開業医の失敗事例をご紹介|失敗する開業医の特徴や失敗しないためのポイントについても解説します
一般的に、開業医は勤務医の年収を大幅に超えているといったデータが厚生労働省の調査で出ており、成功しているケースは少なくありません。
この記事では、開業医の成功確率や成功しやすい理由、また失敗例や対応策などを詳しく解説していきます。
目次[非表示]
- 1.クリニック開業の成功確率
- 2.開業医の成功確率が高い2つの理由
- 2.1.1.融資を受けやすい
- 2.2.2.顧客を獲得しやすい
- 3.医院経営に失敗しやすい医師の特徴は4つ
- 3.1.特徴1.完璧主義である
- 3.2.特徴2.他責思考である
- 3.3.特徴3.人とのコミュニケーション人脈づくりが苦手
- 3.4.特徴4.悲観的である
- 4.開業医の失敗事例
- 4.1.1.運転資金が不足している
- 4.2.2.戦略ミスもしくは戦略を策定していない
- 4.3.3.ネット戦略を考えていない
- 4.4.4.スタッフの問題
- 4.5.5.装備が過大
- 4.6.6.新型コロナウイルス感染症の影響
- 4.7.7.経営スキルがなかった
- 5.開業医が失敗しないための4つのポイント
- 5.1.1.開業地を慎重に選定する
- 5.2.2.人間関係に気を配る
- 5.3.3.経営スキルを高める
- 5.4.4.開業の支援を受ける
- 6.開業医の失敗でよくある5つの質問
- 6.1.質問①開業の成功に欠かせない「開業医マインド」とは?
- 6.2.質問②クリニック開業のおおまかな流れは?
- 6.3.質問③成功する医院と失敗する医院の違いは?
- 6.4.質問④M&A(継承)は開業の失敗を防ぐ方法となりますか?
- 6.5.質問⑤開業で失敗する確率はどれくらい?
- 7.まとめ
クリニック開業の成功確率
厚生労働省の調査によると勤務医の平均年収は1,500万円までです。一方で個人医院の収入は約2,400万円、医療法人の院長収入は約2,800万円と平均的に収入が高いことがわかります。
開業医の場合経費がかかり失敗することもあるため、単純な比較はできませんが平均年収より収入が高いといえるでしょう。
開業医の成功確率が高い2つの理由
開業医の成功率が高い理由は、以下の2つです。
- 融資を受けやすい
- 顧客を獲得しやすい
1.融資を受けやすい
開業医は一般企業と比べて融資のハードルが低い特徴があります。医師会や地方自治体の開業支援ローン、日本政策金融公庫の新規開業資金、独立行政法人福祉医療機構など、さまざまな融資や金利の優遇処置を受けやすい傾向です。
関連記事:クリニック開業の融資について徹底解説|融資の流れや受ける際のポイントもご紹介
2.顧客を獲得しやすい
開業医の成功率が高い理由の1つが顧客を獲得しやすいことです。地域の人口数や年齢構成、傷病別の受療率などの公開データがあることから患者総定数を把握することができます。これらのデータを分析して適切な開業地を選び、顧客を獲得できるのです。
医院経営に失敗しやすい医師の特徴は4つ
医院経営に失敗しやすい開業医の特徴は、以下の4つです。
- 特徴1.完璧主義である
- 特徴2.他責思考である特徴3.人とのコミュニケーションが苦手
- 特徴3.人とのコミュニケーション人脈づくりが苦手
- 特徴4.悲観的である
医院経営に失敗しやすい医師の特徴について、それぞれ詳しく紹介します。
特徴1.完璧主義である
完璧主義だと、クリニックの開業に失敗する可能性があります。
開業医は、融資から物件の選定、医療機器の選定、ホームページの作成、スタッフの採用まで幅広い業務を担当することになります。また、ほとんどの場合、それらすべて仕事がはじめての経験になります。全てを完璧にしようとするとなかなか物事が進まなかったり、スタッフを採用した後にはスタッフの雰囲気を壊したりする可能性があるので注意が必要です。
全てを自分の理想通りや完璧を目指すのではなく、妥協点を作ることで失敗を未然に防げるようになります。
特徴2.他責思考である
他責思考だと、クリニックの開業に失敗する可能性があります。
開業医は、勤務医とは異なりクリニックに関する責任を請け負う立場です。提供する医療サービスをはじめとして、経営に関しても責任を負わなければなりません。
他責思考で、スタッフやお仕事の関係者など、人のせいにしてしまう性格の医師であれば、クリニックの開業を失敗する可能性があります。
特徴3.人とのコミュニケーション人脈づくりが苦手
クリニック開業を失敗する医師の特徴として、人とのコミュニケーションが苦手というポイントがあげられます。
開業医は、クリニック内のスタッフや患者だけではなく、地域の医療機関と関わるケースも多いです。例えば、介護施設の相談員や行政の関係者などと関わることになります。
人とのコミュニケーションが苦手だと、他の医療機関と関係性を作ることが難しくなるのがデメリットです。クリニックの経営を軌道に乗せるためにも、人とのコミュニケーション力が必要になります。
特徴4.悲観的である
悲観的な開業医・医師は、クリニックの開業に失敗する可能性があります。
クリニックを開業しても、全てが成功するわけではありません。はじめてのことも多いため、患者を集められないケースや、経営がうまくいかない場合など、失敗の方が多く発生することも考えられます。
そのクリニックの経営がうまくいかない場合に、悲観的な性格の開業医だと、落ち込んでしまい、経営の立て直しにつなげられないことが考えられます。
開業医の失敗事例
開業医が失敗する理由には以下のようなものがあります。ある程度傾向がわかるため、事前に対策を講じることができるでしょう。
- 運転資金が不足している
- 戦略ミスもしくは戦略を策定していない
- ネット戦略を考えていない
- スタッフの問題
- 装備が過大
- 新型コロナウイルスの影響
- 経営スキルがなかった
1.運転資金が不足している
開業医が失敗する理由として、 運転資金が不足していることが挙げられます。装備が過大すぎたり十分な運転資金を準備していなかったりすることが考えられます。開業してから計画通りに進まないからといって、融資額を増やしてくれるケースは少ないので、結果的に失敗につながってしまうのでしょう。
2.戦略ミスもしくは戦略を策定していない
戦略ミスもしくは戦略を策定していないことも、開業医が失敗する理由です。例えば、開業場所を十分に調べずアクセスが悪いことから、患者が来ない、競合のクリニックが多い、など十分な運営戦略ができていないクリニックは少なくありません。
3.ネット戦略を考えていない
開業医が失敗する理由として、ネット戦略を考えていないこともあるでしょう。これまでホームページやSNSを運用していない病院やクリニックが多かったかもしれません。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響やスマートフォンの普及率向上などで、患者の受診行動が大きく変わったのでしょう。多くの患者がホームページを見たりSNSで情報を収集したりして来院するケースが増えてきたのが現状です。
かかりつけ医の情報を調べる患者も少なくありません。そのため、ホームページがなかったり、情報を全く更新していなかったりすると評価が落ちる可能性があります。
4.スタッフの問題
開業医が失敗するのは、スタッフの問題が考えられます。スタッフ同士の問題、スタッフと医療機関の相性など人間関係のトラブルが開業医の大きな悩みとなることは少なくありません。
スタッフを教育したり組織作りを進めたりすることは、集患以上に院長にとって重要な仕事になることは少なくありません。そのためにも、院内のコミュニケーションを活性化させることが開業を成功させるうえで重要です。
関連記事:【医院経営者必見】クリニックスタッフの離職率を下げる方法6選!
5.装備が過大
装備が過大であることも開業医が失敗する理由です。適切な診療機器は必要ですが、不要なものまで導入すると費用が高額になるほか設置スペースの問題にも発展します。開業するときに借入金が2億円を超えるのは産科クリニックだけです。他のクリニックで2億円を超えている場合は、過大設備となっている可能性が高いため再検討することが必要でしょう。
例えば小児科の場合、レントゲンは不要であるケースがほとんどです。このように、必要な設備だけ導入することが重要です。
6.新型コロナウイルス感染症の影響
開業医が失敗する理由として、新型コロナウイルス感染症の影響も大いにあります。一般企業や飲食店などと同じく、クリニックも新型コロナウイルス感染症の影響で患者が減り倒産につながっているケースがあるのです。患者が減少したことから、緊急融資を受けている医療機関も多く、今後も予想がつかないのが現状です。
7.経営スキルがなかった
開業医が失敗する理由には、経営スキルがなかった場合があります。 経営者として、一般企業と同じように経営資源を有効活用することが重要です。経費の使い方や将来の収益予測など考えるべきことが多いのです。医師としては、患者に適切な医療技術を提供することも経営スキルの1つでしょう。
開業医が失敗しないための4つのポイント
開業医が失敗しないためには次の4つのポイントがあります。
- 開業地を慎重に選定する
- 人間関係に気を配る
- 経営スキルを高める
- 開業の支援を受ける
1.開業地を慎重に選定する
開業医が失敗しないためには、開業地を慎重に選定することが大切です。立地条件は患者の来訪に大きく影響します。また競合医院が多いと結果的に集客が難しいかもしれません。また、患者だけではなく賃貸料やスタッフの交通費など経費に影響する場合もあり、開業地は慎重に選定することが重要です。
2.人間関係に気を配る
人間関係に気を配ることも開業医が失敗しないためのポイントです。特に、少ないスタッフで運営している場合は、日頃から円滑にコミュニケーションをとるようにすることが重要です。人間関係が悪く頻繁にスタッフが入れ変わるようなクリニックは、結果的に患者の評判が落ちる傾向にあります。
3.経営スキルを高める
開業医が失敗しないためには、経営スキルを高めることが大切です。医師として適切な医療技術を提供することはもちろん、スタッフの管理や経営に関する戦略策定など、経営者として必要なことも多くあります。病院といえど一般企業を経営するのと変わらず、人・モノ・カネといった経営資源を有効活用することが重要です。
経営スキルは自然と身につくわけではないので、開業前に勉強しておきましょう。
4.開業の支援を受ける
開業医が失敗しないためには、開業の支援を受けることも開業医が失敗しない1つの方法です。
ここまで説明したように、開業時には考えるべきことが多くあります。院長1人ですべてをこなすのは容易ではありません。そこで、医療コンサルティングなど専門家の支援を受けることで、失敗するリスクを減らせます。
関連記事:おすすめのクリニック向けコンサルティング会社28選!種類や費用も解説
開業医の失敗でよくある5つの質問
開業医の失敗でよくある質問は、以下の5つです。
- 質問①開業の成功に欠かせない「開業医マインド」とは?
- 質問②クリニック開業のおおまかな流れは?
- 質問③成功する医院と失敗する医院の違いは?
- 質問④M&A(継承)は開業の失敗を防ぐ方法となりますか?
- 質問⑤開業で失敗する確率はどれくらい?
疑問を解消できるように、それぞれ詳しく紹介します。
質問①開業の成功に欠かせない「開業医マインド」とは?
開業医マインドとは、開業を成功させるための心構えです。
クリニックの開業には、多くの人が関わります。融資してもらう金融機関や雇用したスタッフ、地域住民など、多くの人のおかげでクリニックは経営を続けられます。クリニックに携わってくれる人のために、経営を成功させるという「開業医マインド」を持つと失敗しにくくなります。
質問②クリニック開業のおおまかな流れは?
クリニック開業にあたって、最初に取り組むのは事業計画の策定です。
事業計画の策定では、クリニックの経営理念などを決めます。その後は、クリニックの立地決めに移るため、診療科に適した立地や利便性を考えなくてはいけません。
立地を決めたあとは、資金調達と内装工事、医療機器の導入を行います。内装の着工と医療機器の導入が決まったあとは、スタッフを雇用して営業開始を迎えます。
関連記事:病院・クリニック開業までの流れ|開業を成功させるポイントや必要な費用の目安を徹底解説!
質問③成功する医院と失敗する医院の違いは?
開業医が経営者としてのマインドを持っているかが、成功する医院と失敗する医院の違いです。
経営者としてのマインドを持っていると、自責思考になり医院の問題に向き合えるようになります。経営者としてのマインドがなければ、他責思考になりやすいです。
医院の開業を成功させるためにも、医療に関する知識や技術だけでなく経営者としてのマインドが必要になります。
質問④M&A(継承)は開業の失敗を防ぐ方法となりますか?
M&A(継承)は開業の失敗を防ぐ方法になります。M&Aはクリニックの新規開業とは異なり、物件や医療機器、スタッフを引き継ぐことができるのがメリットです。
また、上記によって、金融機関で資金調達するべき金額を比較的低く抑えることができるため、新規開業のリスクを抑えられます。開業のリスクを全て軽減できるわけではありませんが、M&Aは失敗を防ぐ方法といえます。
関連記事:医院・クリニック継承(承継)とは?メリットやデメリット、費用相場について徹底解説
質問⑤開業で失敗する確率はどれくらい?
クリニックの開業で失敗する確率は、低いといえます。
一般診療所の倒産件数は、新型コロナウイルスの影響により多少増えています。しかし、2000から2021年の年平均と比べると、大きな変動はないため開業の失敗する可能性は低いです。
しかし、後継者不足などにより閉院するクリニックは少なくありません。そのため、新規開業ではなくM&Aなどで開業する方法を考える必要があります。
まとめ
開業医が失敗する理由には十分な戦略を立てていないことがほとんどです。しかし、院長は開業までにするべきことが多く十分な戦略を練られていないケースは少なくありません。
そこで、開業支援のプロに依頼することをおすすめします。リスクを少しでも減らしながら開業することによって、失敗する確率を減らせるのです。