CLINICSカルテの料金・価格・費用

catch-img

小児科クリニックの開業は儲かる?資金・年収・成功事例を徹底解説

小児科は、子どもとその保護者を対象とするという特性から、開業時に独自の戦略や設計が求められます。

本記事では、小児科クリニックを開業するための資金や年収の実態から、成功につながる運営・設備の工夫、そして実際の成功事例までを徹底解説します。

これから開業を検討する方は参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.小児科開業に必要な資金と年収の実態
    1. 1.1.開業に必要な初期投資の内訳
    2. 1.2.小児科医の平均年収は3,000万円超えも可能
  2. 2.小児科開業を成功させる5つのポイント
    1. 2.1.立地と施設設計の注意点
    2. 2.2.採用・スタッフの質が口コミを左右する
    3. 2.3.インターネット・スマホ活用で集患を加速
    4. 2.4.予防接種・診療制度と医師会の対応確認
  3. 3.小児科クリニックの成功事例
    1. 3.1.郊外で「母親目線」を打ち出して成功
    2. 3.2.都心で利便性・スピードを追求して成功
  4. 4.まとめ

小児科開業に必要な資金と年収の実態

小児科クリニックの開業を検討するうえで、最も気になるのが「どれくらい資金が必要か」「年収はどの程度見込めるのか」という点です。

勤務医と比べて高収入が期待できるとはいえ、開業には相応の初期投資や経営的なリスクが伴います。

ここでは、小児科の開業に必要な資金と、経営が軌道に乗った場合の年収の実態について、信頼できるデータをもとに解説します。

開業に必要な初期投資の内訳

小児科クリニックをテナントで開業する場合、平均的な初期投資額は約4,500万円とされています。この金額には、以下のような費用が含まれます。

  • 内装工事費(1,500万円~2,000万円程度):待合室や診察室、処置室、隔離室など、小児科特有の構造を反映した設計が求められます。
  • 医療機器費(300万円~800万円程度):X線や内視鏡など高額な機器は不要で、比較的軽装備でも運営可能です。
  • 什器・備品・IT機器費用:電子カルテや予約システムの導入も含めて数百万円。
  • 広告・販促費:新規開業時は内覧会やWeb広告、ポスティングなどに50万円~100万円程度。
  • 運転資金(数カ月分):開業直後の赤字を見越して、500万円~1,000万円程度の資金確保が望ましいとされています。

特に小児科では、発熱患者と健診・予防接種の患者を分ける必要があるため、待合室を2つに分けるレイアウトや、ベビーカー対応の動線確保など、一般の内科クリニックよりもやや広い物件を確保するケースが多い点に留意が必要です。

小児科医の平均年収は3,000万円超えも可能

小児科の開業医は、経営が順調に進めば年収3,000万円以上も現実的とされています。厚生労働省「第58回 医療経済実態調査」によれば、以下のような収支構造となっています(出典:厚労省「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」)。

【個人開業医のケース】

  • 年間収入:約4,186万円
  • 必要経費控除後の所得(年収相当):約3,068万円

【医療法人クリニックの場合】

  • 年間損益差額:約2,736万円
  • 給与費はやや高め(役員報酬含む)だが、減価償却費は低く収益率は比較的良好

ただし、これらの年収データは「事業所得ベース」のため、実際にはこのなかから借入金の返済や税金、設備の更新費などを差し引く必要があります。

つまり、名目上の年収が3,000万円を超えていたとしても、実際の可処分所得はそこまで高くないケースもあります。

また、医療法人の場合は理事報酬として給与が支払われる形になりますが、報酬をどの程度に設定するかは事業計画次第となります。

勤務医と比較した際、開業医の年収は確かに高くなる傾向にありますが、それは経営が軌道に乗ってからの話です。

特に開業初期は集患の不安や運転資金の不足に悩まされることも多く、経営手腕が問われます。

逆に、適切な立地・サービス設計・予約管理システムを導入し、地域のニーズに応えられれば、安定した年収と自由な働き方を両立できる魅力ある選択肢とも言えるでしょう。

小児科開業を成功させる5つのポイント

小児科の開業は、単に診療を行うだけでは成功しません。

実際に来院を決めるのは保護者であるため信頼されるクリニックをつくる必要があります。

そのためには、内装や導線といったハード面の工夫に加え、スタッフ採用・口コミ対策・制度対応・Web戦略といったソフト面の工夫も欠かせません。

以下に、小児科クリニックを軌道に乗せるための5つのポイントを紹介します。

立地と施設設計の注意点

小児科の立地選定では、「通いやすさ」と「使いやすさ」の両立が極めて重要です。

保護者が子どもを連れて来院することを想定すると、ベビーカーや自家用車の利用に配慮した1階物件が望ましいとされています。

特に駐車場が敷地内に併設されているかどうかは、郊外型クリニックでは集患に大きく影響します。
また、施設設計では以下のようなポイントを重視する必要があります。

  • ベビーカーがすれ違えるほどの広めの動線(廊下や待合室)
  • 発熱患者と健診・予防接種患者を分けるための隔離スペース
  • 子どもが安心できる配色や遊具の設置
  • おむつ替えスペースや授乳室など、保護者向けの設備

これらは単なる快適性の確保にとどまらず、「このクリニックなら安心して通える」という印象を与えるブランディングにつながります。

開業の土地探しについては以下の記事で詳しく解説しています。

採用・スタッフの質が口コミを左右する

診療内容と並んで、口コミに直結するのが「スタッフの接遇力」です。

受付や看護師が子どもに優しく、保護者に丁寧であれば、それだけで保護者からの評価は大きく上がります。

実際、小児科クリニックの口コミには「受付の対応が良かった」「子どもへの声かけが丁寧だった」といったコメントが多数見られます。

そのため、採用時には医療スキル以上に子どもに好かれる性格かどうか、接遇力に優れているかどうかを重視することが重要です。

スタッフ教育や定期的な面談も継続して行い、院内全体でサービスレベルの向上を図ることが成功の鍵となります。

口コミの拡散がSNSで加速する時代、スタッフの印象がそのまま経営成果に直結すると考えて間違いありません。

インターネット・スマホ活用で集患を加速

現在の小児科クリニック運営において、Web活用は欠かせない戦略の一つです。特に、以下の3点は最低限導入しておきたい機能です。

  • Web予約システム(時間帯予約/順番予約)
  • Web問診ツール(来院前に問診入力し、受付時間短縮)
  • SNS(Instagram、LINEなど)での情報発信

これらを活用することで、保護者の負担軽減・混雑緩和・待合室での感染リスク軽減が実現できます。

また、イベント情報や医師のコラムなどを動画や画像で配信することで、地域の「頼れる小児科」としての信頼感を構築できます。

特に若年層の保護者を中心に、「スマホで情報を調べてから受診を決める」行動が一般化しているため、スマホに最適化された情報発信は成功に不可欠です。

以下の記事では、クリニックの集患対策に役立つ施策を紹介しています。オフライン施策とオンライン施策の両方に触れているため、参考にしてみてください。

予防接種・診療制度と医師会の対応確認

小児科の診療範囲には、自治体の制度や医師会との連携が大きく関わります。

例えば、乳児健診や定期予防接種を実施するには、自治体との契約や医師会への加入が必要な場合があります。

  • 開業前に必ず以下の点を確認しておきましょう。
  • 各種公費負担制度の対応状況
  • 予防接種スケジュールの提供要件
  • 医師会加入の必要性と費用
  • 自治体との契約条件(委託料・書類の提出時期など)

制度への対応が不十分なまま開業してしまうと、「予防接種が受けられないクリニック」としてマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。

特に競合が多い都市部では、制度対応の有無が患者獲得に大きな影響を及ぼすこともあるため、慎重に準備を進めることが求められます。

小児科クリニックの成功事例

小児科クリニックの成功には、診療技術だけでなく、立地や診療時間の設定、保護者との信頼関係づくりといった「戦略的な工夫」が欠かせません。

特に、来院するのは子どもでも、医療機関を選ぶのは保護者、特に母親であることが多いため、開業時には「母親目線での設計」「柔軟な診療体制」「ストレスのない受診体験」など、家族全体に配慮したサービスが求められます。

ここでは、そうした視点で独自のポジショニングを築き、地域で高い評価を得ている2つの成功事例を紹介します。

郊外で「母親目線」を打ち出して成功

自院を差別化する方法はさまざまです。小児科クリニックの場合、診察や治療を直接提供する子どもではなく、その保護者に対するアプローチも効果的です。

実際に、「スタッフも院長も全員が母親」という特性を前面に出すことで、地域の保護者から圧倒的な支持を得ている小児科クリニックが存在します。

このようなアプローチにより、患者層が「この小児科は母親である自分の気持ちをよく理解してくれている」と感じているのです。

また、ポジショニングのみならず、子育てのカウンセリングや生活相談などを実施すると、保護者の悩みにより適切に寄り添うことができるでしょう。

さらに、ベビーカーのまま入れる広い待合室や隔離室などの設備があると、リピートでの通院につながる可能性が高くなります。

都心で利便性・スピードを追求して成功

立地に応じた差別化により、経営の安定に成功したクリニックもあります。

都心部に位置するクリニックであれば、共働き家庭のニーズに応えるために夜間や土日診療を実施し、21時まで対応可能な体制を構築する例があるのです。

主要駅から徒歩圏内の立地であれば、通勤帰りの保護者も利用しやすいでしょう。

さらに、完全予約制を導入し、来院前にWeb問診を自宅で入力してもらうようにすると、受付から診察までの時間短縮につながり、患者のストレスがより少ない環境を構築できます。

両者に共通するのは、単なる「医療サービス」ではなく、保護者が安心し、利便性や共感を得るクリニック設計であることです。郊外型・都市型いずれであっても、患者である子どもだけでなく、その家族にどう寄り添えるかが小児科開業の成否を分けるカギとなります。

まとめ

小児科クリニックの開業は、他の診療科と比べて医療機器の導入負担が比較的少なく、初期投資を抑えつつも安定した収益が見込める診療科とされています。

実際、厚生労働省の調査でも、小児科の開業医は平均年収が3,000万円を超える水準で推移しており、経営が軌道に乗れば高収益が期待できる分野です。

しかしその一方で、地域の人口構成や保護者のライフスタイル、行政制度など、外部要因に応じた戦略設計が非常に重要です。

例えば、郊外型クリニックでは母親目線の共感設計が有効であり、都心型では夜間や休日対応、Web予約といった利便性が評価されます。

いずれの事例でも共通していたのは、「子どもと保護者の双方に安心感を提供できるクリニックであること」が支持につながっている点でした。

また、小児科は予防接種や健診といった制度連携が多いため、医師会や自治体との関係構築や制度理解も欠かせません。

さらに、Web予約やSNS運用、動画活用などのIT戦略を積極的に導入することで、集患力や保護者の満足度が格段に高まります。

つまり、小児科の開業で成功するためには、「低コスト・高収益」といった表面的な魅力だけで判断するのではなく、地域特性と保護者ニーズに深く寄り添った運営戦略を構築することが不可欠です。

未来を担う子どもたちとその家族にとって、信頼される「かかりつけ医」としての存在を目指すことが、小児科開業の成功につながるでしょう。

​​​​​​​

執筆監修者:村田 卓也
執筆監修者:村田 卓也
(株式会社メドレー 医科診療所事業部 事業戦略室) メドレーでは、フィールドセールスマネージャーを務めチーム育成や営業戦略立案・実行に従事。診療所向けSaaS(診療システムCLINICS)の拡販を牽引し年間数百件の新規導入に関わる。現在は、「戦略推進室」にて、事業部の販売戦略とプロモーションを担うミッション担う。今後も現場と市場をつなぐ推進役として価値提供に努めてまいります。

CLINICSに関するお問い合わせはこちら

医院経営に役立つ情報配信中!友だち追加でお役立ち情報を受け取る

製品資料


お役立ち資料


セミナー情報


人気記事


関連記事