当初は現地の主治医が患者と同席する「D to P with D」で診察をしていたのですが、診療回数を重ねるうちに、紹介状、脳波所見、画像データがあれば、主治医が不要な「D to P」でも診療が可能ではないかと思い至ったわけです。 そこで、厚生労働省に相談したところ、オンラインでは制度上、初診での「診療」は不可能だが「セカンドオピニオン」なら可能だ、というアドバイスを頂戴しました。もちろん保険診療はではなく、自由診療の枠組みにおいて、という条件つきです。
中里先生:オンライン診療自体はとても有益なものだと感じていますが、大学病院などの専門施設の立場としては、診断や治療方針を決めたあとは、再び地域の医療機関に患者さんを戻して治療を継続してもらう体制がシステムとしては効率的です。つまり病診連携ですね。 現在、オンラインでD to P with Dを実施する「遠隔連携診療料」の実施施設は、てんかん診療拠点や難病治療の専門施設など制約がきびしい状況です。もっと広く、たとえば開業医であっても、てんかん専門医が「遠隔連携診療料」を使って地域の非専門医の診療を手助けできる仕組みが欲しいです。 ところで、当院では2021年春から、初めてフルリモート職員として公認心理師をもう1名、採用する予定です。当然、患者さんへの対応はすべてオンラインです。医師以外の多くの職種に、オンライン診療の活用が広がっていくと良いですね。