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クリニックの立地選びで失敗しないために!場所選定のポイントと注意点を徹底解説


クリニックの立地は、集患や経営に直結する重要な要素です。

「なんとなく人通りが多いから」「家から近いから」といった理由だけで決めてしまうと、

思わぬ失敗につながることもあります。

この記事では、立地選びにおける基本的な考え方や、診療科目別の適性、具体的な選定手順をわかりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.クリニックの立地が経営を左右する理由
    1. 1.1.患者数の8割は「立地」で決まる
    2. 1.2.科目別に異なる立地ニーズ
  2. 2.立地選定時に確認すべきポイント
    1. 2.1.駅近 vs 郊外 vs 医療モール
    2. 2.2.人口動態と地域特性の読み解き方
    3. 2.3.現地調査で確認すべき点
  3. 3.競合クリニックとの関係をどう見るか
    1. 3.1.競合の多さはリスクかチャンスか?
    2. 3.2.競合との差別化を考える視点
  4. 4.専門家に相談すべきタイミングと注意点
    1. 4.1.診療圏調査の正しい活用法
    2. 4.2.専門家に依頼するメリット・デメリット
  5. 5.まとめ

クリニックの立地が経営を左右する理由


クリニック開業において、立地選びは経営を左右する重要な要素です。

集患力は立地に大きく左右され、どれだけ優れた医療サービスを提供していても、患者が通いにくい場所では安定した経営は難しくなります。

実際、多くの成功事例では、診療圏調査やターゲットの動線分析に基づいた戦略的な立地選定が行われています。

一方で、開業後に「患者が思ったほど来ない」「競合に埋もれてしまった」といった課題を抱えるクリニックの多くは、立地選定の段階で十分な検討がなされていない傾向にあります。

立地は簡単に変えられないからこそ、慎重かつ戦略的に選ぶ必要があるのです。

以下では、立地がなぜ経営に大きな影響を与えるのか、その理由を2つの視点から詳しく解説します。

患者数の8割は「立地」で決まる

クリニックにおける患者数の大部分、すなわち約8割が「立地」で決まるという事実は、業界関係者の間ではよく知られています。

これは、医療の性質上、「通いやすさ」や「生活圏内でのアクセスの良さ」が患者にとって大きな判断材料になるためです。

特に慢性疾患の管理や定期的な通院が必要なケースでは、自宅や職場からの距離、最寄駅からのアクセス、バスや車の利用のしやすさなど、交通手段との相性が重要です。

これは通勤通学路にある駅前のクリニックが集患しやすい理由でもあり、反対に不便な場所にあると、たとえ医師の腕が良くても「行きにくいから」という理由で選ばれないリスクが高まります。


また、診療科目によってもターゲットの動線が異なります。

例えば、働き盛りのビジネスパーソンを対象とした内科や心療内科であれば、都心のオフィス街や主要駅に近い立地が有利です。

一方、高齢者を主な対象とする整形外科や内科の場合は、バリアフリー対応とともに、住宅街やショッピングモール内など、日常生活圏でアクセスしやすい場所が望まれます。

科目別に異なる立地ニーズ

すべての診療科目に共通する「理想の立地」があるわけではありません。

むしろ、診療科目ごとに患者層・来院頻度・診療時間帯などが異なるため、それぞれに最適な立地条件は変わります。

立地戦略を考えるうえで、診療科ごとの特徴を理解しておくことが重要です。

例えば、眼科は視覚障害や老眼、白内障などの患者が多く、高齢者が主なターゲットになることも少なくありません。

そのため、通いやすさが重視される傾向があり、エレベーター完備のビルやバリアフリー対応の駅近物件などが好まれます。

特に都心部では、駅前にある眼科クリニックが一定の集患を維持しやすい傾向があります。


一方で、小児科の患者は子どもですが実際にクリニックを選ぶのは保護者です。

そのため、小児科は住宅街に立地していることが多く、ファミリー層が多く住むエリアや保育園・小学校の近隣が有利です。

駐車場の有無やベビーカーで入りやすい構造も重要な選定要素となります。

また、皮膚科は比較的短時間の診察で済むことが多いため、駅前や商業施設内など、利便性を重視した場所が好まれる傾向にあります。

買い物のついでに立ち寄れるようなモール内やビルのテナントとして出店するケースも増えており、患者の動線に自然と組み込まれることで、新患の獲得にも有利です。

立地選定時に確認すべきポイント

クリニック開業における立地選びは、単に「駅から近い」「住宅街だから静か」といった印象だけで判断すべきではありません。

実際には、交通アクセスの利便性や地域の人口構成、競合の状況、視認性、賃料、拡張可能性、将来性といった複数の要素を総合的に評価する必要があります。

立地は開業後の経営戦略に大きな影響を与えるだけでなく、長期的なクリニック運営の安定性にも関わる要素です。

一度開業すれば、簡単に移転することはできないため、開業前の段階で多面的な調査と検討を行うことが欠かせません。

ここでは、開業予定地を選定する際に必ず確認しておきたいチェックポイントを、具体的に解説します。

駅近 vs 郊外 vs 医療モール

立地タイプには大きく分けて「駅近」「郊外」「医療モール・商業施設内」の3つがあります。

どの立地が最適かは、診療科目やターゲット層、予算などによって異なります。以下、それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。


駅近物件は、通勤・通学を中心とした幅広い層の集患が期待でき、特に眼科や心療内科、内科などが相性の良い診療科目です。

視認性が高く、立地条件だけで患者が自然流入する傾向もあります。

ただし、賃料が高額になる傾向が強く、物件の競争率も高いため、早期の情報収集と意思決定が求められます。


郊外型立地は、住宅街やロードサイドを指し、小児科・整形外科・皮膚科など、地域住民をターゲットとした診療科目と好相性です。

駐車場を確保しやすく、リピーターを獲得できるというメリットがありますが、新規集患にやや時間がかかる点や、宣伝・広報の工夫が必要となる点は念頭に置きましょう。


医療モールや商業施設内のテナントは、他科との相乗効果が見込める点が大きな魅力です。


内科・皮膚科・耳鼻科など複数の診療科が入る施設は、「ついで受診」や家族での来院に利便性が高くなります。

一方で、同科目の競合とのバッティングや、運営ルールの制約(看板規制、営業時間の規制など)には注意が必要です。

以下の記事ではクリニック物件を選ぶポイントを解説しています。

人口動態と地域特性の読み解き方

立地選定において、最も見落とされがちでありながら極めて重要なのが、地域の人口構成や生活特性の分析です。

単純な人口の多寡だけでなく、年齢層・世帯構成・将来の人口推移まで読み取ることで、ターゲット層との適合性を判断することができます。


例えば小児科を開業する場合、地域に子育て世帯がどの程度いるか、保育園や小学校との距離はどうか、高齢化が進行していないかといった観点が重要になります。

逆に整形外科や内科であれば、高齢者の比率や、患者からみて徒歩での来院が可能な生活圏に立地しているかが判断基準になります。


このような地域特性の把握には、診療圏調査が非常に有効です。

エリア内の診療科別競合数、居住人口、将来的な人口変化などを可視化できるため、より合理的に「ここで勝負できるか」を検討する材料になります。

また、各自治体が公開している人口動態統計や都市計画データも有益です。

例えば、東京23区では都市再開発計画や保育所整備の方針が開示されており、地域の将来像を読み取る手がかりになります。

現地調査で確認すべき点

データによる調査も重要ですが、最終判断においてはやはり現地に足を運んでの確認作業が欠かせません。

現場には、数値では把握しきれない生活者の動線や空気感、看板の視認性、周辺店舗との調和など、リアルなヒントが多数隠れています。

まず着目すべきは人の流れです。

時間帯によって人通りは変化します。朝・昼・夕方・週末と、複数のタイミングで現地を観察し、ターゲットの移動パターンが想定通りかを確認しましょう。


次に重要なのが看板設置の可否や視認性です。

建物の構造によっては外から看板が見えない、あるいは規制が厳しく広告の自由度が限られているケースもあります。

初診患者の多い診療科では特に「見つけやすさ」が集患に直結するため、建物の間取りや外観と併せてチェックが必要です。


さらに、周辺施設や近隣住民の動線も要確認ポイントです。

近隣にスーパーやドラッグストア、教育施設、公共交通機関があるかどうかは、患者の来院理由や頻度に影響します。徒歩・自転車・車いずれの来院手段にも対応できる立地がベストですが、難しい場合は駐車スペースやバス路線の状況も含めて評価しましょう。

競合クリニックとの関係をどう見るか

開業地域に同じ診療科のクリニックが存在する場合、「患者を取り合うのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。

しかし、競合の存在は必ずしもリスクではなく、地域に一定の需要があることの証しともいえます。大切なのは、近隣の競合状況をどう読み解き、自院をどう差別化するかという視点です。

ここでは、競合が多い地域で開業する際の考え方と、差別化の具体的な切り口について解説します。

競合の多さはリスクかチャンスか?

競合が多いエリアでの開業は、「すでに患者が取られているのではないか」「医療ニーズが飽和状態になっているのでは」と懸念されがちです。

しかし見方を変えれば、同じ診療科のクリニックが複数存在するということは、それだけその地域に安定した医療ニーズがある証拠とも言えます。

特に人口が多いエリアや駅前などでは、内科や皮膚科、耳鼻科など日常的な診療ニーズのある科目において、一定数の競合がいることはむしろ自然です。

重要なのは、その地域の患者数と診療所の数のバランスを客観的に把握すること。

診療圏調査や統計データを活用すれば、競合の多寡だけでなく、「自院が入り込める余地があるかどうか」も見えてきます。


また、競合が存在していることで、患者側も「このエリアには医療機関が多く安心できる」という印象を抱きやすくなります。これは、集患においてもプラスにはたらく要素です。

実際に、多くの成功事例では「競合がいるからこそ差別化を徹底し、結果的に自院の強みを印象づけられた」という戦略が取られています。

例えば、すでに複数の耳鼻科がある地域でも、「平日夜間診療」「花粉症専門外来」「子ども専用待合スペース」など、地域ニーズに合わせて独自性を出したクリニックが安定した経営を実現している例は少なくありません。

競合の存在は排除すべきものではなく、むしろニーズを可視化するヒントとして捉えることが、立地選定と経営判断を成功に導く鍵となります。

競合との差別化を考える視点

競合と共存しながら経営を安定させるためには、「自院にしかない価値」をどう提供できるかが最大のポイントになります。

差別化というと難く感じるかも知れませんが、実は診療時間や内装、システム対応など、少しの工夫で明確な違いを出せる要素が多数存在します。

例えば、診療時間の工夫は非常に効果的です。

多くのクリニックが平日午前・午後に分かれて診療しているなかで、昼休みを設けずに通しで診察したり、土曜午後や平日夜間の診療を行うことで、はたらく層や子育て中の保護者にとっての利便性が増します。

また、専門性の訴求も強力な差別化ポイントです。

同じ内科でも「糖尿病専門」「生活習慣病に注力」など、具体的な訴求があれば、ターゲットがクリニックを選びやすくなります。

とくに初診患者は、「自分の症状をわかってくれそうなクリニック」を求めています。


内装・動線設計も、実は差別化のカギです。

小児科であれば遊び場のある待合室、婦人科であればプライバシーに配慮した動線、皮膚科であればパウダールームなど、患者が「通いやすい」「快適」と感じる環境は、再来院や口コミにもつながります。


さらに、予約・受付システムの利便性も現代では重要です。

オンライン予約やLINEでの通知、Web問診の導入により、患者の手間を減らし、待ち時間のストレスを軽減することで選ばれるクリニックになることができます。


これらの工夫を複数組み合わせることで、「あえてここに行きたい」と思わせるクリニック像を築くことが可能です。

競合の存在を悲観するのではなく、差別化の視点から「何を打ち出すか」を戦略的に設計していくことが、成功のポイントとなります。

以下の記事では、クリニックで使える予約システム20選を紹介しています。

専門家に相談すべきタイミングと注意点

クリニックの立地選定は、経営の成否を左右する重要なプロセスです。

しかし、物件の契約や土地購入の段階になってから「やはり他のエリアの方がよかったかも」と悩み出してしまうケースは少なくありません。

後悔しないためには、できるだけ早い段階で専門家に相談し、客観的なデータと経験を踏まえた判断を行うことが重要です。

特に、土地の購入やテナント契約の前には、診療圏調査や競合分析、地域動向の把握など、数値に基づいた客観的な分析が不可欠です。

感覚や印象だけで判断すると、周辺の人口動態や動線、競合状況を見誤り、思わぬ集患の失敗につながるリスクがあります。

ここでは、専門家に相談すべきタイミングとその際に気をつけたいポイントを、具体的に紹介します。

診療圏調査の正しい活用法

診療圏調査は、クリニック開業を検討するうえで欠かせない分析手法です。

診療圏とは、患者がそのクリニックに通うと見込まれる範囲のことを指し、調査では主に「診療圏内の人口」「同科目の競合数」「1日あたりの来院予測数」などを数値化して評価します。

この調査の最大の目的は、「その立地で自院が経営的に成り立つかどうか」を事前に判断することです。

例えば、半径1km圏内に競合が3軒あり、なおかつ高齢化が進んでいる地域で小児科を開業しても、ターゲットとのミスマッチが生じてしまいます。

逆に、若年層・子育て世帯の増加が見込まれる地域であれば、小児科や皮膚科などの開業は有望といえるでしょう。

また、診療圏調査では単に数字を見るだけでなく、「周辺の交通状況」「バスや自転車の動線」「新興住宅地の開発状況」など、地域の生活実態と結びつけて読み解く視点が重要です。

専門家に依頼する場合でも、調査結果の数字を鵜呑みにせず、自院の診療方針やターゲットと照らし合わせながら判断する姿勢が求められます。

調査の段階では、1カ所だけでなく複数の候補地を比較検討するのが理想です。選択肢があることで、数値や条件面を相対的に評価でき、より戦略的な立地選定が可能になります。

専門家に依頼するメリット・デメリット

立地選定の段階で専門家に相談することには、数多くのメリットがあります。

まず大きな利点は、客観的なデータと業界経験に基づいた分析が得られることです。医療開業支援に特化したコンサルタントや不動産業者は、診療圏調査のノウハウだけでなく、過去の開業事例や地域特性の知見をもとにアドバイスを提供してくれます。


また、契約前の段階で相談すれば、物件に潜むリスク(周辺施設との関係、建物の規制、テナントの条件)を事前に把握できる点も重要です。

とくに医療系テナントでは、看板設置の制限や音・振動に関する規約、開業に必要な設備が導入可能かどうかといったチェックポイントが多く、専門家の目が不可欠です。


一方で、デメリットとして考えられるのは相談に際して発生するコストと契約条件の確認です。

診療圏調査や開業支援サービスは基本的に有料であり、調査だけでも数十万円かかる場合があります。

また、コンサルティング会社によっては、物件の紹介に伴って別途手数料や条件付き契約が発生するケースもあるため、契約内容を事前に明確に確認しておく必要があります。


さらに、すべてを他人任せにしてしまうと、結果的に自身の意志や戦略とズレた立地選定になってしまう可能性もあります。

あくまで専門家は「判断材料を提供する存在」と位置づけ、自身が主導権を持って意思決定を行う姿勢が重要です。

理想的なのは「候補地を絞る前に診療圏調査を依頼する」「テナント契約前に現地を一緒に確認してもらう」といった早い段階での相談です。

これにより、調査→判断→契約という正しい段階を踏みながら、失敗のリスクを下げることが可能になります。

まとめ

クリニックの立地選定にあたっては、単に「良さそうな場所を探す」のではなく、診療科の特性・経営戦略・地域住民の動線やニーズを的確に捉えた判断が重要です。

駅近・郊外・医療モールなど立地タイプによって特徴や集患方法は異なり、自院の診療スタイルとの相性を見極めることが成功の鍵となります。

また、競合クリニックの存在はリスクとなるだけでなく、地域の医療需要を示す重要な指標でもあります。

競合に対してどんな違いを出すかを考えることで、独自性のあるクリニックづくりが可能になります。

現地調査では、人の流れや、視認性といった現地でしか得られない情報を確認し、計画の精度を高める必要があります。

そして、土地契約やテナント選定の前に診療圏調査や専門家のサポートを活用することで、数字に基づいた判断とリスク回避が可能になります。

開業成功への第一歩は、戦略的かつ多角的な視点で立地を選ぶことです。

そのためには、データと実地観察、そして信頼できる専門家の助言をうまく組み合わせて、納得のいく意思決定を行いましょう。

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執筆監修者:村田 卓也
執筆監修者:村田 卓也
(株式会社メドレー 医科診療所事業部 事業戦略室) メドレーでは、フィールドセールスマネージャーを務めチーム育成や営業戦略立案・実行に従事。診療所向けSaaS(診療システムCLINICS)の拡販を牽引し年間数百件の新規導入に関わる。現在は、「戦略推進室」にて、事業部の販売戦略とプロモーションを担うミッション担う。今後も現場と市場をつなぐ推進役として価値提供に努めてまいります。

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