ー 貴院でオンライン診療を導入されたきっかけを教えてください
植原先生:一番大きかったのはCPAP療法(シーパップ/経鼻的持続陽圧呼吸療法)の患者さまが通院が面倒で中々来てくれないこと。CPAP療法の患者さまは、病院に来てもデータをパッと見てすぐ帰るだけなんです。だから、以前からクレームのようなことを言われていたんですね。
ちょうどオンライン診療が解禁になったとき、CPAP療法も保険適用対象に入っていました。タイミング良く、患者さまのつけている機械からクラウドでデータを取得できて、我々にも確認できるというシステムもできてました。
患者さまが来院しなくてもデータが見れるし、オンライン診療なら患者さまが来院するのは3ヶ月に1回で済む。これが一番大きい理由ですね。
ー 患者さまから「毎月通うのが難しい」とお声があって、それに応える形で導入されたんですね
植原先生:当院の患者層は中高年の男性が比較的多いんです。中高年となるとやっぱり年代的に仕事が忙しいので、どうしても毎月毎月受診できないというようなご意見は結構ありました。どうしても、来院されると待ち時間も含めると受診するために相当時間がかかってしまうんですよね。
それでちょうどオンライン診療は治療の継続にも役立つのではないかと考えました。
ですが、期間があきすぎてしまうと、患者さまが使っている機械に関する質問や問題など、そういうヒアリングができなくなっちゃいます。なので、できれば定期的にお話だけはちゃんとして、データの確認もしてという風にしています。
ー 北海道という土地柄も関係しているんでしょうか?
植原先生:北海道は雪が降ってしまうと、高齢者の方は通院できないですからね。東京とは違って本当に大変ですよ(笑)
バスも止まってしまうし、高齢者の方は雪の中で車を運転するのは難しいですし。実際にそれで治療を断念してしまう方も多くいます。
なので、当院は冬になると患者数が減るんですよね。今後、そういう方にオンライン診療が広まっていくといいなと思います。
植原先生:当院はCPAP療法の患者さまがメインで、定期的にデータの確認するだけです。なので、逆にオンライン診療だから劇的に変わったというエピソードはないかも。
ただ治療の継続にはつながっていると思います。転勤で地方に行ってしまった方やなかなか通院できない方に対しても、継続して診療できるっていうのはメリットだと思います。
転勤すると治療の継続は難しくなるんですよね。今までも他の病院を紹介していました。ですが、患者さまとしても、通いなれた病院・先生に見てもらった方が安心だと思います。なので、そういう点でオンライン診療は便利だと思いますね。
ー CPAP療法以外でも、電話再診を月に数回されていらっしゃるんですか?
植原先生:実は、受診しているのは私の息子なんですよ(笑)
あとは、学生の患者さまです。高校生まで通院していて、大学で遠方に行かれた方ですね。一応、現地の病院を紹介もするんですが、ずっとお世話になっていた先生に見てもらった方が安心だと頼まれることがよくありますね。
帰省までに薬がなくなってしまった場合に、オンライン診療で出すということもあります。親御さんとしても、これまでかかっていた病院でお薬を出してもらったほうが継続的な治療ができますしね。
親御さんはこちら(北海道)にいますから。オンライン診療して、処方箋を親御さんに渡して、薬局で交換して、親御さんから薬を送っています。なので、帰省を待つよりも薬が届くのも早いですね。今はまだ処方箋を送るということはやっていないです。※
※インタビュー当時(2019年12月9日)
ー 対面診療からオンライン診療をご案内するときに、注意している点・工夫している点などはありますか?
植原先生:患者さま全員に「オンライン診療というものがあります」と、自作したパンフレットを渡して、看護師から説明しています。そこで希望された方にCLINICSを登録いただいています。
本当に患者さまの希望に応じてですね。通院を希望される方もいますし、「3ヶ月に1回で良いなら」とオンライン診療を希望される方もいます。
「待ち時間いりませんよ」と言うと全然違いますね。希望の時間にオンライン診療をやってあげているので。1回やり始めた方はほとんど全員継続しています。非常に好評だと思います。
ー 自前のパンフレットってどのようなものを利用されていらっしゃるんですか?
植原先生:自前といっても、御社からもらった患者さま案内用のパンフレットを一部流用していますけどね。どういう風にしてオンライン診療を進めていくのか、対面診療との組み合わせ方などを記載してました。対象の症状の患者さまにそのパンフレットをお送りしたという感じです。
ー 患者さまは自宅からオンライン診療を受けられる方が多いんでしょうか?
植原先生:そんなことはないですね。当院は8時半と12時半を枠として空けてますけど、12時半の枠は車の中で受けたりとか職場で受けたりする方が多いですね。
やっぱり働き盛りの方が多いので、そうなると場所を問わずに診察できるのは患者さまにとっては非常に好評ですよ。
オンライン診療完全ガイドブック
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ー オンライン診療を始めるにあたって、院内スタッフさまの反応はどうでしたか?
植原先生:うちでは、最初は1例とか2例とか対象を絞ってやりました。なので反応は悪くなかったですよ。数ヶ月やって、大体のノウハウがわかってきたら少しづつ増やしたら良いと思う。
当院はCPAP療法が保険適用になる1年ほど前からオンライン診療をやっていたので、院内オペレーションや患者さまへの説明の仕方など慣れてましたね。要するにある程度の準備期間が必要ということなんです。逆に言えば、準備さえすればたいていのクリニックで上手くいくんじゃないかと思います。
こちらが勧めないとできないシステムになっているので、少しずつ慣れていくことができるので問題はなかったですね。最初はある程度スマホを使い慣れている若めの患者さまに限定しておすすめしてました。30代の忙しくて病院に通院できない方とかですね。
ー 最初はオンライン診療を実施しやすい患者さまに絞ってご案内されていたんですね。そこで成功体験を作れれば、本格的にオンライン診療を実施していく上での自信もつきやすいですよね。
植原先生:手間取ってしまう患者さまも少なくありませんからね。今では、当院の看護師は患者さまがオンライン診療のどこでつまずくのかを理解しています。こんな風になったらもう対象を広げていいと思います。
最初のうちは院内スタッフもわからないところがあるので、スタッフ自身の慣れの期間が必要だと思いますね。
ー オンライン診療に対して課題に感じていることはありますか?
植原先生:CPAP療法に関しては特に課題は感じでいないですね。データを確認することもできますし、一番オンライン診療に適した症状ではないかと思っています。
他の症状、例えば耳鼻科の分野で言うと「めまい」は課題がありますね。めまいは赤外線CCDを使って診察するので、現状では診察できないですね。
将来は、患者さまが自宅で検査機器を使って、画像を取り込んでネットで飛ばせば診察できるんじゃないかと思ってます。眼振検査も、スマホで目を撮影して送って検査できるようになっていくと良いですね。実現すれば対面と変わらないレベルの所見が取れれば認められると思います。
ー 技術の進歩というところに課題があるということですね。
植原先生:採血とか、内科でやるような検査はできないので、それはさすがに無理だと思うんです(笑)
でも、耳鼻科の場合は画像で診断することが多いです。鼻の穴・耳の穴はカメラで見れますよね。実際にはカメラさえあればほとんでできちゃう症状も多いですよ。目とか鼻を映すのは簡単ですよ、映すだけなんで。
将来的にできるようになったら、かなりオンライン診療の範囲が広がる思います。皮膚科さんもそうですよね。将来的にはそういったカメラ関係の機器の発展してほしいですね。
ー 今後CLINICSオンライン診療に期待することはありますか?
植原先生:今後は、スマホとかIoTとかの機器を上手く使ってオンライン診療に利用できればいいと思うんですよね。
鼻・耳の中を見れるような小型カメラがあれば、対面診療と近いレベルの診療ができる可能性がある。そういうのをメドレーさんなのか、他の会社さんなのかは分からないけど、考えて欲しいなぁと思います。(笑)
ー 私たちもオンライン診療の発展のためにがんばります(笑)
本日は貴重なお話をありがとうございました。
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