転居した患者が治療を継続できる
離れても安心感を

ライフサポートクリニック広島院長 新宅先生
ライフサポートクリニック広島|新宅 恵子 院長

2020.08.21

 ※インタビュー当時のご活動状況であり、現状とは異なる場合がございます。

患者さんやその家族に、離れてもつながっていられる安心感を提供できる

ー オンライン診療を導入されたきっかけを教えてください。

新宅先生: まず最初に私がオンライン診療という言葉を知ったきっかけは、アメリカで臨床心理の医師として、そしてスポーツサイコロジストとして働いている姉から患者さんを紹介されたことでした。
姉は世界中のいろいろな場所に飛び回って仕事をしており、自分のクリニック以外からもSkypeなどのビデオチャットを使って患者さんを診ています。
そのなかでアメリカ在住の日本人の患者さんから、「日本に帰国することになったから、精神科のクリニックを紹介してほしい」と言われたそうなんです。
そこで広島駅の近くで妹の私が開業していると紹介してくれたのですが、患者さんのお住まいが当院から遠く、通院にかなり時間をかけることになってしまいまして。
姉からも「私がやっているようにビデオチャットで診療ができないのか」と言われたのですが、その頃はそんな診療スタイルがあることも知らなかったですし、結局できないことを伝えて、患者さんには新幹線で通院してもらっていました。

その後、2017年の秋頃にちょうどメドレーさんからダイレクトメールが届いたので、最初は話を聞くだけにしてそういうものがあるということだけ知っておこうと思っていたんです。

それから患者さんが少しずつ増えていくなかで、先ほどのような遠方から通われている方や、部活などがあって診療時間になかなか間に合わない中高生、容態が悪くて家から出られなくなってしまった方など、こんなときにオンライン診療があったらいいのではないかと思う事例がいくつか出てきましたので、2018年より導入しました。


ーありがとうございます。貴院の場合、「児童・思春期精神科」に特化したメニューで運用されていますが、実際にオンライン診療をどのように活用されているか具体的な患者さんでエピソードなどあれば教えてください。

新宅先生: そうですね、元々オンライン診療があったらいいなと思っていた遠方の患者さんの場合、新幹線などで何時間もかけて来院されるため、通院する日にちを確保すること自体がそもそも大変でした。オンライン診療を併用することで通院負担がかなり減っているのではないかと思います。

他にも、当院に来られる以前からご両親の転勤で転居を繰り返し、なかなか相性のいい先生と出会えなかったなか、やっと当院で落ち着いて話せるようになったと仰られる患者さんがいました。その方はまた転居が決まってしまい、他のクリニックへ移るのがすごく不安だと話されていたのですが、引き続き当院でオンライン診療が受けられるので安心されていました。

また、以前から診ていた学生の患者さんが複数名県外の大学へ進学されることになったのですが、そのときも「オンライン診療で続けて先生に診てもらいたい」と言われたため、引っ越されたあとにオンライン診療を開始し、継続して診ることができています。

事前に、この先、一生オンライン診療だけというわけではなく、きちんと対面診療にもきてもらいますよという話はしていましたので、広島に帰省された際にきちんと来院してもらって、対面で診療を行うこともできています。

あとは、患者であるお子さまが引きこもりのようになってしまい予約日に来院できず、お母さまだけが相談にこられるというパターンもあったんですが、お母さまが「家の中であればもしかしたら診察できるかもしれない」と仰り、実際にオンライン診療を始めてみたらご本人が顔を出してくれて、お互いの顔を見ながらちゃんと診療できたということもありましたね。

オンライン診療完全ガイドブック
【完全ガイドブックの収録内容】 

  • 「初診オンライン診療解禁通知」について
  • オンライン診療で加算可能な診療報酬
  • 診療科別の活用事例
  • オンライン診療を始めるための46のチェックリスト

お互いに無駄な時間を減らせることで、集中して診察に臨める

ー やはり精神的な疾患となるとなかなか外に出られないという患者さんもいらっしゃると思いますし、対面とオンラインとではまた違った患者さんの表情が見られると思うので、そういった部分でメリットを感じていただけているのは非常に嬉しいですね。

新宅先生: そうですね。ちなみにオンライン診療を取り入れたことで、課題に感じていた点が解決されたのはもちろん、他にも改善された点がありました。

一つは、診察の質の向上による、時間短縮ですね。
本当はじっくりと患者さんのお話を聞いて差し上げたいんですが、患者数の増加に伴ってだんだん当院の予約が取りづらいような状況になってきたんです。
車だったり電車だったりではるばる遠くから来られている患者さんも多いですし、予約時間がずれてお待たせしてしまうこともあるので、たった5分の診療で終わりにするわけにはいかず、長引いてさらに予約時間がずれてしまうという悪循環になっていました。

オンライン診療の場合、多少時間がずれることがあっても、事前にお伝えしていれば家の中などで用事を済ませてもらうことができるので、患者さんの時間があまり無駄にならないですよね。さらに、オンライン診療の予約を入れる際に記入してもらう問診票に、先に私に伝えておきたいことを書いてくださっている患者さんもいらっしゃいますので、重要な部分に焦点を合わせてお互いにしっかりとお話することができます。
患者さん側にもあまりストレスをかけずに診療時間を短縮できているんじゃないかと思っています。

もう一つは、待合室が混まなくなった上に受付スタッフの残業が減りました。たとえば診療時間の終わり頃の予約がオンライン診療のみですと、患者さんからの支払いはすべてクレジットカードで必ずしもその日に決済しなくてもいいので、当日の窓口の対面診療分の会計業務(お金を数えてレジを閉める作業)を先に始めることができるんです。
これは思ってもみなかった大きなメリットでしたね。


ー さまざまな面でお役に立てているようで嬉しい限りです。それでは次に、オンライン診療についてはまだまだご存じない患者さんが多いなかで、先生から患者さんにオンライン診療をご案内した際の反応はいかがですか?

新宅先生: 当院の場合、この患者さんにはオンライン診療が必要だと私自身が感じ、かつ患者さんも困っていらっしゃるときに提案しているので、むしろ「そういうのがあるんですか!」と喜ばれることが多いですね。

そういえば、先日初診で来られた患者さんは県外の方で、なぜはるばるいらっしゃったのかを聞いたところ、ネットでいろいろクリニックを探していると当院のホームページに辿り着き、オンライン診療の案内が載っていたからここに来たと仰っていました。
掲載したのは2〜3ヶ月程前とわりと最近ですが、その患者さんは当院のホームページで初めてオンライン診療について知ってくださったようでしたし、効果があるなと思いました。

患者さんのいざというときの選択肢を増やせるよう、準備していきたい

ー オンライン診療をやっていたからこそ、貴院を選ばれたということですね。これまでは良い点について語っていただきましたが、今後オンライン診療がもっとこうなったらいいなと期待することや、課題に感じていることはありますか?

新宅先生: 今後、オンライン診療でも通院精神療法が保険適用されることを期待しています。
たとえば、オンライン診療だと採血ができないとか、血圧が測れないというのは当然ですけれど、精神療法、いわゆるカウンセリングやセラピーは対面診療じゃないとできないのかと言われるとそうではないと思うので。
たとえ患者さんから保険外負担金(システム利用料や通話料等)をいただいても、患者さんの負担を考えるとまるまるその点数分を補うことはできないんです。
せめて保険外負担の金額も、診察時間の長さや予約時間帯、処方箋を送るかどうかなどで、人によって料金に幅を持たせられればいいのにとも思います。どんどんオンライン診療の患者さんを増やしていくには、診療報酬の部分が一番のネックですね。


ー 制度の部分で少し課題があるということですよね。

新宅先生: そうですね。とはいえ今後、極力初診の方には積極的にオンライン診療を案内していこうと思っています。何故かといいますと、最近は予約当日に都合が悪く来院ができなくなった患者さんをオンライン診療に切り替えるという事例が増えてきているからなんです。
当院は現在、直近2〜3週間以内だと予約がとれない状態が続いておりまして、たとえば今日は都合が悪く来院できないので、予約を明日に変更できませんかと言われても、簡単に予約日を変更することができません。
薬を処方している患者さんの場合は特に、診療日が3週間以上も先になると困ってしまうので、どこかの診察時間を無理やりこじ開けて5分だけ時間を作って対応すると、結局そんな短時間で診察は終わらないので後ろの予約もどんどんずれてしまって……という悪循環に陥ってしまいます。
それに来院するとなると通院時間を確保する必要があるから難しいけれど、どこか出先ででもオンライン診療のための5〜10分ならとれなくはないという場合もありますから、急遽都合が悪くて明日来れない、でもどうしても近々診察を受けたいという場合に使っていただこうかと。
初診のときにオンライン診療のご説明を済ませ、保険外負担の同意書なども取得しておくようなフローにすることで、今後は患者さんのいざというときの選択肢を増やせるよう、準備していきたいと思っています。


ー 本日は貴重なお話ありがとうございました!

「ライフサポートクリニック広島」概要

医療機関名:ライフサポートクリニック広島
所在地:広島県広島市東区東蟹屋町7-34 重見ビル3階
TEL:082-259-3345

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