こども病院におけるオンライン診療導入事例
〜子供と親の通院負担を軽減し、専門治療を継続して受けられる環境をつくる〜

医療機関名 : 静岡県立こども病院 
医師名 : 不整脈内科科長/循環器科医長/ITシステム管理室室長 芳本潤先生
インタビュー日 : 2021.2.26

※インタビュー当時(2021年2月26日)のご活動状況であり、現状とは異なる場合がございます

静岡県立こども病院では、2020年9月にCLINICSを導入して以降、保険再診とセカンドオピニオンそれぞれにおいてオンライン診療を活用している。県内唯一のこども病院において、どのようにオンライン診療を活用しているのか、患者さんのメリットや今後の課題についてお話を伺った。

患者さんの新型コロナへの不安と通院負担を軽減するためのオンライン診療

ーオンライン診療を導入したきっかけを教えてください。

芳本先生:2020年4,5月に新型コロナ感染症が蔓延し、非常事態宣言が発令された状況下で、「受診するといわゆる三密を避けられないので不安」「怖いので受診を避けたい」という電話での相談が増えました。

 

当然、病院に来れば待合室で長時間待たないといけないし、子供達はわーっと集まりますし、食事に行っても混雑していますからね。当院には、心疾患など重症化リスクが高いと言われている基礎疾患を持つお子さんも多いので、強い不安を感じている親御さんからの相談が多くありました。

 

「じゃあ近隣でお薬をもらってくださいね」と言えればよいのですが、わたしたちが提供している小児医療・高度医療の特性上、病状や体重などのパラメーターを見ながら薬の量を調節しなければいけない患者さんや、疾患の特殊性から地元では診察してもらうことができない患者さんも多いので、「怖いから」といって受診を避けることができないケースも多々あります。

 

当時、特例として電話等再診が認められ、当院でも電話診療をしていましたが、音声だけではなく顔の見える状態でもっとできることがあるんじゃないか、と考えたのがオンライン診療を導入したきっかけです。

 

 

ー新型コロナの感染不安に対する患者さんからの声がきっかけだったのですね。

芳本先生:それ以外の要因もあります。元々、当院は年間7万人くらいの外来受診者がいますが、当院のある静岡市を含む中部地域からくる患者さんは全体の6割で、伊豆や沼津などの東部地域からくる患者さんが3割程度います。東部地域まではかなり距離がありますし、例えば下田のほうから来ると一日がかりです。1割以下ですが、県外から来院する患者さんもいます。

 

遠くから来る患者さんは、当然時間や交通費もかかるし、子供が何人もいれば兄弟を連れて一緒に移動するのも大変ですよね。そのような患者さんが受診しやすくなる、受診にかかる負担が減らせるのではないか、という事もオンライン診療に期待していました。

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【完全ガイドブックの収録内容】 

  • 「初診オンライン診療解禁通知」について
  • オンライン診療で加算可能な診療報酬
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共働きの家庭でも通院が継続しやすい環境をつくる

ー今のオンライン診療のご活用状況を教えていただけますか。

芳本先生:当院ではオンラインセカンドオピニオンと保険診療でCLINICSを使用しています。保険診療では、東部地域や山梨など遠くから来院していた方がオンライン診療を使われることが多いですね。あとは、ご両親が共働きで、診療時間内に来院することが難しい方や、複数診療科にかかっていると月に何回も受診しなければならないこともありますが、そう何度もお休みを取れないので、オンライン診療を使うことで継続して治療を受けていただけるようにしています。

 

セカンドオピニオンに関しては、南は鹿児島から北は新潟まで広い範囲からお申し込みがありますが、オンラインを導入してから飛躍的に範囲が広がりました。患者さん本人からのお問い合わせと主治医からの問合せの両方がありますが、最近は主治医からの相談が増えている傾向があります。

 

 

ーオンライン診療を始めてからの先生のご感想を教えてください。

芳本先生:新型コロナが流行する前から、検査結果説明などで電話で診察をすることはありましたが、電話診察と比較して些細な目線やしぐさ、表情から違和感を感じとれることもありますし、情報量は圧倒的に増えていると感じます。

 

マスクをせずに表情を見られるのはよいですね。子供は外来では緊張していることもあるので、子供が自宅でリラックスした状況で診察できるというのは、小児科ならではかもしれません。

 

また、患者さんの病状にもよりますが、対面とオンライン診療をどう組み合わせていくかということも試行錯誤している最中です。例えば、遠方から2ヶ月おきに来ている患者さんも、オンラインを活用すれば来院頻度は増やさずに毎月診察することもできる。どのようなかたちが良いのか、色々と試しているところです。

 

 

ー受診された患者さんからの反応はいかがでしょうか。

芳本先生:全体的としてかなり好評で、「スムーズにできました」という声が多いです。

セカンドオピニオンでは1時間という長時間になることもあり、途中で電波状況が不安定になって途切れてしまうことがあるので、その点が改善されるとよいですね。

オンラインを活用した地域と専門機関の役割分担

ー専門病院でオンライン診療を導入するメリットは何だと思いますか。

芳本先生:一番は、通院負担が大きい患者さんとその家族への負担が減ることだと思います。あとは、地域との連携です。特に、小児疾患では患者ごとの特異性が高く、成人の慢性疾患のように体系化された治療がしにくいという特徴があります。例えば、心臓の大きさは個人ごとの差があると手術の仕方が変わり、薬の量も体重ごとに細かく異なります。

 

私の専門は小児の不整脈なのですが、小児の不整脈は専門医も少なく地元で治療が受けられない患者さんも少なくありません。地域のかかりつけ医の先生も、自分のところでリスクを追って全部診ることには負担があると思うので、オンライン診療が普及することで必要な部分は専門の医師に任せるという連携ができるようになるといいですよね。

 

もちろん、どのタイミングでかかりつけ医の先生に戻すのかという点は議論すべきだと思いますが、生まれたときからその子を診ている医師が長く治療に関わっていけるということはメリットが大きいと思います。いわばデジタルによる集約化が、オンライン診療の意義ではないでしょうか。

 

 

ー地域医療と基幹病院をつなぐ事がオンライン診療に期待される役割ということですね。

最後に、先生が思うオンライン診療の課題や今後期待することなどを教えてください。

 

芳本先生:システムについていうと、CLINICSのカメラは反転してしまうので、手書きで書きながら説明するときに不便だということがありました。循環器領域では心臓の血行動態をイラストで示しながら説明することもありますし、セカンドオピニオンでは患者さんの困りごとを書き出して一緒に見ながらお話することもあります。その時に映像が反転してしまうと不便です。これについては、仮想カメラを導入し、仮想カメラの設定を反転することで解決しましたが、この部分が標準装備になるともっと使いやすくなると思います。

 

あとは、体重や血圧など個人のヘルスケアデータとの連携ができるようになるといいですね。今はapple watchで心電図を測定してアプリに記録するなど、 個人のヘルスケアデータを蓄積する仕組みがたくさん出ているので、そういったデータを使って診察ができるようになることを期待したいですね。

 

最後に、制度の面で思うことは、初診の患者さんをどう扱うのかについての議論が整理されてほしいと思います。例えば、最近当院であったのが、遠方に住んでいる方の胎児診断をするケースです。

 

胎児診断の結果、先天性疾患があることがわかり当院で出産・治療するとなった場合、本来は出産前に数回来院していただくのですが、妊婦さんが遠くから何度も来院するのは大変です。このようなケースでオンライン診療を使うことは利便性が高いと思いますが、この患者さんは初診扱いになるため、コロナの時限措置が終わればオンラインでは診察ができなくなってしまいます。

 

診療情報の連携が進めば、もっと多くの患者さんがオンライン診療を使いやすくなるし、拠点となる医療機関同士の連携もしやすくなると思うので、この部分の仕組みが改善されると良いと思っています。

 

ー貴重なお話、どうもありがとうございました。

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