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ORCAとは?自院で採用するメリットや導入方法、電子カルテとの連携について解説


クリニックの効率的な運営に欠かせないレセプトコンピューター(レセコン)。その中でも「ORCA(オルカ)」という名前を耳にしたことがある先生方も多いのではないでしょうか。

ORCAは多くの医療機関で導入実績のあるレセプトソフトであり、機能性やコストパフォーマンスに定評があります。この記事では、ORCAの基本的な特徴や、種類と料金、電子カルテとの連携方法まで、わかりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.ORCAとは
  2. 2.ORCAの3つの強み 
    1. 2.1.20年以上の実績と信頼感
    2. 2.2.コストパフォーマンスが高い
    3. 2.3.多彩なソフトや周辺機器と連携が可能
  3. 3.ORCAの種類と料金、サポート体制を比較
  4. 4.ORCAと電子カルテの関係性
    1. 4.1.ORCAと電子カルテは併用がおすすめ
    2. 4.2.ORCA連携型の電子カルテの特徴
    3. 4.3.ORCA一体型の電子カルテの特徴
  5. 5.ORCA対応の電子カルテを選ぶ際のポイント
  6. 6.まとめ

ORCAとは

ORCA(Online Receipt Computer Advantage)とは、日本医師会が提供・管理しているレセプトソフトで、正式名称は「日医標準レセプトソフト」といいます。医療現場のIT化を支援し、患者さんへの医療サービスの質の向上を目指して開発されました。

全国で約19,000件の医療機関が導入しており、レセコン市場において高いシェアを誇っています。診療所から病院まで、幅広い規模の医療機関で利用されている信頼性の高いシステムといえます。

ORCAの3つの強み 


ORCAが多くの医療機関に選ばれる背景には、以下3つの強みがあります。

  • 20年以上の実績と信頼感
  • コストパフォーマンスが高い
  • 多彩なソフトや周辺機器と連携が可能

それぞれ具体的に見ていきましょう。

20年以上の実績と信頼感

ORCAは、2002年に「日医標準レセプトソフト」として提供が開始されて以来、20年以上にわたり医療現場を支えてきた実績があります。

診療報酬改定への迅速かつ正確な対応は、多くの医療機関から高く評価されているポイントです。

また、オープンソースであるため仕様が公開されており、透明性とカスタマイズの柔軟性も持ち合わせています。継続的なサポート体制も充実しており、安心して利用できる信頼感が大きな強みです。

コストパフォーマンスが高い

ORCAは、コストパフォーマンスの高さも魅力の一つです。ソフトウェア自体は無償で提供されており、自院にITに長けたスタッフがいれば、初期費用を抑えて導入することも不可能ではありません。

より手軽に導入・運用したい場合には、クラウド版の「WebORCA」も選択でき、月額2,200円(税込)からと、比較的リーズナブルな価格で利用を開始できます。

自動アップデート機能により常に最新の状態が保たれ、メンテナンスの手間やコストを削減できる点もメリットです。

多彩なソフトや周辺機器と連携が可能

ORCAは、単独のレセプト処理機能にとどまらず、多様なソフトウェアや周辺機器との高い連携性を備えています。

40種類以上の電子カルテとの連携に対応しており、クリニックの運用に合わせた柔軟なシステム構築が可能です。

加えて、予約管理や、Web問診、自動精算機、画像ファイリングなど、50種類以上もの多彩な周辺機器やソフトウェアとの連携実績があります。

ORCAを導入・連携させることにより、受付から診療、会計までの一連の業務フローを効率化し、医療サービスの質の向上が可能です。

ORCAの種類と料金、サポート体制を比較

ORCAには3つのタイプが用意されており、導入形態やサポート体制がそれぞれ異なります。以下に、それぞれの特徴を比較した表を作成しましたのでご参照ください。


日医標準レセプトソフト

(オンプレ型)

商用版パッケージ
(オンプレ型)

WebORCA
(クラウド型)

料金
無償


月額2,750円(税込)~
(診療所の場合)

月額2,200円(税込)~

特徴

ソフトウェアは無償で利用可能。

ただし、保険請求に必要な医薬品マスタ等が不足しており、実運用にはサポート事業者との契約が推奨される

無償版のマスタに加え、公費や帳票も利用可能であり、保険請求がスムーズ。

・クラウドで利用可能
・自動アップデートや災害対策に対応

サーバ構築の要否

不要

サポート体制

外部からのサポートは基本的にない

日医の認定サポーターが導入・保守を支援

日医サポートセンターによる支援あり


無償提供されている日医標準レセプトソフト本体のみでは、保険請求に必要な機能やサポートが十分ではありません。実際の運用においては、商用版パッケージの契約が前提となっていることを知っておきましょう。

オンプレ型を利用したい場合は「商用版パッケージ」、クラウド環境での運用を希望する場合は「WebORCA」を選択するのが現実的な選択肢と言えます。

ORCAと電子カルテの関係性

ORCAがレセプト業務を担うシステムである一方、電子カルテは診療記録を管理するシステムであり、それぞれ異なる役割を持ちます。

ただし、近年ではこれらを連携させたり、ORCAが電子カルテに組み込まれて提供されるケースも増えてきました。

ここでは、ORCAと電子カルテを併用するメリットや、「連携型」「一体型」といったORCAとの連携形態の違いや、それぞれの特徴について順を追って解説していきます。

ORCAと電子カルテは併用がおすすめ

ORCAと電子カルテを併用することには多くのメリットがあります。

電子カルテに入力された診療情報がORCAに自動的に連携されるため、レセプト作成時の二度手間や入力ミスを大幅に削減できます。

会計スタッフの業務負担が軽減されるだけでなく、医師や看護師も診療に集中しやすくなるでしょう。

また、診療記録と会計情報を一元的に管理できるため、会計処理の効率化や、経営分析への活用も可能です。近年ではORCAとの連携機能を備えた電子カルテも多く提供されており、ORCAと電子カルテの連携や運用は比較的スムーズに行えます。

なお、具体的な連携の方法は「連携型」と「一体型」の2種類があり、それぞれ特徴があります。次に詳しく見ていきましょう。

ORCA連携型の電子カルテの特徴

ORCA連携型の電子カルテは、ORCAとは別のシステムであり、データ連携機能を介して接続するタイプです。

多くの電子カルテメーカーがこのタイプを提供しており、製品の選択肢が豊富にある点が大きなメリットです。

クリニックは、自院の診療スタイルや求める機能に応じて、最適な電子カルテを選択し、すでに導入しているORCA、または新たに導入するORCAと連携させて運用できます。

ただし、電子カルテとORCAが別システムであるため、画面デザインや操作方法に違いがあります。また、導入時には連携設定に手間や追加コストが発生することもあるため、事前に十分な確認と準備が必要です。

ORCA一体型の電子カルテの特徴

ORCA一体型の電子カルテは、電子カルテ機能とレセプトコンピューター機能(レセコン)を一体化したシステムです。

入力からレセプト作成までを同じインターフェースで完結できるため、業務効率の向上が期待できます。システム内のデータ連携がスムーズなだけでなく、サポート窓口も一本化されていることが多く、トラブル時の対応も迅速です。

一方で、ORCA機能を内包する必要があるため、開発・提供できるメーカーが限られており、連携型に比べて製品の選択肢は少なめです。

また、すでにORCAを単体で運用している場合、既存の設定を一体型に移行できないケースもあるため、導入前に事前確認をしておくことが重要です。

ORCA対応の電子カルテを選ぶ際のポイント

ORCA対応の電子カルテを導入する際は、以下の点を確認するとよいでしょう。

  • 自院に必要な機能が備わっているか
  • 操作性やサポート体制
  • 他システムとの連携可否
  • 導入・運用コストの妥当性

メーカーによって機能や使い勝手が異なるため、自院の診療スタイルに合う製品を選ぶことが重要です。

また、国の医療DX推進を見据え、将来的な情報連携に不可欠な国際標準規格「FHIR(ファイア)」への対応状況も、ベンダーに確認すべき重要なポイントです。

まとめ

ORCAは、日本医師会が提供する信頼と実績のあるレセプトソフトであり、そのコストパフォーマンスの高さや多様なシステムとの連携柔軟性から、多くの医療機関で活用されています。

オンプレミス型からクラウド版まで複数の導入形態があり、自院の状況に合わせた選択が可能です。電子カルテと連携させることで、クリニック運営のさらなる効率化と医療の質の向上が期待できるでしょう。

また、ORCA対応の電子カルテを選ぶ際は、機能、操作性、サポート体制、拡張性、コストを総合的に比較検討し、自院に最適なシステムを見つけることが重要です。

執筆監修者:村田 卓也
執筆監修者:村田 卓也
(株式会社メドレー 医科診療所事業部 事業戦略室) メドレーでは、フィールドセールスマネージャーを務めチーム育成や営業戦略立案・実行に従事。診療所向けSaaS(診療システムCLINICS)の拡販を牽引し年間数百件の新規導入に関わる。現在は、「戦略推進室」にて、事業部の販売戦略とプロモーションを担うミッション担う。今後も現場と市場をつなぐ推進役として価値提供に努めてまいります。

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