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【2020年秋版】電子カルテ導入に利用できる補助金は?「IT導入補助金」などの申請方法や難易度について解説

「クリニック開業時は費用を抑えたい…」そうは思っても外せない設備である電子カルテ。最近は初期費用・月額費用ともに安価なクラウド電子カルテが普及しつつあるものの、それでも開業時は負担になるかと思います。そのような資金面のハードルを下げる手段として、大半の方は政府による補助金や助成金を活用しています。

目次[非表示]

  1. 1.そもそも補助金とは何か
    1. 1.1.国または地方公共団体が事業者に対して行う返済不要な金銭の給付
    2. 1.2.必ずしも受給できるわけではない
  2. 2.いまクラウド電子カルテが対象となる補助金は
    1. 2.1.IT導入補助金
      1. 2.1.1.制度概要
      2. 2.1.2.C類型の対象となる事業とクラウド電子カルテの位置付け
      3. 2.1.3.ITツール(クラウド電子カルテ)選定における注意事項
      4. 2.1.4.申請の条件(C類型)
      5. 2.1.5.申請の流れ
      6. 2.1.6.申請スケジュール
      7. 2.1.7.採択率
      8. 2.1.8.採択後の流れ
    2. 2.2.感染拡大防止支援金
      1. 2.2.1.申請概要(IT導入補助金との比較)
      2. 2.2.2.クラウドカルテの取り扱い
      3. 2.2.3.申請の条件
      4. 2.2.4.採択率
      5. 2.2.5.採択後の流れ
    3. 2.3.両方出願できるの?

そもそも補助金とは何か

国または地方公共団体が事業者に対して行う返済不要な金銭の給付

国が補助金を交付する目的は、国の政策目的にマッチする事業者(法人・個人など)の取組みを金銭的に支援することにより、政策目標を達成することです。

税金などの貴重な財源を使用するため、法令や予算での定めに従って、公正かつ効率的に給付するように運営されています。

補助金に関する法律には次のようなものがあります。

なお、政府が金銭を給付することを「交付する」といいます。

必ずしも受給できるわけではない

上記の背景から、補助金の手続きを必要とし、公益性や各補助金の支給目的などに基づき、一定の申請条件や審査があります。審査によって補助金を交付する事業者を選ぶことを「採択」といい、採択された事業者のことを「交付決定事業者」といいます。

なお、補助金に類するものとして、給付金や助成金などがあり、審査の有無や財源の違い、支給率などで分類することはできるものの、法律上の明確な定義はなく、例外も存在するため、ここでは特に断りが不要な場合は補助金という言葉で統一します。

いまクラウド電子カルテが対象となる補助金は

2020年10月1日現在、クラウド電子カルテが対象となる補助金は、経済産業省管轄の「IT導入補助金(正式名称:サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金)」と、厚生労働省管轄の「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」のための補助金の2つが対象になります。

IT導入補助金

出典:IT導入補助金ポータルサイト

2017年度から経済産業省と独立行政法人中小企業基盤整備機構の監督のもと、実施されている補助金です。

中小企業・小規模事業者(以下「事業者」)が「自社の置かれた強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただく」ために、経費の一部が補助されます。

申請においては、ITツールを取り扱うIT導入支援事業者が申請をサポートします。

制度概要

2020年度は、従来の通常枠(A・B類型)に加えて、新型コロナウィルスの感染拡大防止に向けて、「サプライチェーン既存への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備等」に取り組む事業者を優先的に支援する特別枠(C類型)が創設されました。

C類型は、独自のITツール要件(詳細は後述)がある分、補助率が大きく、また契約済(支払済)の場合も対象となることが特徴です。


類型
通常枠
特別枠(新設)
A類型
B類型
C類型-1
C類型-2
補助金対象金額
60万~300万
300万~900万
45万~675万
40万~600万
補助率
1/2
1/2
2/3
3/4
補助申請金額
30万~150万
150万~450万
30万~450万
30万~450万
ITツールの制約
なし
なし
あり
あり
契約後申請
不可
不可
2020年4月7日以降のみ可
2020年4月7日以降のみ可

表1. IT導入補助金のA類型・B類型・C類型の比較

C類型の対象となる事業とクラウド電子カルテの位置付け

以下の事業に必要なITツールが、C類型の対象となります。

<C類型-1>

甲:サプライチェーンの毀損への対応
(顧客への製品供給を継続するために必要なIT投資を行う)

<C類型-2>

乙:非対面型ビジネスモデルへの転換
(非対面・遠隔でのサービス提供が可能なビジネスモデルに転換するために必要なIT投資を行う)

丙:テレワーク環境の整備
(従業員がテレワーク(在宅勤務等)で業務を行う環境を整備するために必要なIT投資を行う)


クラウド電子カルテは、インターネット環境があればどこでも利用できる特性から、例えば医療スタッフがテレワークで患者の管理を行うことができるため、C類型-2(丙)に該当すると考えられています。

※甲と乙または丙の両方にまたがる場合はC類型-2に該当します
※上記に該当しない事業に関するITツールは通常枠(A類型・B類型)の対象となります

ITツール(クラウド電子カルテ)選定における注意事項

世の中にある全てのクラウド電子カルテが対象ではなく、IT導入支援事業者(メーカーや代理店など)がITツールとして登録しているもののみが対象です。例えば、CLINICSカルテは、提供元のメドレーがIT導入支援事業者として認可されたうえで、補助金の対象となるITツールとして登録されています。

また、クラウド電子カルテと一緒にC類型に該当する他のITツールも合わせて申請することも可能ですが、クラウド電子カルテと同じIT導入支援事業者が登録しているITツールしか選定することができません。また申請は一度にまとめて行う必要があります。

加えて、対象となる費用は、初期費用と12か月分の月額費用までとなります。

オプション費用も、IT導入支援事業者がITツールとして登録していれば対象となります。

申請の条件(C類型)

申請の条件は様々なものがありますが、大きくは3種類に分類されます。以下では特に認識しておくべき条件を記載いたします。

1) そもそも満たしていないと申請できない条件

  • gBiz IDプライムを取得していること →ないと申請マイページにログインできません
  • SMSを受信できる携帯電話をもっていること →ないと申請完了直前に必要な個人認証ができません

2) 満たしていなければ申請したとしても不採択になる条件

  • ITツールの金額が合計で40万円以上であること
  • 事業規模が一定数以下であること
    • 医療法人の場合は「従業員が300人以下」であること
    • 個人事業主の場合は「20人以下」であること
  • 別のツールで今年度のIT導入補助金に採択されていないこと
  • 必要書類が揃うこと
    • 法人の場合は「法人税の納税証明書」が用意できること
    • 個人事業主の場合は「所得税の納税証明書」と「所得税確定申告書B」が用意できること
  • 交付申請の直近月において申請者が営む事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
  • 補助事業を実施することによる労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上、及びこれらと同等以上の数値目標を作成すること

3) 採択されたとしてもその後の実績報告で補助金を受けられない条件

  • ITツールの契約日が2020年4月6日以前であること
TIPS.
gBiz IDプライム:IT導入補助金含め、さまざまな行政サービスにログインできるアカウント

申請の流れ

申請の流れは大きく6ステップあります。

1. ITツール・IT導入支援事業者の選定

IT導入支援事業者・ITツール検索から利用したいITツールとそれを取り扱う事業者(IT導入支援事業者)を選定します。

2. 申請マイページの開設(事業者→IT導入支援事業者)

IT導入支援事業者に連絡して、申請マイページを開設依頼を行います。※架空申請防止の観点からこのような仕組みが敷かれているようです。

その後、IT導入支援事業者が申請マイページを案内します。

3. 申請準備(補助事業者)

申請マイページにgBiz IDでログインし、交付申請の手引きに従って必要項目の入力と必要書類の添付などを行います。必要項目の入力の大半は選択式です。

4. 申請支援(IT導入支援事業者)

補助事業者による一定の準備が完了すると、IT導入支援事業者に引き継がれます。IT導入支援事業者は、補助事業者による入力内容・添付書類の確認します。もし不備や疑義があった場合は、補助事業者(ステップ2)に差戻します。

さらに、事業計画やITツールの内容・金額の入力など、IT導入支援事業者にのみ権限が与えられている手続きを行ったうえで、補助事業者に再度引き渡します。

5. 申請準備(補助事業者)

補助事業者はステップ3の内容も踏まえ、残りの必要項目の入力や宣誓事項のチェックなどを行います。

6. 申請(補助事業者)

最後に、SMS認証を行ったうえで提出します。提出後の修正はできませんが、審査前であれば申請を破棄して最初から申請をやり直すことは可能です。

申請後、所定の発表日に採択または不採択の通知がマイページに届きます。

申請スケジュール

当初5次締切まで発表されて以降何度か延長されており、2020年10月30日現在は9次締切(2020年12月18日まで)まで発表されています。

採択率

採択率は、50%程度と言われています。ただし、申請は何度でも挑戦できるため、申請が遅いほど競争率が高くなる傾向にあります。また、医療業のみならず様々な業種が対象であり、それに伴ってITツールも多種多様な中、審査条件は共通であるため、業種ごとに採択率にばらつきがあると考えられます。

ただ、業種問わず、申請内容や必要書類について明らかに不備がある(手引きの指示に従っていない)場合は問答無用で不採択になってしまうので、顧問税理士などの第三者やIT導入支援事業者と協力して申請することをお勧めします。

採択後の流れ

採択後は、所定の期間(事業実施期間と言います)内に申請時のITツールの契約・支払を示す書類を提出します。その際もIT導入支援事業者が介在し、内容に不備がないことを確認します。この時点で、採択が取り下げになることはありません。

なお、不採択の場合でも、申請期間内であれば再度申請することができます。

感染拡大防止支援金

医療機関・薬局等における新型コロナウィルス感染拡大防止を支援するために、厚生労働省より実施されている補助金です。実際の申請は各都道府県に提出します。

なお、この補助金はまだ名称が定まっておらず「感染拡大防止等支援事業補助金」「感染拡大防止支援補助金」などと呼ばれることもあります。本記事においては「感染拡大防止支援金」と呼称します。

申請概要(IT導入補助金との比較)

基本事項について、IT導入補助金と比較すると以下の表の通りとなります。

IT導入補助金よりも補助金額は小さいものの、対象が幅広く、申請方法や審査が複雑でないことが特徴です。



IT導入補助金(C類型)


感染拡大防止支援金

対象業種
飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業など
医療のみ(病院・診療所・薬局など)
事業規模
中小企業(個人事業主含む)
指定なし(大規模病院なども可)
対象経費
生産性向上のため、サプライチェーンの毀損への対応・非対面型ビジネスモデルへの転換・テレワーク環境の整備に要する費用
感染拡大防止対策に限られず、院内等での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用(賃金、消耗品、役務費、委託料、使用料など)
補助対象金額範囲
40万〜600万
※月額利用料は12か月分まで

病院:

・200万円+5万円x病床数

診療所:
・200万円(有床) / 100万円(無床)
※月額利用料は2021年3月分まで
補助率
75%
100%
申請方法
IT導入支援事業者が介在し、事務局に提出
事業者単独で事業所の属する都道府県の国保連または自治体に提出
審査有無
あり
あり
審査内容
複雑(足切り条件・減点・加点項目あり)
単純(申請された経費が対象になるかどうかの確認)
審査方法
外部審査委員会が審査を行い、事務局が交付決定する
各都道府県が内容を確認し、交付決定する
申請回数
1回(不採択の場合は期限内であれば再申請可能)
1回(再申請は不可)

表2.IT導入補助金(C類型)と感染拡大防止支援金の比較

クラウドカルテの取り扱い

IT導入補助金同様、クラウド型のカルテの場合、場所の制限を受けないため患者管理など診察以外の事務作業を院外で行うことができ、また、院外でオンライン診療を行う場合の体制確保にも必要なため、感染拡大防止支援金の対象となります。

ただし、厚生労働省からは「対象になると考えていただいて差し支えございませんが、最終的には各都道府県の判断になるため、対象外の可能性が全くないわけではない」との回答でしたので、念のため各都道府県にお問合せください。

申請の条件

厚生労働省が標準のマニュアルや申請フォーマットを用意しておりますが、申請方法の詳細は都道府県ごとに異なる場合がありますので、厚生労働省が公開している「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」各都道府県へのリンクをご確認ください。

1. 申請する経費の選定

条件を満たす経費を選定します。審査により一部補助対象と認められない可能性を考慮し、支出上限以上の経費を選定することが厚生労働省により推奨されています。

2. 交付申請書・事業実施計画書の記入

施設の概要や選定した経費の内訳・金額などを入力します。

3. 各都道府県国保連への提出

診療報酬請求と同じ方法で提出します。提出方法は、オンライン請求システム、WEB申請受付システム、電子媒体、紙媒体の4通りがあります。

採択率

交付決定は各都道府県の判断に委ねられていることもあり、採択率は公表されていません。

また、弊社のCLINICSカルテやCLINICSオンライン診療を契約中の医療機関も申請されているものの、弊社が申請に直接関与していないこともあり把握できないのが現状です。

採択後の流れ

採択後、各都道府県に実績報告として領収書などの証拠書類を提出します。領収書の金額の合計は補助金額と必ずしも一致する必要はなく、補助金額を超えていれば問題ありません。

両方出願できるの?

IT導入補助金と感染拡大防止支援金は併願可能です。ただし、同じツール・経費に対して重複支給はできないので、注意する必要があります。

例えば、IT導入補助金で補助対象になったITツールはその経費の75%が補助されるので、残り25%のみを感染拡大防止支援金で申請するか、違う経費のみを申請する必要があります。

もし、IT導入補助金の結果が出る前に感染拡大防止支援金の申請をする場合は、申請は1回限りです。そのため上述の通り、申請時にIT導入補助金での採択の可能性を踏まえて上限よりも多めに申請しておくことをお勧めします。


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