オンライン診療のシェア状況をデータで徹底解説!最新結果から考察します
新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、「オンライン診療」の認知が急速に広まり、シェアの状況を知りたい方も多いのではないでしょうか。実際に規模を問わず、多くの医療機関がオンライン診療を導入しています。
そこで本記事では、日本におけるオンライン診療のシェア状況や、世界市場での普及率、オンライン診療のメリットなどについて紹介します。オンライン診療の動向把握としてお役立てください。
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総務省公表「令和3年情報通信白書」で見る日本のオンライン診療シェア率(普及率)
現状、日本のオンライン診療シェア率がどの程度なのかを把握するため、以下の項目にわけて詳しく解説していきます。
- オンライン診療の普及率
- 届出医療機関数の推移
オンライン診療の普及率
2021年4月時点で、電話やオンライン診療に対応する医療機関は16,843件で、全体の約15%を占めています。2020年4月時点では、10,812件で全体の9.1%の結果だったため、緩やかですが増加しました。
ただし、特例として電話診療のみのケースも含まれており、オンライン診療システムだけの普及率は現時点で発表されておらず、あくまで参考値となっています。
なお、診療報酬の算定においてもオンライン診療に特例として電話診察も含まれていましたが、2023年(令和5年)7月をもって特例措置は終了しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための一貫として、オンライン診療システムを導入する医療機関が増加し、さまざまなメーカーがオンライン診療システムを提供しています。現在、オンライン診療システムの導入実績No.1を誇っているのはCLINICSオンライン診療(※1)です。
CLINICSオンライン診療は、革新的な技術と信頼性の高さを武器に日本のオンライン診療をリードしており、多くの医療機関や患者から厚い支持を受けています。
参考:令和3年版 情報通信白書|総務省
※1 出典元:富士キメラ総研「ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2023」(2021年実績)
届出医療機関数の推移
2021年(令和2年)4月時点で電話・オンライン診療に対応する医療機関数の推移は、10,812件(全体の9.7%)だったのに対して、1年後の2022年(令和3年)4月には、16,843件(全体の15.2%)にまで上昇しています。また、オンライン診療料の届け出を行っている医療機関は、2018年(平成30年)に970件だったのに対して、2021年(令和2年)までに5,343件に増加しています。
参考:主な施設基準の届出状況等・オンライン診療料|厚生労働省
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世界市場のオンライン診療のシェア率
続いては、世界市場のオンライン診療のシェア率について下記項目に沿って解説していきます。
- 世界の遠隔医療市場
- 主要国のオンライン診療普及率
世界の遠隔医療市場
世界の遠隔医療市場の規模は、2019年時点で約500億ドルと想定されていました。しかし、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大して以降、世界の遠隔医療市場規模は 2022年に874億1,000 万ドルと評価され、2023年944億4,000 万ドルから2030年までに2,862 億2,000 万ドルに成長すると予測されています。
今後AIの活用をはじめ、さらなる医療のデジタル化が進み、遠隔医療市場の規模も右肩上がりに増加していくでしょう。
参考:遠隔医療市場規模|FORTUNE BUISINESS INSIGHTS
主要国のオンライン診療普及率
フランス、アメリカ、イギリスにおけるオンライン診療の普及率は、新型コロナウイルス感染症の前段階では約20%でした。規制が緩和された後は、フランス約50%、アメリカ約60%、イギリス70%にまでオンライン診療の普及率が向上しています。
日本では新型コロナウイルス感染症前のオンライン診療の普及率は約5%でしたが、規制緩和後には15%まで増加しました。多くの主要国で規制緩和が行われた結果、オンライン診療の普及率が上昇した結果といえるでしょう。
参考:新型コロナウイルス感染症に対応する各国の医療提供体制の国際比較研究(21CA2011)|厚生労働科学研究成果データベース (MHLW GRANTS SYSTEM)
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日本のオンライン診療が普及しない理由
日本のオンライン診療が普及しない理由について、下記2点に整理して解説します。
- 対面診療よりも点数が低く設定されているため
- 対面診療のほうが安心して診察できると感じているため
対面診療よりも点数が低く設定されているため
日本のオンライン診療が普及しない一因は、診療報酬の点数の低さにあります。令和4年度の改定によって評価は向上したものの、依然として点数は低い水準にとどまっています。
加えて、オンライン診療のシステムや環境を整備するには一定の費用がかかるため、医療機関にとって取り組みやすいものとは言い難い状況です。
複数の要因が重なり、オンライン診療の普及が遅れているといえます。以下は、診療報酬改定前後の変更点を表にまとめたものとなるため、状況把握の参考としてお役立てください。
2020年度改定 |
時点的特例措置 |
2022年度改定 |
|
---|---|---|---|
初診料 |
ー |
214点 |
251点(対面診療の87%) |
再診料 |
71点(オンライン診療料) |
73点(電話等再診) |
73点 |
医学管理料 |
100点(オンライン診療料) |
147点(電話等再診時) |
対面の約87% |
その他加算 |
処方箋料 |
時間外対応加算、明細発行体制等加算、処方箋料等 |
時間外対応加算、明細発行体制等加算、処方箋料等 |
加算可能医療機関 |
200床未満の保険医療機関 |
200床未満の保険医療機関 |
200床未満の保険医療機関 |
そのほか、下記にてオンライン診療に関する診療報酬改定の項目を解説しています。必要に応じてご覧ください。
対面診療のほうが安心して診察できると感じているため
厚生労働省が実施した「令和4年入院・外来医療等における実態調査(外来患者票)」によると、オンライン診療を受信した感想として、対面診療と比べて十分なコミュニケーションを取れないと感じた78.1%、対面診療と比べて十分な診察を受けられないと感じた57.5%との結果が出ています。
医療機関側としても診療報酬の低さや導入に伴う負担を懸念しており、オンライン診療の定着には慎重な検討が必要との声が反映された結果といえるでしょう。
また、クレジットカード決済などを導入していないクリニックでは、「窓口自己負担金の徴取に困る」などの声も挙がっていました。感染リスクを最小限に抑える観点からの必要性は認められつつも、対面診療の重要性が強調されています。
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オンライン診療のメリット
オンライン診療には以下のような患者側のメリットがあります。
- 時間や交通費を節約できる
- 感染リスクを抑えられる
- 24時間いつでも予約ができる
- 自宅でリラックスして診察を受けることができる
患者側だけでなく、医療機関側も再診率の向上を図れたり、遠方の患者へのフォローが可能になったりと得られるメリットは多々あります。
詳しい内容は下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:オンライン診療のメリットと普及への課題 | 医療関係者向けに解説します | CLINICS(クリニクス) (clinics-cloud.com)
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オンライン診療の注意点
オンライン診療には注意すべき点もあります。たとえば、オンライン診療では一部の薬の処方が制限される点が挙げられます。特に向精神薬は乱用の恐れがあるため、対面での診療が必要です。
また、初診の患者がオンライン診療を受けられるのは一時的な措置であり、原則として対面での診療が求められています。症状が急変したり、ほかの疾患の疑いがあったりする場合はもちろん、対面での診療をベースに、必要に応じてオンライン診療を活用する方向で整理されている点は念頭に置いておきましょう。
参考:オンライン診療の初診に関する提⾔|一般社団法人⽇本医学会連合
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オンライン診療システムおすすめ10社
以下の記事では、オンライン診療システムの中でも優れた10社を紹介しています。ピックアップしている企業は高いセキュリティ基準を満たしており、使いやすさに優れているため、オンライン診療をより効果的に活用したい方におすすめです。
関連記事:【2023年最新版】オンライン診療システム10社比較 (clinics-cloud.com)
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まとめ
日本のオンライン診療の普及率は、他の主要国に比べて低い傾向があります。理由として考えられるのは、診療報酬の水準が低く設定されている点や、環境の整備に費用がかかる点などが挙げられます。
しかし、2022年4月に行われた診療報酬の改定による要件緩和や、国として医療のDXを推進する動きが徐々に見えてきている状況です。今後、日本のオンライン診療のシェア率が向上する可能性は十分考えられると言えるでしょう。