在宅診療で開業する際のポイントを徹底解説|成功事例や開業資金についてもご紹介
高齢化社会が進んでいることや、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、在宅診療の需要が高まっています。厚生労働省の発表によると、2025年には、29万人以上※1の人に在宅診療が必要であると予想されています。
この記事では、在宅診療を開業にあたっての特徴や資金、必要なポイントなどを説明していきます。
また、訪問時にも安心して利用できるクラウド電子カルテを弊社では提供しております。
以下より、概要資料をダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
目次[非表示]
- 1.在宅診療開業の現状
- 2.在宅診療の開業資金
- 3.在宅診療医の年収
- 4.在宅診療で開業する際の7つのポイント
- 4.1.1.在宅診療への取り組み方
- 4.1.1.<在宅診療のみで開業する場合の開設要件>
- 4.2.2.周辺の医療機関との連携
- 4.3.3.システム構築は妥協しない
- 4.4.4.事業拡大なども視野に入れる
- 4.5.5.24時間365日体制も視野に入れる
- 4.6.6.開設要件・施設基準を理解しておく
- 4.7.7.在宅診療への理念を明確にしておく
- 5.在宅診療の開業における成功事例
- 6.まとめ
在宅診療開業の現状
まずは、在宅診療開業の現状について説明していきます。
厚生労働省の調査によると在宅診療を支援している病院やクリニックが増加しており、2019年の段階で全国102,616の診療所が在宅診療を行っています。2014年には20,597だったことを考えると5年間で約5倍となっています。具体的には、2週間に1度程度のペースで医師や看護師が患者宅を訪問して、できる範囲の診療や健康診断を行います。老人保健施設等に行く場合もありますが、個人宅に行くケースも増えています。
在宅診療の開業資金
在宅診療の開業初期費用は比較的安価に抑えることが可能です。
具体的には、1,000万~1,700万円が一般的となります。
費用としてかかりそうな費用の具体例は以下になります。
- 土地物件費用
- 内装工事、備品、医療機器
- 往診車
- 医師会入会金
- 運転資金
在宅診療医の年収
在宅診療医の年収は相場と比べて高めに設定されており、求人を確認しても1,500万〜2,000万円の年収であることが一般的です。診療だけではなく認知症の患者に対して適切に対応したり、転倒したときに処置したりするなど、するべきことは多くあります。
また、開業医になった場合の平均年収は、約2,700万円とされています。
在宅診療で開業する際の7つのポイント
在宅診療で開業する際のポイントは、以下の7つです。
- 地域の公共性を担うという自覚が必要
- 周辺の医療機関と連携する
- システム構築は妥協しない
- 事業拡大なども視野に入れる
- 24時間365日体制も視野に入れる
- 開設要件・施設基準を理解しておく
- 在宅診療への理念を明確にしておく
1.在宅診療への取り組み方
開業時に在宅のみで対応するのか、外来も取り組みながら診療を行うのかで、満たすべき開設要件が異なります。そのため、まずはどのように取り組むのかを考える必要性があります。
<在宅診療のみで開業する場合の開設要件>
在宅診療のみで開業する場合は、以下開設要件を満たさなければなりません。
- 無床診療所であること。
- 当該保険医療機関において、在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定し、その範囲(対象とする行政区域、住所等)を被保険者に周知すること。
- 2の地域の患者から、往診又は訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由等なく断ることがないこと。
- 外来診療が必要な患者が訪れた場合に対応できるよう、2の地域内に協力医療機関を2か所以上確保していること(地域医師会(歯科医療機関にあっては地域歯科医師会)から協力の同意を得ている場合にはこの限りではない)。
- 2の地域内において在宅医療を提供し、在宅医療導入に係る相談に随時応じること及び当該医療機関の連絡先等を広く周知すること。
- 診療所の名称・診療科目等を公道等から容易に確認できるよう明示したうえ、通常診療に応需する時間にわたり、診療所において、患者、家族等からの相談に応じる設備、人員等の体制を備えていること。
- 通常診療に応需する時間以外の緊急時を含め、随時連絡に応じる体制を整えていること。
- 当該保険医療機関において、在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定し、その範囲(対象とする行政区域、住所等)を被保険者に周知すること。
引用:在宅医療のみを実施する医療機関に係る保険医療機関の 指定の取扱いについて
2.周辺の医療機関との連携
在宅診療で開業する際に周辺の医療機関と連携することが重要です。周辺の病院やクリニックなどと連携することで、患者の様態にあわせて適切な病院などを紹介できるようになります。
また、上記に加えて訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所と連携しながらサポートにあたることも求められます。
3.システム構築は妥協しない
在宅診療で開業する際にシステム構築は妥協しないことが大切です。在宅診療にはさまざまな書類作成が必要であり、効率化するためのシステム構築が重要です。ITシステムを導入することでできるだけ業務負担を減らし、スムーズな在宅診療ができるようになります。
4.事業拡大なども視野に入れる
在宅診療で開業する際に事業拡大なども視野に入れましょう。今後さらに在宅診療は難しくなっていくことが予想されます。高齢化社会が進み、社会保障費の負担が増える中、保険診療メインで開業することがすべてではありません。
自由診療や専門特化していくなどさまざまな方法で事業拡大を視野にいれることが重要です。
5.24時間365日体制も視野に入れる
在宅診療で開業する際には、24時間365日体制も視野に入れましょう。在宅診療において24時間対応は重要です。患者の容態が急変することもあり、信頼度を高めるためには24時間対応することが大切です。
6.開設要件・施設基準を理解しておく
在宅診療で開業する際に開設要件・施設基準を理解しておくことが重要です。
開業検討時には、まず以下のどちらで開業していくのか意思決定していく必要があります。
- 在宅医療を専門に行う在宅療養支援診療所とするのか
訪問診療・往診を中心に取り組む在宅療養支援診療所とするのか
7.在宅診療への理念を明確にしておく
在宅診療で開業する際には、在宅診療への理念を明確にしておくことが重要です。在宅診療は生半可な医療ではなく、医師人生をかけて取り組むべきか理念をはっきりとしておきましょう。例えば、在宅診療を通して患者やご家族にどのようなことができるのか、地域医療にどのように貢献できるのかなどを明確にすることで地域医療に取り組むことができます。
在宅診療の開業における成功事例
在宅診療の開業において、次の3つの成功事例を紹介します。
病院やクリニックが連携し24時間365日の在宅医療を展開することで、患者にとって安心できる体制ができました。
「24時間対応は在宅医療においては必須ですし、夜にきちんと対応できるかどうかは、患者や地域の信頼を得るために非常に重要なポイントです。
私が理事長を務める悠翔会では現在、総合診療や救急担当の医師たちがシフトを組んで、夜間の対応を専門的に行っています。日中働く医師の長時間労働を防ぎながら、いつでも患者対応ができている状態です。」
引用:クリニック開業マガジン
患者の満足度と実績を基に給与へ反映することで、医師のモチベーションアップにつながっています。
「今は患者たちからは「当直の先生は呼べば必ず来てくれる」、さらに高齢者施設の運営者からは「往診を頼みやすくなった」という声をいただいており、私が一人でやっていた時よりも高い評価をいただけています。
満足度調査で評価の高い医師に対しては、こちらも給料を少しずつ上げていきます。そのため、現在在籍しているメンバーは全員、コミュニケーション能力も緊急対応能力も高い、鍛え込まれた人たちです。」
引用:クリニック開業マガジン
クリニック同士で連携し、情報を一元管理することで患者の負担を減らしています。
「昼間は日勤の医師しか見られないようクローズし、夜は当直医がアクセスできるようにしています。
クリニックを横断した患者検索もできるので、当直の医師はどのクリニックの患者か聞かずとも、電話がかかってきた患者の氏名を検索するだけで、すぐにカルテを開くことができます。」
引用:クリニック開業マガジン
まとめ
現在日本では、医師や看護師が自宅に訪問する在宅診療といったシステムの需要が高まっています。なかなか病院へ通えない高齢者や過疎化した場所に住んでいる人にとって、在宅診療があることで、助かるといった声が増えているのです。