2019.5.23

オンライン診療を活用することで、アトピーの患者さんとじっくり向き合える時間が増やせた

皮膚科

天下茶屋あみ皮フ科クリニック|山田 貴博 院長

オンライン診療を使って、診察枠の棲み分けがしたかった

ー まずはオンライン診療導入の経緯を教えていただけますか。

山田先生: ふたつあるんですが、ひとつがアトピーの患者さんですね。うちの場合は近隣からだけではなくて、市外からもたくさんのかたが来院されます。通常の皮膚科の診療は5分程度で済むことが多いんですが、アトピーの患者さんは一人あたりのお話が長くなることがあるんです。診療時間が長引く患者さんが一人いらっしゃると、すべての患者さんに影響が出てしまいます。あと、私自身も診察の合間に深刻な悩みを抱えた患者さんが突然入ってくると、気持ちの切り替えが難しいという部分もあり、なかなか大変で。オンライン診療を間に挟んでいって、なんとか棲み分けができないかなと考えました。

もうひとつは、単純に診療時間を広げると、どうしても残業も増えてきてしまうので、スタッフの負担を考えて、オンライン診療で私が個人的にゆっくり診られる人は診るようにしよう、ということで導入を決めました。

ー 実際に導入してみて、いかがでしたか。

山田先生: 最初は完全に予想が外れましたね(笑)。「オンライン診療はじめます」とチラシも貼って、希望者もどれくらいいるか把握したつもりでいたし、当時はアトピー患者さんだけじゃなくて、地元の人含めてみんなに案内してたんですが、いざ始めてみたらまったく予約が入らなくて。結局みなさん並んでいて、待ち時間解消にならなかったんですよね。いま思い返してみると、「待ち時間がなくなりますよ」ということくらいしかお伝えできていなかったんです。そこから発想を変えて、アトピーの患者さんにフォーカスして、その人たちだけには「オンライン診療を挟まないと成り立たない」というつもりで、あえて一回の診療時間をものすごく短くして、なにか疑問があれば「オンライン診療でフォローします」という形に変えてみました。

すると、あるときから軌道に乗ってきて、患者さんのなかで口コミで広がっていきました。「え、まだやってないの?」みたいに。他の人がやってるという情報が広まると、敷居が下がるようです。初めは、協力してくれる患者さんに何人か声かけて、一緒にシステムの運用を考えていくほうがいいのかもしれないですね。

ー 受診されるアトピーの患者さまの年齢層はいかがでしょうか。

山田先生: 一番若くて高校生くらい。圧倒的に多いのが30〜40代ですね。働き盛りだから定期通院は2〜3ヶ月に一回しかできないんです。そうすると、通院と通院の間に起こったと言ってる症状も、時間が経ってしまうと状況が変わってしまうので、そこに対するアドバイスが当てはまらないこともあり、もっと早く来てほしかったなって思うことがあります。なので、迷ったり困ったら「まずはオンライン診療の予約をして」と言っています。

専門外来を新設し、対面診療の段階から運用をテコ入れ

ー オンライン診療に取り組むためにアトピーの専門外来の時間を設けたとお聞きしたんですが、背景を教えていただけますか。

山田先生: 患者さんの思いの丈をぶつけてもらう時間枠をつくったってことですね。「15分は確実に話を聞きますので、この時間に都合をつけて必ず来てください」という形式にしました。まず、対面診療の時間枠から棲み分けを図りました。特別な時間枠で、待ち時間のない外来をつくって、次はオンライン診療にしようとアピールをしました。そうすると予約も事前に入ってるので、私も心の準備ができていいんですよ。そこでひとつラクになりました。あと、CLINICSで来院の予約を受け付けるようにして、アプリでアカウント登録しないと予約できないようにしたんです。アトピー外来を受診するにはCLINICSを使わないといけない。決済もCLINICSで行う。そうするとアプリを使うことが当然となって、ひとつ壁が越えられるんです。あとは回数を重ねてきた患者さんに「オンライン診療も同じアプリでできるから」と伝えると、案外スッと移行できるんです。そうすると同じ患者さんの来院とオンライン診療の診療状況が一元管理できるんですよ。枠の開け閉めもフレキシブルにできますし、カルテより簡単に確認できるのが便利ですね。

ー 専門外来を開設して、そこから無事オンライン診療が軌道に乗ったお話をお聞きできましたが、導入当初うまくいかなかったところから試行錯誤して軌道に乗るまではどれくらい時間がかかりましたか。

山田先生: 2018年1月からスタートしてうまくいかず、3月末で一旦案内を休止したんです。それで5月に「来月から専門外来はじめます、オンライン診療も再開します」ってアナウンスをしたら、6月から予約が8件入りました。だからすぐでしたね。6月最初に来院予約された方が、もうそのあとすぐにオンライン診療を予約していったので、そのやり方をリリースしてからは早かったです。あとは、専門外来として来院してくれたときにきちんと時間を取って話を聞くことで、信頼関係が築けたんだと思います。以前は長すぎると途中でどうしても話を打ち切ったりしていましたが、「じっくり聞きます」と構えられるようになりました。

特に社会人のかたには喜ばれましたね。まずはじっくり話を聞いてくれるし、オンライン診療に移行したら通院の負担も減るし。時間帯もお昼休みの時間やアフター5に受診できるので、患者さんの満足度が高いです。そして、通常の一般診療の枠の、待ち時間が読めずギスギスしていた雰囲気も減り、私自身の心のゆとりもできました(笑)。

タイムリーに、より深みのある診療を行うための武器

ー 印象に残っている患者さまのエピソードがあれば教えてください。

山田先生: わかりやすいエピソードでいうと、ある高校生の男の子ですね。その子は痒がり方がとても強くて、アトピーの治療を続けていたんですけど、夜にオンライン診療を行なっていたときに、「いま痒くなってきた」と言うわけです。「なってきた」という表現に違和感を覚えて、痒いところをカメラで見せてもらったら、じんましんだったんですよ。じつは、痒みの原因が違ったんですよね。これは、学校休みながら2ヶ月に一回の通院では気づけなかったと思います。それでじんましんの飲み薬を出したら、すぐに快方に向かったんです。「なぜいま困ってるのか」という部分がオンライン診療だとタイムリーに診られるなと思っています。

ー 最後にオンライン診療に今後期待することや、課題に感じているところがあれば教えてください。

山田先生: オンライン診療は、収益を生むものというより、診療のスタイルを転換していくツールだと思っています。紙カルテから電子カルテに変わったように、それだけでなにかが変わるというよりかは、より深みのある診療ができるかというところの、ひとつの武器だと思っています。という私も、最初はこれで待合室ガラガラになって、あとはオンラインでサクサクやればいいとか思ってたんですが、現実は違いましたね(笑)。うちの場合は、じっくり向き合わなければいけない人たちの時間が増やせた。それによって発展したというのが実感です。

ー 本日は貴重なお話をありがとうございました!

天下茶屋あみ皮フ科クリニック

「天下茶屋あみ皮フ科クリニック」概要

医療機関名:天下茶屋あみ皮フ科クリニック
所在地:大阪府大阪市西成区岸里1-1-4
院長:山田 貴博
TEL:06-6115-6665