭痛を対象疾患に追加した
    3. 6.3.③新型コロナウイルス感染症流行下における電話等を用いた診療
  7. 7.2022年4月の診療報酬改定で施設基準が見直し
  8. 8.施設基準の準備・届け出後にやるべき7つのこと
    1. 8.1.1.オンライン診療研修を受講する
    2. 8.2.2.オンライン診療環境を整備する
    3. 8.3.3.セキュリティ体制を整備する
    4. 8.4.4.診療計画書の作成および患者の合意を得る
    5. 8.5.5.診療内容を記録に残す
    6. 8.6.6.急変時は必要な対応を行う
    7. 8.7.7.他院への紹介も検討する
  9. 9.まとめ


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「施設基準」とは

診療行為の中には、保険医療機関が一定の人員や設備を満たす必要があり、その旨を地方厚生局に届け出て初めて点数を算定できるものがあります。この満たすべき人員や設備を「施設基準」といいます。

施設基準とは、医療法で定める医療機関及び医師等の基準の他に、健康保険法等の規定に基づき厚生労働大臣が定めた、保険診療の一部について、医療機関の機能や設備、診療体制等の基準を定めることにより、安全面やサービス面等を評価したものです。その種類は400以上の項目があり、その内容は、以下のように多岐にわたります。

  • 従事者に関するもの(資格や経験・認定、人員数など)
  • 実績に関するもの(手術件数・患者数など)
  • 患者の状態に関するもの(重症度・看護必要度や該当患者数など)
  • 設備に関するもの(広さや機器の性能など)
  • 組織に関するもの(管理体制・委員会など)


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オンライン診療料の施設基準に係る届け出とは

現在、「医師の働き方改革に関する検討会」において、情報通信機器を用いた診療は、医師の不足する地域において有用なものと考えられています。

届出は、保険医療機関として違反や不当な行為などがないかを問う「基本診療料の施設基準等に係る届出書」に加えて、「オンライン診療料に係る届出書添付書類」を提出します。この添付書類は、オンライン診療料に関する施設基準を満たしているかどうかを回答するものとなっています。


【オンライン診療の施設基準】

(1)厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診療を行う体制を有すること

(2)オンライン診療料の算定患者について、緊急時に概ね30分以内に当該保険医療機関が対面による診察が可能な体制を有していること

(3)一月あたりの再診料等(電話等による再診は除く)及びオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること

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オンライン診療料の対象患者


オンライン診療料の対象となる管理料等を初めて算定した月から3月以上経過した患者

在宅自己注射指導管理料を算定している下記疾患患者

慢性頭痛患者(一次性頭痛)

●特定疾患療養管理料


●小児科療養指導料


●てんかん指導料


●難病外来指導管理料


●糖尿病透析予防指導管理料

●糖尿病


●肝疾患

(経過が慢性なものに限る)


●慢性ウイルス肝炎

●片頭痛


●緊張型頭痛


●群発頭痛


●三叉神経・自律神経性頭痛等

●地域包括診療料


●認知症地域包括診療料


●生活習慣病管理料


●在宅時医学総合管理料


●精神科在宅患者支援管理料


●事前の対面診察


●CT撮影又はMRI撮影


●血液検査

関連記事:【医療機関向け】オンライン診療の対象疾患一覧表


オンライン診療料の算定要件

①オンライン診療料を行う医師は、対面診療を行った医師と同一のものに限る

②「オンライン診療料の適切な実施に関する指針」に従って研修を受講しオンライン診療を行う(厚労省:オンライン診療研修

③患者の同意を得た上で、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成(2年間は保存)

④患者の急変時等の緊急時には、原則として、当該医療機関が必要な対応を行う。ただし夜間や休日など当該医療機関でやむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、事前に受診可能な医療機関を患者に説明すること(診療計画書の中へ記載しておくこととして差し支えない)

⑤オンライン診療料を行う医師は、当該医師が所属する保険医療機関においてオンライン診療を行うこと

診療計画記載事項

  • オンライン診療で行う具体的な診療内容(疾病名、治療内容等)
  • オンライン診療と直接の対面診療、検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)
  • 診療時間に関する事項(予約制等)
  • オンライン診療の方法(使用する情報通信機器等)
  • オンライン診療を行わないと判断する条件と、条件に該当した場合に直接の対面診療に切り替える旨
  • 触診等が出来ないこと等により得られる情報が限られることを踏まえ、患者が診察に対し積極的に協力する必要がある旨
  • 急病急変時の対応方針(自らが対応できない疾患等の場合は、対応できる医療機関の明示)
  • 情報漏洩等のリスクを踏まえて、セキュリティリスクに関する責任の範囲及びそのとぎれがないこと等の明示 等


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施設基準に係る届け出の手順

施設基準に係る届け出の手順は次の2ステップです。

  1. 書類のダウンロード
  2. 書類の作成・提出

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.書類のダウンロード

施設基準に係る届け出は、2枚の書類を準備する必要があります。

  • 別添7、基本診療料の施設基準等に係る届出書
  • 様式1、情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類

これらの書類は各地域の厚生局からダウンロードできます。

2.書類の作成・提出

2枚の書類をダウンロードして印刷をしたら、必要事項を記入して書類を作成しましょう。

「別添7、基本診療料の施設基準等に係る届出書」は、不正な届け出をしたことがないという項目をチェックするだけです。

また「様式1、情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類」についても、以下の3項目にチェックを入れるだけとなります。

  • オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿って診療を行う体制を有していること
  • 対面診療を行う体制を有していること
  • 厚生労働省が定めるオンライン診療研修を修了していること

完成した書類を地方厚生支局に提出したら、施設基準に係る届け出は完了です。


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施設基準の届け出をする2つのメリット

施設基準の届け出をするメリットは、以下の2つです。

  • 厚生労働省の求めに応じることができる
  • 売上アップを見込める

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.厚生労働省の求めに応じることができる

厚生労働省は2022年の診療報酬改定にて、診療報酬の届け出の有無で、初診料に差をつけました。

また、届け出なしの場合は「診療報酬改定後の施設基準に準じた体制の整備に最大限努めること」という見解を示しており、施設基準の届け出を求めていることがわかります。

したがって、施設基準の届け出を出せば、厚生労働省の求めに応じることができるのです。

2.売上アップを見込める

診療報酬の改定にて、初診料の点数が以下のようになりました。

  • 施設基準を届け出ている場合:251点
  • 施設基準を届け出ていない場合:214点

オンライン診療の実施回数の増加が見込まれる場合、施設基準の届け出をしているほうがオンライン診療導入コストを回収できる可能性が高くなります。

今後、オンライン診療に注力していくのであれば、売上アップを見込んで、施設基準を届け出るのがおすすめです。

参考:令和4年度診療報酬改定について


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新型コロナウイルスの感染拡大を機に提言された要約とポイント

新型コロナウイルス感染拡大の際に、診療報酬の引き上げが実施されたり、初診からのオンライン診療の活用が可能となる措置などがあり、オンライン診療は大きく進展しました。中でも施設基準にかかわるポイントを紹介します。

①“30分ルール”が施設基準から撤廃された

緊急時を想定した「おおむね30分以内」に対面診療が行える体制を確保するという、いわゆる“30分ルール”が施設基準から撤廃され、夜間・休日などは他の医療機関での対応が可能になったのは大きな点といえます。

②通院が必要な慢性頭痛を対象疾患に追加した

「特定疾患療養管理料」などを算定する糖尿病や高血圧症などの患者に加え、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛など、痛みにより日常生活に支障をきたす慢性頭痛も保険適用となり、オンライン診療が可能になりました。

これにより、より一般的にオンライン診療の利用が普及することでしょう。ただし、一時的・時限的措置であるため、今後も継続するかは不明です。

③新型コロナウイルス感染症流行下における電話等を用いた診療

新型コロナウイルス感染症の影響により、特例として診療科目を問わず初診・再診でのオンライン診療が可能となりました。勘違いしやすい部分ですが、この場合「オンライン診療料」は算定できません。「オンライン診療料」の対象となる患者さん以外をビデオ通話等の情報通信機器を用いて診療した場合には、「初診料」や「電話等再診料」を算定します。

関連記事:【診療報酬はどのくらい?】オンライン診療の診療報酬について徹底解説します!


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2022年4月の診療報酬改定で施設基準が見直し

2022年4月1日の診療報酬改定によって新設基準を満たす医療機関の場合、オンライン診療の初診料が251点と算定されるようになりました。

一方で施設基準の届け出を提出していない医療機関は、コロナ特例で設けられた初診料214点のままです。

厚生労働省は施設基準の届け出を求めており、届け出ていない場合でも新施設基準に準じた体制整備に最大限努めるように指示しています。

参考:令和4年度診療報酬改定について


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施設基準の準備・届け出後にやるべき7つのこと

 施設基準の準備・届け出後にやるべきことは、以下の7つです。

  • オンライン診療研修を受講する
  • オンライン診療環境を整備する
  • セキュリティ体制を整備する
  • 診療計画書の作成および患者の合意を得る
  • 診療内容を記録に残す
  • 急変時は必要な対応を行う
  • 他院への紹介も検討する

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.オンライン診療研修を受講する

オンライン診療を行う医師は、厚生労働省が定めているオンライン診療研修を受講し、修了しておかなければなりません。

通常、オンライン診療研修修了証の取得は届け出をする場合に必要です。たとえ届け出を出さない場合でも、オンライン診療のルールを細かく知ることができるため、研修を受講して修了証を取得したほうがよいでしょう。

2.オンライン診療環境を整備する

オンライン診療はインターネットを介して実施します。したがって、オンライン診療専用のパソコンやネット環境を整備しなければなりません。

3.セキュリティ体制を整備する

オンライン診療を実施する以上、サイバー攻撃を受ける可能性はゼロではありません。オンライン診療の環境を整備するにあたっては、セキュリティ体制の整備も必要不可欠です。

セキュリティ体制の構築を医療機関単体で行うことが難しい場合、セキュリティ対策に強いIT企業に相談しながら構築するようにしましょう。

4.診療計画書の作成および患者の合意を得る

オンライン診療を実施する場合、医師は診療計画書を作成して、患者に合意してもらう必要があります。

診療計画書には患者の病名や使用する情報通信機器をはじめ、さまざまな情報を盛り込まないといけません。そのため、ポイントを押さえて計画書を作成することが大切です。

5.診療内容を記録に残す

一般社団法人日本医学会連合では、以下2つの資料を作成しています。

  • オンライン診療の初診投与について十分な検討が必要な薬剤
  • オンライン診療の初診に該当しない症状

オンライン診療を行う医師は上記の資料を参考に、オンライン診療が適切であったかを記録するようにしましょう。

6.急変時は必要な対応を行う

オンライン診療中に患者の容体が急変した場合、医師は必要な対応を取る必要があります。

また、急変に対応できないケースを想定して、対面での診療が可能な医療機関をあらかじめ確保しておきましょう。また、対面診療が可能な医療機関を患者に通知しなければなりません。

7.他院への紹介も検討する

オンライン診療を行っている医師が、患者の疾患・病気に対応できない場合があります。対応できない場合は、医師が適切な医療機関に連絡して患者を紹介することが大切です。


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まとめ

通常の外来診療に比べ低い点数や厳格な算定要件がネックとなり、普及が進まない状況が続いていたオンライン診療。

2020年度改定で対象疾患の拡大やオンライン診療を開始できるまでの期間短縮などの見直しが行われ、さらに、新型コロナウイルス感染拡大によるニーズの高まりを受け、厚生労働省はオンライン診療について臨時的・特例的取り扱いを認めることを決めました。

届出漏れや診療報酬請求後の返戻を防ぐためにも、事前にしっかりと確認しておきましょう。

CLINICS編集部

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