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カルテ(診療録)の保存期間は?紙・電子(クラウド型・オンプレミス型)の保存方法、廃棄方法について解説

5年以上前の紙カルテや、電子カルテ導入後に不要となった紙カルテなどの処分に悩んだことはないでしょうか。

カルテ(診療録)には保存期間が定められており、保存方法や廃棄方法についての細かい要求事項も存在します。

そこで、本記事では、カルテの保存期間や紙・電子の保存方法、廃棄方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.カルテの保存期間は
  2. 2.カルテを長期的に保存するには
    1. 2.1.電子媒体による外部保存をネットワークを通じて行う場合
    2. 2.2.電子媒体による外部保存を磁気テープ、CD-R、DVD-Rなどのメディアで行う場合
  3. 3.紙カルテのスキャンによる電子化保存について
  4. 4.スキャン後の紙カルテは廃棄していい?
  5. 5.カルテの長期保存にはクラウド型電子カルテがおすすめ


カルテの保存期間は

カルテの保存期間は、医師法で5年間と定められています。


医師法(法律第201号)

第二十四条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。


2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。


しかし、医師法ではどこを起点にした5年間であるかについては明示されていません。


一方で、健康保険法に基づく「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療担規則)では、5年間の起点を「診療が完結した日」と明記しています。


保険医療機関及び保険医療養担当規則 (厚生労働省令第15号)

(帳簿等の保存)

第九条 保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から五年間とする。


この規則はあくまでも厚生労働省の省令であるため、医師法違反のような罰則はありません。

しかし、保険医療機関として、これを守る義務は生じます。

そのため、治療が続いている場合は、5年以上であってもカルテの保存が必要です。



ただし、治療が完結してから5年経過している場合にも、カルテが必要になるケースがあります。

なぜなら、治療完結後5年以上経過してから医療過誤が発覚した際に、事実調査のためにカルテの開示を請求されることがあるためです。


Point

医療訴訟における時効(2020年4月1日施行 改正民法

  • 不法行為を理由とした損害賠償権は、被害者が医療過誤の事実と加害者を知ったときから5年、不法行為のときから20年で時効消滅する。
  • 債務不履行を理由とした損害賠償権は、権利を行使することができると知ったときから5年、権利を行使することができるときから20年で時効消滅する


さらに、日本医師会の「医師の職業倫理指針 第3版」では、カルテを永久保存することを推奨しています。

すでに大学病院などでは永久保存に方針転換しているところもあり、診療所においても可能な限り長期にわたって保存するべきでしょう。


医師の職業倫理指針 第3版

記録保存形式の主流が紙媒体から電子媒体に移行しつつある状況において、診療諸記録の保存期間は診療録の保存期間と同じになるべきである。わが国では法律上5年という期間が定められているが、電子媒体化に伴い永久保存とするべきである。


カルテを長期的に保存するには

カルテを長期的に保管するための方法として、カルテの外部保存を専門業者に委託する方法があります。


かつて、カルテは作成した医療機関が自らの責任で、その医療機関内に保存することが一般的でした。

しかし、厚労省の通知「診療録等の保存を行う場所について」が発出されたことにより、一定の要件を満たす場合に外部保存が認められるようになりました。


外部保存を認める要件については、電子媒体により外部保存を行う場合と、紙媒体のまま外部保存を行う場合のそれぞれの指針が示されています。


電子媒体により外部保存を行う場合

  • 真正性、見読性及び保存性の確保(=電子保存の三原則)
  • 保存に係るホストコンピュータ、サーバ等の情報処理機器が民間事業者等との契約に基づいて確保した安全な場所に置かれるものであること
  • 個人情報保護法等を遵守する等により、患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること
  • 外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと
  • 事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと


紙媒体のままで外部保存を行う場合

  • 必要に応じて直ちに利用できる体制を確保しておくこと
  • 個人情報保護法等を遵守する等により、患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること
  • 外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと
  • 事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと


Tips

電子保存の三原則
電子保存の三原則とは、電子的にカルテを保存・管理する場合に満たさなければならない、「真正性」「見読性」「保存性」の3つの基準のこと。詳しくは、医療情報の安全管理ルール「電子保存の三原則」の知っておくべき重要なポイントを参照ください。


また、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」では、電子媒体による外部保存をさらに下記の2パターンに分けてそれぞれの要件を示しています。

電子媒体による外部保存をネットワークを通じて行う場合

電子媒体による外部保存をネットワークを通じて行う方法は、主にクラウド型電子カルテやクラウドバックアップが可能なオンプレミス型電子カルテにおいて用いられる外部保存方法です。


ネットワークを通じて外部保存を受託する事業者が、真生性を確保し、セキュリティ対策をしっかりと行うことで、医療機関の負担を軽減することができます。

具体的には、カルテを長期保管するうえで医療機関が負うべきコストや、セキュリティ対策の手間などが挙げられます。


このようなメリットがある反面、インターネット経由の情報漏えいなど、クラウド特有の重大な事故につながる恐れもあるため、十分に注意した運用方法が求められています。


電子媒体による外部保存をネットワークを通じて行う場合の要件(一部)


電子媒体による外部保存を磁気テープ、CD-R、DVD-Rなどのメディアで行う場合

電子媒体による外部保存を磁気テープ、CD-R、DVD-Rなどのメディアで行う方法は、主に紙カルテをスキャンして電子データとして外部保存する場合や、オンプレミス型電子カルテのバックアップデータを外部保存する場合に行われることが多い外部保存方法です。


紙媒体をそのまま外部保存する方法に比べて、メディアを目視しても内容が見えるわけではないため、搬送時の機密性を確保しやすく安全性が高いといわれています。

メディア自体にパスワードによるアクセス制限をかけることで、機密性はさらに高まります。


また、医療機関と委託先の機関がオンラインでつながっているわけではないため、ネットワーク上の脅威に晒されることもありません。


一方で、CD-R、DVD-Rなどのメディアには、耐久性や汎用性が低いというデメリットがあります。

物理的な衝撃でディスクが割れるリスクがあるだけでなく、熱や湿気にも強くありません。


電子媒体による外部保存を磁気テープ、CD-R、DVD-Rなどのメディアで行う場合の要件(一部)

  • 電子保存の三原則を遵守すること
  • 搬送時に他の搬送物と別のケースや系統に分けたり、同時に搬送しないこと
  • 外部保存を委託する機関において、正当な理由なく医療情報へアクセスできない仕組みを構築すること
  • 外部保存の実施について、院内掲示などを通じて患者へ説明すること
  • 通常時と万が一事故が発生したときそれぞれの、責任の所在を明確化すること



紙カルテのスキャンによる電子化保存について

紙カルテをスキャンして電子データとして保管することについては、2005年4月に「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信技術の利用に関する法律(e-文書法)」が施行されたことにより、一定要件下で可能となっています。


厚生労働省が策定した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」において、e-文書法を遵守するための具体的な指針が示されています。


診療録等をスキャナ等により電子化して保存する場合の要件(一部)

  • 電子化したデータに電子署名・タイムスタンプを遅延なく付与し、責任を明確にすること
  • 外部事業者に委託する場合、過去に安全管理上の問題を起こしていない事業者であることを確認し、適切な能力を持つ外部監査人の監査を受けること
  • 汎用性が高く可視化するソフトウェアに困らない形式(JPEG・PDFなど)で保存すること
  • 事前に対象となる患者に告知すること
  • 実施計画書を作ること


スキャン後の紙カルテは廃棄していい?

紙カルテのスキャンによってできる電子データは、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」に準拠した電子署名・タイムスタンプを付与することで、元の紙カルテと同様の原本性を保つことができます。


そのため、スキャン後の紙カルテは廃棄しても問題ございません。


紙カルテを廃棄する際は、溶解、粉砕(シュレッダー)、焼却などの方法があり、機密文書処理事業者に委託するのが一般的です。ただし、業者の選定には、十分に注意する必要があります。


多くの要配慮個人情報が記載された紙カルテが万が一流出した場合、患者のプライバシーや人権を侵害する恐れがあるため、セキュリティ対策が万全な業者を選定しましょう。


機密文書処理業者を選定する際のチェックポイント

  • 自社の処理工場を有しており、同一業者内のみで処理が完結する(集荷から処理まで同一業者が行っている)
  • 廃棄処理の立会いの有無
  • 万が一情報漏えいが発生したときの対策として、情報漏えい保険に加入している
  • 処理の完了後に「廃棄処理証明書」を発行してもらえる
  • ISMS認証を取得している


カルテの長期保存にはクラウド型電子カルテがおすすめ

ここまでご紹介してきたように、カルテの保存については、厚生労働省の通知やガイドラインにより細かく要求事項が定められています。

各要求事項を医療機関が自ら精査しながら対応していくことは、簡単なことではありません。

そこで、なるべく長期的にカルテを保存するための手段として、クラウド型電子カルテの導入をおすすめします。


クラウド型電子カルテの場合、各医療機関のデータが常に「電子保存の三原則」を遵守した状態で、データセンターで厳重に管理されています。

カルテの保存期間に応じて、わざわざ外部保存や廃棄を業者に委託する必要がなくなるため、コスト削減としてのメリットもあります。

また、災害時のBCP対策としても有効で、データの消失を防ぐ役割も担っています。


クラウド型電子カルテのご利用を検討される際は、ぜひ「CLINICSカルテ」の概要資料をダウンロードください。

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