患者と医療者が"Task-ShiftingEcosytem"から恩恵を得るための電子力ルテ導入

錦糸町内科ハートクリニック|福井 悠 院長
内科/循環器内科/呼吸器内科/糖尿病内科

※本記事は、2019年6月26日発行 2019年7月号 INNERVISION別冊付録 ヘルスケアIT活用情報誌『ITVision』から転載したものです。

錦糸町内科ハートクリニック院長 福井先生

はじめに

2019年3月に東京都墨田区で開業した当クリニックは、総合内科。
循環器内科の専門医として、最新の知見に基づき、内科全般の幅広い疾患に対応している。
また、順番待ち確認システムや電子問診票などのシステムを積極的に導入し、患者に受付から会計まで快適な診療体験を届けるための環境を整えている。

CLINICSカルテ導入の経緯

錦糸町内科ハートクリニック 外観
多くの医療者は、「だれかの支えや力になりたい」という志をプロフェッショナリズムの原点としている。
しかし、過酷な医療現場は、しばしば彼らの資質や人格を毀損してしまう。
押し寄せる業務に耐え、初心を貫く医療者も存在する。
しかし、時代に要請されているのは、個人の強さではなく、システムである。

医療者が本来の資質を存分に発揮できる環境を、どうしたら実現できるだろうか。
実現できるとしたら、それはどのような構造を持っていて、どのように機能するのだろうか。
思索の末、私はクリニックに実現可能性を見出した。

他業界の話になるが、ホテルや航空会社のようなサービス業にはサービス・プロフィット・チェーンと呼ばれるコンセプトとがある。
獲得された利益サービスの品質を高める仕組みをつくり、さらなる利益獲得につなげる好循環モデルである。
サービス・プロフィット・チェーンは利益を最大化するモデルではない。
最大化されるのはサービス価値である。
サービスは、それを受ける側と提供する側の双方に価値を生む。
これこそ医療の真髄ではないだろうか。

私たちはサービス・プロフィット・チェーンを基調としたクリニックを想定するに当たり、重視したことが2つある。
それは「人材」と「立地」だ。

「立地」に対する考え方はシンプルだ。
少なくとも2019年現在において、人の流れはおおむね公共インフラに依存する。
優れた品質のサービスを利益に直結させるためには、好立地は必要不可欠である。

「人材」に関しては、やや複雑な様相を呈する。
チームの規模や組織構造、拡張性を備えたオペレーション、報酬制度、キャリアパス、夜間および休日営業といった複数の枠組みが絡み合っている。

ここではオペレーションにフォーカスしてみよう。

当院では、電子カルテを操作する専属スタッフ(オペレーター)を診察室に配置している。
彼らは予約システム操作からカルテ記載、病名およびコストの入力にアサインされており、医師は患者の診療に専念できる。
医師からコア業務以外をオペレーターに"Task-Shifting"することで、医師は快適な診療環境を、患者は洗練された受診体験を得る。
効率向上により獲得された利益から、オペレーターは従来よりも高い報酬とキャリアを得る。
患者、医師および医療スタッフの全員が"Task-Shifting Ecosytem"から恩恵を得るのである。

これを実現するために最適なシステムを検討した結果、当院はメドレーのCLINICSカルテを導入するに至った。
決めては「クラウド型電子カルテ」「洗練されたユーザーインターフェイス」「連携拡張性と開発マインド」である。

ご想像のとおり、オペレータには大きな業務負担が生じる。
当院ではクリニック内で生じる業務を今すぐ処理しなければならない「リアルタイム処理業務」と、ストックした後にまとめて処理する「バッチ処理業務」に分類している。
オペレータの業務から可能なかぎりバッチ処理業務を抽出し、オペレータからバックヤードないし在宅勤務のスタッフに “Task-Shifting”することで、オペレータの負担軽減を実現している。
クラウド型電子カルテならではの芸当であろう。

また、CLINICS カルテの洗練された ユーザーインターフェイスは、複数のシステムを同時に扱わなければならないオペレータの操作性を高めている。
レセプトのスキルが要求される診療コストや病名入力も、直感的あるいは反射的に作業を完了できる。

さて、時代の潮流であるクラウド型電子カルテの課題は、「連携拡張性」である。
近年、ネット予約システムや電子問診票、画像ファイリングシステム、自動受付精算機などのソリューションが安価で利用できるようになっている。
しかし、おおむねオンプレミス型電子カルテを念頭に設計されたサービスが大半であり、クラウド型電子カルテとの連携は発展途上と言ってよい。
自社開発などほど遠い小規模のクリニックにおいて、マルチベンダーでのシステム構築は宿命とも言える。
その連携が甘ければ、患者やスタッフは同じ情報を複数のシステムに入力する手間に振り回されてしまうし、人為的エラーにもつながりやすい。

しかし今後、システムの機能的統合は確実に進む。
機能的統合をなおざりにする電子カルテベンダーはこれからのユーザーの支持を得られず淘汰される、と言い換えてもよい。
その点、CLINICSカルテは大きな「連携拡張性」を秘めている。

私は、システムを導入する際には必ず企業を訪問し、社風や社員の様子を確認することを心掛けている。
メドレーも実際に訪問し、さらに同社が公開しているエンジニアのプロフィールにも目を通した。
若々しさと勢いに溢れた開発マインドが印象的な企業であった。
そのころはまだリリース直後の電子カルテであったが、社内で即決したことを今でもよく覚えている。

システム構成

錦糸町内科ハートクリニック 診察室
CLINICSカルテは、日本医師会ORCA管理機構の日医標準レセプトソフトを完全に内包し、優れたユーザーインターフェイスで一貫性のある操作性を実現し、予約機能やオンライン診療機能も搭載した次世代の電子カルテといってよいだろう。
国際標準規格のセキュリティ認証(「ISO/IEC 27017:2015」、ISMS認証「ISO/IEC 27001:2013」) を取得しており、情報セキュリティの観点においても安心して利用できる。

導入後の評価 (メリット・デメリット)

錦糸町内科ハートクリニック 受付・待合室
CLINICSカルテを導入した最大のメリットは、インターネットに接続された端末であればいつでも、どこでも医療情報にアクセスが可能である点である。
クリニックの各成長フェーズにおいて、最適化されたオペレーションは当然ながら異なる。
受診数やスタッフ数に応じて自由に電子カルテ端末数を調整できる点は、当院のオペレーションに高く寄与している。

またサポート品質は想定よりも優れていた。
当初、電話での問い合わせやオンライン遠隔操作では、訪問での手厚いサポートに比して品質が劣るのではないかと考えていたが、システム提供会社に足を運ばせる必要がないという心理から相談しきい値が下がり、筆者以外のスタッフも自発的にサポートに相談し、筆者の知らないところで問題が解決していることを多々経験する。

先述した「連携拡張性」に関して、電子カルテ導入後たったの2か月で3つの連携が完了した。
想定どおりの開発スピードである。
まだ連携が完了していないシステムに関しては、今後のCLINICSカルテに期待したい。

さて、クラウド型電子カルテ全体の課題ではあるが、CLINICSカルテも例外でなく、複数のシステムを円滑に連携させることの難しさに直面している。
すでにネットワーク上で動作するシステムを複数導入していた当院であるからこそ直面した課題なのかもしれないが、この先に新規開業する次世代を担うクリニックでは頻繁に生じる問題であろう。
複数のシステムとともにクラウド型電子カルテの導入をお考えの方には、個人開業と言えどもシステムエンジニアによるシステムインテグレーションを先んじて行っておくことを強くお勧めする。

今後の展望

今後、医療現場のICT化がますます推進されていく中で、クラウドベースに蓄積された患者情報を持つ医療機関が優位に立つ時代が到来すると予測している。
高血圧や脂質異常症などの慢性 疾患を持つ潜在患者が、特定のクリニックに固定されることなく治療が受けられる時代が到来した時、より多くの人々が予防医療を享受することができるようになる。
もはや、単独の医療機関に患者情報が限定される時代は終わりを告げようとしている。
CLINICSカルテを含むクラウド型電子カルテには、次世代のプライマリケアを担うプラットフォームとなることを期待している。

「錦糸町内科ハートクリニック」概要

医療機関名:錦糸町内科ハートクリニック
所在地:東京都墨田区江東橋4-27-14 PARCO 7F
TEL:03-6659-9001

2019年6月26日発行 2019年7月号 INNERVISION別冊付録 ヘルスケアIT活用情報誌『ITVision』より。

https://www.innervision.co.jp/sp/publication/itvision/itvision40

「ITvision」2040年に向けた医療情報システム導入レポート

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