2020.03.17

オンライン診療を広めるためには、クリニックの試行錯誤が重要

内科・麻酔科

医療法人社団眞和会 西荻ペインクリニック|河手 眞理子 院長

痛みの治療には継続処方が必要、患者さんの通院負担を減らしたい

ー 貴院でオンライン診療を導入されたきっかけを教えてください。

河手先生: ペインクリニックでは神経ブロックという治療を行っており、治療開始後、病状がよくなってきた患者さんには継続してお薬を処方しているんですね。当院には比較的遠方からいらっしゃっている患者さんが多いんですが、処方しているのは麻薬系のお薬などきめ細かい調節やフォローが必要な薬が多いので、患者さんがお住まいの近くの病院を紹介して、継続処方してもらうのが中々難しいということがあったんです。また、若い患者さんの場合は仕事が忙しく、仕事の合間をぬって頻繁には通院できないと言われることもありました。服薬を急に中断してしまうと体調が悪化してしまったりと患者さん自身困ることが多いですし、仕事が忙しい方でも待ち時間なしで気軽に通院できるようなシステムがあればいいなと思っていました。

あとは、高齢の患者さんは付き添いの方と一緒に通院されることが多いんです。そうなると付き添いの方の都合で、クリニックに来れたり来れなかったりということが起きてしまうので、そういった一人で通院することが難しい患者さんにも有用なツールがあればと考え、導入を決意しました。

ー ありがとうございます。実際にオンライン診療をどのように活用されているか、具体的なエピソードなどございますか。

河手先生: やはり一番多く活用しているのは、慢性痛を抱えている患者さんに対してですね。最近はいろいろな種類の鎮痛薬が出ているんですが、慢性痛には脊髄や脳に効く薬を多く使っています。こういう薬は、最初から十分すぎる量の薬を服用してしまうと、吐き気が出たり眠気があったりと副作用が出やすいことが多いんです。そのため最初は少しずつ投与し、漸増させていくやり方をとるので、治療開始時には頻繁に通院していただく必要があり、そういった場合の手助けとして使っていただいています。

それから、片頭痛の方も、頭痛が起こると、動くこと自体がつらいので、家にいながら頭痛薬や予防薬の処方を受けられるので、喜んでいただいています。

あとはお体の不自由な方や高齢の方などご自身での移動が難しい患者さんですと、クリニックにいらっしゃること自体が大変なので、毎回介護タクシーを頼んだり、ご家族による送迎の必要がないようにオンライン診療を使っていただいている場合もあります。ほかには症状が安定している患者さんで、毎回遠いところから通院し、さらに待ち時間までかかってしまうとなると本当に気の毒なので、そのような患者さんにも便利に使っていただいています。導入前に想定していたケースでは、ほぼ活用できていますね。

試行錯誤を重ねることで、オンライン診療を選択される方が増えた

ー なるほど。実際にオンライン診療を実施されている患者さんの年齢層はいかがですか。

河手先生: 大体40代〜50代が中心ですね。中には60代や、80代の患者さんも少数いらっしゃいます。その80代の患者さんは、娘さんがご自宅にいらっしゃったときだけ、娘さんのスマートフォンを使ってオンライン診療を受けてくださっています。一緒に住まれているわけではないので、オンライン診療を始める前までは娘さんが送り迎えをしてクリニックに通われていたんですが、今は娘さんが手伝いながら、オンライン診療をやっていらっしゃいますね。

ー 患者さんご本人だけでなく、付き添いの方の負担が減っているであろう事例ですね。ちなみに貴院の場合は保険診療での活用が多くを占めているようですが、患者さんにご案内をいただく際に何か気をつけていらっしゃることはあるんでしょうか。

河手先生: 導入当初、年間100件はオンライン診療を行いたいという目標があったんですが、患者さんに「オンライン診療を始めたんですけどどうですか」とご案内しても最初は「え、テレビ電話での診療ですか…?」と敬遠をされることが多かったんです。ただ回数をこなすことで私の患者さんへの案内も上手になってきましたし、CLINICSのダウンロード方法や操作がわからないという方にも、当院のスタッフがスムーズに案内できるようになったおかげで、少しずつオンライン診療が広まっていきましたね。

あとは当院オリジナルのオンライン診療のご案内チラシを作って、私から患者さんに渡していました。チラシには、交通費がかからないとか待ち時間がない、予約時間になるまで自分の好きなことをしながら待てるなど、いくつか患者さん側の利点を書きましたね。

他にも、開始当初は保険外となるシステム利用料の金額を今の倍程度に設定してご案内していたのですが、その金額を見て「うーん…」と悩まれる患者さんが多かったため、開始から2〜3ヶ月程度で変更しました。通院のための交通費とか移動時間とかいろいろ考えると十分最初の金額でもお得感はあるかなと思ったんですが、実際電車代とかはICカードを使ったりしてしまえば目に見えづらい金額ですし、払って当然だと考える傾向にあるのかもしれません。ただクリニックに払う特別な費用となると、抵抗を感じられる方も多いのかなという印象をもちましたね。

いつもの診察室と変わりなく医師と話せることをもっと知ってもらいたい

ー いろいろな要因があって広まっていったということですね。それでは最後に、オンライン診療を行う上で課題に感じていることや、今後期待されていることはありますか。

河手先生: 一番の課題は費用ですね。オンライン診療の実施人数が少しずつ増えているとはいえ、現状は月に10人くらいなので、対面診療時との差額を考えると経営的に厳しい面もあります。特に当院の場合、オンライン診療だと慢性疼痛疾患管理料という130点の加算が取れなくなってしまいますので、そこはかなり大きいです。あとは、テレビ電話でも診察室と変わりなく医師と話せるということが、患者さんの中でもっと広く伝わればいいのになと思います。オンライン診療に限った話ではないですが、私たちがご案内をしても自分が想像できないこととなると、その後の説明も興味を持って聞いてくださらない場合が多いので。

ただ実際にオンライン診療をやってみた方はその後も続けてくださっていますし、待ち時間の短縮や移動時間の削減など大きなメリットがあるようなので、非常に便利に感じていただけていると思います。まずはとにかく始めていただかないと、患者さんにオンライン診療の良さは伝わらないだろうと思うので、今後も工夫してご案内していきたいですね。

ー 本日はお忙しい中、貴重なお話をいただきありがとうございました!

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