オンラインセカンドオピニオン
専門医の意見を気軽に聞ける

東北大学病院 中里先生
東北大学病院 てんかん科|中里 信和 教授

2021.2.24

 ※インタビュー当時のご活動状況であり、現状とは異なる場合がございます。

東北大学病院では、2019年からCLINICSオンライン診療を活用したオンラインセカンドオピニオンを実施している。
てんかん科教授であり、東北大学病院の病院長特別補佐としてオンライン診療の責任者も務めている中里信和先生にお話を伺った。

東日本大震災で実感したオンライン診療の有用性

ー オンライン診療を導入したきっかけを教えてください。

中里先生: 東日本大震災の後、宮城県沿岸北部にある気仙沼市への支援を考えていましたが、片道で3時間以上もかかることから、何か良い方法はないだろうか、と考えていました。
そうした折、たまたまアメリカの友人から、オンライン診療を試してみては、と支援を受けました。彼はハリケーン・カトリーナで被災した地域の支援に、すでにオンライン診療を活用していたのです。こうして、東北大学病院てんかん科と気仙沼市立病院脳神経外科とを結ぶオンライン診療が始まりました。

当初は現地の主治医が患者と同席する「D to P with D」で診察をしていたのですが、診療回数を重ねるうちに、紹介状、脳波所見、画像データがあれば、主治医が不要な「D to P」でも診療が可能ではないかと思い至ったわけです。
そこで、厚生労働省に相談したところ、オンラインでは制度上、初診での「診療」は不可能だが「セカンドオピニオン」なら可能だ、というアドバイスを頂戴しました。もちろん保険診療はではなく、自由診療の枠組みにおいて、という条件つきです。

こうして、2019年4月からCLINICSオンライン診療を導入し、てんかんのオンラインセカンドオピニオンを始めました。セカンドオピニオンでは、処方も出せず指導もできませんから「診療」という語句は使えません。私の判断、すなわちセカンドオピニオンを、診療情報提供書として地元の主治医に戻すことによって、はじめて診療が修正されるという仕組みです。
元々、てんかんについては、オンライン診療による専門医の介入が有用であることは東日本大震災以降の経験で実感していましたし、海外では当たり前に使われていますから、この便宜的な「オンラインセカンドオピニオン」という名称を、堂々と「オンライン診療」と呼べるようになると良いと思います。

患者さんの負担軽減だけではないメリットがある

ー いまのオンラインセカンドオピニオンのご活用状況について聞かせていただけますか。

中里先生: 月に1-2名ほどのオンラインセカンドオピニオンをしています。正直、てんかん診療は対面よりもオンラインとの相性が良いと思います。
もともと当院の対面による初診外来は地元主治医からの紹介によるセカンドオピニオンに近いものでしたが、患者さんは沖縄や北海道など全国からやってきます。交通費や前後の宿泊費、さらには移動時間そのものの負担を考えると、オンラインのメリットはとてつもなく大きいです。
コロナ禍では互いの感染のリスクがないことも、決定的に重要な点です。さらには、オンラインならマスクをつけずにお互いの表情を確認しながら患者さんやご家族とお話ができます。

てんかん診断では、脳波などの検査も大事ですが、専門医による時間をかけた病歴聴取が何よりも決め手となります。大きなけいれんだけでなく、小さい発作の様子を聞き取ることが大切で、本人だけでなく、発作が起きたときに居合わせた家族などの話を直接聞き取る必要があります。
発作以外にも、合併症や薬の副作用がないかどうかも重要です。さらには心理社会的な背景を探る意味で、生活の様子や本人や家族の悩みを聞き出してあげることも、治療法の選択に直結します。
オンラインなら、患者さんも家族も自宅でリラックスした状況にいますので、お話もゆっくり聞くことができます。距離にかかわらず、全ての患者さんにオンライン診療を受けて欲しいと思うぐらい、てんかんとオンライン診療は相性が良いと思いますね。


ー 受診する患者さんは、やはり遠方の方が多いのでしょうか。

中里先生: 最近、車で30分程の場所に住んでいる方のオンラインセカンドオピニオンがありました。
「近くなのにどうしてオンラインにしたの?」と聞いてみたところ、てんかんとは別の疾患で全身状態が悪く、人工呼吸器をつけて在宅治療をしている患者さんのご家族からの申し込みだったのです。
パソコンのカメラを患者さんの顔に近づけてもらい、発作ではないだろうかと家族が心配していた症状を確認することができました。最終的に、てんかん発作の可能性は低いと判断し、地元主治医の先生の治療方針は間違っていないことを伝えて、返礼の紹介状にも記載しました。ご家族が安堵されたことは間違いありません。
人工呼吸器まではいかなくとも、いろいろな理由で自宅を出られないという人はたくさんいると思います。オンライン診療は、専門医を受診するためのハードルを下げる効果が、間違いなくあると思いますね。


ーありがとうございます。遠い近いにかかわらず、オンライン診療のメリットはあるということですね。

中里先生:そのとおりだと思います。特に地方によっては近隣に専門医がゼロ、ということは珍しくないですから、気軽に専門医の診察を受けられる方法があるというのは良いことだと思いますね。


ー本日は貴重なお話ありがとうございました!

オンライン診療完全ガイドブック
【完全ガイドブックの収録内容】 

  • オンライン診療に関する調査結果
  • オンライン診療の活用事例
  • オンライン診療の実施フロー

オンラインのコミュニケーションで患者さんとの信頼関係を作る

ー オンラインセカンドオピニオンを始める前に懸念していた事はありますか。

中里先生: 正直、始める前は「接続トラブルが起きるのではないか」「画面の向こうで患者さんの発作が起きたらどう対処しようか」など心配事もありました。でも実際はじめてみたら今のところ大きなトラブルはありません。
電波状態が不安定で接続が切れ、繋ぎ直したことはありますが、ごく稀です。むしろ対面診療の方が、大雪や台風などの交通のトラブルによって、予約がキャンセルされる場合が多いのではないでしょうか。

もう一点、オンラインセカンドオピニオンの費用が高いのでは、と指摘されたことがあります。
当院では以前から対面診療でのセカンドオピニオンの料金が(3万円+消費税)決められていて、オンラインセカンドオピニオンの場合は、それより少し高く(4万円+消費税)設定されました。
「この料金で患者さんは納得してくれるのだろうか」という戸惑いはありましたが、院内の規定であったことと、先に延べた交通・宿泊費が不要である点を考えて、1時間程度の診察であれば問題ないだろうと考えております。

ー ありがとうございます。先生がオンラインセカンドオピニオンをする際に気をつけている点などあれば教えていただけますか。

中里先生: セカンドオピニオンは、専門医にとっては初診です。患者さんとは「初めまして」の挨拶から始まるので、信頼関係を作ることがとても大切です。
医師のドレスコードやネームプレート、さらには部屋の様子も重要です。笑顔を見せることも大切ですから、マスクなしのオンライン診療はメリットが大きいと思います。
診察を始める際、患者さんや家族をあわてさせない配慮も重要です。私はいつも、「きょうは1時間程度を予定していますから、なんでも聞いてくださいね」と伝えることから、始めています。
「時間がありますよ」と伝えておくことで、じっくりコミュニケーションが取れますね。雑談のような話も大切で、趣味の話、学校や職場で何をしているかの話から、発作以外の症状や悩みについても貴重な情報が得られます。
診療の最後には「他に何か質問はありませんか?」「不安なことはありませんか?」と必ず念押しして、疑問や不満が残らないように確認もしています。

大学病院ならではの専門医療を気軽に受けられるように

ー 大学病院でオンライン診療をするメリットは何だと感じていますか。

中里先生: 大学病院の本来のミッションは、高度な専門医療の提供です。残念ながら現在の診療報酬体系では、大学病院の診療には不向きです。
やむをえず自費診療でオンラインセカンドオピニオンを実施しているわけですが、実績を積むことによって、近い将来、オンラインてんかん診療に診療報酬の光をあててもらうことがゴールだと思っています。
いずれは広く国民に均質な良い医療にできるよう、制度を変えていかなければならないからです。

てんかんだけでなく多くの疾患領域においては、専門医が偏在するためのトリートメント・ギャップの問題が存在しています。地理的制約を越えて、気軽に専門医に診察してもらうために、オンライン診療はもっと普及して良いと考えます。
それと、「後医は名医」という格言もあります。てんかんでは、紹介状の数だけ幸せに近づくと私は考えています。
別の医師で別の治療オプションが提示される場合のメリットもありますし、複数の医師が同じ方針を提示することによって、患者さんが納得して治療を続けられるというメリットもあります。

ー オンライン診療によって、一人の患者さんを複数の医師で診る連携にこそメリットがあるということですね。

中里先生: そうですね。同じ専門医でも患者さんとの相性もあると思いますし、地理的要因に縛られずに専門医同志で気軽に紹介しあえるようになると、患者さんのためにも良いと思いますね。

ー最後に、先生が現在課題に感じていることや、オンライン診療に期待することを教えてください。

中里先生:オンライン診療自体はとても有益なものだと感じていますが、大学病院などの専門施設の立場としては、診断や治療方針を決めたあとは、再び地域の医療機関に患者さんを戻して治療を継続してもらう体制がシステムとしては効率的です。つまり病診連携ですね。
現在、オンラインでD to P with Dを実施する「遠隔連携診療料」の実施施設は、てんかん診療拠点や難病治療の専門施設など制約がきびしい状況です。もっと広く、たとえば開業医であっても、てんかん専門医が「遠隔連携診療料」を使って地域の非専門医の診療を手助けできる仕組みが欲しいです。
ところで、当院では2021年春から、初めてフルリモート職員として公認心理師をもう1名、採用する予定です。当然、患者さんへの対応はすべてオンラインです。医師以外の多くの職種に、オンライン診療の活用が広がっていくと良いですね。

ー貴重なお話、ありがとうございました。

「東北大学病院」概要

医療機関名:東北大学病院
所在地:宮城県仙台市青葉区星陵町1番1号
TEL:022-717-7000

CLINICS導入事例集バナー

オンライン診療導入事例集

  • オンライン診療導入の経緯
  • 具体的な活用方法
  • 導入後の効果・患者様の反応

CLINICSオンライン診療に関して、
ご不明な点がございましたらお気軽にお問合せください。

お問い合わせ

CLINICS専任スタッフが、導入方法や機能活用方法など丁寧にお答えいたします。