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脳神経外科の開業資金はいくら?年収や押さえておきたいポイントも解説

脳神経外科の開業は、専門性が高い分野であることに加え、導入すべき医療機器や設備が多いため、初期投資が大きくなりがちです。

資金調達や損益分岐点への不安から、一歩踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、開業に必要な資金の目安や年収の実態、成功につなげるための経営戦略についてわかりやすく解説します。

将来の独立開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.脳神経外科の開業資金の目安
    1. 1.1.開業資金は億単位
    2. 1.2.自己資金ゼロでも開業可能?
  2. 2.脳神経外科の開業医の年収はどれくらい?
    1. 2.1.年収は平均2,500万円~3,000万円
    2. 2.2.高額医療機器の導入と損益分岐点
  3. 3.脳神経外科の開業で押さえておきたいポイント
    1. 3.1.設備にかかる初期費用が予想以上に高い
    2. 3.2.借入返済の見通しを立てる
    3. 3.3.事業計画には設備メンテナンス費も考慮する
    4. 3.4.リハビリ施設の有無
  4. 4.脳神経外科開業後の集患方法と経営戦略
    1. 4.1.診療圏調査と競合分析を徹底的に行う
    2. 4.2.診診連携を強化し、患者の流れを確保する
    3. 4.3.頭痛外来の開設で収益増加を狙う
  5. 5.まとめ

脳神経外科の開業資金の目安

脳神経外科は、他の診療科に比べて開業時の設備投資が大きく、資金面でのハードルが高いといわれています。

ここではまず、実際どの程度の費用がかかるのか、自己資金がなくても開業できるのかの2点について、詳しく見ていきましょう。

開業資金は億単位

勤務医としての制約や負担を理由に、「開業」という選択肢を考える脳神経外科医もいるかもしれません。

ただし、脳神経外科の開業は、他科に比べて初期投資が大きくなる傾向があります。

特に、CTやMRIといった高度な画像診断機器を導入する場合は、開業資金が2億円~3億円規模に達するケースも珍しくありません。

脳波計といった検査機器に加え、緊急性の高い症例にも対応する体制を整える必要があり、人員配置やリハビリ施設の確保など、設備・人的リソースともに相応の準備が求められます。

そのため、開業後も利益を出しづらく、院長自身の報酬が後回しになることもあるでしょう。

一方で、CTやMRIといった高額な設備をあえて導入しない方針であれば、一般的な外科クリニックと大きく変わらない規模感での開業も可能です。

どこまでの診療内容に対応するかによって、必要な資金や運営体制は大きく変わります。

開業を検討する際は、地域のニーズや自身の専門性、経営の見通しを総合的に踏まえて、慎重に判断することが求められます。

クリニック開業時の融資について以下の記事で詳しく解説しています。

自己資金ゼロでも開業可能?

脳神経外科の開業というと、多額の資金が必要というイメージが強いかもしれませんが、実はMRIやCTといった高額な医療機器を導入しないのであれば、自己資金ゼロで開業できるケースもあります。

特に都市部では、近年、画像診断センターの数が増加しており、外部機関と連携して検査体制を整えることが比較的容易になっています。

このような環境を活かせば、クリニック内にCTやMRIを備えずとも、外来診療を中心とした脳神経外科クリニックの開業は可能です。

一方、郊外での開業を考える場合は注意が必要です。

郊外では外部連携が都市部ほど容易ではないケースも多く、MRI・CTの両方を備えた脳神経外科もあるでしょう。

それを考慮すると、自院も同等の設備を導入する必要が出てくる場合があります。脳神経外科だけでなく、MRIを導入している内科や整形外科などの近隣施設も含めて、地域の医療機器配置状況を把握しておくとよいでしょう。

脳神経外科の開業医の年収はどれくらい?

開業に大きな資金がかかる脳神経外科ですが、それに見合った収益を得られるのかどうかも気になるところでしょう。

ここでは、脳神経外科を開業した場合の年収目安と、高額医療機器が収益に与える影響について詳しく解説します。

年収は平均2,500万円~3,000万円

脳神経外科単体の開業医を対象とした公的な年収データは存在しませんが、民間の各種調査を参考にすると、平均でおよそ2,500万円〜3,000万円程度と見られています。

これは、「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」で示されている全診療科の開業医平均年収約3,191万円と比較すると、やや低めの水準といえるでしょう。

ただし、脳神経外科の年収は、導入する医療機器の種類や診療内容によって大きく異なります。

例えば、MRIやCTを備え、手術件数も多い大規模なクリニックでは、年間8,000万円以上の年収を得ている医師もいます。

脳神経外科は収益を左右する要素が多いため、単純に平均値だけで判断せず、自身の診療スタイルや地域特性に応じた計画を立てることが重要です。

高額医療機器の導入と損益分岐点

脳神経外科を開業するにあたって、経営上まず把握すべきは「損益分岐点」です。これは、収益が経費を上回り、事業として成り立つ基準となる収益ラインを意味します。

特に注意が必要なのは、MRIやCTといった高額医療機器の導入が、この損益分岐点を大きく押し上げる要因となることです。

これらの機器を導入するには、数千万円から数億円の初期投資が必要となり、保守費用も継続的に発生します。

仮に患者数の確保が不十分であれば、開業後しばらくは赤字が続く可能性もあります。

そのため、開業前の段階で「どの地域なら患者が見込めるか」「画像診断は外部機関との連携で代替できるか」など、事業戦略を綿密に練る必要があります。

一方で、患者が安定的に集まり、検査や手術を継続的に提供できる体制が整えば、損益分岐点を早期に上回り、収益性の高い経営が実現します。

高額機器は経営の足かせにもなりますが、強力な収益源にもなり得るのです。

脳神経外科の開業で押さえておきたいポイント

脳神経外科は設備投資や運営コストが大きいため、資金計画だけでなく、経営面でも綿密な戦略が求められます。ここでは、脳神経外科を開業するうえで押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。

設備にかかる初期費用が予想以上に高い

脳神経外科を開業するうえで、まず押さえておきたいのが設備投資の大きさです。

脳の診断や治療には、MRIやCTといった高精度な画像診断機器が不可欠ですが、これらをすべて揃えようとすると、導入費用は数億円単位になることもあります。

当然ながら、このような大規模な設備投資はクリニックの資金繰りに大きく影響します。

開業時に過剰な借入を行えば、初期のキャッシュフローを圧迫し、経営の安定を損ねる恐れがあります。

そのため、すべての設備を最初から揃えるのではなく、優先順位を見極めて段階的に導入していくのが現実的です。

開業時には必須の機器に絞って導入し、経営が安定してから追加投資を検討しても遅くはありません。

こうしたアプローチを取ることで、資金繰りの負担を最小限に抑えることができます。

また、高額な機器は購入だけでなく、リースの活用も視野に入れておきたいところです。

リースであれば初期費用を抑えられるうえ、最新機種への切り替えもしやすくなります。

借入返済の見通しを立てる

高額な設備投資を伴う脳神経外科の開業では、多くの場合、金融機関からの融資が前提となります。したがって、融資の申請と同時に「どのように返済していくか」という現実的な資金計画を描いておく必要があります。

資金計画において最も重視すべきは、返済の実現性です。

収益の見込みに対して、どの程度の借入額であれば安定的に返済できるのかを、数値で明示できなければなりません。

診療単価、想定患者数、診療報酬の動向のほか、診療圏の特性や競合状況も加味しながら、複数のシナリオを用意しておくことが望ましいでしょう。

特に開業からしばらくは患者数が伸び悩むことも多いため、それを前提とした試算が求められます。

加えて、当面の運転資金を十分に確保しておくことも重要です。突発的な支出や予期せぬ収益の変動にも耐えられるよう、余裕のあるキャッシュフロー管理を行いましょう。

事業計画には設備メンテナンス費も考慮する

高額な医療機器は、導入時だけでなく、運用開始後の維持管理にも継続的なコストが発生します。

特にMRIやCTなどの精密機器は、定期的な保守点検やソフトウェアの更新が必須であり、年間数百万円単位のメンテナンス契約費用がかかることもあります。

さらに、突発的な故障による修理や部品交換も想定外の出費として経営を圧迫しかねません。

こうした支出は一過性ではないため、事業計画には単年度予算としてではなく、数年単位のライフサイクルコストとして組み込むことが重要です。

更新時期や買い替えの判断を見越し、あらかじめ資金を確保することで、安定した経営を維持しやすくなります。

事業計画の作成方法について、以下の記事で詳しく解説しています。

リハビリ施設の有無

脳神経外科の診療では、手術や治療後のフォローアップとしてリハビリが必要になるケースが少なくありません。

そのため、院内にリハビリ施設を併設するかどうかは、開業時の大きな検討ポイントとなります。

自院でリハビリに対応できれば、診療の継続性が高まり、患者の通院動機にもつながります。

一方で、リハビリ設備の整備には人員・空間・コストの面で一定の負担が生じます。スペースに余裕がない場合や、初期コストを抑えたい場合は、近隣のリハビリ施設や整形外科との連携を前提とした診療体制を組む方法も有効です。

リハビリ施設の併設については、地域ニーズや想定患者層に応じた柔軟な判断が求められるといえるでしょう。

脳神経外科開業後の集患方法と経営戦略

開業後の安定経営のためには、継続的な集患と収益構造の確立が欠かせません。

脳神経外科の専門性を活かしつつ、地域に根ざした診療体制をどう構築するかが重要です。

ここでは、診療圏分析から紹介体制の整備、診療メニューの工夫まで、実践的な集患と経営のポイントをご紹介します。

診療圏調査と競合分析を徹底的に行う

脳神経外科は専門性が高い分野であるだけに、エリア内の患者数や競合状況を正確に把握することが重要です。

そのため、まずは徹底的な診療圏調査を行いましょう。

これにより、想定される来院患者数や年齢層、疾患傾向などが明らかになり、より精度の高い収支見込みを立てることができます。

加えて、周辺の医療機関がどのような診療体制を敷いているかを把握し、自院の差別化ポイントを見極めることも重要です。

例えば、MRIの稼働状況やリハビリ施設の有無、診療時間帯の違いなどを踏まえ、自院の強みを設計していく必要があります。

このように、エリアごとの医療ニーズを丁寧に読み解くことが、結果として安定した集患につながるでしょう。

診診連携を強化し、患者の流れを確保する

脳神経外科の診療内容は、内科や整形外科など他診療科と重なる部分も多く、診診連携の体制を整えることで患者の紹介を受ける機会が大きく広がります。

例えば、頭痛やめまい、しびれといった症状で内科を受診した患者が、精密検査や専門的な診断を求めて脳神経外科に紹介されるケースは少なくありません。

したがって、地域のクリニックと連携関係を築いておくことで、継続的に患者が流入する経路を確保できます。

また、迅速な報告書の送付や柔軟な予約対応など、紹介元への信頼形成も重要です。

紹介に依存しすぎず、かつ安定した集患の経路を築くために、開業初期から関係構築に取り組んでおきましょう。

頭痛外来の開設で収益増加を狙う

脳神経外科の領域のなかでも比較的幅広い年齢層からニーズがあるのが「頭痛外来」です。

慢性的な頭痛に悩む患者は多く、精密検査や専門的な診断を求めて受診する傾向があります。

頭痛外来を設けることで、MRIやCTなどの画像診断の使用機会が増え、診療単価の向上にもつながります。

また、頭痛をきっかけに脳腫瘍や脳血管障害といった重大な疾患が発見されるケースもあるため、初診から継続診療につながりやすいのも特徴です。

このように、一般的な症状から入りやすいメニューを設けておくことで、専門性の高い診療につなげる入り口となり、収益面でも安定化が図れるでしょう。

まとめ


本記事では、脳神経外科の開業を検討している医師に向けて、必要な資金の目安や年収の傾向、経営戦略まで幅広く解説しました。

脳神経外科は高額な設備投資が必要とされる一方で、診療単価の高さや継続的な通院ニーズから安定した収益が見込める分野でもあります。

資金計画や診療体制、地域ニーズに応じた集患策を丁寧に設計することで、持続可能なクリニック運営が実現しやすくなります。

専門性を活かした開業で、自分らしい医療をかたちにしていきましょう

執筆監修者:村田 卓也
執筆監修者:村田 卓也
(株式会社メドレー 医科診療所事業部 事業戦略室) メドレーでは、フィールドセールスマネージャーを務めチーム育成や営業戦略立案・実行に従事。診療所向けSaaS(診療システムCLINICS)の拡販を牽引し年間数百件の新規導入に関わる。現在は、「戦略推進室」にて、事業部の販売戦略とプロモーションを担うミッション担う。今後も現場と市場をつなぐ推進役として価値提供に努めてまいります。

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