
【医療機関必見!】オンライン診療の特徴から導入方法までわかりやすく徹底解説!
オンライン診療とは、スマートフォンやPC、タブレットなどの情報通信機器を用いて、遠隔での診療ができる診療形式です。2018年4月から保険診療での利用が可能となり、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大により、著しく重要性を増してきています。
比較的新しい制度のため、診療報酬の算定が可能な疾患などに条件がありますが、より広まっていくような制度改革が進められると予想されています。
本記事では、オンライン診療のメリット・デメリットや導入する方法について解説していきます。
\ 弊社のオンライン診療システムについてはこちらで詳しく紹介しています /
目次[非表示]
- 1.オンライン診療とは
- 2.医療機関にオンライン診療を導入する方法
- 2.1.導入時に必要なもの
- 2.2.オンライン診療を始めるまでの流れ
- 2.2.1.① オンライン診療用のアプリの購入
- 2.2.2.② システムのPCセットアップ
- 2.2.3.パソコン
- 2.2.4.iPhone
- 2.2.5.Android
- 2.2.6.③ 厚生局へ届出をする
- 2.2.7.④ オンライン診療の対象患者を決める
- 2.2.8.⑤ 対象患者とオンライン診療計画書を作成する
- 2.2.9.⑥ 患者さまへオンライン診療用アプリの使い方を説明する
- 3.【患者側】オンライン診療のメリット
- 3.1.①通院時の院内感染を防げる
- 3.2.②薬・処方箋を自宅で受け取れる
- 3.3.③通院時にかかる時間を短縮可能
- 3.4.④場所に縛られず自由に医療機関を選べる
- 3.5.⑤自宅でリラックスして受診できる
- 4.【医療機関側】オンライン診療のメリット
- 4.1.①事前問診による診察の効率化と質が向上
- 4.2.②遠方患者の診察が容易になる
- 4.3.③通院や治療率が高まる
- 4.4.④患者さまの日常の様子がわかる
- 5.【患者側】オンライン診療の流れ
- 5.1.STEP1 初診
- 5.2.STEP2 オンライン診察の準備
- 5.3.STEP3 診察
- 5.4.STEP4 決済
- 5.5.STEP5 処方
- 6.オンライン診療の課題と注意点
- 6.1.通信不良により診察を行えない場合がある
- 6.2.対面診療に比べ収益性が悪い
- 6.3.オンライン診療に適さない病気もある
- 6.4.診断のための情報が十分に得られない場合がある
- 6.5.高齢者など機器の扱いに不慣れな人は受診が難しい
- 6.6.厚生労働省のホームページを確認しましょう
- 7.まとめ
オンライン診療とは
最近耳にする機会が多くなった「オンライン診療」とは、どんなものなのでしょうか。オンライン診療とは、実際に対面して診察する代わりに、スマートフォンやパソコンを用いて医師と患者さまが遠隔(オンライン)で診察を行う方法です。
最初に遠隔(オンライン)診療ガイドラインが策定されたのは1997年のことでした。当初は離島、へき地、在宅糖尿病患者の方が医療を受けられるようにというのが、制定のきっかけでした。
その後オンライン診療に関する制度が整えられ、、都心部においても多くの疾病のオンライン診療が受けられるようになっていきました。コロナ禍において、オンライン診療が注目されたことも記憶に新しいでしょう。
医療機関にオンライン診療を導入する方法
導入時に必要なもの
オンライン診療を始めるためのは、インターネット上で診療はが可能な環境と厚生局へ提出する届出書類が必要になります。以下を用意しましょう。
- PCやスマートフォンなどの通信機器
- カメラやマイク
- インターネット環境
- オンライン診療用のアプリ・システム
- 厚生局へ提出する届出書類
オンライン診療を始めるまでの流れ
医療機関がオンライン診療を始めるために、システム導入するまでの流れは以下になります。
- オンライン診療用システムの購入
- システムのPCセットアップ
- 厚生局へ届出をする
- オンライン診療の対象患者を決める
- 対象患者とオンライン診療計画書を作成する
- 患者さまへオンライン診療用アプリの使い方を説明する
① オンライン診療用のアプリの購入
オンライン診療用のシステム(アプリ)は複数あります。
それぞれの特徴を元に、購入するシステムを選びましょう。気になるシステムには一度相談してみると良いでしょう。
② システムのPCセットアップ
システムの購入後、PCのセットアップを行います。購入したオンライン診療システムの動作環境にあったPCまたはスマートフォンなのか確認してください。
弊社で扱っているオンライン診療システム「CLINICS オンライン診療」の場合、推奨環境は以下の通りです。
パソコン
- GoogleChrome最新版が動作するWindows、Mac、Linux 搭載のパソコン
- ディスプレイ解像度:1920×1080以上
- ブラウザ:GoogleChrome最新版
iPhone
- iOS13.0以降のiPhone、iPad、iPod touch
- 専用のアプリをAppStoreからダウンロードしてご利用ください
Android
- Android OS 6.0以上の端末
- 専用のアプリをGoogle Playからダウンロードしてご利用ください。
参照:https://clinics.medley.life/guide#support
環境を確認したら、カメラやマイクが正常に作動しているのかテストを行います。音声が聞き取りにくいや、映像が乱れていないかを重点的に確認してください。
この際、備え付けのマイクやワイヤレスイヤホンのマイクだと音質が不安定な場合があるので、1000円程度のヘッドセットを用意しておくと安心です。
無料サービスのみでもオンライン診療を始めることは可能です。以下の資料でオンライン診療を無料で始める方法について紹介しています。
③ 厚生局へ届出をする
厚生局へ届出を提出する必要があります。(※保険診療を行わない場合は不要)
届出用紙や送付手順については 地方厚生局所在地のホームページよりご確認ください。
④ オンライン診療の対象患者を決める
患者さまの疾患・症状・生活からオンライン診療に適切な患者さまを決定します。
オンライン診療の対象となるのは主に以下のどちらかに当てはまる患者さまです。
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の受診をされる患者さま
- 慢性頭痛、てんかん、指定難病で一定期間通院の実績がある患者さま
急な治療を必要とする患者さまにはオンライン診療は不向きであり、そもそもオンライン診療が認められていない疾病もあります。
⑤ 対象患者とオンライン診療計画書を作成する
オンライン診療計画書を作成し患者さまに合意を取ります。オンライン診療計画書には以下のような内容を記入する必要があります。
- オンライン診療で行う具体的な診療内容(疾病名、治療内容等)
- オンライン診療と直接の対面診療、検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)
- 診療時間に関する事項(予約制等)
- オンライン診療の方法(使用する情報通信機器等)
- オンライン診療を行わないと判断する条件と、条件に該当した場合に直接の対面診療に切り替える旨
- 触診等ができないことなどにより得られる情報が限られることを踏まえ、患者が診察に対し積極的に協力する必要がある旨
- 急病急変時の対応方針(自らが対応できない疾患等の場合は、対応できる医療機関の明示)
- 複数の医師がオンライン診療を実施する予定がある場合は、その医師の氏名及びどのような場合にどの医師がオンライン診療を行うかの明示
- 情報漏洩等のリスクを踏まえて、セキュリティリスクに関する責任の範囲及びそのとぎれがないこと等の明示
参照:オンライン診療の適切な実施に関する指針 | 厚生労働省
オンライン診療計画書のテンプレートをWord形式で用意しておりますので、参考にしてください。
【オンライン診療】診療計画書 | CLINICS Help Center
⑥ 患者さまへオンライン診療用アプリの使い方を説明する
導入したシステム(アプリ)を、患者さまが使えるように案内します。
患者さまがアプリをダウンロード後、医療機関側と連携できたか確認を行い、導入が完了です。
【患者側】オンライン診療のメリット
①通院時の院内感染を防げる
通院時の院内感染や二次感染の心配がありません。院内で他の患者さまから菌をもらい感染してしまうケースは決して少なくありません。 近年では、非常に感染力が高い新型コロナウイルスが、院内で感染してしまうことが話題になっていました。
通院しなくて良いことは大きなメリットと言えるでしょう。
②薬・処方箋を自宅で受け取れる
処方薬は、自宅への郵送または薬局で受け取る方法が主流となっています。
院外処方の場合は、自宅に処方箋が郵送されるので、調剤薬局で薬を受け取ります。 院内処方の場合は、自宅に処方薬が届きます。
弊社ではオンライン服薬指導アプリ「Pharms(ファームス)」も提供しております。
③通院時にかかる時間を短縮可能
オンライン診察では、通院時にかかる移動時間を短縮することができます。 また、病院についてからの診察までの待ち時間や、診察後の会計までの待ち時間が無くなります。
④場所に縛られず自由に医療機関を選べる
特定の通院したい医療機関があるケースや、かかりつけの医療機関でずっと診察したいと思っていても、引っ越しなどで距離が離れてしまうと通院することが難しいでしょう。
しかし、オンライン診療であれば、場所に関係なく診察を受けることが可能です。
⑤自宅でリラックスして受診できる
オンライン診療は、自分の都合に合わせて診察を受けることができます。それだけでなく、高齢の方は家族に付き添ってもらう必要もありませんから、ストレスを感じずにリラックスして受診することができるのです。
受診するためのハードルが下がると、継続的な治療につながります。結果的に病状の悪化を予防することになるため、継続的な治療は、医療側のメリットとも言えます。
【医療機関側】オンライン診療のメリット
①事前問診による診察の効率化と質が向上
オンライン診療には、事前問診により診療方針を立てやすいというメリットがあります。
患者さまとの対面治療の場合、診察と問診は同じタイミングで行うのが一般的であり、混み合っている場合などは問診だけで時間がかかってしまうこともあります。
オンライン診療では、オンラインで事前に問診を行いますから、データをもとに診察までに診療方針を立てやすいのです。
②遠方患者の診察が容易になる
今までは、別の都道府県に住んでいる患者さまに対して、継続して診察することが難しいという課題がありましたが、オンライン診療であれば、一人の患者さまを継続して診察することができます。
③通院や治療率が高まる
忙しくて通院できず、適切な治療を行えていない患者さまがオンライン診療を使うことにより、隙間時間で継続しての受診が可能になります。
④患者さまの日常の様子がわかる
オンライン診療では、患者さまの日常の様子がわかるメリットもあります。
慢性疾患の場合、医療が本来介入するべきフィールドは患者さまの日常生活と言われています。対面診察でも日々の生活の問診をし、生活リズムなどについて指導をしていますが、それだけでは不十分な点も多いのです。
対面診療は診察室で行われますが、オンライン診療は自宅で行われます。患者さまの実際の生活の様子をビデオ通話を通じてありのまま診られるので、患者さまの日常に沿った医療を提供しやすくなるでしょう。
【患者側】オンライン診療の流れ
ここではオンライン診療の流れを患者さま側の視点で紹介します。医療機関の方は、診察の流れを定める際の参考にしてください。
STEP1 初診
医療機関にてオンライン診療を受けたい旨を医師に伝えます。
STEP2 オンライン診察の準備
医療機関で指定されているオンライン診察の方法を確認しましょう。
指定されているオンライン診療アプリケーションを導入する方法が一般的です。
STEP3 診察
ビデオ通話で担当医に診察を受けます。
医療機関側から予約された時間帯に患者さまへ連絡をし、実際にオンライン診療が開始されます。
STEP4 決済
診察後、決済の案内が届くので決済を行います。
また、ほとんどのアプリではクレジットカード決済に対応しています。 クレジットカード決済が難しい場合は、来院時にまとめ支払うケースが一般的です。
STEP5 処方
院外処方の場合は、自宅に処方箋が郵送されるので、近所の調剤薬局で薬を受け取ります。 院内処方の場合は、自宅に処方薬が届きます。
弊社で提供しているオンライン服薬指導アプリ「Pharms(ファームス)」を使用いただくと処方箋の配送はもちろん、患者さまのお薬手帳の一元管理や服薬のフォローアップなどをオンライン上で行うことができます。
オンライン診療の課題と注意点
通信不良により診察を行えない場合がある
通信環境の不良により、十分な情報のやり取りができないケースも多々あります。騒音により音声が聞き取れない、ネットワークが不安定であり動画が途切れるというのは、よくあるトラブルです。
実際にオンライン診療を取り入れた医院からは、オンライン診療に関するアンケートで、「オンライン診療の実施に当たって経験したトラブルがあれば選択してください(複数回答)」という質問に対し、以下のような点がデメリットとして挙がっています。
- 「通信不良により、診療が行えなかった」:36件
- 「通信不良により、コミュニケーションが十分取れなかった」:32件
参考:オンライン診療に関するアンケート集計結果 | 日本オンライン診療研究会
対面診療に比べ収益性が悪い
対面診療に比べ収益性が悪いのも、オンライン診療の課題です。現状、オンライン診療は対面診察よりも診療報酬が低く設定されています。
システム導入や維持運用のための費用もかかりますので、対面診療から移行した際の報酬差が大きくなってしまうという現状があります。
この点は今後の診療報酬改定で改善されていくと考えられます。
オンライン診療に適さない病気もある
対面診療では実際に医師が症状を視診や触診・聴診することで病状を判断できますが、オンライン診療では問診に沿って自覚症状を確認することになります。そのため、オンライン診療は対面診療に比べると詳細な診察が難しく、病気によってはオンライン診療に適さないケースもあります。
【オンライン診療に適している例】
- 生活習慣病の継続治療
- 内科では病態が安定している花粉症・高血圧症
- 新規の症状の中でも軽度の咳嗽や湿疹等
【オンライン初診に適さない例】
- 定期的な対面診察・実際の検査が必要な疾患
- レントゲンや呼吸機能検査が必要な疾患
- 腹痛・胸痛・頭痛などの新規の急性症状
オンライン診療に適した疾患やオンライン診療料が算定可能な疾患については以下の記事でまとめて紹介しておりますので、参考にしてください。
診断のための情報が十分に得られない場合がある
オンライン診療の場合、患者さまが医師と直接コミュニケーションを取れないため、対面診療で行う下記のような確認は難しいとされています。
- 患者さまの話とそれに伴う実際の様子のリサーチ
- 検査結果などから薬の効果が出ているか
- 薬の副作用が生じていないか
また、モニター越しに患者さまの状態を確認することになるため、触診はできませんし、直接見るよりも視診も難しくなります。尿、血液検査やレントゲン撮影などの各種検査もできないため診断ができないケースもあります。そのため、対面診療に比べると、患者さまの状態を正確に把握しにくいのです。
オンラインでも医師とのヒアリングの時間は取りますし、なにか不安なことがあれば質問も可能です。ただ、ひとつ前のデメリットと同じように、やはり継続的にはオンライン診療を希望するとしても、一度は対面診療を受診するのが良いでしょう。
高齢者など機器の扱いに不慣れな人は受診が難しい
オンライン診療にはビデオ通話を利用します。保険証確認やクレジット決済の登録なども行えることから便利だというメリットがありますが、オンライン機器を使い慣れていない人には操作が難しいでしょう。
- スマートフォンやパソコンなどオンライン機器の操作に不安がある高齢者
- ビデオ通話を使ってのやりとりに不安がある方
このような方は、オンライン診療を受診するのはまだまだハードルが高いと言えます。オンライン診療の操作が難しい方に向けて、電話診療サービスを提供してくれるクリニックもあります。不安がある場合は、一度相談してみてもいいでしょう。
また、オンライン診療の導入を検討している医療関係者の方は、最初のステップとして情報機器の取り扱いに慣れている若年層から始めてみるのも一つの方法です。
厚生労働省のホームページを確認しましょう
オンライン診療における制度の見直しや法整備などが頻繁に行わられています。特に新型コロナウイルスの影響で近年は大きく制度が変化しています。
導入前に、細かいルールなどは厚生局ホームページより必ず確認を行いましょう。
まとめ
オンライン診療という新しい医療形態は、診察にとどまらず、人々の健康を支える予防医療の上でも期待できそうです。
「新たな生活様式」が求められる今後は、医療サービス提供の幅が広がることが予想されます。より一層、オンライン診療という新たな診療形態が浸透していくことになるでしょう。
導入までの流れも難しくないため、一度オンライン診療の導入を検討してみてはいかがでしょうか。