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クリニック設計のポイントとは?建築基準法などを押さえよう

クリニックを開業する予定があるものの、どのように設計すれば良いか分からない方もいるでしょう。

クリニックの設計には、さまざまな法規制も絡むことを知っておかないといけません。

この記事では、クリニック設計のポイントや法規制について詳しく紹介します。

併せて具体的なプロセスもまとめるので、手続きする際の参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.クリニックの設計が与える影響
  2. 2.クリニック設計で押さえたい法律
    1. 2.1.建築基準法
    2. 2.2.消防法
    3. 2.3.バリアフリー法
    4. 2.4.医療法
    5. 2.5.各地方自治体の条例
  3. 3.クリニックを設計するときの主な流れ
    1. 3.1.1.設計するまでのスケジュールを立てる
    2. 3.2.2.施工会社を選定して事業計画書を作成する
    3. 3.3.3.予算策定・資金調達を行う
    4. 3.4.4.設計・工事を依頼する
  4. 4.クリニック設計で意識したいポイント
    1. 4.1.患者が落ち着ける環境を整える
    2. 4.2.動線を上手く確保する
    3. 4.3.電気・空調・水道を入念にチェックする
    4. 4.4.ゾーニングを意識する
    5. 4.5.施工会社選びを慎重に行う
  5. 5.まとめ

クリニックの設計が与える影響


医療の質は、医師の腕だけではなくクリニックの設計にも影響されます。

いくら医師の技術が優れていたとしても、クリニック内の環境が悪ければ患者の体調にも支障が出ます。

患者をできる限りリラックスさせ、心地良く診察を受けられる環境にする必要があります。

ほかにもクリニックを上手く設計することで、スタッフの働きやすさが向上します。

スタッフの仕事の質も、患者にとって重要な要素となるので、双方の視点から設計しましょう。

クリニック設計で押さえたい法律

クリニックを設計するにあたり、以下の法律の規制を守る必要があります。

  • 建築基準法
  • 消防法
  • バリアフリー法
  • 医療法
  • 各地方自治体の条例

これらをきちんと遵守しないと、都道府県知事の開設許可が下りない可能性もあります。

それぞれの法律の内容に加え、どのようなポイントに注意すべきかを解説します。

建築基準法

建築基準法とは、建物を建てる際の基準について定めた法律です。

建築基準法では、一般建築物と特殊建築物のどちらにあたるかで、規制内容が異なります。

ベッドを1床でも設置しているクリニックは、法律上「特殊建築物」とみなされます。

入念な防火設備を整えるほか、避難経路や消火設備も確保しなければなりません。

ベッドを1床も設置していないクリニックであれば、一般建築物に分類されます。

特殊建築物よりは規制が緩いものの、緊急時に患者を守れるよう配慮した設計が必要です。

消防法

消防法は、国民を火災から守るために作られた法律です。

クリニックに関しては、有床・無床問わず法規制の対象となります。

消防法における有床の概念は「4人以上の患者を入院させる」となっています。

有床クリニックでは、以下の条件に従って設備を揃えないといけません。

設置条件
必要な設備
必須

・消火器
・火災報知器
・火災報知設備(消防機関に通報できる)

延床面積3,000㎡以上
(※診療科目によって変わる)

スプリンクラー

一方で無床クリニックの場合、必要な設備は延床面積ごとに異なります。

延床面積

必要な設備

150㎡以上

消火器

300㎡以上

火災報知器

500㎡以上

火災報知設備(消防機関に通報できる)

6,000㎡以上

スプリンクラー

それぞれを確認したうえで、必要な設備を揃えてください。

バリアフリー法

バリアフリー法とは、高齢者や障害者の自立した日常生活を支援するために定められた法律です。

一般的に延床面積が2,000㎡以上のクリニックでは、「建築物移動等円滑化基準」を満たす必要があります。

つまり高齢者や障害者も、スムーズに移動できる状態にしなければなりません。

具体例として挙げられるのが、出入口付近のスロープの設置です。

段差を解消し、車いすユーザーでも通院しやすいように設計します。

ほかにも障害者用の駐車スペースを設けたり、廊下の幅の基準を満たしたりするといった対応が必要です。

医療法

医療法は、医療の安全や質を確保するために施設の開設・管理方法などを定めた法律です。

医療法によると、待合室と診察室はそれぞれ3.3㎡以上、9.9㎡以上の広さが必要となります。

廊下と診察室を明確に区別するなど、各部屋が独立していることも規定の一つです。

さらに小児科では単独の診察室を設けるように推奨するなど、診療科目別のルールについても細かく規定されています。

こうした細かいルールを自分自身でもチェックしつつ、施工会社に設計・工事を依頼しましょう。

各地方自治体の条例

法律だけではなく、各地方公共団体の条例でクリニックの設計に関するルールを定めているケースもあります。

有名な条例として挙げられるのが、東京都の建築物バリアフリー条例です。

建築物バリアフリー条例では、病院や有床クリニックに加えて、延床面積500㎡以上の無床クリニックにもバリアフリー化を義務づけています。

バリアフリー法は原則として延床面積2,000㎡以上でしたが、東京都では対象を広げています。

また東京都では500㎡未満の無床クリニックについても、福祉まちづくり条例に基づく規定を守らないといけません。

地域ごとの条例まで細かく理解するのは難しいため、法律の専門家や施工会社と確認しながら設計の準備を進めましょう。

クリニックを設計するときの主な流れ

クリニックを設計する流れは、主に4つのプロセスに分けられます。

  1. 設計するまでのスケジュールを立てる
  2. 施工会社を選定して事業計画書を作成する
  3. 予算策定・資金調達を行う
  4. 設計・工事を依頼する

各プロセスにおいて、どのような手続きが求められるかを解説します。

1.設計するまでのスケジュールを立てる

まずは、クリニックを設計するまでの大まかなスケジュールを立てましょう。

物件を完成させるとなれば、計画策定から数えると約1年程度の期間を要します。

準備をなるべく早く済ませ、うまく逆算しながら手続きを進める必要があります。

納期まで余裕がないと、工事を受け持ってくれる施工会社が見つかりにくくなります。

現場の作業員にも負担がかかってしまい、工事の質が落ちる恐れもあります。

施工会社の作業員の環境も考慮して、余裕を持って工事の依頼をしましょう。

2.施工会社を選定して事業計画書を作成する

大まかなスケジュールを組んだら、依頼する施工会社の候補をいくつか選びます。

その際に、どういったクリニックを運営したいか事業計画書も作成しましょう。

事業計画書は、融資を受けるうえでも欠かせないものとなります。

クリニックのコンセプト設計にもつながるため、医療ビジネスにおける専門家に相談しながら作成するのがおすすめです。

事業計画書がある程度完成したら、施工会社と相談しながらクリニックのデザインを決めます。

バリアフリーや動線確保も考慮しつつ、外観および内装を具体的にイメージしましょう。

3.予算策定・資金調達を行う

複数の施工会社から見積もりを出してもらったら、予算を確保しましょう。

開業資金は施工会社にもよるものの、1億円に到達するケースも考えられます。

そのため自己資金だけではなく、無理のない範囲で融資を活用するのが一般的です。

おすすめの融資先として、日本政策金融公庫が挙げられます。

基本的に低金利で融資を受けることができ、審査に比較的通りやすい点がメリットの一つです。

一方で審査期間が長く、必ずしも希望金額を借りられるとは限らない点に注意しましょう。

4.設計・工事を依頼する

施工会社を選定し、融資の審査も無事に通過したら、設計および工事を開始します。

設計・工事にかかる所要期間は約3カ月です。

しかし状況によっては完成が遅れることもあるため、余裕を持って依頼できるように準備しましょう。

工事をしている間、クリニックで使用する医療機器や備品を改めて見直したほうが賢明です。

特に医療機器については、開業と同時に使用できるように動作チェックをすると良いでしょう。

動作チェックに問題があったときに備え、保証内容やサポートの有無も入念に確認する必要があります。

クリニック設計で意識したいポイント

クリニックを設計する際には、外観と内装の双方に重点を置かないといけません。

患者が安心して治療を受けられるだけではなく、スタッフにとって働きやすい職場を目指しましょう。ここでは、クリニックの設計時に意識したいポイントをまとめます。

患者が落ち着ける環境を整える

質の高い診察や治療をするには、患者が落ち着ける環境にする必要があります。

衛生面を徹底的に管理し、心地良く診察および治療を受けられる状態を目指してください。

体調を崩している患者にとって、クリニックへ行くだけでもストレスを感じることでしょう。

特に待合室で名前を呼ばれるのを待っている間は、少なからず緊張もしているはずです。

患者のストレスや緊張感をほぐすには、待合室にテレビを置いたり、リラックスできる音楽を流したりすることをおすすめします。

待合室を工夫するだけでも、診察・治療がスムーズに進みやすくなります。

クリニックのインテリアについては以下の記事で詳しく紹介しています。

動線を上手く確保する

患者がクリニックを心地良く活用するためには、動線をうまく確保しなければなりません。

体調を崩している患者は、少しの距離でも歩くのに体力を使います。

出入口から待合室、待合室から診察室までの動線をしっかりと考え、患者の負担を軽減できるようにしましょう。

また、患者とスタッフの導線を分けることも重要です。スタッフが診察室や処置室、スタッフルーム、院長室を移動する際、待合室から見えないようにバックヤードのスペースをつなぎましょう。そうすることで患者は待合室で落ち着いて待機できるようになります。

電気・空調・水道を入念にチェックする

クリニック内の空間を快適にするには、電気・空調・水道も入念にチェックしましょう。

特に大型の医療機器を取り入れるとなると、電気容量の確保が必要です

万が一、電気や空調、水道設備が不十分な場合は補修工事も検討しなければなりません。

事後の補修工事も可能ではありますが、できれば設計時に確認することが望ましいといえます。

さらに、開業後には業務に支障を出さないよう定期的な点検を行いましょう。

加えてクリニックの内外で、デジタルサイネージを取り入れるのもおすすめです。

クリニックのブランディングや集患に役立つほか、スタッフへの情報伝達にも使えます。

ゾーニングを意識する

クリニックの設計において、ゾーニングも意識しなければなりません。

ゾーニングとは、患者の特性に合わせたスペースを作ることです。

例えば新型の感染症が国内で流行したときは、感染拡大を防ぐために待合室を分けるなどの必要があります。

このような場合、プライバシーの配慮も求められるため、なおさらゾーニングの意識が必要となるでしょう。

施工会社選びを慎重に行う

理想的なクリニックを設計するには、施工会社選びを慎重に行わないといけません。

候補を選ぶときは複数の施工会社に相談しつつ、どこが最も信頼できそうかを見極めましょう。

設計・工事を依頼するうえでは、どうしても費用の安さに注目しがちです。しかし仕事の質にも目を向けていかなければ、長い目線で考えると大きな損失を招く恐れもあります。

テナントや居抜き物件ではなく、一からクリニックを設計するとなれば、基本的には多額の費用がかかります。金額のみに着目せず、費用対効果で考えることが大切です。

施工会社(内装業者)の選定について以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

この記事ではクリニックの設計のポイントについて、法律の知識も併せて説明しました。

まずは設計する前に、さまざまな法規制を押さえないといけません。

開業したあとのことを考え、診察や治療に支障をきたさないような空間作りを心がけましょう。

少しでも悩みごとがあれば、クリニック設計に関する専門家の意見にも耳を傾けてください。

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執筆監修者:村田 卓也
執筆監修者:村田 卓也
(株式会社メドレー 医科診療所事業部 事業戦略室) メドレーでは、フィールドセールスマネージャーを務めチーム育成や営業戦略立案・実行に従事。診療所向けSaaS(診療システムCLINICS)の拡販を牽引し年間数百件の新規導入に関わる。現在は、「戦略推進室」にて、事業部の販売戦略とプロモーションを担うミッション担う。今後も現場と市場をつなぐ推進役として価値提供に努めてまいります。

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