CLINICSカルテの料金・価格・費用

catch-img

医療法人設立のメリットとデメリット|医療法人化しない方がいいクリニックとは?

「クリニックを医療法人にしたい」と考えている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。プラスのイメージが多い医療法人化ですが、デメリットも存在するのでしょうか。今回は、医療法人を設立するメリット・デメリット、医療法人化する必要があるクリニックはどんなクリニックなのかを紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.実際の医療法人化率は?
    1. 1.1.医療法人化する必要があるクリニック
    2. 1.2.医療法人化しないほうがいいクリニック
  2. 2.医療法人化するメリット
    1. 2.1.1.給与所得控除を受けることができる
    2. 2.2.2.将来の承継・相続対策ができる
  3. 3.医療法人化するデメリット
    1. 3.1.1.法人設立の手続きが煩雑
    2. 3.2.2.社会保険と厚生年金への加入が必須となる
  4. 4.まとめ

実際の医療法人化率は?

厚生労働省の「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、約10万2000施設ある一般診療所のうち、医療法人の割合が約4万3000施設であり、全体の42%を占めています。

参照:平成30(2018)年「医療施設(動態)調査・病院報告の概況

医療法人の設立申請ができるのは医師、歯科医師です。医療法人の構成には、原則として理事3名以上と監事1名以上が必要になります。


医療法人設立確認事項

(1)監視監督する監事が1名。理事をご自身と合わせて合計3名以上
(2)医療法人には、「社団」「財団」がある
(3)都道府県によっては、2年の開業実績が求められる

それでは医療法人化した医師は、どういう理由で法人化しているのか。逆に医療法人化していない医師は、なぜしないのでしょうか。


医療法人化する必要があるクリニック

医療法人といっても、社会医療法人、特定医療法人、特別医療法人、基金拠出型医療法人など、さまざまな形態があります。個人の場合、所得額により税率が上がる超過累進課税制度になっていますから、法人の利益と個人の所得(給与)と分けることで節税を図りたい場合は医療法人化する必要があります。

また、医療法人化すると分院展開や介護事業所の開設など、複数のクリニックや事業所を経営することができます。複数の事業所を運営したい場合や、家族のために分院したい場合など、実現したい構想があるなら医療法人化を検討する必要が出てくるでしょう。


医療法人化しないほうがいいクリニック

医療法人の設立や管理、運営は煩雑なので、医療法人化することは大きな負担となる可能性があります。また、50代以上で後継者がいない場合は、無理に医療法人化を進める必要はないようです。

テナントの場合は、対象資産が内装設備と医療機器だけですので、銀行借入金と一緒に法人へ引き継ぐ必要もあります。役員報酬が収入となり、それ以外の院のお金は基本的に自由に使えなくなりますので、税金がそれほど多く課税されていない場合は、かえって損をする場合もあるので注意しましょう。


医療法人化するメリット

医療法人化するメリットは、事業を拡大しやすくなることや、家族に対しても退職金を支払えるようになることなど、複数あります。ここでは、いくつか代表的なものを紹介します。医療法人化を検討しているドクターは是非参考にしてください。


1.給与所得控除を受けることができる

医療法人化を行うと医療法人から役員報酬が支払われるようになり、「給与」として所得を得られます。つまり、給与所得控除が受けられるようになるため、その分、節税効果が得られます。

1,500万円の理事報酬には、令和2年より195万円の給与所得が控除されます。個人事業では、経営者の報酬は経費として認められていませんから、青色申告特別控除が65万円つくことになります。これは、単純計算で毎年130万円経費が増えるのと同等の効果があります。さらに、所得税や住民税の最高税率が下がるため、個人クリニックと医療法人では税金の額に大きな差が出るでしょう。


2.将来の承継・相続対策ができる

将来的に子どもにクリニックを承継したい場合、個人事業のクリニックを承継する場合と医療法人を承継する場合では相続税が変わります。個人事業のクリニックを承継する場合は多額の相続税がかかりますが、法人の内部留保(利益積立金)は相続税がかかりません。

そのため、将来、子どもがクリニックを承継する際、節税効果があると同時に事業承継が容易になります。また、新たな開設許可が不要なこともメリットと言えるでしょう。

医療法人化するデメリット

医療法人化には節税効果などの大きなメリットがある半面、上記のように医師の資金と法人の資金が明確に区分されることや、借入金の引継ぎができないなどのデメリットもあります。メリットと合わせて確認していきましょう。

1.法人設立の手続きが煩雑

事業を経営しているなかで大変なことが、日々の会計や税務処理、人事労務など多岐にわたる事務手続きです。さらに医療法人化した場合は、毎年決算終了後3ヵ月以内に必ず都道府県知事へ事業報告書を提出する必要があり、その後の運営管理も複雑になります。

個人クリニックに比べると法人は書類作成に多くの時間を割く必要が出るため、本来集中したい医療行為に集中できなくなる可能性も出てきます。それを回避するために税理士、司法書士、行政書士などへ依頼すると、そのぶんの経費がかかります。


2.社会保険と厚生年金への加入が必須となる

医療法人は、いわば「会社」のようなものです。そのため、役員と従業員は健康保険・厚生年金に強制加入となります。社会保険料の掛け金は給与の約30%で、その1/2は法人負担ですから、金銭的負担が増加することになります。

ただし、医師会に加入している場合、医師国保に加入することも可能です。医師国保に加入した場合、保険料が割安になる場合が多いため、選択肢に入れておくとよいでしょう。​​​​​​​​​​​

まとめ

今回は医療法人化についてご紹介しました。

医療法人化は複数のメリットがある一方で、デメリットも考えられます。現在の経営状況や後継者の有無などによって、した方がいい場合としない方がいい場合に分けられます。

今後の自院の事業展開や財務状況に合わせて、適切に判断していきましょう。


​​​​​​​

執筆監修者:CLINICS編集部
執筆監修者:CLINICS編集部
CLINICS利用医療機関数約3,300件の導入実績をもとに、医療機関様に役立つ情報発信をしております。医療システムのみならず、クリニック経営についても情報発信中です。
医院経営に役立つ情報配信中!友だち追加でお役立ち情報を受け取る

CLINICSカルテのお問い合わせ

CLINICS専任スタッフが、電子カルテ導入や活用方法などのご相談に丁寧にお答えいたします。

CLINICSカルテ
資料ダウンロード